2008年09月18日

●B型肝炎ウイルスはどのように感染するか

 B型肝炎はある日突然見つかるのです。一番多いのは何かの病
気で手術を受けることになって、術前検査でわかるというケース
です。何がわかるのかというと、「B型肝炎ウイルス(HBV)
のキャリア」であることが判明するのです。B型肝炎の感染ルー
トには次の2つのケースがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――
      1.母子感染 ・・・ 持続性感染
      2.成人感染 ・・・ 一過性感染
―――――――――――――――――――――――――――――
 「母子感染」は、出産時に赤ちゃんがお母さんの産道を通るさ
いに母体の血液や体液にさらされますが、そのさい感染が起きる
のです。生まれてから3歳ぐらいまでは免疫がまだ発達していな
いので、ウイルスを肝細胞に受け入れてしまうことになります。
 ウイルスはそのまま肝細胞に居すわり続けてキャリアとなりま
すが、10%程度は自然排除されて治ってしまいます。なお、キ
ャリアを「保菌者」と訳すことが多いのですが、ウイルスは「細
菌」ではないのです。
 さて、B型肝炎ウイルスに感染すると、血液の中に「BBs抗
原」というタンパク質が作られるのです。血液検査をしてB型炎
ウイルスのキャリアかどうかが判定できるというのは、このBB
s抗原が陰性か陽性かの反応を調べることなのです。
 母子感染の場合、思春期ぐらいまではキャリアであっても無症
候性キャリアに過ぎず、健康な状態で過ごせます。しかし、ある
年齢に達すると、免疫機能が強くなり、ウイルスに感染した肝細
胞に攻撃を加えてウイルスを追い出そうとします。その結果、軽
い肝炎を発症するのです。しかし、90%ぐらいの人は、本人が
気が付くことなく数年で治ってしまうのです。といっても、ウイ
ルスは排除されるわけではないので、キャリアでなくなるわけで
はありません。しかし、この無症候性キャリアからは肝がんが発
症するのです。肝がんの発生率は「0.4 %/年」――1000
人中4人程度です。
 さて、無症候性キャリアから10%の人は慢性肝炎となり、そ
の中から肝がんの発生する率は「0.8 %/年」――1000人
中8人ですが、さらに慢性肝炎になった人の2%は肝硬変に移行
する可能性があります。この場合は、肝がんの発生率は「3%/
年」――100人に3人に跳ね上がります。

●B型肝炎の得体のしれない恐ろしさ

 成人になってB型肝炎ウイルスに感染するケースのほとんどは
一過性感染であり、全体の80%はほとんど症状もなく、自然に
治ってしまいます。しかし残りの20%については急性肝炎を発
症するのです。
 B型肝炎の一過性感染者が1000人がいたとします。このう
ちの800人には症状が出ないままに自然に治ってしまいます。
しかし、200人は急性肝炎を発症するのです。その98%に当
たる196人は、その症状はいろいろですが、治癒に向かうとさ
れています。なお、非常にレアケースですが、急性肝炎にならな
いで慢性肝炎になるケースもあります。
 急性肝炎にかかると、体がだるい程度で済む軽症から、階段す
ら登れないほどの重症まで、その症状はさまざまです。重症にな
れば当然病院行きとなります。いずれにしても自覚症状があると
きは、病院に行って、きちんとした治療を受けることが肝要です。
重症であれば入院治療が必要です。しかし、98人は治癒するこ
とになります。
 しかし、その2%に当たる4人は劇症肝炎になり、2人が死に
至るのです。50%の死亡率ですから大変です。残りの50%の
2人は、肝移植や内科的診療によって治癒に向かうといわれてい
ます。
 B型肝炎で注意すべきは、既に述べたように、無症候性キャリ
アから発がんが認められることです。普通は「慢性肝炎→肝硬変
→肝がん」のプロセスをたどるのですが、B型肝炎では無症候性
キャリアからいきなり肝がんを発症する率が1000人中3人と
高いのです。
 成人感染で慢性肝炎になるケースはまずないのですが、ごくま
れになるケースがあるのです。しかし、慢性腎不全やエイズなど
免疫力が落ちる病気を持っていたり、免疫抑制剤を使っている人
の場合は、慢性肝炎にかかる場合があります。数年前のことです
が、「ジェノタイプA」という欧米型のB型肝炎ウイルスが見つ
かっています。このウイルスにかかると、慢性化する可能性が高
いことがわかっています。
 B型肝炎ウイルス(HBV)のキャリアは、全国に約150万
人いるといわれます。そのうちのほとんどは、自分がキャリアで
あることを知らないでいるのです。しかし、何らかの症状が出る
場合はいいのですが、何も出ない場合が問題なのです。そのまま
発がんする可能性があるし、劇症肝炎を発症して死にいたる可能
性があるからです。
 B型肝炎の治療には、その進行を抑える治療薬があるのです。
これは発がんを防ぐ対策でもあります。「核酸アナログ製剤」と
いう内服薬がそれです。これを飲むことによって、B型肝炎ウイ
ルスの増殖を抑える効果があるのです。
 B型肝炎は得体のしれない恐ろしさのある病気です。これに対
してC型肝炎はどういう病気なのでしょうか。次回に述べます。
posted by キーヘルス at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 肝臓の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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