2010年10月21日

●大脳の前頭前野はどのような働きをするか


 「心の目」というものがあります。2つの目とは違うもうひとつの目
──第3の目というべきものです。大脳はその位置によって次の4つに
分かれます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.前頭葉       3.側頭葉
       2.頭頂葉       4.後頭葉
――――――――――――――――――――――――――――――――
 前頭葉の中で一番先頭の部分を「前頭前野」といいます。ちょうど額
の部分と考えればよいでしょう。脳科学では、他人とコミュニケーショ
ンをとったりそれによって共感を覚えたりする部分は前頭前野の額の中
央に位置する「腹内側」(ふくないそく)という部分がそれを担うとさ
れています。
 この腹内側が何らかの事故で機能しなくなると、何が起こるでしょう
か。
 こんなケースがあります。これは実話ですが、交通事故によって、前
頭前野に杭が刺さって、その機能が失われた人がいるのです。しかし、
大脳の他の部分は異常はなかったのです。これについて、有田秀穂先生
は次のように説明しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 実は、表面的には何ひとつ変わっていないのです。手足の動きにも不
 自由はなく、目も開いており、ことばも普通に話せる。食事も自分で
 とれ、排泄もできる。要するに、一見したところは事故前と何も変わ
 っていなかったのです。それだけを見れば、生きていくうえでの大き
 な障害はないといえるかもしれません。ところが、大きな問題がある
 ことがわかりました。なかでも重要なのは、社会生活ができなくなっ
 てしまったこと。具体的にいうと、他人とのコミュニケーションがと
 れなくなつてしまったのです。その人は、確かにことばを話すことが
 でき、他人のことばを理解することもできました。ところが、相手の
 気持ちをくみ取ることができなくなってしまったのです。
     ──有田秀穂著 『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
 人間のような霊長類は、知能が発達しているので、一人でも生活して
行けるように考えられますが、実は人間は群れのなかでしか生活ができ
ないのです。そのため「人間」は「人と人の間」と書くのです。
 仲間と一緒に生きるためには、コミュニケーションは不可欠であり、
言葉だけでなく、総合的な情報から相手の気持ちを読みとる「心の目」
が不可欠なのです。したがって、前頭前野に損傷を受けて「心の目」を
失った人には通常の社会生活はできないのです。

●前頭前野の4つの働きと3つの神経

 前頭前野には次の4つの働きがあります。この4つの働きによって、
人間は人間らしく生きられるのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.強い意欲を持つ
          2.相手に共感する
          3.物事に集中する
          4.切り替える能力
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これら4つの機能はすべて前頭前野でコントロールしているのです。
どの部分が何を担当しているか簡単に説明します。
 1の「強い意欲を持つ」部分は、前頭前野の内側、ちょうど目の上の
部分です。2の「相手に共感する」は、額の中央部、すなわち、腹内側
の部分です。3の「物事に集中する」は腹内側の左右外側の上方部分、
4の「切り替える能力」は左右のこめかみに当たる「腹外側」と呼ばれ
る部分です。
 これら4つの能力がどのように発揮されるかは、神経伝達物質がどの
程度脳内に分泌されるかによって左右されるのです。というのは、脳内
には膨大な神経のネットワークがあり、互いに神経伝達物質をやり取り
しながら、そのときどきの心や神経状態をコントロールしているからで
す。ここまで説明してきたセロトニンもそうした神経伝達物質のひとつ
であり、セロトニンを使って情報を伝達しているのがセロトニン神経な
のです。
 「ドーパミン」という言葉を聞いたことはないでしょうか。ドーパミ
ンも神経伝達物質のひとつです。ドーパミンを使って、情報伝達を行っ
ている「ドーパミン神経」というのがあるのです。上記の前頭前野の4
つの働きと神経との関わりは次のように対応しているのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
   1.強い意欲を持つ ・・・・    ドーパミン神経
   2.相手に共感する ・・・・    セロトニン神経
   3.物事に集中する ・・・・ ノルアドレナリン神経
   4.切り替える能力 ・・・・    セロトニン神経
                ──有田秀穂著の前掲書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
                  ──[ストレスと脳の話/07]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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