2010年06月24日

●高橋尚子さんの述懐

 日本人はじめての、オリンピック陸上競技での金メダリストである高橋尚子さんは引退したいま、次のように述懐しています。
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 今まで頑張ることは簡単だと思っていた。頑張れば結果がついてくる
 んだって信じてた。でも、頑張ろうと思っても頑張れないときもある
 んだ。頑張っても報われないこともあるんだと知りました。頑張れば
 いいんだよ、といっていた自分が恥ずかしい。
門倉真人著、『鬱のパワー/落ち込んだあとに3歩前進する方法』
                      講談社+α新書より
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 ポジティブ・シンキングという思考法があります。しかし、ポジティブに考えるには相当のエネルギーがいるのです。しかし、人間は生身であり、いつも前向きに気を張っていることはできないのです。
 高橋尚子さんは本当に人にいえないほどの努力をして、オリンピックで金メタルを取ったのです。ですから、次も同じように、いやもっと頑張れば再び金メダルも夢ではないと、ポジティブに考えて、激しい訓練を積み重ねてきたのですが、彼女は二度と世界の檜舞台に立つことはできなかったのです。
 高橋選手ほどの名選手でも、頑張っても結果が出ないことはあるのです。そういうときは、結果が出ないのは頑張りが足りないからだとは考えず、それを受け入れればよいのです。「頑張りが足りないからだ」と考えるのは、本人がそう思っていなくても、自信過剰になっているのです。
 頑張っても結果の出ないことはいくらでもある──そういうときは、それを認め、受け入れることが大切なのです。そしてそんなときでも、なんとかやりくりして、その状況を切り抜けていく必要があるのです。
 鬱病の人を激励してはいけないというのは、そのことをいっているのです。人間というものは、強く意識しないまでも、自分はこうあるべきだという目標を持っています。しかし、その目標が守れないことがよくあります。そういうとき、アバウトな人は「仕方がない」と簡単にあきらめてしまいますが、真面目な人は深刻に考え込んでしまうのです。それもギリギリまで努力して何とかしようとするものです。そうして鬱病になってしまうのです。
 大切なことは、もっと頑張ることではなく、頑張りどころや頑張り方を見直すことが大切なのです。頑張れると思うときに、いや、ここぞと思うときに頑張るというエネルギー配分が必要なのです。

●最大限頑張るのではなく、最小限何をするか見極める

 自分がやりたくないと思うことをやらされると人間は「辛い」と思いますが好きなことは長時間やっても疲れないものです。この場合、「辛い」と思うことをやらなければならないときは、そこに楽しさを見出す努力をしてみる必要があります。
 これに関して、門倉真人先生は次のように述べています。エネルギーには限りがあり、それを上手に配分することが大切だというのです。
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 一般的には頑張れば成功すると考えられています。しかし、成功した
 人のプロセスを見ると、好きなことを一生懸命やっているうちに成功
 してしまっているケースが多いことに気づくでしょう。何かを一生懸
 命にやっても、それを努力とか苦労とか思わずに、ただ面白いから、
 好きだからと、楽しんで夢中になってやっているうちに成功してしま
 う。周囲からは頑張っているように見えていても、じつは楽しんでや
 っていただけというときにこそ成功するものなのです。辛いことや嫌
 なことを我慢してやったから成功したわけではありません。苦しんで
 頑張った人というのは、意外に報われないものです。
 なぜなら、苦しむこと自体に多くのエネルギーを無駄遣いしてしまう
 からです。            ──門倉真人著の前掲書より
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 「プチ鬱」の状態は、本人がそうと気がつかないうちになっていることがあります。問題はどんなときにそうなるかです。一般的に「仕事」には相手がいて、締め切りというものが必ずあります。つまり、時間も労力も限られているのです。もし、締め切りもなく、いくらでも時間や労力が使えるとしたら、それは仕事ではなく、個人的趣味ということになります。
 仕事をやり遂げるためには、自分として最小限何をすればよいかを考えることが必要です。時間と労力を無駄遣いせず、何をやるかを考えるべきです。しかし、その締め切りに耐えられない人はたくさんいます。できない目標を何とかしようとすると、最大限できることをやるべきだと考えてしまうのです。それは一種の強迫観念になって自分を襲い、それが原因でかえって締め切りに間に合わない結果に終わることが多いです。
 この段階で既に「プチ鬱」なのですが、できなかった自分を責め続けて、本当の鬱病になってしまうケースが多いのです。そういうときは、頑張らなければという強迫観念から自分を開放して、最小限何をすればよいかを見極めることが大切なのです。そしてそれを達成した時点で自分を認めてあげる、そうすればもっと大きなこともできるようになります。                   ―― [鬱の話/05]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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