2007年09月20日

●「年甲斐のない」人間になる

 日曜日の午前10時から始まるテレビ朝日の番組に「サンデー・プロジェクト」というのがあります。あの田原総一朗氏が司会を務める政治・経済をメインテーマとする番組です。
 今年はじめての「サンデー・プロジェクト」に、『失楽園』などの作品で有名な作家の渡辺淳一氏が出演し、最新の話題の映画『愛の流刑地』などについて語ったのです。映画『愛の流刑地』――1月13日に公開されたばかりなのですが、この映画はかつては売れていた小説家と人妻との愛を描き、大胆な性描写が話題の、いわゆる”渡辺淳一ワールド”なのです。
 日頃は固い政治・経済の番組であるだけに、何となく場違いな感じの渡辺淳一氏の出演ですが、ちゃんとした理由があるのです。それはこの作品が日本経済新聞朝刊に連載――2004年11月1日〜2006年1月31日まで――されたからなのです。つまり、この番組の視聴者のほとんどは日本経済新聞の読者であり、この作品はそういうサラリーマンによく読まれていたからです。
 渡辺淳一氏は1933年生まれの73歳――渡辺氏によると、この手の純愛小説だけは想像では絶対に書けないというのです。この作品を連載中に読者からよくクレームがきたそうです。「いい歳して、朝っぱらこんな作品を読ませやがって・・・恥を知れ!」という趣旨のクレームです。
 渡辺淳一氏はこの「いい歳して、恥を知れ!」という言葉に反発します。年寄りはそれでいいのだよと――そして「ぼくは年甲斐のない人間になる」と宣言したのです。自分は現在でも愛の現役であるからと・・・。
 この言葉によって、渡辺氏の前頭葉がいかに若々しいかがわかります。誰も前頭葉の萎縮は止められませんが、進行を遅らせることはできるのです。渡辺氏の場合、明らかに前頭葉の収縮の進行は止まっているようです。老年精神医の和田秀樹氏は、これに関連して次のように述べています。
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 日本では、老人に対して妙な生活規範や道徳観の押しつけがある。「年寄りは枯れて恬淡としているべきだ」と決めつけてみたり、中高年には洋服はグレーやアースカラーが似合うはずだと、本人も周囲も思いこんでいるところがある。麻雀よりも短歌や俳句のほうが高尚でふさわしいという雰囲気もあるし、しかも年を取れば取るほど規範や枠に当てはめようとする。しかし、これは本質的に間違っている。 ――和田秀樹著/祥伝社新書052
  『人は「感情」から老化する/前頭葉の若さを保つ習慣術』より
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●感動できる刺激を求める

 「箸が転げてもおかしい」――10代の頃はどんなに些細なことでも、予想に反することが起きるとびっくりし、おかしくて仕方がなかったことが、よくあったものです。この言葉はそれを表現しています。しかし、歳を取るにつれてさまざまな体験を積むことにより、大概のことには驚かなくなります。そして、さらに加齢が進むと、それに前頭葉の機能低下が加わって少々のことでは動じなくなるのです。これが「枯れて恬淡としている」ということであれば、それこそ老け込む原因そのものということになります。
 要するに、歳を取ると何事にも感動がなくなるのです。和田秀樹氏によると感動というのは「予想」と「体験」との差で起きるのです。歳を取るということは「体験」を積むことであり、「体験」は「予想」を的確なものにするので歳を取れば取るほど感動は少なくなることになります。
 一流のレストランに行って、有名なシェフの料理を食べるとき、日頃からそういうところで食べ慣れしている人は、相当の料理が出ても「こんなものか」とあまり感動しないものです。想定の範囲内のことだからです。
 しかし、「予想」以上のものが出れば感動するわけです。「予想」がつかないものは「体験」が乏しいことが原因なので、歳を取ったら普段はやらない、新しい、刺激的なことに挑戦すればそこに感動が生まれるわけれです。
 食べ物でいうなら、日頃和食を食べている人は洋食や中華を、洋食が多い人は逆に和食をいうように、または一度も食べてことのないタイ料理やインド料理を食べてみるなど、意識して感動できる機会を作る必要があります。そして感動できればできるほど、脳は活性化し、前頭葉の萎縮のスピードは抑えられるのです。
 「年甲斐のない」「いい歳をして」「いまさら何を」など――こうう批判に負けず、自己に未体験な新しいことをやってみることが前頭葉の萎縮を遅らせ、若さを保つ秘訣です。歌人、斉藤茂吉の未亡人の輝子さんは、80歳を超えた現在でも世界各国――それも南極やアフリカなど、ハードルの高いところばかり旅行しているそうです。
 それに73歳になっても恋愛感情を忘れず、体験に基づく『愛の流刑地』のような作品を作り、映画化された渡辺淳一さん、57歳からスキーをはじめ、スキューバダイビングも体験した竹村健一さん――いずれも「年甲斐のない」人たちばかりですが、いずれも若々しく、とても歳相応とは思えない元気さです。それはつねに感動を求め、自己が未体験のことに挑戦することをやめないからです。以上                       
posted by キーヘルス at 05:01| Comment(0) | TrackBack(1) | 脳と老後 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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