2008年01月17日

●メタボリック症候群に科学的根拠はあるのか

●2006年度の流行語大賞になったメタボリック症候群

 昨今は世を上げて健康ブーム――なかでも昨年の流行語大賞になったほどの勢いで流行しているのは「メタボリック症候群」なる言葉です。「メタボリック症候群」とは何でしょうか。
 「メタボリック症候群」とは、内臓に脂肪が蓄積する肥満に加えて、高血糖高血圧、高脂血症の3項目のうち2つが重なる状態をいうのです。この状態になると、糖尿病や心筋梗塞になりやすく、著しく危険であるというのです。
 2006年5月の厚労省の発表によると、40歳〜74歳で既に病気の者と予備軍を合わせると、男性の2人に1人、女性の5人に1人が該当するというおだやかならざる数字であるといえます。
 ところが、2007年5月14日発売の『週刊ポスト』に次のタイトルの記事が載ったのです。
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        メタボリック症候群に科学的根拠なし!
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 この主張を実名を出してはっきり主張している一人に東海大学医学部の大櫛陽一教授がいます。大櫛教授はそもそも男性85センチ以上/女性90センチ以上という腹囲の診断基準がおかしいと指摘しています。なぜ、体の小さい女性の基準が体の大きい男性のそれより大きくなるのか――というわけです。
 女性は皮下脂肪が発達しているからではないかと素人は考えてしまいますが、大櫛教授はへそ回りで測るウエストの測定位置に問題があるというのです。
 さらに男性85センチ以上/女性90センチ以上という腹囲をBMI――体重(キログラム)を身長の2乗で割って算出する肥満度と関連づけると次のようになるというのです。
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   男性85センチ以上の腹囲 ・・・・・ BMI 23.8
   女性90センチ以上の腹囲 ・・・・・ BMI 26.4
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 大櫛教授によると、男性2.5万人、女性3.9万人についてBMIを基準として死亡率を11年間追跡して調べた結果、BMIが25前後が男女とも全世代で死亡率が低いことがわかったのです。したがって、メタボリック症候群における腹囲の基準は健康に何ら問題はないということになります。
 さらに60歳以上ではBMIが18未満、80歳代ではBMI20未満で死亡率が増大している――要するに日本の高齢者の場合、痩せているより、小太りのほうが長生きできるということを示しているのです。
 ちなみに自分のBMIを知りたい方は、次のURLをクリックして、性別、体重、身長、自分の印象を入力すると、簡単に求められます。
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  BMI判定  http://www.ahv.pref.aichi.jp/taikei/chap1_nn.html
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●本当に肥満は健康に悪いのか

 肥満は身体にとって良くない――ほとんどの人はこれを正しいこと、当たり前のことと考えています。しかし、果たしてこれは本当でしょうか。それは、キャンペーンによって人々はそう感じるようになったのではないでしょうか。
 とくにメタボリック症候群はキャンペーンによって盛り上がってきた経緯があります。フジサンケイグループが「メタボリックシンドローム撲滅委員会」を立ち上げたり、京都市が「ウエストスリムクラブ」を作ったり、来年から、サラリーマンの定期健康診断に一定年齢以上は腹囲を測ることになるなど、そういうことが積み重なって「正しい」と感ずるようになったといえるのです。
 臨床医学の雑誌としてもっとも権威のある「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」誌は肥満について次のように述べています。
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 体重を減らせという社会の巨大なる圧力を見て、肥満の健康上の危険と
 減量の効果についてはっきりした決定的なデータがあると思うかもしれ
 ない。しかし、肥満と死亡率、減量と健康上の効果を結びつけるデータ
 は部分的なものであり、あいまいなものである。―1998年1月号
           ――高田明和著、『脳によく効く栄養学』より
                     朝日新書/朝日新聞社刊
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 実はメタボリック症候群については、昨年の6月に国会でも取り上げられているのです。そのとき質問した民主党の郡和子代議士は次のように述べているのです。
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 診断基準に疑問を持ち始めたのは、現場の医師たちの「この基準、おか
 しいのでは?」という声がきっかけ。調べてみたら、05年9月に米糖
 尿病学会と欧州糖尿病研究学会が、メタボリック症候群という概念その
 ものを疑問視する共同声明を発表しているのです。――民主党の郡和子
 代議士
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2008年01月24日

●肥満そのものより肥満になる生活環境が問題

●女性を中心に肥満の人が増えている/米国

 肥満は本当に健康に良くないのかについてもう少し考えてみましょう。
 医学とはお門違いの法律の専門家、コロラド大学のポール・カンボス法学部教授は、『肥満の謎』という著書において、肥満と健康との関係について次のように述べています。
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 自分が5年前に肥満と健康の問題について調べ始めた時には「肥満は 健康上の深刻な問題だ」という事実はもう十分に立証され、いまさら 論ずるに価しないものだと考えていた。ところが多くの本を読み、数 百という論文を調べ数え切れないくらいの医学者、科学者にインタビ ューした結果、体重や体重制御について政府やメディアのいうことが 著しくゆがめられているか間違いであることがわかった。                        ――ポール・カンボス教授
            ――高田明和著、『脳によく効く栄養学』より
                      朝日新書/朝日新聞社刊
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 統計的に調べてみます。米国の調査によると、1980年から2000年までの男女の肥満率は次のようになっています。
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                 女性     男性
       1980年まで  17%    13%
       1990年まで  27%    20%
       2000年まで  34%    28%
            Gibbs W.W.Scientific Amer.292;48.2005
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 これによると、明らかに女性を中心に肥満の割合は高くなっています。もう少し正確にいうと、1980年以降の肥満率は大人で2倍、データを示してはいませんが、子供では3倍に拡大しているのです。
 それでは、心筋梗塞、脳卒中による死亡者数はどうでしょうか。1950年から2000年までの心筋梗塞と脳卒中の人口10万人当たりの死亡者数は次のようになっています。
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           1950年     2000年
    心筋梗塞  500人以上      200人
    脳 卒 中  200人以上       80人
            Gibbs W.W.Scientific Amer.292;48.2005
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 肥満になる人の数が増えているのに、死亡率それ自体は大きく下がっているのです。これに加えて高血圧患者、高脂血症の患者も減っているのです。

●肥満と死亡率には直接の関係はない

 死亡率の低下には、喫煙者数の低下や医学技術の向上などの要因が考えられるので、年齢別に肥満と死亡率の関係について調べてみましょう。米国「国民の健康検査と栄養検査の調査」(NHANES)――1971年から1994年までの3次にわたる調査に基づき調べてみると、面白い結果が出たのです。
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     ≪25歳〜59歳≫
      BMI 25〜30の人の死亡率 = 0.7
      BMI 30〜35の人の死亡率 = 1.2
     ≪60歳〜69歳≫
      BMI 25〜30の人の死亡率 = 0.7
      BMI 30〜35の人の死亡率 = 1.1
     ≪70歳以上≫
      BMI 25〜30までの死亡率 = 1.1
      BMI 30〜35までの死亡率 = 1.1
            NHANEST/U/V  1971〜1994
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 BMIが18〜25の人の死亡率を1とした場合、年齢が25〜59歳までの人の場合、BMI30〜35までの人でも1.2 程度であり、BMIが25〜30までの死亡率はむしろ0.7と大きく下がっているのです。この結果は60〜69歳でも、70歳以上でも死亡率にはほとんど変化がないのです。
 この数値を見る限り、肥満になると死亡率が高くなるということではなく、肥満になるような生活環境に問題があるといえます。具体的にいうと好きなものを食べて運動をしない、そういう生活環境が問題なのです。
 浜松医科大学高田明和名誉教授によると、「歩く」だけでも大きな効果が得られるそうです。週1時間以下しか歩かない人の糖尿病の危険率を1とした場合、週1〜 2.4時間歩く人の危険率は0.5 と半分以下、1週間に2.5 時間以上歩く人の場合には危険率は0.3 以下になるということです。
 歩くという単純な運動でも計画的に実施すれば、肥満が抑えられ、糖尿病にもなりにくくなるのです。意識してやってみる価値はありそうです。 

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2008年02月01日

●心臓病・脳卒中はやせている方が危険?

●太っている人よりもやせた人の方が危険 ?!

 私たちは「肥満」が健康維持にとって大敵であると教えられてきています。とくに日本の診断基準では肥満が重視されているのです。高血圧や高血糖という生活習慣病の危険要因を抱えている人は、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高いわけですが、それはやせている人よりも太っている人が危険であるということが常識化されています。
 しかし、最近の調査によると、必ずしもそういえないことが次々と明らかになってきています。2007年5月28日付の朝日新聞によると、上野弘嗣・滋賀医科大教授を主任研究者とする厚生労働研究班は、心筋梗塞や脳卒中になる危険度は太っている人よりもむしろやせた人の方が高くなるという調査結果を発表しています。
 この調査では、心筋梗塞や脳卒中になる危険要因として、次の4つを上げています。
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   1.高血糖          3.高中性脂肪
   2.高血圧          4.低HDLコレステロール
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 上島教授は、1990年に全国の保健所で検診を受けた男女約7200人を10年間追跡調査して、死亡原因を調べたのです。肥満でなく、かつ他の危険要因がひとつもない人の循環器病で死亡するリスクを「1」とした場合、肥満の人とそうでない人で、上記危険要因がそれぞれ2つと3つ以上抱えている人の循環器病での死亡率の割合は次のようになっているのです。
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     ≪肥満/BMI25以上≫
      危険要因2つ   ・・・・・・ 1.5倍
      危険要因3つ以上 ・・・・・・ 2.4倍
     ≪肥満/BMI25未満≫
      危険要因2つ   ・・・・・・ 2.0倍
      危険要因3つ以上 ・・・・・・ 2.8倍
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 これによると、明らかに太っている人よりもやせている人の方がリスクが高いことになります。上島教授は、肥満を重視しすぎる日本の診断基準の枠外の人にも高リスクの人をいることを警告しています。

●人間は肥満になりやすい遺伝子を持っている

 人間には「倹約遺伝子」というものがあります。倹約遺伝子の提唱者である米国ミシガン大学のジェームス・ニール教授は次のように述べています。
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 動物は飢餓の危険に見舞われる可能性が高い。そのために食べ物が十
分にある時にはこのエネルギーを脂肪として蓄え、飢餓に備える仕組みをもっている。これが倹約遺伝子の作用である。先進国では飢餓の可能性はないが、この遺伝子の機能は維持されている。このために人間は非常に肥満しやすいのである。――高田明和著、『脳によく効く栄養学』より
                     朝日新書/朝日新聞社刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 このように人間は倹約遺伝子によってもともと肥満になりやすいメカニズムを身体にもっているのです。ですから、肥満だからといって食事を制限するなど無理なダイエットをしようとすると、かえって肥満になってしまうことがあるのです。
 人間のこのメカニズムを働かせようとするのは脳なのです。無理な食事制限によりカロリーの摂取量が減ると、脳はただでさえ低下している基礎代謝をさらに低下させてギリギリの部分で生命維持を図ろうとするのです。
 つまり、少ないカロリーでなんとか生き延びようとして、そのため自らの体質を変えてしまうのです。また、エネルギーを多く消費する筋肉は、生命維持を図るためにそぎ落とされ、少しのカロリーでも脂肪として蓄えようとして生き残りを図るのです。
 それに無理な食事制限は結局は長続きしないものです。こういうときに食事制限をやめて摂取カロリーを増やすと、飢餓を恐れている脳は、摂取されるカロリーをできるだけ多く脂肪に変えて蓄えようとするわけです。そういう体質が出来上ってしまったからです。
 いわゆる「リバウンド」という現象はこれによって起こるのです。これにより、ダイエット前より太ってしまうのですが、この太り方は不健康な太り方ということになります。失われた筋肉を取り戻すより、脂肪の上に脂肪を重ねることになるからです。ダイエット前よりも太っているのに、それが体力の回復には結びつかないのです。
 肥満の解消法としては、過度に脂肪を摂らないことと、脂肪を燃やすための運動を行うしかないのです。その運動として誰でもやれるのが「歩く」ということです。できれば少し速めに歩いて体に酸素を取り込みながら歩く有酸素運動をすべきですが、できなければただ歩くだけでも効果があるのです。 
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2008年02月07日

●一日1万歩の歩行で生活習慣病は改善される

●心筋梗塞を引き起こす6つのファクター

 疾病による米国人の死亡原因の第1位は「心臓病」――これはもう何十年も変わっていないのです。これに対して日本人の疾病による死亡原因の第1位は「がん」であり、「心臓病」は第2位です。これは、食習慣による違いからくるものと考えられます。
 そのため米国では心臓病の研究はとても進んでいて、死因で最も多い心筋梗塞がなぜ起こるのかについては、種々の統計によって明らかにされています。心筋梗塞をひき起こすファクターとは次の6つです。
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      1.肥満          4.糖尿病
      2.高血圧         5.喫煙
      3.高脂血症        6.ストレス
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 これらは、もちろん日本人にもそのまま当てはまるのですが、「喫煙」を除く5つのファクターはすべて「歩くこと」によって大幅に解消されるのです。歩くことによって解消されない心臓病の原因は「喫煙」のみです。これだけは強い意思の力でやめるしかないのです。
 高血圧は動脈硬化が原因で起こります。高血圧は心臓に負担をかけるので、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。動脈硬化とは血管が老化する現象です。血管に脂肪や脂肪の一種であるコレステロールが溜まって血管が細くなり、血が流れにくくなるのです。これが高脂血症です。
 お腹の周りの脂肪も問題ですが、血液に溶け出した脂肪はさらに危険なのでせっせと歩いて脂肪を燃やし、血管を若返らせる必要があります。このように高血圧も高脂血症も歩くことによって状況を改善できるのです。
 糖尿病は、膵臓でつくられるインスリンの分泌低下または作用の異常によって引き起こされる病気です。インスリンの働きが鈍ると、血液中の糖が筋肉細胞の中に運ばれなくなってしまい、これによって、余分な糖が血管を通って身体中を回り、目や腎臓に障害を与えるのです。有酸素運動のウォーキングは、糖と脂肪を燃焼させる効果があり、血糖濃度も下がるので、糖尿病の症状の緩和に役立つとされています。
 「ストレス」も心臓病の重要な原因のひとつです。現代社会で生活していると、いろいろストレスが溜まります。問題はそれをいかにして発散させるかなのです。カラオケで歌を歌ったり、何らかの遊びでストレスを発散させるのがうまい人はいいのですが、ストレスの発散の下手な人もいます。
 そういう人にとっては「歩く」ことはストレスの発散になります。なるべく夜でなく、明るい昼間に景色の良いところを選んで歩くと、ストレスなど雲散霧消してしまうものです。

●一日平均1万歩を意識して歩こう

 「歩く」ことが生活習慣病の改善にとってプラスであることはわかるとしても、一体どのくらいの距離を毎日歩けば良いのでしょうか。
 実は現代人は意外に歩いていないのです。自分では相当歩いていると思っている人でも一日7000歩くらいしか歩いていないのです。一日数100歩しか歩いていない人すらいます。いわゆるエライ人、地位のある人になると、運転手付きの車で移動するので、ほとんど歩かないのです。
 江戸時代の人はどうだったでしょうか。江戸時代の社長さんである御店(おたな)のご主人でも一日1万歩は歩いていたといわれます。一般庶民となると平均すると、一日3万歩は歩いていたと考えられます。
 この傾向は、明治から大正にかけてもかわらず、サラリーマンは一日平均3万歩は歩いていたのです。一歩平均を50センチとすると、一日15キロは歩いていた計算になります。
 現代のサラリーマンはどのくらい歩いているのでしょうか。役職別にサラリーマンの平均歩数を出してみましょう。
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      課長・係長クラス ・・・・・ 平均7000歩
      部長   クラス ・・・・・ 平均5000歩
      重役   クラス ・・・・・ 平均3000歩
       ――大島 清著、『歩くとなぜいいか』より/PHP文庫
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 どのくらい歩けばよいかというと、理想的には一日3万歩ですが、現実問題として実現は困難と思われるので、せめて一日1万歩は歩くべきであると医師は勧めています。
 しかし、最もよく歩いているクラスでも一日7000歩程度であり、自分で意識して1万歩を目指さないと、なかなか1万歩の実現は難しいのです。また職業や職種によっても一日に歩く歩数は違ってきます。サラリーマンでも事務と営業では違うでしょうし、タクシー、バス、トラックの運転手は、一日平均2500歩といわれています。家庭の主婦も運転手なみの歩数といわれます。
 一日1万歩をクリアするには「歩くぞ!」という意思が必要です。そして続けること――これによって、生活習慣病は改善されるはずです。    
posted by キーヘルス at 04:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 生活習慣病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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