臓突然死」です。突然死は年間にして5〜7万人と推定されますが、こ
のうち76%が冠動脈疾患が原因であるといわれます。
1995年の東京都監察医務院における健康者突然死の死因を示すデ
ータがあります。
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全体 男性 女性
318人 230人 88人
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心血管疾患 72% 76% 60%
冠動脈心疾患 58% 62% 46%
脳血管疾患 11% 4% 30%
消化器疾患 8% 11% 1%
呼吸器疾患 3% 3% 5%
──東京都監察医務院/1995データより
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心臓病は一刻を争う場合が多いのです。病人を一刻も早く病院に連れ
て行く必要があります。この場合、救急車が通報を受けてから病院に搬
送するまでの時間が生死のカギを握ります。
2007年のデータですがその時間は「全国平均で33・4分」と、
この時点で過去最長になっているのです。2007年以降多くの病院が
潰れており現在ではこの時間はさらに伸びているものと思います。
総務省消防庁のまとめたデータによると、全国で救急車で搬送された
合計の490万2753人のうち、病院到着までに2時間以上かかった
人は1万7580人であり、そのうち9282人が「急病人」の扱いだ
ったのです。
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≪病院までの到着時間≫
30分〜1時間 ・・・・・・・・・・ 44.1%
20分〜30分 ・・・・・・・・・・ 35.7%
10分〜20分 ・・・・・・・・・・ 13.6%
≪地域別≫
東京 ・・・・・・・・・ 47分 ←最長
埼玉 ・・・・・・・・・ 39分
千葉 ・・・・・・・・・ 37分
岩手・茨城・栃木・・・・ 36分
富山 ・・・・・・・・・ 25分 ←最短
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●突然死の起きやすい「入浴時」
突然死の原因になるものはいろいろあります。突然死の第1位は「就
寝中」ですが、第2位は「入浴中」なのです。京都大学保健管理センタ
ーの調査によると、全国で毎年2万人弱が入浴中に突然死しています。
その内訳は「溺死」が2割、「病死」は8割といわれています。
それでは、入浴中に突然死が起きるのはなぜでしょうか。長山雅俊医
師は次の4つの原因を上げています。
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1.水分の不足
2.水圧が静脈を圧迫する
3.居眠りが起きやすい
4.血圧の急降下
――長山雅俊著、『心臓が危ない』/祥伝社新書156
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入浴すると、200〜300CCの水分が失われるといわれます。若
い人の場合は冷たい水を飲みたくなるので水分は補給されますが、高齢
者になると、喉の渇きは自覚されにくくなり、血管内に血栓のできる原
因になります。
湯船に入り、体を沈めると、強い水圧が体全体にかかります。これに
よって静脈圧が上昇し、心臓に戻ってくる血液が増加して、それを弱っ
た心臓が処理できなくなると息切れが起きます。したがって、首までど
っぷりと浸からないようにする必要があります。
また、入浴すると血管が広がるのです。そうすると、副交感神経が働
いて、居眠りをしてしまうことがあります。高齢者の場合、そのまま意
識が薄れて、溺死してしまう恐れがあります。
このように入浴すれば血圧は上昇するのですが、それよりも危険なの
はその後、血圧が急速に下がることです。とくに高齢者の場合は、入浴
後5分ぐらいで、入浴前より血圧が5〜30%低下します。これによっ
て意識障害がおき、フラフラして倒れてしまう恐れもあるのです。
これらの4つのことを頭において、入浴をすること──これによって
入浴時の突然死のほとんどは防げるのです。
――――――――――――――― ―― [心臓について知る/10]