2008年08月07日

●酒に強いか弱いかは遺伝子が決める

 お酒の強い弱いは個人差があります。その個人差は一体どこか
らくるのでしょうか。肝臓が強いか弱いかの差でしょうか。
 そうではないのです。肝臓がアルコールを処理するときは「ア
ルコール分解酵素」というものが必要になります。このアルコー
ル分解酵素を作る遺伝子には次の2つのタイプがあり、人間はそ
れを対として持っているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
           1.1型遺伝子
           2.2型遺伝子
―――――――――――――――――――――――――――――
 これらの遺伝子は、人間が生を受けた時に父親と母親から1個
ずつ遺伝子をもらって一対として持っているのです。これは先天
的に決まるものであって、後天的に変わるものではないのです。
組み合わせは次の3つになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
   1.1型×1型 ・・・・・ 元来お酒の強いタイプ
   2.1型×2型 ・・・・・ 努力して飲めるタイプ
   3.2型×2型 ・・・・・ お酒の飲めないタイプ
―――――――――――――――――――――――――――――
 簡単にいうと、「1型」はアルコール分解酵素を持っている遺
伝子であり、「2型」はアルコール分解酵素を持っていない遺伝
子なのです。したがって、「1型×1型」は強力なアルコール分
解酵素を持っていることになるので、お酒が飲めるタイプ――お
酒に強いタイプなのです。
 「1型×2型」は1型を持っているので、アルコール分解酵素
を持っているのでお酒は飲めますが、「1型×1型」ほどは強く
ないのです。これに対して「2型×2型」はアルコール分解酵素
をまったく持っていないので、お酒は飲めないタイプなのです。
 よく「お酒は訓練で飲めるようになる」といわれますが、これ
は誤りです。どうしてかというと、「2型×2型」の遺伝子を持
つ人は、アルコール代謝に必要な酵素がないのですから、いくら
訓練してもお酒は絶対に飲めるようにならないのです。これに対
して、「1型×2型」は1型の遺伝子を持っているので、「訓練
で飲めるようになる」といってよいかもしれません。
 しかし、「2型×2型」の遺伝子を持つ人は、アルコール分解
酵素がないだけで、肝臓そのものの機能が弱いわけではないので
す。肝機能の良し悪しと、お酒の強さとは別の問題なのです。

●シジミは肝臓病に害あり――昔の言い伝えに注意

 昔から女性は男性に比べてお酒は弱いといわれています。しか
し、最近では女性でもお酒をたしなむ人は増えています。しかし
女性でも「1型×1型」の遺伝子を持っている人は男性並みにお
酒を飲めるのでしょうか。
 実はそうではないのです。女性は男性に比べると、アルコール
障害を起こしやすく、男性の3分の2の飲酒量で肝障害が起きる
恐れがあるのです。どうしてでしょうか。
 それは、女性ホルモンの影響なのです。女性ホルモンのエスト
ロゲンが、アルコールの代謝機能を阻害してしまうからです。そ
のため、男性より女性の方がアルコール性肝障害になりやすく、
これを意識しないで飲めるからといってお酒を飲み続けると、短
期間で肝硬変に進行するリスクもあるのです。
 もうひとつ、これは女性だけではなく男性も気をつけなければ
ならないことがあります。次の江戸川柳をご存知でしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
      シジミ売り黄色な顔(つら)へ高く売り
―――――――――――――――――――――――――――――
 昔から「肝臓病にはシジミが良い」といわれています。重い肝
臓病にかかると黄疸が出ますが、そういう人にはシジミが効くと
いわれているのです。
 しかし、これは間違いのようです。既出の高山忠利先生による
と、少なくともシジミが肝臓病に効くという学術論文はないばか
りか、シジミの成分を調べると真逆の効果があるというのです。
 シジミは鉄分が豊富な貝類であり、鉄は体を構成するうえで大
事なミネラルです。とくに現代の女性はとって鉄分は不足しがち
な成分であり、そういう意味でシジミをとるのは良いことです。
 しかし、肝機能に障害のある人にとって鉄分は要注意成分なの
です。現在肝臓専門の内科外来では、肝臓病の患者に対して鉄を
控える指導が行われています。とくに、C型肝炎の患者にはシジ
ミは厳禁なのです。C型肝炎のウィルスを抑制する治療薬である
「インターフェロン」と肝臓機能改善剤「ミノファーゲンC」の
パンフレットに、シジミは避けるべき食品と明記されています。
 このようにシジミは肝臓病の患者にとっては厳禁ですが、「シ
ジミエキス」は効果的なのです。「シジミエキス」は、シジミを
煮出して濃縮させたものですが、むき身のシジミとは成分が違う
のです。シジミエキスは、アルコール肝炎に効果のあるビタミン
B12が豊富に含まれており、風味成分のコハク酸には胆汁の分
泌を促す作用があり、肝臓には良いとされています。このように
昔の言い伝えも注意が肝要です。肝要の「肝」は肝臓の「肝」で
す。   
posted by キーヘルス at 03:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 肝臓の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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