2009年09月03日

●2つの循環――「体循環」と「肺循環」

 心臓の働きを整理しておきましょう。
 心臓が一回ギュッと縮むと左心室から全身に血液が送り出され、それ
と同時に全身をめぐって右心房に戻ってきている血液が右心室から肺に
送り出されるのです。心臓が縮むごとにこの2つのことが同時に行われ
るのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  左心室 → 全身を循環する → 右心房 ・・・ 体循環
  右心室 → 肺で酸素を補給 → 左心房 ・・・ 肺循環
――――――――――――――――――――――――――――――――
 左心室から全身に送り出された血液は全身をめぐって右心房に戻って
くるのですが、この循環を「体循環」と呼んでいます。そして、右心室
から肺に送り出される血液は肺で酸素を補給されると左心房に戻ってき
ますが、これを「肺循環」と呼ぶのです。
 つまり、心臓が一回ギュッと縮むごとに血液は2つの複雑な循環――
体循環と肺循環――を行うのですが、これがスムーズに行われるのは、
心臓に「弁」がついているからです。心臓には左側と右側に2つずつ、
合計4つの弁がついていますが、この4つの弁が血液の流れをコントロ
ールしているのです。

●「冠動脈」とは何か

 心臓は血液を送り出すポンプの役割をしています。身体のすみずみま
で、血液に乗せて酸素や栄養を運ぶポンプの役割ですが、肝心の心臓自
体の酸素や栄養はどのようにして供給されているのでしょうか。
 心臓への酸素や栄養の補給は、心臓の外側――つまり、心臓の表面を
走る3本の血管によって行われているのです。この血管は、冠をかぶせ
たようなかたちをしているので、「冠状動脈」という名前がついていま
す。
 この冠状動脈がどういうかたちをしているのかを理解するために、東
京医科大学の高沢謙二先生は、講演のさい、両手の握りこぶしを使って
次のように説明しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 右手で親指を中に入れて握りこぶしをつくります。これが心臓の大き
さとほぼ同じです。今度は左手で、親指、人差し指、中指を3本の血
管に見立てます。薬指と小指は折り曲げておくとわかりやすいでしょ
う。その左手の3本の指を右手の握りこぶしでつくった心臓にかぶせ
るようにおきます。親指はこぶしのくぼみに、人差し指はこぶしの指
の付け根の線に並ぶように、中指はこぶしの指の2番目の関節が並ぶ
線にあたるようにすると、より実際の血管の形に似るでしょう。
     ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――

●心筋梗塞は血管が原因で起こる

 心筋梗塞という病気は心臓の病気であることは誰でも知っています。
これはけっして間違いではありませんが、心臓そのものが悪いので、心
筋梗塞が起こるわけではないのです。心筋梗塞が起こる原因は血管に問
題があるからです。
 高沢謙二先生が患者さんに心筋梗塞について説明するときは次のよう
にいうそうです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 心筋梗塞は心臓が悪いから起こるのではありません。心臓に酸素と栄
養を送る血管が原因で起こるのです。そして、脳卒中は脳に酸素と栄
養を送る血管が原因で起こるのです。けっして頭が悪いから起こるの
ではありません。
     ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 心臓には4つの弁がありそれぞれが重要な働きをしているのですが、
心臓のほかに弁が大切な働きをしているところがあります。それはどこ
だかわかるでしょうか。
 それは「静脈」なのです。心臓の働きによって身体のすみずみまで届
けられた血液をもとに細胞は活動を行いますが、そうした細胞の活動で
出たゴミを回収して心臓に戻す帰り道が静脈なのです。
 心臓より下に位置する足からも血液(静脈血)が心臓に戻ってくるこ
とができるのは、実は弁の働きのおかげなのです。足の静脈にはカタカ
ナの「ハ」の形をしたたくさんの弁がついていて、血液を逆流させない
ようにしているのです。「ハ」の形をした弁は、心臓の方へ通過した静
脈血が下に戻りにくい構造になっているのです。
 足を使うこと――つまり、歩くことは心臓に良いといわれますが、足
を使うと足の筋肉がよく収縮するからです。足の筋肉が収縮すると、足
の静脈にある弁も一緒に収縮するので、弁の下から上へと血液がよく通
り、心臓に戻る働きが活発になるのです。このような足から血液が心臓
に戻りやすくする運動のことを「ミルキングアクション」といいます。
―― [血管の話/02]
 
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2009年09月10日

●血栓が詰まりやすい脳と肺

 人間は歩けなくなると、急速に体力が衰えるといわれます。それはミ
ルキングアクション――足から血液が心臓にスムーズに戻るための運動
が大幅に減少してしまうからです。
 飛行機のフライトや列車の旅などで長時間体を動かさないでいると、
足の筋肉が硬くなります。そうすると、足から心臓へ静脈血が戻りにく
くなり、血液が滞る「うっ滞」が生じます。「うっ滞」が起きると血液
が固まりやすくなり「血栓」ができる恐れがあるのです。
 血栓は血の固まりですが、それは血液に乗って流れて行き、体のいろ
いろな場所で血管を詰まらせる恐れがあるのです。最も血栓が詰まりや
すいのは、脳や肺の細い血管なのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    脳で血栓が詰まる ・・・・・ 脳動脈血栓塞栓症
    肺で血栓が詰まる ・・・・・ 肺動脈血栓塞栓症
――――――――――――――――――――――――――――――――
 このうち、「肺動脈血栓塞栓症」は「エコノミークラス症候群」と呼
ばれて有名になりましたが、これは飛行機内でもときどき歩くとか、足
を震わせる運動を繰り返すだけでも防ぐことができるのです。

●毛細血管と細胞との関係

 血管の最先端には毛細血管があります。この毛細血管と細胞との関係
は、どうなっているのでしょうか。毛細血管が細胞の一つひとつにつな
がっているのでしょうか。
 この毛細血管と細胞との関係について、高沢謙二先生は次のように説
明しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 細胞と毛細血管との関係を説明するのにわかりやすいイメージは、細
胞は海に浮かぶ小島、というものです。一つひとつの細胞が小島の一
つひとつにあたります。小島(細胞)のまわりを囲む海には動脈の毛
細血管を経由して運ばれてきた酸素や栄養が浮いています。小島に酸
素や栄養を陸揚げするのにあたるのが細胞への酸素と栄養の取り込み
です。その方法は、細胞を包む膜(細胞膜)の内と外との濃度の差を
利用して細胞の中へと取り込むのです。
――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 細胞を意味する小島からは一酸化炭素や老廃物が細胞膜を通して海に
捨てられ、それらの一酸化炭素や老廃物は、静脈の毛細血管が吸い上げ
るのです。ここでいう海の主成分はコラーゲンであり、細胞をくっつけ
るのに最適の成分なのです。

●血管の構造と加齢による血管の変化

 血管はどのような構造になっているのでしょうか。
 血管を輪切りにした場合、血液が通る内側から外側に向かって3つの
膜があるのです。これは動脈も静脈も同じです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 内膜
 中膜 ・・・・・ エラスチンで織られた筋肉の線維と筋肉で構成
 外膜
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血液の流れと直接接するのは、内膜の表面を覆っている「内皮細胞」
です。血管の中膜はエラスチン――これはコラーゲンが主な成分の平滑
筋で構成されているのです。つまり、血管はコラーゲンでつくられるチ
ューブと考えてよいと思います。
 しかし、加齢によって血管を構成しているコラーゲンは、若い弾力性
のあるものから弾力性が失われた年寄りタイプのものに変化します。こ
れによって、血管は弾力性を失い、硬くなるのです。これを血管の老化
といいます。そして加齢の進行によって血管の老化も進行するのです。
 それでは加齢によって血管と直接接する内臓にはどういう変化が現れ
るのでしょうか。
 加齢に加えて、食べ過ぎや運動不足を続けていると、余分なコレステ
ロールや中性脂肪が血管にたまります。そうすると、やがて血管の内膜
にお粥のようなかたまりができてくるのです。これを「プラーク」と呼
んでいます。
 さて、内皮細胞は整然と並んでいるタイルのようなものです。そこに
コレステロール――とくに悪玉コレステロールを含む血液が流れると、
整然と並んでいるタイルに傷がつき、はずれてしまうタイルも出てきま
す。
 タイルがはがれた場所からは悪玉コレステロールが入り込み、血管の
内膜にまで侵入を果たすようになるのです。さらに悪玉コレステロール
は血管にいる活性酸素とくっついて、酸化悪玉コレステロールという破
壊力のあるものに変化するのです。 ―― [血管の話/03]
                 
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2009年09月17日

●日本人は血管の病気で多く死亡している

 「日本人はどのような病気で亡くなる人が多いでしょうか」と聞かれ
たら、どのように答えるでしょうか。
 もちろん「がん」と誰でも答えます。確かに現在の日本人の死亡原因
の第1位は「がん」なのです。しかし、第2位は「心筋梗塞」、第3位
は「脳卒中」となっています。
 心筋梗塞は、心臓の筋肉に酸素と栄養を送り届ける血管が詰まって、
その血管が担当している心筋が機能しなくなって起こる病気です。つま
り、血管が詰まることが原因で起こる病気です。
 死亡原因の第3位は「脳卒中」ですが、「卒中」とはどういう意味だ
かわかりますか。
 「卒」とは「突然にわかに」という意味です。「中」は「あたる」、
すなわち、「倒れる」という意味です。つまり、脳卒中とは突然に生じ
た脳の障害によって倒れる病気なのです。
 脳卒中には、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の3つが含まれます。少
し前までは脳卒中というと、そのほとんどが脳出血だったのですが、現
在は脳梗塞が多くなっています。脳梗塞は比較的太い血管が血栓によっ
て詰まることによって、起こる病気なのです。
 死亡原因の第2位と第3位が血管が詰まったり、破れたりして起こる
病気なので、実質的な死亡原因の第1位は血管の病気であるといってよ
いでしょう。血管が破れたり、詰まったりする原因は血管の老化にある
ので、血管の老化を防ぐことができれば、日本人の死亡率は大幅に改善
するはずです。

●血圧が上がるには3つの原因がある

 血管の老化はなぜ起こるのでしょうか。
 一番大きな原因は高血圧です。血圧とは、血液が流れるときに血管の
壁にかかる圧力のことです。血圧が高いと血管の壁にかかる圧力は大き
くなりますから、血管の負担が増して血管の老化が進行するのです派。
 血圧の測定のさい、医師がチェックするのは次の4つです。3と4を
知らない人は多いかもしれませんが、4つとも測定には必要なのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.最大血圧/収縮期血圧
         2.最小血圧/拡張期血圧
         3.平均血圧
         4.脈  圧
―――――――――――――――――――――――――――――――― 
 まず、「血圧」について考えます。知識を整理しておきましょう。
 「最大血圧」とは何でしようか。
 血圧は「上は150、下は78」というように、上の血圧と下の血圧
があります。上は下よりも数字は高く出るのが普通です。上の血圧、最
大血圧は、心臓が血液を送り出すために一番収縮したときの血圧のこと
です。そのため、収縮期血圧というのです。そのとき送り出される血液
の量は70〜80CCであり、これは老若男女、年代を問わずほとんど
変わらないのです。これだけの量の血液が送り出されるのですから、血
圧の数字は当然高くなります。
 それでは「最小血圧」とは何でしょうか。
 下の血圧、最小血圧は、心臓が次の収縮のために拡張して血管にかか
る圧力がいちばん弱くなったときの血圧です。そのため、拡張期血圧と
いうのです。したがって、上の血圧よりも数字が小さいのは当たり前で
す。
 問題は、血圧がなぜ上昇するかです。医師の高沢謙二先生は、重要な
原因として次の3つを上げています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        1.血管の老化進行する
        2.交感神経が興奮する
        3.ナトリウムが増える
     ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1の原因は「血管の老化進行する」ことです。
 血管が老化して、血管が硬く、厚くなると、血管の内腔が狭くなりま
す。そうすると血液の通りが悪くなって、血管の壁にかかる圧力が強く
なるのです。その結果、血圧が上がります。
 第2の原因は「交感神経が興奮する」ことです。
 交感神経は「昼の神経」といわれ、何か身体に危機が及ぶと考えたと
き、交感神経が興奮して、身体が戦闘モードになります。そうすると血
圧を上げるホルモンであるレニン、アンジオテンシンの分泌が増えて、
血圧が上昇するのです。しかし、興奮が収まると、血圧は下がります。
 第3の原因は「ナトリウムが増える」ことです。
 ナトリウムが体内に入るのは、食塩の摂取によってです。塩をとり過
ぎると血管がなめし皮のように硬くなり、血液の量が増えるのです。そ
のため、血圧は上昇します。       ―― [血管の話/04]
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2009年09月24日

●3大変化を見落とすことなかれ

 血圧が高いままで放置しておくと、どのようなことが起こるのでしょ
うか。
 それには、次の3つのチェックを行うことが必要です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.目の網膜に異常はないか
         2.心臓肥大がないかどうか
         3.タンパク尿あるかないか
――――――――――――――――――――――――――――――――
 高血圧の状態をそのままにしておくと、上記の3つの変化があらわれ
てくるのです。
 高血圧による血管の老化が起こると、腎臓や目の網膜などの細い血管
が老化し、眼底出血などが起こります。眼底出血は目の網膜の細い血管
がおかされて細い血管から出血します。この目の網膜の血管の変化は、
体のほかの場所の細い血管にも同じ変化が起きていることを示していま
す。
 高い血圧で血液を送り出していると、心臓が疲れてくるのです。そう
すると心臓を構成する細胞のひとつひとつが大きくなって、心臓の筋肉
が厚くなり、心臓が肥大してきます。とくに血液を全身に送り出す仕事
をしている左心室に関係のある心筋が肥大してくるのです。
 腎臓の細い血管に異常があると、腎臓の働きが衰えてきます。腎臓の
働きが衰えると、尿にタンパク質がもれて出てくるようになります。健
康な状態の腎臓はタンパク質をもらさないようにしているのですが、こ
れがもれるということは腎臓の働きが衰えていることを示しているので
す。
 諸悪の根源は高血圧にあるのです。高血圧を予防し、改善するには次
の5つのことを心がけることが必要です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.塩分を取り過ぎないこと
         2.睡眠と休養を十分にとる
         3.運動の習慣をつける努力
         4.ストレス解消を心がける
         5.狙いは肥満の解消である
――――――――――――――――――――――――――――――――

●「平均血圧」とは何か

 血圧の測定には4つがあることを前回示しましたが、念のため再現し
ておくことにします。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.最大血圧/収縮期血圧
          2.最小血圧/拡張期血圧
          3.平均血圧
          4.脈  圧
――――――――――――――――――――――――――――――――
 このうち、「最大血圧」と「最小血圧」についての説明は終わってい
ますので「平均血圧」と「脈圧」について説明しましょう。今回は「平
均血圧」について説明します。
 私たちの身体の血管は、太い動脈からだんだん枝分かれして細くなっ
ていきます。そして、最小動脈から先の細い血管を「末梢血管」、太い
血管から末梢血管までのつなぎの血管を「伝導血管」というのです。結
論からいうと、次のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    「末梢血管」の老化が進行 ・・・ 平均血圧の上昇
    「伝導血管」の老化が進行 ・・・ 脈圧の数値上昇
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血管の老化はどこからはじまるのでしょうか。
 血管の老化は末梢血管からはじまるのです。そしてそれは伝導血管に
及んでくるのです。
 末梢血管が老化してくると、血液の流れが悪くなります。末梢血管の
大きさはミクロンという単位ですが、私たちの身体は約60兆〜100
兆個の細胞でできているのです。その末梢血管のひとつひとつのわずか
な血液の通りにくさは、身体全体に大きな影響を及ぼすのです。
 「平均血圧」というのは、そういう末梢血管の状態をあらわしていま
す。それではどのようにして平均血圧を計算するのでしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    下の血圧 + 「(上の血圧マイナス下の血圧)÷3」
    ≪例≫ 上の血圧140 下の血圧 80
    80 + 「60÷3」 = 100
――――――――――――――――――――――――――――――――
 平均血圧の数字について、一喜一憂することはありません。大事なこ
とは推移を見ることです。そして、平均血圧が少しずつ上がってくる場
合は、末梢血管の老化を心配する必要があります。そういう場合は、医
師と相談されることをお勧めします。    ―― [血管の話/05]
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