2008年04月10日

●糖尿病についてどのくらい知っていますか

●糖尿病とはどんな病気か

 血圧の話が長く続きましたが、次のテーマとして生活習慣病のひとつである糖尿病を取り上げたいと思います。ところで、糖尿病というのはどういう病気であるかご存知でしょうか。
 私たちの身体はブドウ糖をエネルギー源としています。その血液中のブドウ糖を「血糖」というのですが、糖尿病とは血液中のブドウ糖の値――血糖値が高くなり、ついにそれが尿にまで出る病気なのです。
 どのようにして、糖が血液中に取り込まれるか、そのメカニズムについて考えてみます。人間は食べ物を口にすると胃で混ぜ合わされ、一部は消化されますが、腸でさらに消化吸収されるときは一度ブドウ糖の形になるのです。
 ブドウ糖の形になったものが腸から肝臓に運ばれて、一部はグリコーゲンとして肝臓に蓄えられます。その他は血液中に溶け込み、身体中を回りながら、細胞に取り込まれてエネルギーとして使われるのです。
 血糖値は、肝臓でのグリコーゲンからブトウ糖への生成や、血液中のブドウ糖の肝臓や筋肉、脂肪細胞への取り込みがどのくらいスムーズに行くかどうかによって決まってきます。
 血糖を細胞に取り込むにはインスリンというホルモンの助けが必要になります。なぜなら、血糖それ自体は細胞の内側に入ることができないからです。少し専門的にいうと、細胞にはインスリンレセプター(インスリン受容体)という、インスリンが来るのを感知してキャッチする分子があるのです。
 インスリンがこのインスリンレセプターにキャッチされると、細胞内にあるセンサーが血糖の入るドアを開けて、血糖が細胞内になだれ込む仕組みになっているのです。
 インスリンは血糖を下げる力を持っています。これに対して血糖を上げる働きをするホルモンは、グルカゴンやアドレナリン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなどですが、インスリンは血糖を調整する働きをするのです。
 インスリンは、膵臓のランゲルハンス島というところで分泌されるのですがつねに必要とする量が分泌されます。肥満の人の場合、インスリンは普通の人よりも多く分泌され、血糖値を正常に保ちます。また、アドレナリンや甲状腺ホルモンが増加したときもインスリンは多く分泌され、高くなり勝ちな血糖値を調整して正常な価を保つのです。
 しかし、膵臓の働きが弱くなったり、膵臓に障害が生じたりすると、インスリンは必要とする量を分泌できないので、血糖値は上昇します。糖尿病は、インスリンが足りなくなって、細胞内にうまく血糖が取り込まれなくなったために起きる病気なのです。この場合、余った血糖は肝臓で脂肪として蓄えられたり、腎臓から尿として排泄されるようになり、糖尿となります。

●糖尿病を決める基準について知る

 それでは、どのくらいの血糖値から糖尿病と診断されるのでしょうか。検査方法には2つの方法があります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
     1.朝の食事前(空腹時)の血糖値を測定する
     2.ブドウ糖を飲み、2時間後の血糖値を測る
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 上記1の「朝の食事前(空腹時)の血糖値を測定する」方法の測定基準は次のようになっています。血液100ミリリットルあたりの値です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 110ミリグラム未満 ・・・・・・・・・・・・・・ 正常
 110〜125まで ・・・・・・・・・・・・・・・ 境界型糖尿病
 126ミリグラム以上 ・・・・・・・・・・・・・・ 糖尿病
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 上記2の「ブドウ糖を飲み、2時間後の血糖値を測る」方法の測定基準は次のようになっています。「境界型糖尿病」というのは、いわゆる糖尿病予備軍と呼ばれるものです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 140ミリグラム未満 ・・・・・・・・・・・・・・ 正常
 140〜199ミリグラム ・・・・・・・・・・・・ 境界型糖尿病
 200ミリグラム以上 ・・・・・・・・・・・・・・ 糖尿病
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 この基準は、健康な人、糖尿病の人の血糖値の分布によって決められたものですが、決められたのは1999年5月であり、比較的新しいのです。それまでは、空腹時血糖値が140ミリグラム以上という基準だったのです。
 血圧の場合も2000年から急に基準が改正され、高血圧症と診断される患者は約5000万人に達していますが、糖尿病でも1999年の基準の改正によって、約1600万人が糖尿病患者となっています。この1600万人は、糖尿病予備軍の境界型糖尿病と糖尿病の患者の合計です。
 糖尿病はまったく自覚症状のない病気です。ある日医師から「糖尿病です」といわれてはじめてわかる病気なのです。しかし、その病気の実態はあまり知られていないのです。そういうわけでしばらく糖尿病の話を続けます。
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2008年04月17日

●糖尿病治療の歴史を知る必要がある

●昔から知られていた不治の病/糖尿病

 糖尿病について最初に触れられている文献は、3500年以上昔に書かれたエジプト王朝のパピルスといわれています。それには「糖尿病は多尿をもたらす病」と書かれていたそうです。
 古代インドではかなり詳しく糖尿病が観測されているのです。紀元前5世紀頃に書かれた『アーユルヴェーダ』という古い医学書のなかで、スシュルタという医師は糖尿病を「蜜の尿」という名称で次のように言及しています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 猛烈な飢えや、いやしがたい渇きが、衰えた患者にあり、おいしく健
 全な食べやすい物や飲み物でなだめられたり満たされたりしないのは
 致命的なしるしである。下痢、激しい頭痛、のどの渇きがあらわれ、
 だんだん体力の衰える患者は死の危険が迫っている。       
 ――渡辺昌著『糖尿病は薬なしで治せる』/角川ONEテーマ21/
 C−81
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 古代中国でも糖尿病は認識されていて、1世紀頃の書物『黄帝内経素問』において、「消渇」(しょうかつ)という言葉で記述されています。「消渇」というのは、食べ物を消化吸収する能力が枯渇するという意味なのです。
 それでは日本はどうかというと、平安時代に藤原道長が糖尿病で亡くなっているのです。宇治の平等院など地上に極楽を実現させた権力者も病には勝てなかったのです。藤原道長は万寿4年(1027年)12月、62歳で他界しています。
 しかし、これほど古くから知られていた糖尿病ですが、その原因や治療法については、1921年にインスリンが発見されるまではほとんどわかっておらず、不治の病とされていたのです。インスリンが発見されてからまだ100年経っていないのですから、糖尿病の長い歴史からみると、つい最近のことであるといえます。

●インスリンはどのようにして発見され抽出されたか

 解剖学というのは、ルネッサンスの時代から始まったのですが、胃の後ろ側にある膵臓の働きについては、長い間謎につつまれており、解明が進まなかったのです。というのは、膵臓には次の2つの働きがあったからです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
         外分泌腺 ・・・・ 消化液分泌
         内分泌腺 ・・・・ インスリン
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 膵臓には消化液をつくる外分泌腺としての役割と、一種のホルモンをつくる内分泌腺としての役割があり、これらの2つが1つの臓器にまとまっている−―これは他に例がないのです。とくにランゲルハンス島という名前で呼ばれる小球状に細胞の集まった内分泌腺の働きがなかなか解明できなかったのです。
 しかし、新しい発見というものは、ちょっとした偶然から起きるものです。1889年にドイツの科学者ミンコフスキーは、たまたま膵臓を摘出した犬が糖尿病を患うことを発見したのです。このようにして、膵臓と糖尿病との間には何らかの関係があることはわかったのですが、当時の研究ではそれ以上に発展しなかったのです。
 糖尿病とランゲルハンス島の関係を解明し、そこから生成されるインスリンというホルモンの存在を突き止めたのは、1901年にベルリン大学の学生であった米国人のユージン・オピーです。膵臓からインスリンの抽出に成功すれば糖尿病の治療薬が作れる――多くの人はこの発見に狂喜し、何人もの研究者が膵臓からの血糖調節ホルモン――インスリンの抽出に挑んだのですが、ことごとく失敗してしまいます。
 なぜうまくいかないかというと、膵臓のランゲルハンス島からインスリンを取り出そうとすると、外分泌腺の消化酵素がインスリンを分解してしまうからです。何しろ膵臓の98%は外分泌腺であるのに対し、インスリンをつくるランゲルハンス島はわずか数パーセントに過ぎないからです。
 そして誰もがあきらめかけていた1920年のことです。カナダの田舎町で開業医をしていたバンティングという医師がある医学雑誌からヒントを得て、インスリンの抽出方法を思いついたのです。といっても実験は大学の研究室でないとできない――バンティングはカナダのトロント大学のマクロード教授に無理を承知で頼み込んだのです。
 折衝の結果、マクロード教授の夏休みの期間の8週間、研究室を使ってもよいという許可をもらったのです。マクロード教授はバンティングにベストという若い助手をつけてくれ、実験用の犬を10匹提供してくれたのです。
 犬の膵臓の膵管を縛って数週間生かしておいたところ、予想通り膵臓の外分泌腺は萎縮して消滅し、あとは何千個ものランゲルハンス島だけが残っていたのです。そこからインスリンを抽出することは簡単だったのです。そして、このインスリンを糖尿病になった犬に注射したところ血糖値が下がったのです。
 このように抽出したインスリンは、死の直前の糖尿病患者に注射され、命を救ったのです。バンディング医師とマクロード教授は、この功績によってノーベル賞を授与されています。                    
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2008年04月24日

●糖尿病は高血糖を主徴とする症候群である

●糖尿病という名称には問題がある

 糖尿病――かつてこの病名は誤解を招くという意見が多くあったのです。確かに、糖尿病という病名からは「糖分に注意する病気」というイメージがあります。しかし、実態はかなり違うのです。むしろ糖質は十分にとって、脂肪の摂取量を少なくした方がいいのです。糖分をとることよりも、高脂肪の食品をとる方が良くないのです。
 お酒も糖尿病に良くないと思っている人は多いと思います。これも必ずしも正しいとはいえないのです。アルコールは「エンプティ・カロリー」といわれ実際に摂取されたアルコールの総エネルギーの60〜70%しか利用されないので、アルコールそのもののカロリーは大したことはないのです。
 しかし、アルコールを飲むと抑制がなくなり、食べ過ぎてしまい、太ってしまう――これが良くないのです。アルコールをたくさんとると血糖値は下がるのですが、そうすると空腹感が強くなり、つい食べ過ぎてしまうのです。
 東京にある済生会中央糖尿病臨床研究センターの松岡健平医師は、糖尿病患者のアルコール摂取の条件として次の2つを上げています。なお、ここでお酒の適量とは、日本酒だと銚子2本、ウィスキーならシングルで3杯といったところです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
     1.血糖のコントロールがきちんとできていること
     2.飲む量を適量にセーブできる精神力があること
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 糖尿病という病名が問題なら、どういう病名をつけるのが妥当なのかというと多くの医師は「高血糖症」という病名を推奨するのです。これなら「高血圧症」の対比で考えても妥当ではないかと思います。しかし、歴史的にも国際的にも糖尿病と呼ばれており、その名前になったものと思われます。
 西欧では古くから糖尿病のことを「ディアベーテース」と呼ばれていますがこれはギリシャ語で「通り過ぎる」という意味なのです。液体が体の中を絶え間なく通り過ぎ、何もかもが尿として出ていってしまうという意味なのです。筋肉なども溶け出して、尿から出ていってしまうと思われていたのです。このように昔から尿に結び付けて考えられていたのです。
 しかし、医師の真山享氏は、糖尿病の真にふさわしい病名は次のように付けるのがふさわしいといっています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
        糖尿病 = 高血糖を主徴とする症候群
―――――――――――――――――――――――――――――――――

●糖尿病は2つの種類がある

 現代の医学では、糖尿病は次の2種類に分類されます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
    1.インスリン 依存型糖尿病 ・・・ 1型糖尿病
    2.インスリン非依存型糖尿病 ・・・ 2型糖尿病
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 「1型糖尿病」は、何らかの理由で膵臓のランゲルハンス島のベータ細胞というものが破壊され、インスリンがまったく分泌できなくなって起きる糖尿病のことです。自己免疫やウイルス感染が関係するといわれています。
 まったくインスリンが分泌されないのですから、食べた糖分が栄養として筋肉などの多くの細胞に取り込まれず、そのまま尿糖として出てしまうのです。細胞にエネルギーの元が供給されないので、徐々に痩せてしまい、衰弱して死にいたるのです。
 しかし、インスリンを注射することにより、普通の人とあまり変わらない生活ができるのです。この1型糖尿病で、100キロ近くを走るスーパーマラソンで完走した人もいるほどなのです。これはインスリンの抽出に成功した2人の医師の名前をとって「バンティング・ベストの奇跡」といわれています。しかし、インスリンがないと生きられないので、「インスリン依存型糖尿病」といわれるのです。
 「2型糖尿病」は、おもに過食などの生活習慣が原因で肥満になり、徐々に発症する糖尿病のことです。膵臓のインスリン分泌機能がおかしくなったのではなく、肥満によってインスリンが不足気味になったり、インスリンの働きが悪くなったときに発症するのです。しかし、1型のようにインスリンには依存しないので、「インスリン非依存型糖尿病」というのです。
 実は病名のように尿に糖が出るのは糖尿病がかなり進行した状態なのです。したがって、ある程度血糖値が高めの状態から食事の改善や適度の運動によって、糖尿病を予防する対策をとる必要があるのです。
 人間は食事によってブドウ糖が吸収されると、血糖値が上がります。個人差はありますが、血糖値は血液100ミリリットルあたり最大180ミリグラムまで上昇しますが、膵臓から直ちにインスリンが分泌され、ブドウ糖は細胞に取り込まれていくのです。そして食後2時間も経つと、70〜110ミリグラムの範囲で一定に保たれるのです。それが、元の正常値に戻りにくいとき、2型糖尿病の疑いがあるということになります。            
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2008年05月01日

●糖尿病は合併症の病気である

●細い血管にくる病変/合併症

 どのような状態になったら糖尿病と診断されるのでしょうか。
 現在の診断基準では、2度にわたる血糖値試験で糖尿病か否かが決まることになっています。2度の血糖値試験とは次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.朝の食事前(空腹時)の血糖値を測定して、血糖値が126ミリ
   グラム以上になったとき
 2.別の日に再び空腹時血糖値を測定し、やはり血糖値が126ミリ
   グラム以上になったとき
 3.2ではなく75グラムのブドウ糖を飲んで、2時間後の価が20
   0ミリグラム以上のとき
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 要するに、1と2をやるか、1と3をやるかなのです。これら2度の試験で基準数値を上回った場合、糖尿病と診断され、糖尿病治療薬を調合して良いことになっています。
 なぜ、急いで治療薬を調合し、薬物療法をとるかというと、合併症を予防するためなのです。糖尿病で一番怖いのは実は合併症なのです。糖尿病の合併症には次の2つのタイプがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
            1.細い血管にくる病変
            2.太い血管にくる病変
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 「細い血管にくる病変」について述べます。
 血糖値が高いと、細い毛細血管が集中している目の網膜――その血液中の糖化たんぱく質が細い血管の壁内に沈着して、血管の弾力性を失わせ、徐々にその機能を喪失させてしまうのです。
 そして、網膜の毛細血管に微小血管瘤ができて、眼底出血や網膜剥離の原因になるのです。成人以降に失明する人の多くは現代でも糖尿病性の網膜症から失明しているのです。日本では糖尿病が原因の失明は毎年3000人にのぼるといわれています。
 もうひとつ細い毛細血管が集中している臓器が腎臓です。腎臓には糸球体という血液の濾過装置があるのですが、血糖値が高いと、その濾過装置に詰まりが生じ、臓器が機能不全になってしまうのです。
 糸球体血管壁はメッシュ構造になっていて尿を濾過するのですが、糖化たんぱく質が沈着してくると、目詰まりを起こすのです。そうすると、体の不純物を濾過することができなくなり、さらに悪化すると尿毒症になり、人工透析を受けなければならなくなります。2002年の統計では、人工透析を受けている患者さんの約28%に当たる6万1000人が糖尿病による腎症であるといわれてます。

●太い血管にくる病変/合併症

 太い血管にくる病変の代表的なものは動脈硬化です。動脈硬化は心筋梗塞や脳出血などによる突然死の原因になります。大血管疾患は高血糖よりも高血圧に関係しているといわれますが、実は、ブドウ糖負荷試験後2時間の血糖値が140〜200ミリグラムの耐糖能異常者でも同じリスクが高いのです。
 このリスクを下げるには、高血糖の血糖値コントロールと同時に最大血圧を130ミリ以下に保つことが必要になります。このように合併症の予防には、血糖値のコントロールとともに血圧のコントロールが大切なのです。
 英国の大規模な臨床試験に「UKPDS38」という研究報告があります。この試験では、糖尿病患者を薬剤により血糖を管理するグループと、血圧を管理するグループに分けて、9年間にわたって観察をおこなったのです。
 9年間の合併症のリスクをみると、血圧を管理したグループの死亡は32%減り、狭心症は44%、網膜症は37%も減ったのです。一方、血糖を管理したグループは、合併症の低下は12%、網膜症を含む微小血管病変は25%の減少であり、明らかに血圧のコントロールの重要性がわかります。
 ところで、「死の四重奏症候群」といわれるものがあります。「内臓脂肪症候群」ともいいますが、次の4つが揃うと死が近くなるというのです。この中でとくに糖尿病と高血圧は密接な関係があるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
     1.糖尿病がある     2.高血圧である
     3.高脂血症あり     4.肥 満がある
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 ところで、高血糖が続くと、神経細胞にソルビトールという糖が溜まることが原因で、神経が麻痺して、手足がしびれ、そして末梢の血液の循環が悪化して手足の壊疽を起こし、悪くすると手足の切断にいたることになります。
 「王将」や「人生劇場」の演歌で一世を風靡し、2002年に亡くなった歌手の村田英雄氏は、足を切断して義足で舞台に立ち、多くの人に衝撃を与えましたが、糖尿病による壊疽が原因だったのです。このように糖尿病は合併症が恐ろしいのです。                       
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2008年05月08日

●糖尿病は誤解されことの多い病気である

●糖尿病はけっして不治の病ではない

 糖尿病というと、不治の病であると誤解している人が多いものです。血糖値の測定で126ミリグラムを超えたとしても、合併症がなければ、食生活の改善や生活習慣の見直しで、それほど無理なく元に戻すことができます。
 けっして糖尿病は不治の病ではないのです。それに糖尿病になると、甘いものを食べてはいけないとか、食べられないものが多くなるので、食べたいものが食べられないとか、いろいろ誤解している人が多いものです。
 テレビ東京の人気番組に「主治医の見つかる診療所」というのがあります。医療に関するさまざまな質問にスタジオに集合した現役医師がそれにわかりやすく答える番組です。
 この番組で糖尿病を取り上げたことがあります。3分程度の映像ですが、なかなか参考になります。次のURLをクリックすると、その映像の一部を見ることができます。会社でご覧になる方は音量に注意してください。映像を止めるときは、ディスプレイの下の左側にある[II]ボタンをクリックすれば止まります。これが話題のユーチューブです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
       http://jp.youtube.com/watch?v=dYQER-HsIzc
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 高血糖が続く人を「耐糖能異常者」といいます。これらの人を対象に日本では葛谷英嗣博士が「日本糖尿病予防プログラム」として、適正体重の維持と運動習慣をつけるというだけの簡単な介入実験をしたところ、2年間の成績で糖尿病の移行率を3.5%に抑えることに成功したのです。普通であれば9.4%程度である移行率を大幅に下げることができたのです。
 米国でも耐糖能異常者に対する大規模な実験が行われています。耐糖能異常者3000人を3つのグループに分けて3年間追跡調査をしたのですが、そのグループの1つに「日常生活習慣改善グループ」を入れたところ、1年あたりの糖尿病発症率は、このグループが一番低かったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
    メトホルモン投与グループ ・・・・・  7.8%
    偽薬プラセボ投与グループ ・・・・・ 11.0%
    日常生活習慣改善グループ ・・・・・  4.8%
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 このように、血糖値が126ミリグラムを超えたとしても、条件による違いはありますが、日常の生活習慣の変更だけで糖尿病を予防することができるのです。したがって、糖尿病は不治の病ではないのです。

●糖尿病で即入院となる症状とは

 しかし、生活習慣の改善だけではどうにもならない糖尿病もあります。それは、食後2時間の血糖値が200ミリグラム以上で糖尿病と診断された場合です。もし、300ミリグラム以上の血糖値になると、最近では即入院となり、直ちに薬物による血糖値コントロールが開始されるのです。それは合併症を防ぐためです。
 なぜ、即入院になるのかというと、血糖値300ミリグラムが測定されたということは、相当長い期間――少なくとも3年から4年間にわたって、高血糖症であったことを示しているからです。そのため、入院させて最初の一週間程度はインスリン療法によって血糖値を正常値まで下げ、そのうえでその後の治療法の決定を行うのです。
 高血糖症の自覚症状はほとんどありませんが、しつこい肩こりや歩いたあとのふくらはぎのだるさ、それに治りにくいミズムシなどが、糖尿病のサインになっていた可能性はあります。しかし、そういうサインに気が付くケースはほとんどないといってもよいと思います。
 3年から4年の間高血糖症であると、それが原因で膵臓のベータ細胞が疲弊してほとんど消失してしまっているケースが多いのです。したがって、血糖値が300ミリグラムになってしまうと、その時点で膵臓はほとんどポンコツ車なみのレベルになっていると考えられるのです。
 そういうわけで、200ミリグラム以上で糖尿病と診断されたときは、その時点で糖尿病とは一生の付き合いになることを覚悟すべきであると多くの医師はいっています。基本的に食事は何を食べてもいいのですが、極力油脂類を避けて、食べる量を減らすことに務める必要があります。
 ところで、糖尿病を治す薬はあるのでしょうか。
 いずれにせよ、高血圧症と同じで、薬は極力飲まない方がベターなのです。糖尿病という病気――とくに2型糖尿病は、膵臓が疲弊するか一部消失することが原因で起こるのですが、はっきり認識しておくべきことは、膵臓を働きを正常化させる薬はないということです。
 したがって、薬に頼ることなく、生活習慣を改善して弱った膵臓をいたわりながら、機能させていくのが一番よい方法なのです。糖尿病の薬については、次回に取り上げますが、薬を使うと、弱った膵臓にムチ打って働かせ結局はその寿命を短くしてしまうことになるのです。自分が糖尿病であることを意識しておだやかにそれと付き合っていく心構えが必要です。      
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2008年05月15日

●糖尿病を薬で治すのは至難のわざである

●糖尿病の治療薬には5種類ある

 糖尿病にはどのような薬が使われているのでしょうか。
 一般的にいって、薬に関しての知識は病気になってから調べる人が多いのですが、生活習慣病の代表格である糖尿病のような多くの人がかかる病気については、治療の手段としての薬剤の知識は持っていて損はないと思います。
 糖尿病と診断される症状は、血糖値が126ミリグラム以上になるいわゆる高血糖症ですが、その治療薬として何よりも先に血糖値を下げる薬が使われることになります。
 糖尿病に対する治療薬としては、大別すると次の5つの薬が使われていますが、それぞれの使用されている割合も示しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
    1.スルフォ二―ル尿素剤 ・・・・・・ 24.2%
    2.アルファ・グルコシダーゼ阻害剤 ・ 61.0%
    3.ビグアナイド剤 ・・・・・・・・・  1.5%
    4.インスリン抵抗性改善薬 ・・・・・  5.7%
    5.速効性インスリン分泌促進剤 ・・・  7.5%
                          ――渡辺昌著
   『糖尿病は薬なしで治せる』/角川ONEテーマ21/C−81
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 血糖値を下げるには、何といってもインスリンの分泌が鍵を握っていますがそのインスリンが発見される前からあったのが、「スルフォ二―ル尿素剤」なのです。この薬が発見されるきっかけは戦場だったのです。第一次世界大戦のヨーロッパ戦線では兵士が怪我をして熱が出るとサルファ剤を使っていたのですが、兵士の中に低血糖を起こす者が多く出たことから、サルファ剤が注目されたのです。分析の結果、サルファ剤にはベンセン核というものが入っておりそれがスルフォ二―ル尿素剤と構造が似ていたことがヒントになって、血糖値を下げる薬として、薬剤化されたのです。
 しかし、後になってスルフォ二―ル尿素剤をあまり使うと、膵臓のランゲルハンス島の細胞が疲弊して、自前のインスリンが枯渇してしまうことが指摘されています。それでもこの治療薬は全体の約24%も使われているのです。

●薬では糖尿病の進行は止められない

 現在最も多く使われているのは「アルファ・グルコシダーゼ阻害剤」です。全体の64%も占めているのです。この薬は、腸から糖質の吸収を阻害させることによって血糖値を下げる薬です。実はアルファ・グルコシダーゼというのは、ブドウ糖を吸収し易くする酵素なのです。そのため、この酵素の働きを阻害して血糖値を下げようとするのです。からめ手から攻めるわけです。
 「ビグアナイド剤」というのがあります。スルフォ二―ル尿素剤を投与しても効果のない患者に使われます。これは肝臓からのブドウ糖の放出を抑える薬なのです。膵臓の機能とは無関係に作用し、腸管からのブドウ糖吸収を抑制して血糖値を下げるのです。
 その他にインスリンの効きを良くする薬があります。インスリン感受性増強剤といわれます。これは分泌の少ないインスリンの働きを活発化し、インスリンの質を高める薬です。「インスリン抵抗性改善薬」と「速効性インスリン分泌促進剤」との2つです。
 速効性インスリン分泌促進剤は、膵臓のインスリン分泌細胞を刺激して、インスリンを出させます。服用後、短時間でインスリンが分泌されるので、とくに食後に血糖値が高くなる患者には有効です。
 これに対して、インスリン抵抗性改善薬は膵臓に対するインスリン分泌促進作用はなく、糖の取り込みや代謝を亢進させないで、肝細胞内への糖の取り込みを亢進させ、肝臓でのブドウ糖からグリコーゲンへの合成を促進することによって、インスリン受容体機能を改善する薬なのです。
 しかし、速効性インスリン分泌促進剤やインスリン抵抗性改善薬は、比較的最近開発された薬なので、これらの薬剤投与によって重篤な劇症肝炎が起こるなど、いろいろな副作用が出ていることも事実です。これら5種類の薬は、それぞれ作用が異なります。それらを患者の病状に合わせて、単独、もしくは複数の薬を組み合わせて使っているのです。
 糖尿病の患者の中にはインスリンの注射を嫌がる人もいます。そういう場合は、ひとつの薬でインスリンが出るようにし、別の薬で食後に血糖値が上がるのを抑えます。さらにもうひとつの薬でインスリンの働きを強化するというように4つの薬をすべて使うケースもあるのです。
 しかし、糖尿病には限りませんが、薬というもの――とくに糖尿病の薬剤には副作用が少なくなく、けっして気楽に飲むものではないのです。処方された治療薬の副作用で病状が進行し、亡くなるケースも少なくはないのです。また、こういうケースによる医療訴訟も増えているのです。
 多数の糖尿病患者のカルテを分析したある医師の報告によると、治療薬では糖尿病の進行を止められないことがはっきりしているといわれます。せいぜい2〜3年は血糖値を下げるものの、やがて膵臓が疲弊して再び血糖値が上がってしまうのです。何でも薬に頼るのは考えものです。         
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2008年05月22日

●糖尿病治療−−日米の違い

●糖尿病治療のメッカ/ジョスリン・クリニック

 日本と米国では、糖尿病の治療のやり方が大きく異なります。それは米国のジョスリン・クリニックの診察にみることができます。ジョスリン・クリニックは糖尿病の研究と治療施設として世界的に有名です。
 ジョスリン・クリニックは、マサチューセッツ州ボストンにあります。日本で糖尿病を専門にしている医師は、一度は必ずこの施設に見学に行っているほど権威がある糖尿病のクリニックです。
 このクリニックは、かつて病床もあったのですが、医療改革の流れのなかで病床は廃止され、現在は外来診療部門と研究部門だけになっています。また、この施設はフランチャイズ制になっていて、全米に全部で13ヶ所のブランチセンターがあります。
 ボストンの本部とブランチセンターの関係はかなり緊密でブランチセンターには年に2回くらいの頻度で本部から診療内容の細かなチェックが入ります。その結果、そのつど症状に応じた診療指示が追加・修正され、2000ページ以上に及ぶマニュアルが出来上がっているのです。
 ジョスリン・クリニックでは、糖尿病専門医師と糖尿病専門看護師によって診察が行われます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
  1.糖尿病の専門医師
  2.サーティファイド・ディアベテス・エデュケーター/CDE
  3.ナース・プラクティショナー
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 米国の看護師は、まず、RN――レジストレイティッド・ナースという資格を取ります。これは日本の正看護師に当たる資格です。上記のCDEはその上の資格ですが、その取得は大変難しく、最短でも7年以上もかかるのです。
 ナース・プラクティショナーは看護師の最上位の資格であり、40歳を過ぎないと受験資格がないのです。それにCDEになってから最短でも5〜6年はかかるといわれる難関です。
 ナース・プラクティショナーになると、自分でオフィスを構えている人もおり、そのオフィスで患者を看ることもできます。医師とほとんど差はなく、やれないことは手術ぐらいであるといわれます。ナース・プラクティショナーはナショナルライセンスであり、この資格をとると給料が跳ね上がります。日本にも「糖尿病療養指導士」という資格がありますが、これは国家資格ではなくナース・プラクティショナーとは比較になりません。

●患者ひとりに45分かける医師の診察

 ジョスリン・クリニックにおける通常の糖尿病の診察は、医師が45分かけて診察を行います。医師は、問診、診察を行い、治療内容を決め、そのあとはCDEかナース・プラクティショナーが引き継いで、さらに1時間の教育面接を行うのです。何と長い診察でしょうか。
 なぜ、これほど診察に時間をかけるのかというと、糖尿病の治療は患者教育そのものだからです。糖尿病の治療は次の3つから成り立っていますが、その1と2については患者自身が行う必要があり、教育が必要になるのです。
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  1.食事療法 ・・・ 日常の生活状態に合わせて食事を管理する
  2.運動療法 ・・・ ひとりでできる運動を毎日同じ量実施する
  3.薬物療法 ・・・ 薬物療法は最後の手段/経過観察して実施
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 ひとりの患者に対して医師が45分もかけるということは日本では考えられないことです。米国の医師は一日平均5〜6人しか看ないのです。日本は平均50人です。医師は病気を診断して治療方針を決め、診療指示を出すと、あとはCDEかナース・プラクティショナーにまかせるのです。
 したがって、医療費は非常に高額になります。初診の場合は350ドル、再診の場合は175〜200ドルです。これに血糖値検査などの検査をすると、70ドルほどかかります。日本円にすると、初診は約5万円、再診は約3万円もかかるのです。これは医師の診察にかかる料金です。
 CDEかナース・プラクティショナーの診察の場合は、1時間の診察で90ドルから150ドル程度ですから、日本円で約1万2000円かかります。したがって、相当裕福な人でないと、ジョスリン・クリニックのような糖尿病専門クリニックでは看てもらえないのです。
 米国には日本のような国民皆保険制度はなく、民間の医療保険制度はあるもの、加入するには高額の保険料が必要になります。しかし、民間の医療保険は米国の場合、厳しくその支払範囲が決められているのです。
 例えば、糖尿病の場合、検査内容、使用する薬などについて細かい規定が設けられていて、それをオーバーするものについての給付はないのです。保険会社によると、病院に対してケア・ガイダンスを作っていて、この通りにしないと払わないと指示することもあるのです。その点、日本は国民皆保険制度のおかげで米国に比べて恵まれています。とくに糖尿病は自分で努力すれば、治せる病気であることを自覚する必要があります。            
posted by キーヘルス at 04:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 糖尿病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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