されました。死因は「急性心筋梗塞」とのことです。日本における心筋
梗塞の発症率は年間約15万人であり、その致死率は30〜40%とい
われます。しかも、突然襲うのでサイレント・キラーともいわれている
のです。
心臓に酸素と栄養を運び、心臓を休ませることなく、働かせているの
は「冠動脈」という血管ですが、その血管が突然詰まって血液が流れな
り、心臓の細胞が壊死してしまう病気です。狭心症も血管が詰まるので
すが、完全に詰まるわけではなく、流れる量が少なくなるだけであり、
しばらくすると、何事もなかったように回復するのです。
冠動脈が詰まる原因について、もう少し詳しく説明しましょう。
何らかの原因によって冠動脈の壁にプラークというものが付着するこ
とがあります。プラークというのは、とてもやわらかいプヨプヨとした
脂肪の小さな塊のようなものです。このプラークが何らかの原因で、血
管の壁を壊すときがあります。そうすると、その傷口を修復するために
多くの血小板が集まって、血液の塊を形成しようとします。それが急速
に大きくなって血栓となり、血液を完全に封鎖してしまうときがありま
す。そのとき起きるのが心筋梗塞です。
なぜ、プラークによって血管が破壊されるのかというと、冠動脈の激
しい収縮による血圧の上昇や心拍数の増加がその原因のひとつともいわ
れています。冠動脈の激しい収縮は、強度のストレスなどによっても起
こるので、日頃の健診の結果がまったく異常のなかった人にも十分起こ
る可能性があるのです。
●心筋梗塞を起こしやすい10のタイプと7つの予防法
どういう人が心筋梗塞になりやすいのでしょうか。長山雅俊医師によ
ると次の10のタイプの人が危険であり、それらが重複すればさらに危
険です。
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1.ふだんから血圧の高い人
2.コレステロール値の高い人
3.タバコをよく吸う人
4.糖尿病の人
5.肥満体の人
6.尿酸値の高い人
7.血縁に心臓病の人、心臓病で亡くなった人がいる人
8.ストレスのかかる仕事をしている人
9.運動不足の人
10.何事もきちんとやらないと気がすまない几帳面な人
――長山雅俊著、『心臓が危ない』/祥伝社新書156
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心筋梗塞の予防法としては、次の7つがあります。いずれも基本的な
ことですが、知っておくことと知らないのでは大きな差が出ます。
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1.太りすぎないこと
心筋梗塞は人間ドックでいくら調べてもわからないのです。ドッ
クで、異常なしと診断された次の日に亡くなった人もいるからで
す。とくに肥満は万病の元であり、減らす努力が求められます。
2.禁煙すること
喫煙は心筋梗塞の引金になります。タバコはやめるのが一番です
心筋梗塞で亡くなったり、重度の心不全で苦しむのがイヤなら、
いま直ちにタバコをやめる決断をすべきです。
3.糖尿病の治療を進める
糖尿病は心筋梗塞の大きな危険因子です。なぜかというと、糖尿
病は全身の血管の動脈硬化を進行させるからです。それを防ぐた
めには、血圧と血糖のコントロールは不可欠です。
4.ストレスを解消する
現代社会はストレス社会といえます。大事なことはストレスと上
手に付き合うことです。ストレスを発散させるために、ときどき
趣味や娯楽を楽しむ余裕が必要です。
5.適度な運動をすること
軽い適度な運動が効果的です。駅を一駅ゆっくりと歩いてみると
か、暖かい日に散歩をすること──これだけでも、心筋梗塞の予
防になります。テレビの「ちい散歩」を見るだけではなく、自分
もやってみることです。
6.バランスの良い食事を心がける
当たり前のことですが、なるべく脂肪分を減らし、野菜を多く採
るようにすべきです。バランスの良い食事は生活習慣病を減らし
結果として心筋梗塞を予防することにつながります。
7.上手な入浴をする
心筋梗塞は入浴時によく起こるものです。熱すぎるお湯は血圧の
過度の上昇や不整脈の原因になります。お湯の温度は40度〜4
1度程度、10分以内にすることです。
―――――――――――――― ―― [心臓について知る/06]