2010年07月01日

●現代は誰でも「鬱な気分」になる可能性がある

 作家五木寛之氏と精神科医の香山リカ氏による全編対談の『鬱の力』
という本があります。この中で、五木寛之氏が「鬱」について面白いこ
とをいっているので、ご紹介しましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 僕は「鬱」の問題を、個人の人格的な危機や、短期的な社会現象とし
 て捉えるべきではないと考えています。むしろ20世紀後半から21
 世紀はじめにかけて、社会全体の流れが「躁」から「鬱」へと転じて
 きたという。長いスパンで捉えたいんですよ。        
   ──五木寛之/香山リカ共著 『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――――――――――――――
 敗戦後、日本にはモノはなく、生きて行くのが大変な時代だったので
すが、前途に希望があったのです。これから平和国家、民主主義の時代
になるという希望というか、夢があったので心は爽やかだったのです。
 昭和20年代には古橋広之進が水泳の世界記録をいくつも作り、日本
中が沸き返ったのです。そして昭和39年(1964年)には東京オリ
ンピック、昭和45年(1970年)には大阪で万国博覧会があり、時
代そのものが「躁」だったのです。これが戦後から約半世紀続いたので
す。
 そういう「躁の時代」から10年の空白期をはさんで現在は「鬱の時
代」になっているのです。躁の時代が半世紀かかっているので、鬱の時
代も半世紀かかるはずです。ということは、この時代を生きるわれわれ
は、多かれ少なかれ「鬱な気分」になるものです。
 しかし、この「鬱な気分」は「鬱病」ではないのです。ここまで「プ
チ鬱」という言葉を使ってきましたが、「鬱な気分」は「プチ欝」その
ものです。多くの人が「プチ鬱」になりうる時代なのです。問題は、そ
の「プチ鬱」が本物の「鬱病」に発展する恐れがあることですが、そう
ならないために、鬱の時代を生きる哲学を持つべきである──このよう
に、五木寛之氏はいうのです。
 昔は、鬱病の罹患率は人口比で大体1%〜3%だったのですが、生涯
有病率といって一生の内に1回鬱病になる率が15%になっています。
鬱病は若い人にも拡大しているのです。
 この場合、「鬱病」と「鬱な気分」は分けて考えるべきです。香山リ
カ氏は「心の健康には坑鬱剤に頼るよりも、自分の内面に向き合う方が
有効である」といっています。
 2007年のことですが、精神科医が小学5年生から中学1年生の対
面調査をしたら、調査をした何百人かのグループの7・4%が精神科医
から見ると、鬱病という診断にあてはまりました。とりわけ中学一年生
は、10・7%があてはまるという結果が出ています。若い人に拡大し
ています。

●統合失調症が減って鬱病が激増している

 五木博之氏は、戦争の形態もかつての「躁の戦争」から「鬱の戦争」
に変わってきているといっています。「熱い戦争」から「冷たい戦争」
という時代もありましたが、この場合は戦争を起こす国家ははっきりし
ていたのです。
 しかし、これがテロになると、国という単位ではなく、明確でない団
体やグループが起こしており、守る方としては困惑をきわめます。誰を
相手にどのように守ってよいかわからないし、相手がわからなければ反
撃のしようもないからです。そういう意味で、テロはまさしく「鬱の戦
争」そのものであるということができます。
 香山リカ氏は、精神医療の世界でも、ちょうどそれと同じことが起こ
っているとして次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 精神医療で起きていることも同じです。いま精神医療の世界では、統
 合失調症の重症例が激減しています。かつては統合失調症といえば、
 「異常」の象徴みたいなイメージがあった。でも、いまやそれは数的
 にも減っているし、統合失調症の代表的な症状である妄想自体も、日
 常のなかに埋没してしまうような、ちょっとした不信感とか猫疑心み
 たいなものになっている。そうしたなかで、精神科医はいったいなに
 を敵として闘っていいかが、わからなくなっているんです。 
   ──五木寛之/香山リカ共著 『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――――――――――――――
 統合失調症が激減したのは、リタニンという向精神薬のせいでもあり
ます。この薬はちょっと気分が沈んでいるという程度の人が飲んでも劇
的に効くのです。したがって、精神科医が扱うと、統合失調症は軽減で
きるのです。
 昔は若い人に統合失調症が多くて、初老の人に欝病が多かったのです
が、今は上記のように10代や20代の人に鬱病は多くなっているので
す。
 しかし、リタニンは、カフェインと覚醒剤の中間ぐらいの薬であり、
かなり強い依存性があるのです。購入するには医師の処方が必要ですが
ネットでも購入できるので、簡単に手に入るのです。リタニンの消費量
は年間38万錠といわれており、もの凄い量が消費されているのです。
しかし、この薬を鬱病に使うのは慎重にする必要があるといわれます。
                     ―― [鬱の話/06]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月08日

●性格と鬱病とは関係があるか

 「プチ鬱」──鬱な気分を性格のせいにする人がいます。職場で上司
にミスを指摘され、休日になってもそのことが頭から離れず、寝つきが
悪くなったりしたとき、「つまらないことを気にする性格だからダメな
んですよね」といったりします。
 これは自分自身がそういう性格を持っていることで、自分を責めるこ
とになるので、マイナスなのです。それに性格というものはそう簡単に
変わるものではないので、そういってしまうと、なかなか「プチ鬱」か
ら抜け出せなくなってしまうのです。
 ところで、性格とは何でしょうか。
 性格というものは個人の反応や行動の特徴なのです。性格に似た言葉
に「気質」があります。気質は性格よりも生まれたときからその人が持
っている特質であって、性格よりも変えにくいものであるといえます。
 門倉真人先生は、性格は不変なものではないとし、それと鬱病の関係
について次のように述べているのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 性格は不変のものでしょうか。性格を「個人の反応や行動の特徴」と
 すればそれは決して不変のものではなく、私たちの感情、意欲、経験
 などに大きく左右されるものであることがわかります。気分が良いと
 きは、明るい性格になったり、落ち込んでいると暗い性格になったり
 するのは、誰しも経験したことがあるでしょう。とくに、鬱や躁など
 の感情の起伏は、個人の反応・行動パターンに直接的に大きな影響を
 与えます。(省略)鬱病や躁病は性格の問題ではありません。鬱病や
 躁病は感情の障害であり、いわゆる性格の問題ではないのです。鬱病
 では、意欲低下や抑鬱気分という症状によって「個人の反応や行動の
 特徴」が変化します。躁病では多升多動や自己肥大感といった症状が
 出現し、症状によってあたかも性格が変わったようになるのです。
 ──門倉真人著『鬱のパワー/落ち込んだあとに3歩前進する方法』
                      講談社+α新書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、一般論として、母が、神経質、生真面目、厳格で、口うるさ
い性格の場合、どうしても子供は親の顔色を見て育つようになります。
そしてその子はさまざまな環境において、いつも他人の目を人一倍気に
してしまうようになり、これは鬱病の引き金になります。

●心の安定のために『歎異抄』を読ませる

 五木寛之氏の話によると、政府から鬱病対策として何をしたらよいか
教えて欲しいという打診があったということです。ちゃんと精神科医と
いうものがいるのに作家に対策を聞くというのもおかしなことですが、
実際は精神科医でも何をすべきかわからない場合が多いことは確かなの
です。
 政府は2006年に「自殺対策基本法」を立ち上げており、予算措置
も行われています。担当部署が自殺者を調べてみると、鬱病の患者が多
く、鬱病を減らせば自殺者は減るのではないかと考えたので、何か良い
知恵はないかと五木氏に話があったのです。
 五木氏が外科医の学会に講演を頼まれたとき、外科医から大きな手術
の患者さんに『歎異抄』が読めるようやさしく書いて欲しいという依頼
があったそうです。五木氏は小説『親鸞』(講談社刊)を上梓している
ので、そういう依頼があったのでしょう。
 『歎異抄』とは文字通り「異義なることを歎く書物」です。「抄」と
いうのは、一般的には、抜き書きし・書き写したものということです。
この書には著者の名前が出ていませんが、親鸞聖人の門弟である唯円と
いう人が書いたものであると推定されています。
 親鸞聖人の亡くなった後、主として関東の門弟が親鸞聖人の信仰と異
なった勝手な主張をしていることに対して、嘆いたうえ間違っている点
を指摘し、正しい伝承に戻し、真実に帰ってもらいたいという願いに燃
えて、前半10章に直接親鸞聖人から聞いた言葉を示し、後半8章に異
義に対する唯円の批判を示して書かれた書物です。       
出典:http://kyoto.cool.ne.jp/otera/tanni/
 多くの病院では、手術を受ける患者に対し、「手術が心配だと思って
いる人はご相談ください」というチラシを配っています。申し出た人は
そういうメンタル・ケアのひとつとして心の安定をもたらす『歎異抄』
を読ませるという方法がとられているようなのです。五木氏はこういっ
ています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 僕は銀行の頭取に「なんで僕らみたいな、迂遠な話をする人間に話を
 聞くんですか」と訊ねたら、社員の心が壊れているとしか思えない現
 象が毎日起きていると。メンタル・ヘルス・トレーニングをいろいろ
 やるけども、まったく効き目がない。それでようやく、これは心の問
 題ではないか、ということになった。五木さんのような非実用的なお
 話をしていただければ役に立つのではないかと、溺れる者は藁をも掴
 むという気持ちでお願いしました、なんて言うわけです。じゃあ僕は
 藁か、と(笑)。
   ──五木寛之/香山リカ共著/『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――    [鬱の話/07]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月15日

●鬱病の自殺は「病死」である

 よく「自殺する」と自分でいう人は自殺しないといいますが、それは
本当でしょうか。
 これに関して精神科医の香山リカ氏は、「好きにすれば」と絶対に突
き放してはならないと断って、次のようにいっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「自殺する」って周囲に言う人たちの多くは、助けてほしいとか、自
 分に注目を集めたいという目的で言ってるんだと思います。ただ、そ
 の人たちは、往々にして死ぬ真似事をするので、そのときに誤って死
 んでしまうケースがすごく多い。本気では死にたくなかったか、どっ
 ちでもいいや、って思っていて、結果として死んでしまう。本当に信
 念を持って死ぬ人はかえって「死ぬ」とは言わないケースが多いです
 ね。 ──五木寛之/香山リカ共著/『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――――――――――――――
 鬱病になると、「自己否定」が強く働きます。「自分なんて消えてし
まえばいい」、「自分がいるから周りに迷惑や心配をかけてしまう」、
「こんなダメな人間の自分は死んでしまったほうがいい」というように
です。つまり、自分を責めるわけです。
 このように心が動いていくと、仕事や日常の何でもないことができな
くなってしまい、やむなく退社させられたり家族や周囲に白い目で見ら
れたりしてしまうのです。そしてそのことでまた更に鬱になるのです。
こうなると、周囲に理解できる人がいないと、最悪の状況は回避できる
かもしれませんが、そういう人がいない場合、最悪の状況は「自殺」な
のです。
 つまり、鬱病の自殺は「自殺」と考えるべきではなく、「病死」と考
えるべきなのです。病気ですから、良くなったり、悪くなったり、急変
したりするのです。その急変して最悪の状況になった状態が「自殺」な
のです。
 鬱病の人の10人に1人が真剣に自殺を考えたことがあり、また40
〜50人に1人が自殺を計画したり、試みたことがあるとされているこ
とからも、鬱病は自殺に結びつきやすい病気ということができます。
 もうひとつ大事なことがあります。自殺を試みる人は、鬱病の症状が
最もひどい極期ではなく、初期の不安やイライラが強いときと、病気が
快方に向かう回復期に起きやすいことが知られていることです。極期で
は自殺する意欲がわかない状態ですが、回復過程に入り意欲が出てくる
と自殺への衝動性が高まるのです。

●鬱病は「心の風邪」である

 古賀洋吉氏という人の『愛の日記』というブログに「鬱病による自殺
が減りますように」の一文があります。鬱病による対処法が詳しく、て
いねいに書いてあります。以下はそのまとめです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.自分の尺度で余計なアドバイスをしない
   「がんばれ!」は禁句です。なぜなら、鬱病はがんばりすぎたひ
   との病気なので、これをいわれると「お前はがんばっていない」
   と言われている気になるからです。自分の尺度でなく、相手に合
   わせるべきです。
 2.言葉通りに解釈して反論してはならない
   相手が相当理解に苦しむことをいってもすべて許してあげる度量
   を持つべきです。鬱病の「症状」と本来の「人格」を混同しない
   ことが必要です。何をいっても「鬱病にいわされている」と考え
   るべきです。
 2.正論をいわず、特別扱いするよう努める
   いわゆる正論を話して相手を追い詰めないことです。傷ついた人
   には、回復する十分な時間が必要であり、それまではやさしく、
   そして全力で守ってあげるのが周りにいる人の役目であると考え
   るべきです。
 3.話をじっくり聞き、問題の理解に努める
   自己は捨て話を聞くことに集中すべきです。心の壁の向こうで出
   られなくなっている本当の姿が見えるまで、暗闇の中で路頭に迷
   った瞬間を感じるまで、相手の心をつかむ感触がある瞬間まで話
   を聞くことです。
 4.失った自信を取り戻させる努力をしよう
   自分がどんなに素晴らしい人間なのかを思い出させる必要があり
   ます。例えば、本人の素敵なところを大量に指摘し、「自分には
   価値がない」という勘違いがいかに馬鹿げているかを伝える必要
   があります。
 5.必ず、逃げ道を用意しておくようにする
   鬱病の大きな原因は、逃げ道がないと本人が絶望していることで
   す。欝の影響で思考回路が閉鎖的になり、本人では逃げ道を作れ
   ない事が多いのです。回復するまで、逃げられる方法を提供する
   必要があります。  http://yokichi.com/2009/01/post-180.html
――――――――――――――――――――――――――――――――
 鬱病は「心の風邪」といわれます。本人の気持の持ち方しだいで、た
だの風邪に終るか、重病になるかが左右される病気です。とくに、周り
にいる人のサポートが治癒のカギを握る病気なのです。
                      ──[鬱の話/08]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月22日

●鬱病と不眠には深い関係がある

 鬱病と不眠──この2つの症状は切っても切れない関係にあります。
鬱病には不眠がつきものであり、不眠の人は鬱病になりやすいといわれ
ます。日本大学医学部の内山真精神医学系主任教授は次のように述べて
います。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 鬱病患者の約9割が睡眠の問題を伴っている。うち8割は不眠で、残
 りは日中に眠くなる過眠などだ。 ── 内山真教授
                  『週刊東洋経済』7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 政府は、今年の3月1日より、『お父さん眠れてる?』との問いかけ
とともに、睡眠不足の自覚を促すキャンペーンを始めたのです。これは
例年自殺する人が最も多い3月を自殺対策強化月間として開始されたも
のです。
 次のURLはそのキャンペーンのために内閣府の作成した動画です。
一度ぜひ見ていただきたいと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 http://wwwc.cao.go.jp/lib_06/jisatsutaisaku/20100226suimin.html
――――――――――――――――――――――――――――――――
 不眠は鬱病のサインなのです。鬱病は、不眠などの体の症状がまず自
覚されその後、表情のなさなどが現れます。しかし、本人が鬱病を自覚
するのは、それからずいぶん先のことになります。不眠が続くと鬱病に
なりやすいのです。したがって、不眠が2週間も続くようなら、鬱病を
疑って医師の診断を受ける必要があるのです。
 米国ハーバード大学の卒業生の追跡調査によると、卒業後10年以内
に不眠症になった人が、その後30年で鬱病を発症するリスクは、不眠
でない人の約3倍といわれています。

●「不眠症」とは何か

 不眠が病気であることを認識していない人は多いのです。それは間違
いであり、睡眠障害の代表的なものが「不眠症」という病気なのです。
その定義は次のようになっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ≪不眠症の定義≫
   1.寝つくのに不眠が普段より2時間以上もかかる「入眠障害」
   2.夜中に何回も(2回以上)繰り返し目が醒める「中途覚醒」
   3.朝起きたときぐっすり眠った感じの得られない「熟眠障害」
   4.普段より、2時間以上も早く目が醒めてしまう「早朝覚醒」
 以上のいずれかが週2回以上起こり、それが一か月継続し、自らそ
 れが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられる場合、
 「不眠症」と診断される。          ──日本睡眠学会
――――――――――――――――――――――――――――――――
 睡眠を促しているものは何か──今までは諸説があったのですが、現
在で生命活動を維持するため、脳が自身に対して積極的に働きかけると
いうのが定説になっています。
 睡眠を起こすメカニズムには2つあります。1つは、目覚めている時
間が長くなると、睡眠促進物質が体内に溜まって眠くなるというもので
す。2つは、夜になると、自然に眠くなる「体内時計」の働きによるも
のです。人間の脳には「視交叉上核」という1万6千個の神経細胞があ
るのですが、それは約24時間で1サイクルになる体内時計をつかさど
っているのです。

●やってみる価値のある7つの不眠解消法

 鬱病になることを防ぐいちばん効果的な方法は不眠症にならないこと
です。そのためには、自己努力で不眠の解消に向き合ってみることが必
要です。不眠症と診断されると、多くの場合薬物療法が行われますが、
できるだけ薬に頼らない解消法をとるべきです。
 そこで、やってみる価値のあるのが次の「やってみる価値のある7つ
の不眠解消法」です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ≪やってみる価値のある不眠解消法≫
 1.一晩眠れなくても気にしない。前日の不眠は最高の睡眠薬と考え
   る。
 2.睡眠時間には個人差がある。体調で変化することを自覚する。
 3.本当に眠くなったときに床につく。
 4.寝床をテレビや読書など睡眠以外に使用しない。
 5.寝床で20分眠れなければ寝室を出て、別のことをする。
 6.寝る前の過激なアルコールの摂取、熱すぎる湯の入浴は避ける。
 7.休日は睡眠時間は長くなるが、平日との差は2時間程度に抑制。
                 『週刊東洋経済』7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
                      ──[鬱の話/09]

posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月29日

●鬱病の人は睡眠障害になりやすい

 鬱病のほとんどは不眠などの睡眠障害を伴うとされています。したが
って睡眠障害がひどい場合は、鬱病を疑ってみることが必要です。
 2006年に日本大学医学部が、20歳以上の男女2万4688人を
対象に行ったアンケート調査の解析結果がそれを示しています。鬱病の
人における不眠症の各症状へのなりやすさについて健康な人と比較した
調査ですが、健康な人を「1」としたとき、睡眠障害の次の4つの症状
が鬱病の人にどのぐらいの倍率で出るか調べたものです。これを「オッ
ズ比」といいます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       「入眠障害」 ・・・・・ 1.60倍
       「中途覚醒」 ・・・・・ 1.44倍
       「早朝覚醒」 ・・・・・ 1.21倍
       「日中眠気」 ・・・・・ 1.55倍
                『週刊東洋経済』7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「オッズ比」とは、生命科学の分野において,ある疾患などへの罹り
やすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度です。オッズ比が
「1」とは,ある疾患への罹りやすさが両群で同じということであり,
「1」より大きいとは,疾患への罹りやすさがある群でより高いことを
意味します。
 逆に、オッズ比が「1」より小さいとは,ある群において疾患に罹り
にくいことを意味します。例えば,ある多型が疾患群100名中の40
名で,健常群が100名中の20名で認められたとします。このときの
オッズ比は次のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      (40/60)/(20/80)=2.67
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これは,ある多型において疾患群で出現するリスクが、健常群に対し
て2.67倍高いことを意味しています。
 一般的には、鬱病に苦しむ人は、夜中の2時とか3時に目が覚めてし
まい、そのあと眠れなくなる「早朝覚醒」が典型的症状とされていたの
ですが、日本大学の調査結果では、早朝覚醒よりも他の不眠の症状の方
がオッズ比が高くなっている点は注目すべきです。とくにオッズ比の高
いのが「入眠障害」であり、寝つきの悪さが鬱病と関連を持っていると
いえます。

●抗鬱剤にはレム睡眠を抑制する

 鬱病の患者を眠らせないようにして、症状改善を目指す療法がありま
す。なぜ眠らせないようにすると効果があるのかですが、鬱病の症状に
は生体リズムの異常を示すものが多いため一時的に睡眠を断つことで、
生体リズムを改善しようというものです。
 この断眠療法は、1970年代から欧州で研究が始まり、日本では秋
田大学医学部付属病院などが取り入れています。一晩の断眠直後から効
果が出るといわますが、その有効率は60%と高く、抗鬱剤の有効率と
差はないのです。抗鬱剤を飲むのに抵抗のある患者には試みる価値のあ
る療法です。
 しかし、患者を眠らせないようにするには、そのためのスタッフを確
保しなければならないなど、方法論としての難しさを指摘する医師もい
ます。また、東京女子医大の石郷岡純教授は、断眠をした場合、ポジテ
ィブあるいはニュートラルな情報が記憶から減り、ネガティブな情報は
あまり減らないという指摘をしており、賛否が分かれています。
 しかし、一般的には鬱病には不眠が伴うので、抗鬱剤によって睡眠を
誘導させる方法がとられることがあります。抗鬱剤の主なものには次の
3つがあります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.三環系抗鬱剤
 2.SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
 3.SNRI(セロトニン・ノンアドレナリン再取り込み阻害剤)
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これらの抗鬱剤──とくに三環系抗鬱剤には、鬱病患者に多い「レム
睡眠」を抑制する働きのあるものが多いのです。SSRIやSNRIに
もその働きはあるのですが、逆に覚醒的に働くという報告もされている
のです。
 健康な人の睡眠は、入眠後、ノンレムと呼ばれる深い睡眠に入り、そ
の後は周期的に浅いレム──レム睡眠とノンレム睡眠を何回か繰り返し
て目覚めるというパターンを持つのです。これに対して鬱病の人の睡眠
は、入眠後すぐにレム睡眠が訪れ、第一周期からレム睡眠の時間が長く
なる傾向があります。つまり、鬱病の人の眠りはとても浅いのです。三
環系抗鬱剤は、このレム睡眠を抑制する働きがあるのです。このように、
不眠は鬱病に発展することが多いのです。日大医学部の内山教授は、次
のようにいっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 不眠などの体の症状がまず自覚され、その後、表情のなさなどが現れ
 る。本人が鬱病を自覚するのはずいぶん先になる。 ──内山教授
――――――――――――――――――――――――――――――――
                      ──[鬱の話/10]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。