ピロリ菌の存在が注目されてくると、自分はピロリ菌に感染しているかどうかが心配になります。とくに日本ではピロリ菌の感染者は多く、国民の半分の6000万人が感染者といわれています。
ピロリ菌に感染している人には、慢性胃炎や潰瘍・がんなどの病気になる人が多いことがわかっています。逆にピロリ菌に感染していない人で、内視鏡などで健康な胃であることが確かめられた場合には、胃がんになるリスクはきわめて少なく、現在のように毎年胃のレントゲンや内視鏡検査を受ける必要はないとまでいわれているのです。
ピロリ菌に感染しているかどうかは、血液や尿によって抗体の有無を調べることで比較的簡単に知ることができます。ピロリ菌に感染すると血液中に抗体ができるので、その抗体を測定すればいいのです。抗体は微量ながら尿にもあらわれるので、尿によっても検査可能です。
このように簡単にできる検査ですが、通常の健康診断には含まれていないことが多いのです。現在受けている健康診断の血液検査項目を見て、ピロリ菌の有無を調べる項目がないときは、その旨申し出るとオプションで検査が受けられることがあります。
しかし、健康診断の血液検査項目に「ペプシノーゲン」があるときは、これによってピロリ菌の有無を知ることができるのです。それでは「ペプシノーゲン」とは何でしょうか。
ペプシノーゲンは、胃で生成される消化酵素である「ペプシン」の前駆物質であり、ペプシノーゲンの血中の価を調べることによって、胃粘膜に萎縮が生じているかどうかが類推できるのです。ペプシノーゲンの異常はピロリ菌感染が原因であることが多く、萎縮があればピロリ菌が存在する可能性が高いのです。なお、ペプシノーゲンの異常があるときは胃の内視鏡検査が必要です。
しかし、健康診断の血液検査項目の中にピロリ菌抗体検査がない場合、希望して検査を求めると、健康保険は適用されず、自己負担になります。通常血液や尿の抗体検査では、1500円〜4000円のオプション費用がかかることになります。なお、ペプシノーゲン検査についても健康保険の適用は認められていないのです。
●1960年代以前は発展途上国スタイルである
ピロリ菌の有無は、採血だけでなく、保存している血清でも検査が可能であるので、各種の病気と診断されたときのピロリ菌の感染率だけではなく、無症状の人についてもその感染率の調査が可能になっています。
1992年のこと、北海道大学の浅香チームは無症状の日本人を対象にしたピロリ菌の感染率調査を行ったのです。その結果、次のような重要なことがわかったのです。
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それによると、40歳代以降では約80%の人が感染しており、若い
年代は感染率が低いことが判明しています。つまり、1960年頃よ
りも前に生まれた世代では感染率が高く、それ以降に生まれた世代で
は感染率は急激に減少してきているという成績です。この原因を直ち
には断定できないものの、上下水道の整備などに伴い、衛生環境が改
善されたことが関係しているのではないかと推測されています。
――伊藤真愼著、『ピロリ菌/日本人6千万人の体に棲む胃癌の元凶』
祥伝社新書/034
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北海道大の調査後に兵庫医大の福田チームは、1986年に集められた血清と1998年の血清を使って2回の調査を行ったのです。ちなみに、血清というのは、血液が凝固したときに上澄みにできる淡黄色の液体成分のことです。
調査の結果をまとめると、次のようになります。
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1.年齢ごとの感染率は浅香チームの結果と同じであることを確認
2.10数年間で感染率のカーブはそのまま右に移動していること
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これによって明確になったことがあります。それは、ピロリ菌の感染率は、年齢が高くなるにしたがって上昇するのではなく、ある年齢層の感染率は、生まれた年代でほとんど決まってしまい、その後上昇することはあまりないということです。だから、感染率のカーブは右に移動するのです。
これは重要なことを示しています。今後は衛生状態がますます良くなっていくと考えられるので、日本では2040年頃になると、ピロリ菌の感染者は大幅に減少し、その結果として胃がんも減少するのでは・・という期待が広がっています。
世界におけるピロリ菌の感染率では、先進国の西欧諸国では感染率が低く、発展途上国では若年のうちから感染率が高い傾向にあります。これは明らかに衛生環境の違いからくるものと考えられます。日本の場合、1960年頃を境にそれ以前に生まれた人はいわゆる発展途上国スタイルであり、健康診断のさいにピロリ菌検査を受けてみる必要があると考えられます。
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