2010年08月12日

●「新型うつ」には4つのタイプがある

 最近いままでの鬱病とは異なる新しいタイプの鬱病が流行していると
いわれています。4つほどあります。これらの鬱病については、あえて
「うつ」と平仮名で書くことにします。
――――――――――――――――――――――――――――――――
            1.逃避型うつ
            2.未熟型うつ
            3.現代型うつ
            4.非定型うつ
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1は「逃避型うつ」です。
 困難な状況に直面した際に問題解決をすぐに諦め、不安、苦悩のない
抑うつ状態に逃避しているようにみえるタイプの鬱病です。過保護な母
親から甘やかされて育ち、友人関係もそつなくこなし、知的水準も高い
ため、葛藤の少ない人生を送ってきた人に多いのです。自責的になるこ
とは少なく、仕事に対しては限局的に意欲を失い、遊びには比較的活発
なのが普通です。
 第2は「未熟型うつ」です。
 本人の要求がかなえられない状況でうつ状態になると、他者に依存す
るのです。そして依存がかなえられないと攻撃的になります。人格的成
熟に対応して「未熟」と呼称しています。病前性格は依存的でわがまま、
自己中心的、自己顕示的、自己の能力を過大評価する傾向があります。
日内変動、早朝覚醒、食欲低下も認められます。内因性うつ病に含まれ
るとみなされています。
 第3は「現代型うつ」です。
 比較的若いサラリーマンに典型的に見られる軽症の内因性鬱病です。
組織への一体感や忠誠心を拒否し、同僚との連帯感も乏しく、仕事熱心
ではないのです。負荷が過大になり仕事をこなすと、さらに負荷が増大
する状況で症状が顕著になります。他人に迷惑がかかるという罪悪感、
自責感に乏しい印象があり趣味などの個性を発揮する領域で強迫傾向が
認められます。
 第4は「非定型うつ」です。
 コロンビア大学研究グループは、鬱病患者の中でモノアミン酸化酵素
阻害薬がよく効く患者群を報告してきています。状況によって元気にな
ったり、落ち込んだりして、気分の浮き沈みが激しいのが最大の特徴で
あり、それが基本となる症状です。過眠・過食、とくに気分が落ち込ん
でいるときに、いくら寝ても、食べても満足しないという状態がよく起
こります。睡眠のリズムが乱れ、日常生活に支障が出てきています。

●なぜ「新型うつ」が増えるのか

 「新型うつ」などと称して、典型的な鬱病とは異なった新しいタイプ
の鬱病が話題になっています。それは鬱病かそうでないかの見分けのつ
かない鬱病です。「仕事中はうつ、会社の外では元気」というのが、ひ
とつの典型的な症状です。どうして、このようなタイプの鬱病が増える
のかについては、次の4つの理由があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.鬱病の概念が広がっている
         2.抗鬱剤が発展し売上げ向上
         3.ストレスの過大な現代社会
         4.心療内科クリニックが増加
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1に鬱病の概念が広がったのは、DSM──米国精神医学会によっ
て定められたマニュアルであり、さまざまな病理の診断基準を示したも
の──これの誤訳というか、拡大解釈説が患者を増やしたといわれてい
るのです。
 第2に、昔からある病気が治療できるような治療薬ができると、その
病気が増えるといわれます。現在、抗鬱剤の売り上げが向上しているの
で、新しいタイプの鬱病が増えています。使いやすい抗鬱薬が増えたの
で、潜在的な鬱病患者が掘り起こされたのではないかともいわれていま
す。
 第3に現代社会の持つ必然性です。現代社会はストレスの多い状況に
あります。そういう時代には必然的に鬱病は増えるものです。「鬱病は
心のかぜ」というキャッチフレーズとともに「自称うつ」の患者が現在
増えつつあります。
 第4に最近心療内科クリニックが増加していることです。医師も商売
であり患者が多い科の医師になろうとします。最近の医師は、医師であ
りながら血を見ることを嫌い、生死に向き合うことを嫌がる人が少なく
ないのです。
 その点精神科は血も見ないし、生死と向き合う場面も少ないので、な
りたがる医師が多いのです。それも精神科というのは抵抗がありますが
「心療内科クリニック」というのであれぱ、抵抗感はないのです。患者
も来院しやすいし患者も多くので、流行るのです。
 今や人気のある精神科のクリニックは予約が多すぎて2年待ちなどい
うところもあります。現代では、失恋して落ち込んでいる人まで鬱病に
されてしまうし、とくに若い人を中心に「自称うつ」が増えているので
す。そういう時代とはいえ、この風潮は問題のあることであるであると
思います。                 ──[鬱の話/12]
                          
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。