2010年12月02日

●2つの原理

 セロトニン神経の権威である有田秀穂先生は、次の2つの原理を対比
させて使っています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
           1.ドーパミン原理
           2.セロトニン原理
――――――――――――――――――――――――――――――――
 有田先生は、これら2つの原理の違いを最近の流行語である「婚活」
を例にとって次のように説明しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 最近の若い人は、多くの人がドーパミン原理で相手を探しているの
ではないでしょうか。「この人、どれぐらい稼いでくれるのかしら」
「いい生活ができるのかな」というわけです。結局は、すべてをお金
に換算しているわけです。こうしたドーパミン原理で婚活している限
り、いつまで経っても解決はしません。もちろん、女性だけではあり
ません。男性は男性で、「こんな美人と結婚すれば幸せだろうな」
「一緒に連れて歩くと自慢できるぞ」というように、美醜の基準にし
たがって婚括をしてはいないでしょうか。
──有田秀穂著『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ドーパミンというのは、人間の意欲の根源ですが、その源を引き起こ
す力は「報酬」なのです。この「報酬」を前提とする行動を「ドーパミ
ン原理」というのです。したがって婚活をこの考え方でやると、どうし
ても稼ぎとか生活レベルなど、お金に換算してしまう傾向があります。
 しかし、これではたとえそういう理想的な相手が見つかったとしても
幸せな結婚生活が送れるとは限りません。結婚直後こそドーパミンで
「快」の気分になっているかもしれませんが、そのまま最後まで「快」
のままでいられるはずがないのです。
 これに対してセロトニン原理というのは、相手との共感やコミュニケ
ーションを重視する考え方です。結婚というのは、基本的に共感の世界
であり、相手と共感できるかどうかで、幸せな結婚生活が送れるかどう
かが決まってくるのです。有田先生は、共感の世界について次のように
説明しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 共感の世界というのは、他者とのゆるぎないコミュニケーションに基
 づいています。赤ん坊とはべったりとスキンシップをして、呼吸を合
 わせなくてはなりません。相手の親兄弟はもちろん、親戚づきあいも
 必要でしょう。そうした新しい社会のなかに、どっぷりと入っていか
 なくてはならないのです。 ──有田秀穂著の前掲書より
――――――――――――――――――――――――――――――――

●江戸時代はセロトニン原理社会 

セロトニン原理で行う典型的な活動にボランティア活動があります。
「情けは人のためならず」という言葉があります。相手に情けをかける
のは、相手のためにする行為のように見えますが、結局は自分のために
なる行為なのです。この言葉はそういうことをいっています。これこそ
セロトニン原理に基づく行動であるといえます。
 利益を追求する企業活動においても、必ずしも儲けを目的とせず、多
くの人のためになる企業の社会的責任に基づく活動があります。そうい
う活動が行われると結果的にはその企業自身に見返りがくるというわけ
です。
 NHKの大河ドラマ『龍馬伝』が終りましたが、国際金融経済学者の
榊原英資氏は『龍馬伝説の虚実/勝者の書いた維新の歴史』(朝日新聞
出版)という本の中で「明治という時代を素晴らしい時代という人がい
るが、江戸時代に回帰することが、今、必要である」と述べています。
 有田氏も「江戸時代はセロトニン原理が中心で動いていた時代」と述
べており、開国前の江戸時代を絶賛しています。つまり、江戸時代の社
会というのは共感力を働かせる社会だったといっても過言ではないので
す。
 侍の世界では、自分を捨てて人々のために何かをする「滅私奉公」と
いう価値観があり、江戸時代の共感力をあらわしています。それこそま
さにセロトニン原理そのものです。そういう意味において、江戸時代は
平和にして理想の時代であったともいえるのです。江戸時代を評価する
榊原英資氏は、坂本龍馬を西郷隆盛や桂小五郎よりもインテリであると
し、本の終りを次の文章で締めくくっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 勝や龍馬のような知性派が明治の改革を仕切っていたら、武断派の西
 郷や桂が引き起こした凄惨な戦いや長引いた混乱は、起こらなかった
 かもしれません。歴史にイフ(もしも)はないのですが少なくとも龍
 馬をそうした角度から評価し直す必要があるのではないでしょうか。
 龍馬なら、改革を進めるとともに江戸時代のいい部分を残したかもし
 れません。
──榊原英資著 『龍馬伝説の虚実/勝者の書いた維新の歴史』
(朝日新聞出版)より
 ―――――――――― ──[ストレスと脳の話/13/最終回]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ストレスと脳の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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