2010年10月07日

●過ぎたるは及ばざるが如し

 『過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し』という格言があります。物
事には程度というものがあり、その程度を過ぎると、かえって不足する
のと同じようによくないことになるという意味です。
 実はセロトニンを増やすのに、この格言はぴったりと当てはまるので
す。たとえば、太陽の光を浴びるといっても、限度を超えると、セロト
ニン神経は弱まってしまいますし、ウォーキングもやり方しだいで、セ
ロトニンが出るウォーキングとそうでないウォーキングに分かれます。
 それでは、どの点に気をつければよいでしょうか。そのキーワードは
次の2つです。
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             1.時間
             2.集中
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 第1は「時間」です。
 例えば、ウォーキングをやり過ぎると、疲れてきます。気候のよいと
きはいいですが、暑い日に30分も歩けばバテてしまいます。疲労感を
感ずるようになると、セロトニンの「自己抑制作用」が働いて、セロト
ニンはかえって減少し、しまいには出なくなります。これに関して、有
田秀穂先生は次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
セロトニンの自己抑制作用は、セロトニン神経のしくみと深く関係し
ています。セロトニンの神経細胞の軸索には、その細胞自身に戻る
「自己受容体」が存在しています。トレーニングを長時間続けている
と、この自己受容体が働いてセロトニンの分泌量が抑制されてしまう
のです。疲れたうえに、セロトニン神経を鍛える効果がないのでは意
味がありません。ですから、トレーニングで大切なのは、1回の時間
を長くするのではなく、むしろ一日5分でも10分でもいいから、毎
日続けるということにあるとおわかりいただけるでしょう。 
──有田秀穂著『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第2は「集中」です。
 ウォーキングをしながら考え事をしている人がいます。これは歩行に
集中していない証拠であり、この状態では、セロトニンは増えないので
す。理性や言葉を司る大脳の部分を働かせていると、ウォーキングして
いても、セロトニン神経は活性化されないのです。

●音楽を聴きながらウォーキングするのは効果的

 誰でもできる簡単な方法があります。それは音楽を聴きながらウォー
キングをすることです。それも片耳ではなく、両耳を使うステレオヘッ
ドフォンで聴くと効果的です。
 できれば、アップテンポのリズミカルな曲がよいでしょう。そうした
音楽を聴いていると、人間はほかのことを考えられないので、自然に歩
くことに集中できるのです。
 しかし、音楽でも歌詞のついているもの、つまり歌は好ましくありま
せん。歌詞の内容が耳に入ってくると、何を歌っているのかを聴こうと
します。そうなると、大脳皮質の言語野といわれる部分が働いてしまい
セロトニンは増えなくなってしまうのです。
 講演テープ、英会話のテープを聴きながら、ウォーキングしている人
がいますが、同じ理由では効果がないのです。とくに人間の声は、その
まま言語脳を働かせてしまうので、効果がないのです。
 それではなぜ、集中するとセロトニン神経が活性化されるのでしょう
か。
 その秘密は脳波──とくに「α2波」にあるのです。リズム運動に集
中していると、だんだん脳波が変化していき、α2波という特別な脳波
が出てくることがわかっています。α2波とは、α波のなかでも、その
人が物事に集中していて、しかも平常心の状態にあるときに出る脳波の
ことです。
 つまり、ウォーキングに集中することによって、セロトニン神経は活
性化され、それが大脳に影響を与えてα2波という脳波を発生させるこ
とで、気分が大きく改善されるのです。
 集中とは、ひとつの事柄に意識を向けることをいいます。しかし、歩
くことに集中しなければならないとあまり意識すると、それはマイナス
になります。つまり、意識しないで無心の境地になれればよいのです。
自然にそうなるのが一番良いのです。音楽を聴くことはそれを助けるの
です。
 人間ですから、いろいろな雑念にとらわれることがあります。それは
それでいいのです。それにこだわらないことが大切です。いろいろアタ
マに浮かんでくるが、それにとらわれずにいると、いつの間にか消えて
いく──そういう状態が持続できればよいのです。
 この状態をつくるにはやはり図太い心を持つことが必要になります。
回りの刺激に動ずることなく、平常心でそれに対処する──これができ
ると、セロトニンは増加していくのです。      
                 ──[ストレスと脳の話/05]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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