2010年10月28日

●ドーパミンとノルアドレナリンの違い

 前回、前頭前野の4つの働きと対応している神経についてその関係を
示しましたが、再現して解説します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    1.強い意欲を持つ ・・・・    ドーパミン神経
    2.相手に共感する ・・・・    セロトニン神経
    3.物事に集中する ・・・・ ノルアドレナリン神経
    4.切り替える能力 ・・・・    セロトニン神経
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1の働きは「強い意欲を持つ」ことです。
 人間は何かの目標を目指して一生懸命に努力するというメカニズムが
脳に仕組まれているのです。ドーパミンという神経伝達物質は、私たち
に心地良さや快感をもたらします。前頭前野にドーパミンが分泌される
と、「快」の情動が引き起こされるのです。
 ドーパミンと性格とは関係があるのです。DNAによって、脳内にあ
るドーパミンのレセプター(受容体)のタイプが異なっていて、これが
好奇心などの性格に影響しているのです。ドーパミン・ハイのタイプの
人は、「当たり前のこと、日常的なもの」にすぐ飽きてしまって、「変
わったこと、新しいもの」を求める傾向が強いのです。ドーパミンの分
泌が強すぎると、問題が起きる可能性があるのです。
 第2の働きは「相手に共感する」ことです。
 人間は必ずしも言語を用いないでも相手の心を読むことができます。
「以心伝心」という言葉はそういうことを意味しているのです。これは
共感力の源泉であり、セロトニン神経が深く関係しています。
 他者とのコミュニケーションには次の2つがあるのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.  バーバルコミュニケーション
       2.ノンバーバルコミュニケーション
――――――――――――――――――――――――――――――――
 バーバルコミュニケーションは言語によるコミュニケーションのこと
でありノンバーバルコミュニケーションは非言語によるコミュニケーシ
ョンを意味するのです。これは、相手のしぐさ、表情、動作などから、
その人の心の中、意図、目的を読み取ることをいうのです。
 現代はどちらかというと、バーバルコミュニケーションが発達し、非
言語コミュニケーションが弱くなっています。政治家や評論家などをテ
レビで見ていると、口数が多いだけで、相手の立場や状況を思いやる想
像力が欠けているように思います。それは共感力の不足を意味している
のです。

●共感力と切り替え能力が欠如すると恐ろしいことが起きる

 第3の働きは「物事に集中する」ことです。
 集中力はテキパキと仕事をこなす能力のことです。このとき、前頭前
野の左右外側にノルアドレナリンが分泌されているはずです。ノルアド
レナリンは、ドーパミンと同じく興奮物質ですが、もたらす興奮の質が
違うのです。ドーパミンは既に述べたように「快」をもたらすのですが
ノルアドレナリンは「怒りによる興奮」であるとか、「危険に対する興
奮」をもたらすのです。
 ノルアドレナリン神経が活性化される原因は、体の内外から加わるス
トレス刺激なのです。生命に何かの危険が及ぶと、ノルアドレナリンは
大量に分泌されるのです。これによって集中力を高めて人間はこれまで
さまざまな危機を乗り超えてきたのです。
 第4の働きは「切り替える能力」です。
 切り替える能力とは、自分の生き方や主義を途中で思い切って切り替
えて、柔軟にこれまでの生き方を修正する能力です。この能力は、共感
力と共にセロトニン神経が深く関与しているのです。有田秀穂先生は、
この共感力と切り替える能力がうまく機能しなかった悲惨な例としてあ
の秋葉原無差別殺傷事件を上げて、次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 2008年6月8日、東京の秋葉原で悲惨な事件が起こりました。2
 5歳の男が、トラックではねる、ナイフで切りつけるなどして、17
 人に危害を加え、そのうちの7人が亡くなったという無差別殺傷事件
 です。私は、事件についての報道を読み進めるにつれて、まさに事件
 の背景にあるのが共感カの欠如だと実感しました。一人きりで生活し
 ていた犯人は、誰にも読まれるあてのないブログをひたすら書き続け
 て発信していたといいます。ただでさえ他人とのコミュニケーション
 が希薄なうえに、数少ないコミュニケーションを言語だけに頼ってい
 たわけです。いや、もうそれはコミュニケーションとは呼べないもの
 でした。なにしろ、読者からの反応を期待しないで、一方通行で発信
 するだけでよしとしていたからです。
      ──有田秀穂著『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これによると、共感力を失っているのは、事故で前頭前野をなくした
人だけでないことがよくわかります。 ──[ストレスと脳の話/08]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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