2010年08月19日

●実現しなかった「健診でうつ発見」の長妻プラン

 2010年4月20日付の読売新聞に次の記事が掲載されたのです。
鬱病対策に関するニュースです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 政府は職場でのストレスなどを原因としたうつ病など精神疾患の広が
 りに対処するため、企業や事業所が実施する健康診断に精神疾患を早
 期に発見するための項目を盛り込む方針を固めた。また、企業などの
 メンタルヘルス(精神衛生)対策を指導する国の専門職員の研修時間
 を2倍以上に増やすなど、精神疾患対策に本格的に取り組む。対策は
 厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今月中に
 もまとめる提言に盛り込まれる予定で政府は総合的な自殺防止対策の
 一環として2011年度からの実施を目指す。
            ──2010年4月20日付、読売新聞より      http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=23768
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ところが、7月下旬になって、職場の定期検診で鬱病をチェックする
対策は実施しないことに決まったのです。そこに何があったのでしょう
か。
 長妻厚労相が発案した、定期健診におけるメンタルヘルス対策の検討
は最初から難航したのです。5月31日に厚労省は、「職場におけるメ
ンタルヘルス対策検討会」──相澤好治・北里大学医学部長が座長──
というPTを立ち上げたのです。
 しかし、PTでは、最初から否定的な意見が相次いだのです。懸念の
多くは労働者の不利益になるというものです。健診のさいのチェックで
鬱病と判断されると、中小零細企業の場合は、解雇されるか勧奨退職に
追い込まれることが少なくないのです。
 PTの委員の一人である五十嵐千代氏(東京工科大学産業保健実践セ
ンター長)は次の指摘をしています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 年一回の健診時にメンタルヘルスチェックで鬱病患者を見つけ出すの
 は極めて難しい。それよりも、相談窓口を充実させ、保健師などがい
 つでも労働者の相談に乗れる体制が重要だ。    
                ──「週刊東洋経済」7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 結局、健診にさいしては鬱病や精神疾患に関する質問ではなく、「自
覚症状」としての睡眠や食欲、倦怠感などについて把握するという記述
が報告書の中に盛り込まれたのです。しかし、こうした方策によって、
メンタルヘルスの不調が把握されても、有効な対策につなげるための専
門人材の不足が大きな障壁になっています。

●失業率と自殺率は一致する傾向がある

 問題は、鬱病の疑いが出た場合、適切な診断と投薬が行われるかどう
かなのです。専門医が決定的に不足しているからです。
 内科および精神科を専門とする斎尾武郎医師は、次のように述べてい
ます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 不適切な診療により、おびただしい数の抗精神薬を投与されている患
 者を診てきた。過剰に薬を投与されても、自殺衝動が止められないう
 つ病患者はたくさんいるのではないか。精神科医療の質が問題だ。過
 剰な投薬をやめ、生活の乱れを直すことが必要。だから、半年や1年
 の休職で病気を治すのは至難の業だ。       
                ──「週刊東洋経済」7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 2007年における厚労省の「労働者健康状況調査」によると、職場
で働く労働者に「強い不安、悩み、ストレスがあるかどうか」を聞くと
結果は次のようになったのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ≪強い不安、悩み、ストレスがあるかどうか≫
          ある ・・・・・・・・・・ 58.0%
          ない ・・・・・・・・・・ 42.0%
 ≪悩みの内訳/複数回答≫
     職場の人間関係 ・・・・・・・・・・ 38.4%
        仕事の質 ・・・・・・・・・・ 34.8%
        仕事の量 ・・・・・・・・・・ 30.6%
      会社の将来性 ・・・・・・・・・・ 22.7%
      仕事への適性 ・・・・・・・・・・ 22.5%
            「労働者健康状況調査」/2007より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 失業率と自殺率は一致する傾向があります。失業者が生まれるような
経済状況が自殺率の増加にも反映していると思われます。これまで長期
安定的に雇用を支えてきた日本的経営が崩れ、成果主義が導入されたこ
とによって強いストレスを生む職場環境になっていることに原因の一端
があります。
 しかし、現在のところ、大企業でもメンタルヘルス対策をきちんとと
っているところは少なく、中小零細企業にいたっては、まったく対応で
きていないところがほとんどです。       ──[鬱の話/13]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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