2010年11月25日

●目標力をつかさどるドーパミン神経

 片目が入ったダルマの置物があります。もうひとつの目は願い事がか
なったときに入れるのです。われわれの脳のなかで「目標力」をつかさ
どっているのは「ドーパミン神経」なのです。
 ドーパミンは交感神経節後線維や副腎髄質に含まれるノルエピネフリ
ンやエピネフリン(ホルモンの一種)という物質とともに生体内アミン
の一種であるカテコラミンという物質のひとつです。
 私たちの食べ物の中に含まれるフェニルアラニンやチロシンというア
ミノ酸がチロシン水酸化酵素によってドーパになり、それがドーパ脱炭
酸酵素の働きでドーパミンになることがわかっています。このドーパミ
ンはさらにドーパミンβ 水酸化酵素という酵素でノルアドレナリンに
なりますし、これはさらにエピネフリンに変わります。
 学生は期末試験でよい成績を取ろうと努力します。そういう行為を脳
内で積極的にバックアップしているのがドーパミン神経なのです。つま
り、ドーパミン神経は、われわれの意欲の源泉であるといえます。その
源を引き起こす力は何かというと、ちょっとわかりにくいかもしれませ
んが、「報酬」なのです。報酬とはある動機によって起こされた行動が
達成されたときに得られるものと考えればいいでしょう。
 人間が日常何かをするときには、意識する、意識しないに関わらず、
必ず何らかの「動機」がその行動の背後にあります。試験に備えて勉強
をしたり、ゲームをしたり、勉強をしたり、スポーツをしたり、ジョギ
ングをしたり、あるいは朝起きて顔を洗うといった習慣などもそこには
「動機」というものがあります。
 ある生理学者が行動中の動物の脳に電極を刺して、どんなときにドー
パミン神経が活動しているかを調べてみたところ、ドーパミン神経は、
そのような行動の動機付けに関連して活動を増すことがわかってきたの
です。われわれのまわりで起こるさまざまな出来事がいいことであれ、
いやで危険なことであれ、とにかく自分にとって意味があって、何らか
の行動を引き起こすような場合には必ずドーパミン神経が活動していま
す。
 つまり、私たちは周囲の環境に適応し、学習しながら、生活するすべ
を会得していきます。言ってみれば人生は学習の連続です。ドーパミン
はそのような学習の強化因子として働いているのです。
 ドーパミン神経は大脳基底核とそれに指令を与える大脳皮質(とくに
前頭前野や帯状回など)に枝を伸ばしてドーパミンを分泌します。そこ
では技能を磨いたり、次第に行動を習慣化したり、そのような個々の行
動をどのような順番に組み合わせて行動を起こすかを企画したり、戦略
を練ったりする働きをしているのです。

●ドーパミン神経は暴走することがある

 ラットを使ったこんな実験があるのです。ラットの脳の特定な場所−
ドーパミン神経のある場所−に電極を入れそこに電気を流す実験です。
といっても人間が電気を流すのではなくて、ラット自身が自ら電流を流
す仕掛けを施しておいたのです。
 それに触れると、電流が流れるスイッチをラットが生活をしているケ
ージの中に設置しておきます。そして、そのスイッチにラットが偶然に
触れたときに電流が流れるようにしたのです。もし、そのときにラット
が不快感を感じたら本能的に二度とスイッチに触れないでしょうし、ど
うということがなければ、スイッチに触れたり、触れなかったりするは
ずです。つまり、スイッチに気を使わないはずです。
 しかし、意外な結果になったのです。ラットは偶然にスイッチに触れ
たあとで、そのスイッチを叩き続けたのです。スイッチが押されて電流
が流れ、ドーパミン神経が刺激されて快を感じると、その快を求めて繰
り返しスイッチを押す結果になったのです。
 この状態が続くと、やがて歯止めが効かなくなり、人間であれば依存
症の状態になってしまうのです。この依存症こそがドーパミン神経の持
つ重大な問題なのです。有田秀穂先生は、依存症について次のように述
べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 お酒を飲んだときに得られる快感が忘れられずに、お酒を飲まないと
 生きていられないと感じるようになるのがアルコール依存症。パチン
コで大当たりした快感が忘れられず、その夢を追いかけて朝からパチ
ンコ屋に入り浸るというのがパチンコ依存症です。そのほかに薬物依
存症、買い物依存症といった症状もまた、ドーパミン神経の暴走によ
るものです。 
  ──有田秀穂著『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書        ――――――――――――――――――――――――――――――――
 このように依存症というのは、ドーパミン神経が強くなり過ぎること
によって、ドーパミン神経が暴走する結果起きるのです。それでは、こ
の暴走を止めるにはどうすればよいでしょうか。
 残念ながら、ドーパミン神経に人間が働きかけて、その分泌量を調節
することはできないのです。ただひとつだけ、ドーパミン神経の暴走は
セロトニンによって止めることができるのです。セロトニン神経が活性
化されればその暴走を止めることができます。        
                  ──[ストレスと脳の話/12]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/170484434
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。