2010年09月24日

●セロトニン神経はどういう働きをするか

 言葉を話したり、体を動かす、何かを見る──実はセロトニンには直
接肉体を動かす機能がないのです。心や体の活動レベルをコントロール
しているだけです。セロトニン神経の働きをまとめると次の5つになり
ます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.すっきり爽快な意識をつくり出す
      2.平常心を維持する
      3.交感神経を過度に興奮させる
      4.痛みを軽減させる
      5.よい姿勢を維持する
     ──有田秀穂著『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
 セロトニンは、大脳皮質の活動を調節してその働きを高いレベルに保
つ働きをします。その結果、1の「すっきり爽快な意識をつくり出す」
ことが可能になるのです。
 人間の心は、内外のさまざまな刺激やストレスを受けますが、セロト
ニンはそれによって大きな感情の振幅を抑えて、平静を保つ機能を果た
すのです。これが2の「平常心を維持する」働きです。
 セロトニンは自律神経をコントロールすることができます。自律神経
には、交感神経と副交感神経の2つがありますが、セロトニンは交感神
経に適度の刺激を与えるのです。これが3の「交感神経を過度に興奮さ
せる」です。以上の1〜3は、有田秀穂氏のいう「図太い心」を育てる
のです。
 セロトニンは、痛みによる神経の伝達を抑制する働きをします。そし
て気分を落ち着かせます。これが4の「痛みを軽減させる」です。
 姿勢を維持するには、首の筋肉、背骨まわりを支える筋肉、下肢の筋
肉、表情を作る筋肉などがありますが、セロトニンはそれらの筋肉に適
度の緊張感を与える働きをします。これが5の「よい姿勢を維持する」
です。

●ストレスと脳内セロトニンの関係

 セロトニンがそのように重要なものであるなら、それを多く作りだす
ことはできないのでしょうか。
 結論からいうと、それは困難なのです。脳内のセロトニンの量は日々
減っていくからです。それには次の2つの理由があるのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.セロトニンは自己受容体であること
       2.ストレスに弱いと量が減少しやすい
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1は「セロトニンは自己受容体であること」です。
 自己受容体とは何でしょうか。
 セロトニン神経は各細胞のセロトニン受容体に向けてセロトニンを送
るのですが、自分自身に対してもセロトニンを分泌しています。脳の神
経系細胞は末端から軸索というケーブルを使って他の神経細胞と繋がっ
ており、データの伝達を行います。この軸索を通して戻ってきたセロト
ニンを受け取るのがセロトニンの自己受容体で、受容体の数が多いとセ
ロトニンの放出を抑えようとする働きがあるのです。
 第2は「ストレスに弱いと量が減少しやすい」です。
 人間の体は、肉体的、精神的なストレスを受けると、脳内の視床下部
のストレス中枢が刺激されるのです。そうすると、セロトニンが多く放
出され、その量が減少してしまうのです。
 しかし、現代社会はストレスがあまりにも多いのです。ストレスのな
い場所はどこにもないのです。しかし、ストレスは主観的なものだとい
うことです。同じ状況でも、それをストレスと感じるかどうかは、人に
よって違います。たとえば、原稿を依頼され、その締め切りが切迫して
きたとき、それをストレスと感じる人もいれば、逆にやる気が高まる人
もいます。
 また、まわりに困っている人がいるとき、それを面倒なことと感じた
り、ストレスになると感じる人もいれば、逆に助けることに喜びという
ものを感じる人もいるのです。どちらになるかを決めるのは、主観的な
受け止め方しだいなのです。このことは、実際にストレスにどう対処す
るかを考える場合にとても重要なことです。要するに、ストレスはエネ
ルギー源にもなれば、その一方で病気の原因にもなるということです。
 しかし、それにも限界があります。いずれにせよ、ストレスに対応す
るセロトニンの分泌量が少ないと、心はネガティブになり、脳の活動は
次第に低下していくのです。その結果、引き起こされるのが鬱病なので
す。鬱病と脳内セロトニン濃度の低下が関係していることは、鬱病で自
殺した人の解剖結果から明らかになっています。
 鬱病になったまま、セロトニン神経を鍛えることを怠ると、セロトニ
ンはますます減っていく一方になります。それではどうすれば、セロト
ニン神経を鍛えることができるのでしょうか。次回にお話しします。
                 ──[ストレスと脳の話/03]
posted by キーヘルス at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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