2007年09月13日

●加齢によって大脳は萎縮する

 老年精神医学の専門医である和田秀樹氏によると、人間の脳は感情をつかさどる部分から老化をはじめるといわれます。「脳の老化」をもう少し具体的にいうと、「脳が萎縮する」ということになります。
 大脳は、その前、横、後によって次のように呼ばれます。脳の萎縮は、前頭葉からはじまるといわれます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
     1.前頭葉 ・・・・・ 大脳の前方の部位
     2.側頭葉 ・・・・・ 大脳の横側の部位
     3.後頭葉 ・・・・・ 大脳の後側の部位
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 感情をつかさどるのは前頭葉なのです。側頭葉には「側頭連合野」という部分があり、その上半分は聴覚による言語理解、下半分は形態の認知――顔を見て相手を識別する機能を担当します。後頭葉には、視覚に関係する領域である
「視覚領」があり、視覚情報の理解を行います。
 前頭葉には次の2つの部分があり、それぞれの役割があります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
        I―― 前頭 極 ・・・ 自発性、やる気、スイッチ
  前頭葉 ――I
        I―― 運動前野 ・・・ 創造性、感情コントロール
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 前頭極は、自発性とやる気を担当しています。この部分が萎縮すると、自ら進んで新しく何かをやろうとしなくなります。高齢者がPC操作などの新しい技能の修得に手こずるのはこれが原因です。
 スイッチとは、気持ちの切り替えの機能です。この機能が衰えると、感情の切り替えが悪くなります。歳をとると、頑迷固陋の頑固オヤジが増えるのは、このスイッチが衰えることに起因します。
 運動前野は、運動の遂行や運動の準備に重要な役割を果たす部位であり、ここが衰えると、創造性や熟練を要する仕事ができなくなります。この部分でも感情を制御する機能があります。

●前頭葉の萎縮は老化とともに進行する

 シェーファーという神経病理学者は、平均77歳の正常に老化した人の脳と認知症の高齢者の脳を20代の若者の脳と比べて、神経細胞の減少の割合を調べる実験を行ったのです。その実験結果は次の通りです。
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             正常老化のケース   認知症のケース
   前頭極           28%減      31%減
   運動前野          22%減      36%減
   側頭連合野(下部)     23%減      42%減
   視覚領           13%減      20%減
                 ――和田秀樹著/祥伝社新書052
    『人は「感情」から老化する/前頭葉の若さを保つ習慣術』より
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 正常老化のケースと認知症のケースでは、その減少の割合にそれぞれ大きな差がついていますが、前頭葉の前頭極については、正常老化28%減、認知症31%減とあまり差がないのです。
 老年になると、もの忘れがひどくなったことを気にする人が多いですが、実は記憶をつかさどる脳の「海馬」という部分の減少は20%程度であり、たいしたことはないのです。それよりも、自発的な意欲の減退や、気持ちを切り替える力が弱くなることが先にくるのです。
 和田秀樹氏は、前頭葉の萎縮による自発的な意欲の減退について、次のように警告しています。
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 さらに問題なのは、自発性や意欲が低下すると、日常生活の中で頭を使
う機会がますます少なくなってくることだ。何事につけ億劫になってくる
のでからだも動かさなくなる。出歩かないから、なおいっそう脳が刺激さ
れることも少なくなって、心身ともに老化が進んでしまうことになる。
                    ――和田秀樹氏の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 歳をとると感情をつかさどる前頭葉の萎縮が激しく進む――このことを知っている人と知らない人の差は大きいのです。加齢による脳の萎縮を防ぐ方法はないそうですが、それを意識してあえて新しいことに挑戦し、脳を活性化させる努力をしている人は、脳の萎縮の進行を遅くすることはできるのです。
 1月7日のフジテレビの番組「報道2001」で評論家の竹村健一氏は、この正月休みにスキーとマージャンとテニスの3つを楽しんだといっていましたが、竹村氏はスキーを57歳、テニスを50歳からはじめているのです。これは同氏の好奇心が今もって旺盛であることと、前頭葉がいかに若々しいかを示していると思います。以上                       
posted by キーヘルス at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脳と老後 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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