2008年02月14日

●基準値改訂が生んだ膨大な数の高血圧患者

●約5000万人もいる高血圧患者

 このところ「消えた年金/5000万件」の話題が世間で沸騰していますが健康問題でも「5000万人」が話題になっています。それは「高血圧」と認定された患者の数です。
 高血圧には基準値というものがあります。2000年以前は、次の基準値に該当する人が高血圧とされたのです。
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        最大血圧(上) ・・・ 160以上
        最小血圧(下) ・・・  95以上
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 1998年の「国民栄養調査」を基に計算した結果によると、上記基準の高血圧患者は、15歳以上の男性5200万人中1000万人、女性は5500万人中800万人――合計1800万人いると推定されます。
 この基準値は2000年に改定され、基準値は次のように大幅に下げられたのです。基準値が下がるということはそれだけ患者が増えることになります。
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        最大血圧(上) ・・・ 140〜159
        最小血圧(下) ・・・  90〜 94
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 調査によると、これに該当する人は男性1320万人、女性1140万人の合計2460万人もいるのです。2000年以前の基準なら正常であったはずの人もこの基準によって「高血圧」の患者にされたことになります。しかも、降圧剤を使って血圧を下げる場合の目標値は次のように設定したのです。
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        最大血圧(上) ・・・ 130〜139
        最小血圧(下) ・・・  85〜 89
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 これに該当する人は男女合わせて2200万人いるのですが、このうち3分の1の約700万人が降圧剤を処方されて高血圧患者に加わると仮定すると、次の計算によって、高血圧患者は約5000万人いることになるのです。これは日本人の成人男女の約半数という途方もない患者の数になります。
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 1800万人 + 2460万人 + 700万人 = 4960万人
                             ↓
                          約5000万人
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●高血圧研究の歴史は意外に浅い

 約5000万人の高血圧患者は、高血圧を判定する基準値を下げたことにより、生じた患者の数なのです。それでは、なぜ2000年に大幅に基準値を下げたのでしょうか。
 2000年における基準値の改定の根拠とされているのは、「HOT研究」という調査結果なのですが、これについては改めて述べることにします。実は高血圧の歴史は意外に浅く、せいぜい100年ぐらいの歴史しかないのです。ライト兄弟が飛行機ではじめて飛んだのが1903年のことですから、それよりも少しだけ長い程度に過ぎないのです。しかも、血圧を下げる降圧剤の歴史となると、飛行機の歴史の半分ぐらいしかないのです。
 そもそも血圧とは何なのでしょうか。基本になることですから、知識を整理しておきましょう。
 心臓は規則的、律動的に力強く収縮して、血液を血管に送りだします。この心臓の収縮によって、血管内に生ずる圧力――これが血圧です。一般的に血圧というと、動脈血圧を指します。圧力を水銀柱の高さに換算してmmHgという単位で表わすことになっています。
 血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときにもっとも高くなります。それもある程度強く送り出さないと、身体のすみずみまで血液が行き届かないので強い力で押し出します。これが「最大血圧(上)」です。一方、大動脈の弁が閉じて、心臓が膨らんで血液を溜め込んでいるときに血圧はもっとも低くなります。これが「最小血圧(下)」です。専門的には次のようにいいます。
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        最大血圧(上) = ・・・ 収縮期血圧
        最小血圧(下) = ・・・ 拡張期血圧
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 医師が血圧を測るとき腕に巻きつけるカフというものに聴診器を当てていますが、あれは何をしているのでしょうか。
 医師はカフを膨らませて腕に圧力をかけたうえで聴診器を当てます。そして少しずつ空気を抜いて圧力を下げていくと血液が流れはじめ、血管の拍動に合わせて「ドッ、ドッ、ドッ」と音が聞こえてきます。最初にこの音が聞こえたときの水銀柱の値が「収縮期血圧」、音が完全に聞こえなくなったときの値が拡張期血圧です。高血圧の話はしばらく続けることにします。    
posted by キーヘルス at 05:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 血圧の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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