2010年09月02日

●臨床心理士の職業について

 鬱の話の最後として、臨床心理士について考えます。
 鬱の診療に当たる「臨床心理士」──臨床心理士の受験資格は、臨床
心理系の指定大学院を修了していることが基本要件となっています。臨
床心理士は、心理職としての専門的な技法をマスターし、心の問題を抱
えている人への援助を行うのが基本的な仕事です。「心理カウンセラー」
「セラピスト」とも呼ばれています。
 現在有資格者は2万人ほどいますが、病院の精神科や心療内科、精神
保健福祉センターなどの医療保健分野、それに教育分野でのスクールカ
ウンセラーなどの幅広い領域で活躍しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       ≪臨床心理士が働いている領域≫
        保健・医療  ・・・・・ 28.3%
        教育     ・・・・・ 23.7%
        大学・研究所 ・・・・・ 17.4%
        福祉     ・・・・・ 12.3%
        その他    ・・・・・ 18.3%
                ──日本臨床心理士会
――――――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、臨床心理士の雇用状況は厳しいのです。2007年に日本臨
床心理士会が行った調査によると「常勤のみ」で働いている人は31.
8%しかいないのです。ほとんどが「常勤+非常勤」や「非常勤のみ」
なのです。
 収入については、「300万円台」が最も多く、19.8 %、「20
0万円台」が17.0 %で続き、「400万円台」が14.1 %になっ
ています。それに雇用が不安定でいつ職を失うかわからないのです。
 全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合の須田光照氏は次のよ
うに述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 業務委託契約であれば、臨床心理士が自分の責任・管理の下で業務を
 行うため、施設は最低賃金や労働基準法を守る必要がなくなる。しか
 し実際には、勤務時間や場所、業務に対する諾否の自由が制限されて
 いるなど、とても業務委託契約とはいえないケースが多い。雇用関係
 にありながら、最低賃金等の保証をされていない状況にかれている臨
 床心理士が少なくない。    ──『週刊東洋経済』7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――

●「3A」でストレスのサインに気づいたら「4R」

 鬱は過度のストレスから生ずるといわれています。実は「過度のスト
レスのサイン『3A』」というものがあるのです。次の3Aに気が付い
たら、医師と相談することが必要です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ◎第1のA ・・・・・・・・・・ Alcohol/アルコール
 ・酒の飲み方がいつもと違うときは要注意です。以前にはなかった症
  状で、悪酔いや二日酔いをしたり、飲んだ翌日に遅刻をしたり、休
  んだりする。
 ◎第2のA ・・・・・・・・・・ Absenteeism/勤怠の乱れ
 ・最初は遅刻が増えて、休みが多くなり、しまいに無断欠勤までする
  ようになるという状態が続くなら、要注意である。
 ◎第3のA ・・・・・・・・・・ Accident/事故
 ・今までミスなくこなせていた業務でのミスが目立つようになり、実
  際にケガをしたりするようになる。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 それでは、そういう過度のストレスが生じたときはどう対処すればよ
いかについて考えます。それには、次の「4R」を実施するべきです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ◎Recreation/レクリエーション
 ・気分展開を図ることは大切である。気の合う人と会って、談笑する
 ◎Rest/レスト
 ・意図的にしっかりと身体を休めることが必要。本当の睡眠が不可欠
 ◎Relaxation/リラクゼーション
 ・神経を休める行動が必要である。歌を歌う。森をゆっくり歩くこと
 ◎Retrest/リトリート
 ・リゾート地などを選んで、ゆっくりと過ごす転地療法が必要である
――――――――――――――――――――――――――――――――
 厚労省によると、治療中の鬱病患者(躁うつ病含む気分障害)は、1
996年の43万人から、2008年には104万人と急拡大していま
す。昔と違って、精神科を受診することへの抵抗感が薄くなり、そうい
う意味で患者が増えた傾向はあるものの、今までの鬱病とは特徴が異な
る新しいタイプの鬱病が若い人を中心に増えたことによって患者が増え
た一面もあります。周りにいる人が早く気が付くことが大切です。
                      ──[鬱の話/15]
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2010年09月09日

●「ストレス」とは何か

 「ストレス」はあらゆる病気の原因になります。ところで、ストレス
とは何でしょうか。ストレスには次の3つの種類があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
           1.物理的ストレス
           2.精神的ストレス
           3.化学的ストレス
――――――――――――――――――――――――――――――――
 物理的ストレスというのは、人間が生きているだけで感じてしまうス
トレスのことです。暑さ、寒さ、冷たさなど肌で感じてしまうものは、
物理的ストレスとして分けられます。騒音などもその一つです。
 精神的ストレスは、別名心理的ストレスともいい、現代社会において
はこのストレスが一番多いと考えられています。仕事、家事、人間関係
などの自分が苦手とする分野に対して、長時間その環境にいることで、
体が自然と拒否してしまい、精神的ストレスに陥ってしまいます。物理
的ストレスが誘発してしまう恐れもあり、油断できないといえます。
 化学的ストレスとは何でしょうか。聞きなれない名前ですが簡単に説
明すれば、「薬、お酒、栄養不足」から来るストレスを化学的ストレス
といっているのです。お酒はストレスを発散させるものとして、昔から
親しまれていますが、「飲みすぎては体に毒」という言葉があるように
体にストレスとして負担を掛けていきます。また、薬は現代の医療にお
いて、欠かせないものですが必ず副作用というものがあり、これがスト
レスになるのです。
 ストレスは個人差というものがあります。ストレスに強い人と弱い人
はいるのです。そこで自分のストレス度というものを知っておくと、参
考になると思います。ストレス度診断は多くのサイトで無料でやってく
れますが、40の質問に答えるだけでチェックできるメディシナル研究
所の「ストレス度チェック!」をぜひ受けてみてください。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        http://www.genic-net.com/stress/
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ストレスに強いかどうかは生まれつきの性格や経験によって左右され
ると考えられてきたのですが、最近の脳科学の研究によって、そうでは
ないことがわかってきたのです。ストレスに対する耐性の違いは脳の活
性化と深くかかわっているのです。

●だるまに象徴される「図太い心」

 ストレスに対する耐性──東邦大学医学部統合生理学教授の有田秀穂
氏は、これを「図太い心」と名づけ、だるまを例にとって説明していま
す。だるまが「図太い心」を体現しているというのです。
 第1は「だるまには手がない」ということです。
 手がないということは、いやなものを払いのけたり、ものごとをうま
くコントロールできない状況をあらわしています。だるまに手がないこ
とは、ストレスや悩みに対して、無駄な抵抗をしないことを意味してい
るのです。
 第2は「だるまには足がない」ということです。
 足がないということは「逃げる」ことができないことを意味します。
手がないので戦うことをせず、足がないので逃げられないのです。ただ
そこにじっとたたずんで耐えるだけです。
 第3は「七転び八起き」できるということです。
 だるまは手足がないので、叩かれたり、押されたりするとすぐ倒れて
しまいます。しかし、いったんは倒れても、すぐ起き上がります。「七
転び八起き」です。仕事でミスして上司に叱られ落ち込んでいたが、次
の日は何事もなかったように出勤してくる──これは倒れても元に戻る
ことができる人です。
 第4は「片目が描かれている」ということです。
 大願成就を祈るだるまには、はじめから片目が描かれています。あの
目こそ「図太い心」の象徴なのです。これは人間の生き方の象徴です。
だるまの目について、有田教授は次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 大願が成就すると、ダルマのもう片方の目に目玉が入ります。信念を
 もち続け困難や障害にあっても「七転び八起き」でやっていくと、最
 後には願いが叶う──そんな象徴として、私たちは願をかけて、神棚
 や目立つ場所にダルマを飾るわけです。願いというのは人によって、
 お金持ちになりたい、いい成績をとりたい、美しくなりたい、試合に
 勝ちたいなどさまざまでしょう。そうした夢や希望を思い描いて、私
 たちは努力を積み重ねます。そして、努力が実を結んで夢や希望が叶
 い、お金持ちになったり試合に勝ったりといった報酬が私たちにもた
 らされると、それに合わせてもう片方の目が開かれるわけです。そう
 して見ると、願いごとが叶ったときに入れる片目は、「生きる目標」
 の象徴と呼んでいいでしょう。         ──有田秀穂著                 
            『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
                  ──[ストレスと脳の話/01]
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2010年09月16日

●セロトニンとは何か

 駅のプラットフォームなどを歩いているとき、誰かが強くぶつかって
きて、「失礼」とも何もいわず、行ってしまったとします。こういう状
況になれば、誰でもハラは立ちます。
 しかし、そのハラの立ち方が時によってかなり違うことがあります。
いつまでも「イヤなやつだ」という不快感が残るときもあり「まあ、悪
気があったわけではないから」と忘れてしまうときもあると思います。
 このときの気分を医学的にいうと、セロトニンの状態の違いによるも
のなのです。もっと正確にいうと、セロトニンの量がどのくらい脳内に
蓄積されているかによって違ってくるのです。
 脳内にセロトニンがたっぷりあると、図太い心が生じ、少々のことで
は気持は動揺しないのです。しかし、セロトニンが少ないと、ちょっと
したことでハラを立てたり、しかもそれをいつまでも忘れないのです。
 ところで、セロトニンとは何でしょうか。ウィキペディアでは、セロ
トニンを次のように定義しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 セロトニンはヒトを含む動植物に一般的に含まれる化学物質で、トリ
 プトファンから生合成される。人体中には約10ミリグラムのセロト
 ニンが存在しており、そのうちの90%は小腸の粘膜にあるクロム親
 和細胞(EC細胞とも呼ばれる)内にある。クロム親和細胞はセロト
 ニンを合成する能力を持っており、ここで合成されたセロトニンは腸
 などの筋肉に作用し、消化管の運動に大きく関係している。ここで合
 成されたセロトニンの一部(総量の約8%)は血小板に取り込まれ、
 血中で必要に応じて用いられる。残りの2%のセロトニンは中枢神経
 系にあり、これらが人間の精神活動に大きく影響している。
                       ──ウィキペディア
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これから問題にするセロトニンは、中枢神経系にある約2%のセロト
ニンのことです。セロトニンを分泌するセロトニン神経は、脳幹という
場所に存在する脳内神経です。
 脳内には合計で約150億個の神経細胞があるといわれていますが、
そのうちの数万個がセロトニン神経に当たります。脳幹というのは脳の
中枢部のことであり、その中央の部分にセロトニン神経はあるのです。

●大脳について知る必要がある

 セロトニン神経を理解するには脳についての知識が必要になります。
ごく簡単にエッセンスについて説明します。
 大脳について知っておくべき重要な部分は、次の5つです。以下、こ
れについて簡単に説明します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
            1.大脳皮質
            2.大脳辺縁系
            3.前頭前野
            4.視床下部
            5.脳幹
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「大脳皮質」とは、脳の外側をおおっている部分であり、言語や知能
をつかさどっています。人間が動物に比べて高度な知能を持っているの
は、大脳皮質が発達しているからなのです。
 「大脳辺縁系」は、大脳皮質の奥にある部分であり、感情を司ってい
ます。喜怒哀楽や快・不快などの感情や情動はここから発生しているの
です。
 「前頭前野」とは、大脳皮質にあり、人間として社会生活を送るのに
不可欠な働きをする部分です。集中力や意欲もこれに関わっています。
 「視床下部」とは、大脳辺縁系の奥にある構造であり、食欲や性欲な
ど生存に欠かせない行動に関連しています。
 「脳幹」とは、脳神経の中枢部であり、呼吸、血液循環など生命の維
持に不可欠な機能を司り、脳や体全体の活動レベルを調節する働きをし
ます。進化の仮定でいうと、最も古くから存在する部分であることから
「最古の脳」といわれています。セロトニンは脳幹の縫線核という部分
に当たります。いわば脳のへその部分にセロトニン神経はあるのです。
 「脳幹」について概要をまとめておきます。脳幹の定義は次のように
なっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 脳幹は中枢神経系を構成する器官集合体の一つ。延髄、橋、中脳、間
 脳、を合わせて脳幹と呼ぶ。狭義の「脳幹」では間脳すなわち視床お
 よび視床下部を除外するが、この意味をより明確に表すため下位脳幹
 という用語が用いられる。また、脳幹・(間脳)・小脳・大脳を合わ
 せて脳と呼ぶ。脳幹は多種多様な神経核から構成されており、その機
 能も当然ながら多様であり、この小さな部分に多数の生命維持機能を
 含む。                   ──ウィキペディア
――――――――――――――――――――――――――――――――
                  ──[ストレスと脳の話/02]
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2010年09月24日

●セロトニン神経はどういう働きをするか

 言葉を話したり、体を動かす、何かを見る──実はセロトニンには直
接肉体を動かす機能がないのです。心や体の活動レベルをコントロール
しているだけです。セロトニン神経の働きをまとめると次の5つになり
ます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.すっきり爽快な意識をつくり出す
      2.平常心を維持する
      3.交感神経を過度に興奮させる
      4.痛みを軽減させる
      5.よい姿勢を維持する
     ──有田秀穂著『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
 セロトニンは、大脳皮質の活動を調節してその働きを高いレベルに保
つ働きをします。その結果、1の「すっきり爽快な意識をつくり出す」
ことが可能になるのです。
 人間の心は、内外のさまざまな刺激やストレスを受けますが、セロト
ニンはそれによって大きな感情の振幅を抑えて、平静を保つ機能を果た
すのです。これが2の「平常心を維持する」働きです。
 セロトニンは自律神経をコントロールすることができます。自律神経
には、交感神経と副交感神経の2つがありますが、セロトニンは交感神
経に適度の刺激を与えるのです。これが3の「交感神経を過度に興奮さ
せる」です。以上の1〜3は、有田秀穂氏のいう「図太い心」を育てる
のです。
 セロトニンは、痛みによる神経の伝達を抑制する働きをします。そし
て気分を落ち着かせます。これが4の「痛みを軽減させる」です。
 姿勢を維持するには、首の筋肉、背骨まわりを支える筋肉、下肢の筋
肉、表情を作る筋肉などがありますが、セロトニンはそれらの筋肉に適
度の緊張感を与える働きをします。これが5の「よい姿勢を維持する」
です。

●ストレスと脳内セロトニンの関係

 セロトニンがそのように重要なものであるなら、それを多く作りだす
ことはできないのでしょうか。
 結論からいうと、それは困難なのです。脳内のセロトニンの量は日々
減っていくからです。それには次の2つの理由があるのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.セロトニンは自己受容体であること
       2.ストレスに弱いと量が減少しやすい
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1は「セロトニンは自己受容体であること」です。
 自己受容体とは何でしょうか。
 セロトニン神経は各細胞のセロトニン受容体に向けてセロトニンを送
るのですが、自分自身に対してもセロトニンを分泌しています。脳の神
経系細胞は末端から軸索というケーブルを使って他の神経細胞と繋がっ
ており、データの伝達を行います。この軸索を通して戻ってきたセロト
ニンを受け取るのがセロトニンの自己受容体で、受容体の数が多いとセ
ロトニンの放出を抑えようとする働きがあるのです。
 第2は「ストレスに弱いと量が減少しやすい」です。
 人間の体は、肉体的、精神的なストレスを受けると、脳内の視床下部
のストレス中枢が刺激されるのです。そうすると、セロトニンが多く放
出され、その量が減少してしまうのです。
 しかし、現代社会はストレスがあまりにも多いのです。ストレスのな
い場所はどこにもないのです。しかし、ストレスは主観的なものだとい
うことです。同じ状況でも、それをストレスと感じるかどうかは、人に
よって違います。たとえば、原稿を依頼され、その締め切りが切迫して
きたとき、それをストレスと感じる人もいれば、逆にやる気が高まる人
もいます。
 また、まわりに困っている人がいるとき、それを面倒なことと感じた
り、ストレスになると感じる人もいれば、逆に助けることに喜びという
ものを感じる人もいるのです。どちらになるかを決めるのは、主観的な
受け止め方しだいなのです。このことは、実際にストレスにどう対処す
るかを考える場合にとても重要なことです。要するに、ストレスはエネ
ルギー源にもなれば、その一方で病気の原因にもなるということです。
 しかし、それにも限界があります。いずれにせよ、ストレスに対応す
るセロトニンの分泌量が少ないと、心はネガティブになり、脳の活動は
次第に低下していくのです。その結果、引き起こされるのが鬱病なので
す。鬱病と脳内セロトニン濃度の低下が関係していることは、鬱病で自
殺した人の解剖結果から明らかになっています。
 鬱病になったまま、セロトニン神経を鍛えることを怠ると、セロトニ
ンはますます減っていく一方になります。それではどうすれば、セロト
ニン神経を鍛えることができるのでしょうか。次回にお話しします。
                 ──[ストレスと脳の話/03]
posted by キーヘルス at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月30日

●セロトニン神経を鍛える3つの方法

 セロトニンを増やすには、脳内にあるセロトニン神経を鍛えて、セロ
トニンが十分に分泌されるようにする必要があります。セロトニン神経
を鍛える基本は次の3つです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.太陽の光を浴びること
         2.リズム運動をすること
         3.スキンシップの必要性
――――――――――――――――――――――――――――――――
 びっくりする位簡単なことであり、誰でもできることなのです。この
3つのトレーニングを毎日20分〜30分続けることによって、セロト
ニン神経の活動レベルを高い水準で維持できるのです。

●太陽の光を浴びること

 第1は「太陽の光を浴びること」です。
 太陽の光を浴びる──おそらくこれはセロトニン神経を活性化させる
最も効果的にして簡単な方法です。そうかといってそんなに長い時間浴
びる必要はないのです。5分からせいぜい30分、長くても1時間以内
です。
 セロトニン神経を活性化させるには、2500ルクス以上の照度が必
要なのです。ちなみに蛍光灯の光は500ルクスであり、会社や自宅の
照明での代替は無理なのです。その点日中の太陽光であれば、曇ってい
ても5000ルクスはあるので、太陽光を浴びることが必要なのです。
 なぜ、2500ルクス以上の照度の光を浴びることが必要なのでしょ
うか。
 網膜に与えられた光の刺激が脳に伝わって、それがセロトニン神経を
活性化させるからです。晴れている日に外に出て普通に歩くだけでも十
分光は取り入れることができますが、サングラスをかけるのは効果的で
はないのです。肝心の目を覆ってしまうと、目の網膜に与えられる光の
刺激が弱くなるので、好ましくないからです。
 それでは、太陽の光を浴びる時間帯はいつがベストでしょうか。
 それは朝がベストなのです。それは次の2つの理由によるものです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
     1.日中に比べて朝は太陽の照度が強くないこと
     2.副交感神経から交感神経に支配が切り替わる
――――――――――――――――――――――――――――――――
 大昔から人間の一日の行動を見ると、基本的には太陽が昇ると目覚め
て、太陽が沈むと眠りにつくというものです。これはセロトニン神経を
鍛える重要な生活習慣だったといえます。

●リズム運動をすること

 第2は「リズム運動をすること」です。
 リズム運動とは、一定のリズムで筋肉の緊張と弛緩を繰り返す運度で
あり、この条件を満たしていれば、何でもいいのです。ウォーキング、
ジョギング、自転車、ダンスなどです。一番簡単なのは、ウォーキング
です。歩くとき心がけることは、できるだけリズミカルに体を動かすこ
とです。リズムに乗って軽快に歩くと、セロトニンの分泌が盛んになっ
てくるのです。
 しかし、ウォーキングで気をつけるべきことは、ダイエットを目的と
した運動とはぜんぜん違うということです。ダイエットを目的とする運
動は、いかにエネルギーを消費して脂肪を燃焼させるかに重点が置かれ
ますが、セロトニン神経を鍛えるのはそんなに激しい運動でなくてよい
のです。
 一番ベストなのは、朝晴れている日は外に出て適当に歩くことです。
なぜなら、太陽の光を浴びながら、リズム運動ができるからです。

●スキンシップの必要性

 第3は「スキンシップの必要性」です。
 人間が行うスキンシップのなかでセロトニン神経の活性化につながる
のは、人と人が軽く触れ合うことです。これをトレーニングにしたのが
「タッピングタッチ」です。有田秀穂先生はこれを次のように紹介して
います。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 タッピングタッチを開発したのは、心理学者の中川一郎氏です。原則
 的に2人でおこなうもので、相手の背後に立ち、背中や肩、首筋、頭
 を、左右交互にごく軽く叩くようにポンポンとタッチします。正面か
 ら顔を向き合わせるわけではないので、緊張や圧迫を感じることがあ
 りません。叩くリズムは1秒間に1回くらい。ちょうど心臓の拍動と
 同じというのが重要なポイントです。その点からすれば、これもまた
 広い意味でのリズム運動といってよいかもしれません。
──有田秀穂著『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
                  ──[ストレスと脳の話/04]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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