2009年08月06日

●朝食は摂るべきか否か

 漢方の立場から説く丁 宗鐡先生の健康法について、ご紹介してきていますが、ほぼ世間の常識とは逆の主張が多いようです。日本では「朝食を摂る」という行為は健康に欠かせないということがほぼ常識化していますが、これについては丁 宗鐡先生も同じ意見のようです。
 重要なポイントは、人間は、夜の就寝中は副交感神経、日中は交感神経が活発に働いているということです。朝食は副交感神経を交感神経に切り替えるために必要であるというのです。
 朝起きたばかりのときは、副交感神経が優位に働いています。つまり身体は半分寝ているのです。そういうときに朝食を摂り、副交感神経優位な状況を交感神経優位な状況に切り替えていくのですが、人によっては――とくに虚証の人は、午前中は調子が出ないという人がいます。そういう人はなるべく早い時間に朝食を摂り、仕事にかかるまでの時間を十分とることが必要です。
 これに真っ向から異を唱える医師もいるのです。それは、四谷メディカルサロン(東京・新宿)の風本真吾院長です。風本院長は、朝食にこだわるよりも夕食の方が重要であるとして、次のようにいっています。
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 これだけ栄養の過剰摂取が問題になる時代では、朝食に執着するより
 も、体重管理のほうがはるかに重要。デスクワークが中心の人なら、
 朝食を抜くことはむしろ合理的な選択だ。一日3食をきちんと取って
 も、肥満のままでは生活習慣病にかかりやすい。本来なら、食後の活
 動量が最も少ない夕食の量を減らすのが理想だが、現実には夕食をお
 いしく食べることがストレス解消になっていたり、付き合いや接待で
 減らせない人が多い。それなら朝食を抜いて1日400−500キロ
 カロリー減らせばよい。これで一ヶ月に2、3キロ落とすことが可能
 になる。       ――オーガニックヘルシーレストランより
――――――――――――――――――――――――――――――――
 この他にも、『朝食有害説』(情報センター出版局)なる著書を上梓した渡辺医院(東京・中野)の院長の渡辺正氏がいます。渡辺正先生は「朝食抜きは体重管理だけでなく、実は人間の生理にもかなった行動である」という主張の持ち主であり、朝食を抜くことがむしろ健康につながるとして、次のように述べています。
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 朝は排せつに適した時間帯という。前日摂取した食べ物のカスを午前
 中に掃除しておくことが健康につながる。排せつ前に食事を取ると消
 化活動が本格化し、排せつが中途半端に終わってしまう。「朝は水か
 お茶を飲むのにとどめるべきである。       
            ――オーガニックヘルシーレストランより
――――――――――――――――――――――――――――――――

●朝食は脳活動に良い影響を与える

 一体どちらが正しいのでしょうか。
 朝食を重視する背景に、朝食を抜くと血糖値が低下して、脳にエネルギー源のぶどう糖が行き渡らなくなり思考能力や活動に影響が出るという考え方があるのです。1980年に自治医科大学の教授だった香川靖雄教授(現在は女子栄養大学副学長)たちが、「朝食抜きの学生ほど成績が悪かった」という論文を発表したのを受けて、“朝食信仰”が完全に定着したというのです。
 このように、脳の研究者の間では、朝食を重視する考えが根強いのです。大阪大学の中川八郎名誉教授は、「一定以上の血糖値を維持しないと脳がぶどう糖を摂取しにくい構造になっている」と指摘しています。食後の血糖値が上昇したときに、脳によるぶどう糖摂取が最も効率的になるというのです。
 実は、これについても反対意見はあるのです。浜松医科大学の甲田勝康医師は、朝食の有無が体に与える影響を検証するため、男女の学生8人を対象に生活条件を同一にして、朝食を抜いた時の血糖値などを比較したのです。そうすると、全員が朝食抜きでも低血糖状態にならなかったばかりか、昼食直前の血糖値は朝食を食べた時とほとんど差がなかったというのです。血中のぶどう糖がなくなっても、体脂肪からの合成などで賄っていると考えられます。
 このように、専門家の間で大きく意見が分かれるのが、朝食抜きが血糖値の推移を通じて脳などの活動にどう影響するかという点なのです。したがって、現状ではどちらに分があるとの結論は見いだしにくいのです。
 しかし、朝起きたら朝食を摂るというのは、日本に長くから伝わっている習慣です。朝食を食べなければ、お腹が空いてイライラするでしょうし、そういう状態では仕事に影響します。
 朝食の主な役割としては、次の3つが考えられます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
   @睡眠中に低下した体温を回復し、身体活動を活発にする
   A脳のエネルギーの糖質を補給し、知的活動を盛んにする
   Bホルモンや酵素の分泌を促して、生体のリズムを整える
――――――――――――――――――――――――――――――――
 学問的には、異説はいろいろありますが、長い間の習慣として朝食を摂るようにした方が無難であることは確かです。あなたはどちらを選びますか。                ―― [漢方医学/12]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方医学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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