2008年11月06日

●世界一の長寿国にして健康不安大国である日本

 2008年4月から「特定健診」――別名「メタボ健診」がは
じまっていますが、この健診には数々の疑問があるのです。しば
らく、この問題に詳しく著書も多い東海大学医学部教授、大櫛陽
一先生の著書などをベースにして連載していきたいと思います。
 まず、日本という国が健康に関してどういう国であるか考えて
みたいと思います。まず、健康に関係のない話から始めます。い
ろいろな統計でよく出てくる「OECD」とは何かご存知でしょ
うか。
 第2次世界大戦後の話です。米国のマーシャル国務長官は、経
済的に混乱状態にあった欧州各国を救済しなければならないと考
えて、そういう趣旨を盛り込んだ提案を行ったのです。これが
「マーシャルプラン」です。
 これを契機として、1948年4月、欧州16か国でOECD
――欧州経済協力機構が発足したのです。これが現在のOECD
の前身になります。その後欧州経済の復興に伴い、1961年9
月にOECD加盟国に米国およびカナダが加わって、新たにOE
CD――経済協力開発機構が発足したのです。日本は1964年
にOECDの加盟国になっています。現在OECDはEU加盟国
19ヶ国、その他11ヶ国の合計30ヶ国で構成されています。
 はっきりしていることは、日本人の寿命はこのOECD加盟国
の中で一番長いということです。だから、世界一長寿国といわれ
るのです。「脂質異常症」が原因とされる心筋梗塞などの虚血性
心疾患の死亡率も一番低いのです。OECD平均で見ると、男性
が4分の1、女性は3.5 分の1です。
 しかし、自覚的健康観、つまり、自分は病気ではないかと考え
る人は、OECD加盟国中最下位のスロバキアに次いで下から2
位なのです。したがって、1人当たりの医療機関での受診回数は
トップであり、OECD平均の約2倍なのです。急性期医療の平
均在院日数もトップであり、OECD平均の2.3 倍になってい
ます。
 つまり、日本は最も健康な国なのですが、同時に世界で最も健
康不安に国民が怯えている国ということになります。全国民を対
象にした健診制度は欧米に例がないものであり、医療関係者はだ
からこそ日本は世界一長寿国であると胸をはるのですが、その一
方においてその健診が国民に強い健康不安を抱かせているとい
えるのです。

●日本では男性の6割、女性の5割が病人である

 とても不思議なことがあります。2006年に全国719施設
での受診者数296万人のうち、健康な人は11.8 %であると
人間ドック学会が発表したのです。なんと88.2 %の人は不健
康な人であることになります。
 人間ドック学会は、1984年には、健康な人は29.8 %で
あると発表していますから、健康な人はこの22年の間に3分の
1に減ったということになるのです。これは少しおかしいと思い
ませんか。なぜなら、この間にも寿命が伸びているからです。
 2008年4月から始まった特定健診では、男性の94%、女
性の83%が異常と判定され、男性の6割、女性の5割に医療機
関で受診するよう勧奨されているのです。これは常識的にいって
判定基準がおかしいのではないかと考えのが自然なのではない
でしょうか。
 大櫛陽一先生は、インフルエンザの治療薬タミフルの例をあげ
て日本がいかに薬漬けの医療をしている国であるかを説明して
います。日本のタミフルの消費量は、2005年には世界の消費
量の80%を占めているとして、次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――
 効果があるかどうか不明な新型インフルエンザのために、国
 が1050万人分の備蓄を終え、都道府県に対して同量を備
 蓄するように要請しています。現在は減少していますが、日
 本では、人の血液で作られたアルブミンを1985年には世
 界の3分の1近くを消費していました。このように薬好きの
 日本人は、世界の製薬企業にとっては良いお客さんなのです。
 ―大櫛陽一著『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』
                   祥伝社新書/131
――――――――――――――――――――――――――――
 別に日本人は薬が好きなわけではないのです。医師の指示に忠
実なだけなのです。しかしこれもよいことではないといえます。
もっと主体性をもって自分の健康に向き合うべきです。
 タミフルというと、インフルエンザに罹患した子どもに異常行
動が起こったときに、その原因はタミフルではないかと大騒ぎに
なりました。しかし、厚労省の委員会では、タミフルは関係して
いないという結論を出しています。
 しかし、その委員会の委員長である横田俊平氏(横浜市立大学
医学部)にタミフルの発売元である中外製薬から6年間で100
0万円の寄付金が提供されていたことが判明したのです。これに
よって、同委員会の委員長だけでなく、他の2人の委員にも波及
して、3人が解任されたのです。
 こういうことがあったのに、再び特定健診が問題視されていま
す。なぜならこれによって日本人のほとんどは病人にされ、薬を
飲まされることになるからです。次回から特定健診の矛盾に迫っ
ていきたいと思います。
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2008年11月13日

●「コレステロール悪玉説」の根拠には疑問がある

 「高コレステロールは健康にとって問題である」――これは素
人でも半ば常識化しています。この常識の根拠になっているのは
「グラフ1」です。このグラフを見ると横軸に総コレステロール
値をとって7つの群に分け、縦軸には死亡率がとられています。
 グラフ、とくに棒グラフを見るときはその形状にとらわれます
が、このグラフのようにコレステロール値の上昇によって右肩上
がりで死亡率が伸びていると、コレステロール値を下げないとい
けないなと思ってしまいます。
 しかし、グラフにはいろいろなことが隠されているのです。大
櫛陽一先生は、このグラフについて調査して次のことを指摘して
います。
 まず、このグラフの死亡率は、160〜179mg/dlの群
を「1」としたときの相対死亡率です。しかし、*印のついてい
るのは総コレステロール値が260mg/dl以上だけです。
*印は「有意差あり」をあらわしており、「ns」は「有意差な
し」を意味します。
 ここで、有意差とは統計的に意味のある差のことであり、26
0mg/dl以上の群以外はすべて「ns」になっています。し
かし、このようにグラフ化されると、右肩上がりで死亡率が伸び
ているように見えます。
 さらに、ここでいう死亡者は冠動脈疾患(心筋梗塞とほぼ同意
義)による死亡者のみであり、その人数はたったの12人、全体
の0.1 %です。もっと詳しくいうと、全体の対象者は9216
人、約17年間の観察期間中の死亡者は1841人、その中で冠
動脈疾患の死亡者は128人です。しかし、コレステロールとの
関係で「有意差」があったのは、総コレステロール値が260m
g/dl以上の人だけであり、それが12人であるということで
す。
 一応対象者からは、冠動脈疾患と脳卒中の既往症のある人は除
かれていますが、家族性高脂血症の人は除かれていないのです。
家族性高脂血症とは遺伝的に脂質の高い人であり、0.2 %の割
合で存在します。
 しかし、冠動脈疾患による死亡率だけで見るのはおかしいので
す。大櫛陽一先生は、元の論文に書かれている数値から総死亡率
を計算しています。「グラフ2」がそれです。これを見ると、総
コレステロール値が、160〜259mg/dlまでは死亡率は
ほぼ一定です。また、総コレステロール値が159mg/dlで
も死亡率が高いことがわかります。
 大櫛陽一先生は、次のようにいっています。
――――――――――――――――――――――――――――
  コレステロール値が高すぎて冠動脈疾患で死亡するのは
  0.1 %の人であり家族性高脂血症の率が0.2 %であ
  ることを考慮すると、ガイドラインで示された図(グラ
  フ1)の意味するところは、「家族性高脂血症の人は冠
  動脈疾患に気をつける必要がある」ということです。
  ――大櫛陽一著、『コレステロールと中性脂肪で、薬は
  飲むな』            祥伝社新書/131
――――――――――――――――――――――――――――

●総コレステロールが高いほど長生きする

 2つのグラフを見ても「高コレステロールの人は早死にする」
とはいい切れないのです。これとまったく逆の説もあるからです
2008年3月28日、日本人を対象とした次の大規模な研究成
果について、厚労省記者クラブで発表されたのです。
――――――――――――――――――――――――――――
  コレステロール値が高くても統計的有意な死亡率の上昇は
  なく、むしろ低いと有意に死亡率が上昇する。
        ――2008年3月28日発表
――――――――――――――――――――――――――――
 1995年に発表された日本人5000人以上を含む、5つの
論文に含まれた17万3539人のデータを統合して、男女別に
解析を加えています。このような解析は「メタアナリシス」と呼
ばれています。
 「グラフ3」を見てください。これは横軸に総コレステロール
の値を4群に分け、縦軸にはすべての原因による死亡率(総死亡
率)を示しています。その結果は、すべてに*印(有意差あり―
―科学的に意味のある差)がついているのです。死亡率は相対的
死亡率であり、総コレステロール値が160〜199mg/dl
を基準群として、その死亡率を「1」としています。他の群の死
亡率はその倍率であらわされています。
 男性のデータですが、死亡率は右下がりとなっており、総コレ
ステロール値の高い方が死亡率が低くなっています。むしろ16
0mg/dl未満では、基準値に比べて死亡率が1.60 倍と上
昇しているのに対し、逆に200〜239mg/dl群では0.
82 倍、240mg/dl以上の群では0.76 倍と値が上が
るほど低くなっています。
 これを見ると、コレステロール値が上がると死亡率が高くなる
という結論の根拠になるデータには大いなる疑問があります。デ
ータは恣意的に操作されているとしか思えないからです。200
8年から始まった特定健診では、総コレステロールに代わって
「LDLコレステロール」が測定されることになっています。L
DLコレステロールは、総コレステロールの60%を占めていま
す。LDLコレステロールについては改めてお話しします。 

総コレステロール冠動脈疾患死亡率.jpg
 

総コレステロールと総死亡率.jpg


総コレステロールと死亡率/男性.jpg

出典:大櫛陽一著『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』祥伝社新書/131

                          
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2008年11月19日

●総コレステロール値が少ないほど死亡率が高くなる

 コレステロールというのは、体の細胞膜、神経細胞、ホルモン
の原料であり身体にとって必須の物質なのです。したがって、コ
レステロール悪玉説には多くの研究者から疑問を持たれてきたの
です。
 前回、1995年に発表された全国17万人を超える統合解析
(メタアナリシス)の一部をご紹介しましたが、それとは別に神
奈川県伊勢原市を絞って次の調査を行っています。
――――――――――――――――――――――――――――
≪総コレステロールと総死亡率/原因別死亡率の関係を調査≫
 ◎男性 ・・・・・  8575人 
 ◎女性 ・・・・・1万3751人  ――神奈川伊勢原市
――――――――――――――――――――――――――――
 伊勢原市は、東京から小田急線で約1時間半の距離にある人口
10万人の都市であり、健診結果や死亡率については日本の平均
値に近い数値を示しているところです。
 総コレステロール値を6つのグループに分けて、それを横軸に
とり、縦軸に年間死亡者数をとってグラフ化しています。調査結
果は次のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――
1.男性と女性とでは、男性の方がすべての総コレステロール
  値のグループで、死亡数が女性を上回っている。
2.男女ともに総コレステロール値190mg/dl未満にな
  ると、死亡率が大きく上昇しているのがわかる。
3.日本人の死亡原因としては悪性新生物、呼吸器系疾患、脳
  血管疾患が増加していることが確認されている。
――――――――――――――――――――――――――――
 つまり、全国17万人を超える統合解析と同様に「総コレステ
ロール値」が高い方が長生きしているという事実が出ているので
す。
 しかし、日本動脈硬化学会が問題にしている高脂血症による虚
血性心疾患やその他心疾患による死亡率の上昇は、日本人の健診
データからは確認されていないのです。高脂血症とは血液中に溶
けている脂質の値が必要量よりも異常に多い状態をいうのです。

●「高脂血症」は意図的に作られた病気である

 「高脂血症」というのは実は不思議な病気なのです。それは日
本動脈硬化学会が意図的に作り出した病気だからです。日本の健
診では、次のように日本動脈硬化学会のガイドラインが定められ
ているのです。
――――――――――――――――――――――――――――
 ≪日本動脈硬化学会による高脂血症の診断ガイドライン≫
 総コレステロール値が220mg/dl以上は高脂血症で、
 要治療
――――――――――――――――――――――――――――
 正常人は加齢によって、総コレステロール値が上昇していきま
す。これは免疫力を高めるための必要な変化であり、病的な変化
なのです。しかし、日本動脈硬化学会はこの加齢による変化を無
視して220mg/dlという一定値でガイドラインを定めてい
るので、加齢によって「高脂血症」という病気が作られてしまう
のです。
 とくにひどいのは女性の場合です。女性については、欧米では
コレステロール低下薬は処方されないことになっています。女性
の場合コレステロールが高いのは体質的なものであるからです。
 人間の生活では、狩猟時代が長かったのですが、女性は男性が
獲物を持って帰ってくるまでの飢餓を乗り越えるために脂肪を蓄
積したのです。また、母乳のためにも脂肪は必要なのです。した
がって、男性よりも女性の方がコレステロール値が高いのです。
 次の表はコレステロール低下薬の服用率を示したものですが、
60代以上の女性の服用率は男性のほぼ倍になっています。つま
り、意図的に多くの人が病人にされているのです。
――――――――――――――――――――――――――――
      ≪コレステロール低下薬の服用率≫
                男性     女性
      20〜29   1.3 %   0.0 %
      30〜39   1.9 %   0.6 %
      40〜49   4.2 %   1.4 %
      50〜59   6.3 %   7.4 %
      60〜69  10.1 %  18.8 %
      70 以上  11.3 %  25.0 %
  大櫛陽一著『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』
                  祥伝社新書/131
――――――――――――――――――――――――――――
 日本の医療費は高いといわれますが、病気ではない人を病人に
しているのですから、当然です。昔から女性には心筋梗塞が少な
いというのは、周知のことであるからです。           
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2008年11月27日

●総コレステロールの60%がLDLコレステロール

 特定健診――メタボ健診では、その対象となるのは「総コレス
テロール」ではなく、「LDLコレステロール」が測定されるこ
とになっています。総コレステロールとLDLコレステロール―
―どこが違うのでしょうか。
 総コレステロールとLDLコレステロールK関係は、次の通り
です。
――――――――――――――――――――――――――――
   総コレステロール=LDL+HDL+VLDL
       LDL  Low Density Lipoprotein
       HDL  High Density Lipoprotein
       VLDL Very Low Density Lipoprotein
――――――――――――――――――――――――――――
 LDLは総コレステロールの約60%、HDLは約30%、そ
してVLDLは約10%を示しています。コレステロールは、身
体には必須の物質であり、細胞膜、神経細胞、ホルモンの原料に
なっています。
 このうち、身体中に配られるコレステロールがLDLであり、
その80%は肝臓で作られ、20%は食事から採られます。した
がって、食事を多く採るとLDLは増えますが、それに応じて肝
臓で作られる量が減らされるので、正常値に戻るようになってい
ます。
 身体には、LDLを測定するセンサーのようなものが備わって
いて、LDLは常に必要な濃度にバランスされているのです。コ
レステロールは多すぎても少なすぎても身体にとってよくない
のです。
 コレステロールが高いと心配する人が多いですが、過度に心配
する必要はないのです。しかし、血管に炎症のある人でコレステ
ロールが高いと、心筋梗塞になる恐れがあります。しかし、逆に
コレステロールが低いと、免疫力が低下して、がんや肺炎にかか
る可能性が高くなります。大事なことはバランスが取れているこ
とです。
 人間の体は新陳代謝を繰り返しており、消化管粘膜は1週間、
赤血球は3か月に一度入れ替わるのです。そのさい、古い組織は
破壊されますが、その中に含まれているコレステロールはHDL
のかたちで肝臓に回収されてリサイクルされるのです。人間の身
体のメカニズムは実によくできていて、ちゃんとバランスが取れ
る仕組みができているのです。

●LDLコレステロールとは何か

 ところで、LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と
呼ばれているのですが、どうしてそのように呼ばれるのでしょう
か。
 「リポプロテイン」――LDL、HDL、VLDLの「L」の
ことです。リポプロテインは、脂質の周りにタンパク質が取り囲
んだ物質です。本来脂質は油性であって血液とはなじみが悪いの
です。これに対してタンパク質は水溶性でタンパク質が脂質を取
り囲んでいるので、血液の中をスムーズに通ることができます。
 そのリポプロテインのタンパク質の密度が高いものがHDL
――HDLは血液内をスムーズに流れ、血管壁などには脂肪は付
着しないので、「善玉」と呼ばれます。LDLはタンパク質の密
度が低く脂質が多いので、血管内を流れにくく血管内壁に脂肪が
付着しやすく心臓などの臓器へ送られる血の流れ道を閉塞し、場
合によっては完全にブロックしてしまいます。そのため「悪玉」
と呼ばれるのです。したがって、LDLは「低密度リポ蛋白」と
呼ばれているのです。
 LDLコレステロールの多い食品の代表は卵の黄身です。しか
し、大櫛陽一先生によるともともとコレステロールには「善玉」
・「悪玉」の区別はなくLDLであるからといって、過度に心配
する必要はないというのです。身体が健康であれば、たとえ卵の
摂取量が多くても、LDLの製造量は必要に応じて調整されてい
るのです。
――――――――――――――――――――――――――――
 LDLが高いということは、体がそれだけ必要としている状
 態と言えます。ただし、病気の場合は少し様子が異なります。
 (たとえば)肝臓病では、必要なLDLが作られません。こ
 のため、食事から十分に摂取する努力が必要です。  
 大櫛陽一著、『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』
                   祥伝社新書/131
――――――――――――――――――――――――――――
 ところで、VLDLというのは何でしょうか。
 VLDLは中性脂肪の約20%を占めています。肝臓では、糖
や脂肪酸を材料として脂肪を合成します。作られる脂肪の大部分
は中性脂肪で、一部コレステロールが加わってVLDL――超低
比重たんぱくという粒子になり、血液中に放出されます。VLD
Lは、中性脂肪などの脂質のいわば運び屋のような働きをしてい
るわけです。
 ここで問題になるのが中性脂肪です。中性脂肪とは何でしょう
か。
 人間の脂肪組織の中に最も多くあるのが中性脂肪です。中性脂
肪とは、糖質の2倍を越えるエネルギーを持っており、身体は非
常時に備えてこの脂肪を貯め込む癖を持っています。この中性脂
肪と病気の関係については次回に述べることにします。          
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2008年12月04日

●中性脂肪とは何か

 もし、あなたが次の問題を出されたらどのように答えるでしょ
うか。
――――――――――――――――――――――――――――
 「中性脂肪」、「体脂肪」、「コレステロール」は、それぞ
れどこが違うでしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――
 「体脂肪」とは人間の身体についている脂肪組織の総称なので
す。そして、体脂肪のもとになるものが「中性脂肪」であり、こ
れが蓄えられて体脂肪になるわけです。これに対して「コレステ
ロール」は、中性脂肪と同じ脂質の1つで、血液中を中性脂肪と
一緒に運搬されて行きます。
 人間のエネルギー源は食事です。「エネルギーの3要素」とい
うのをご存知でしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――
          1. 炭水化物
          2.タンパク質
          3.   脂質
――――――――――――――――――――――――――――
 人間が活動をするためには、食事によって身体にエネルギーを
蓄えておく必要があります。炭水化物とタンパク質は、1グラム
で4キロカロリーを蓄えることができますが、脂質は、同じ1グ
ラムで9キロカロリーも蓄えることができるのです。ですから、
身体に重力負担をかけないでエネルギーを蓄えるには脂質で蓄え
るのが、効率がよいのです。
 エネルギーの3要素の中で炭水化物は消化されてブトウ糖とな
り、筋肉や脳のエネルギーになります。これが余ると、ブドウ糖
の固まりであるグリコーゲンとなって、肝臓になどに蓄えられ、
それが脂質に変化するのです。
 脂質の中のコレステロールは、身体の細胞膜や神経やホルモン
として使われ中性脂肪はエネルギー蓄積庫として使われます。コ
レステロールと中性脂肪は、血液の中を流れて運ばれて行くので
す。
 作られた中性脂肪は、主として男性では内臓脂肪、女性は皮下
脂肪として蓄えられます。この男女差は、人類の歴史に遡るので
す。人類の歴史は約50万年といわれますが、2000年前まで
は狩猟生活だったのです。
 狩猟生活における男性は獲物と戦うので、身体が大きく、筋肉
が発達したのです。男性の場合は、獲物を捕えて食べることがで
きるので、短期的にエネルギーを蓄えるだけでよく、グリコーゲ
ンは一日分、内臓脂肪は一週間分程度の蓄えで狩りを続けること
ができます。
 しかし、女性の場合、男性が狩りから帰ってくるまで待つ必要
があります。そのため身体は小さく、省エネルギー的な体格にな
ったのです。そしてエネルギーを長期間蓄えるために皮下脂肪が
発達したのです。これによって、一ヶ月分近くのエネルギーが蓄
えられるのです。

●中性脂肪は余ったエネルギーの倉庫である

 中性脂肪は、エネルギーの摂取と消費の差で、簡単に上がった
り、下がったりするものです。したがって、健診などで中性脂肪
の数値が上がってもそんなに心配することはないし、逆に下がっ
ても安心はできないのです。
 食事をして得たエネルギーが次の食事まで使われないと、中性
脂肪として身体に蓄えられます。日本人はカロリーの60%を炭
水化物に依存していますが、炭水化物は消化されてブドウ糖にな
り、血中を通って肝臓に運ばれてそこで中性脂肪になるのです。
 ですから、健診の前に一週間ぐらい食べ過ぎが続くと、中性脂
肪は高くなりますし、逆に風邪などを引いて一週間ぐらい食事の
量が減ると、中性脂肪は低くなります。したがって、中性脂肪が
高いからといって、わざわざ薬でそれを下げる必要などないので
す。
 中性脂肪を下げる一番有効な方法は空腹時の有酸素運動です。
有酸素運動は、息切れのしない程度の軽い運動でありなるべく食
事前にやると効果が高いのです。なぜかというと、空腹時である
と蓄積されているグリコーゲンと中性脂肪が使われるからです。
空腹時の有酸素運動では、まず、グリコームゲンが燃えてそれが
点火剤になり、次に中性脂肪が燃えるのです。
 空腹時の有酸素運動中に血糖値が、どのように変化するか測定
した結果についてお話しします。運動をはじめると血糖値が10
mg/dl程度上昇して空腹感が消えます。その状態がしばらく
続くと、今度は中性脂肪が燃えます。運動後に汗が出たり、身体
がほてっている間は血糖値が上がって空腹感はありませんが、汗
やほてりが消えると血糖値は下がって急に空腹感が出てきます。
 このことから、最も簡単な中性脂肪対策は、お腹が空かないの
に食事をしないことです。お腹が空かないのに食事をすると、血
中ブドウ糖が高い状態で食事をすることになり、その分が中性脂
肪になってしまうのです。
 しかし、少しぐらい中性脂肪が高いからといって、そんなに心
配する必要はないのです。日本動脈硬化学会では、150mg/
dl以上は脂質異常症という基準を設けていますが、調査では、
この数値以上の男性、女性の死亡率は下がっており、とくに女性
の場合は、全体として中性脂肪と死亡率との関係は男性より少な
いという結果が出ているのです。             
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2008年12月11日

●コレステロールや中性脂肪に性急な薬物治療は不要

 大櫛陽一先生の本に次のケースが出ていたので、ご紹介するこ
とにします。ごく何でもない健診の結果です。しかし、これが恐
ろしい結果になるのです。
――――――――――――――――――――――――――――
 300人の部下を持つ部長の33歳の福田氏は、1996年
 10月に健康診断を受けたのです。その結果、総コレステロ
 ール値が257mg/dl、中性脂肪が651mg/dlで
 高脂血症と言われたのです。そのとき、正常値は総コレステ
 ロール値が257mg/dl、中性脂肪で50〜149mg
 /dlと言われ、自分でも高いと感じたようです。入社時よ
 り体重が10kg増え、身長178.3 センチ、体重89.
 2キロ(BMI=28.1 )になっていました。その原因は
 仕事のストレス、つきあいでの飲み会などの生活習慣にある
 と分かっていました。タバコは28歳で止め、ウォーキング
 と食事の節制で体重を8kg減少させたと書かれていますの
 で、この時点での体重は81kg、BMIは25.1 と推定
 されます。
  大櫛陽一著『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』
                  祥伝社新書/131
――――――――――――――――――――――――――――
 BMIについて説明します。BMIは、次の言葉の省略なので
す。「ボディマス指数」といいます。人間の肥満度を表す指数で
す。
――――――――――――――――――――――――――――
    BMI=Body Mass Index/ボディマス指数
――――――――――――――――――――――――――――
 ボディマス指数は、体重と身長の関係から算出するのです。た
とえば、身長160センチメートル、体重50キログラムの場合
は次のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――
 160cm=1.6m  50kg ÷(1.6m×1.6m)
 ≒19.5
――――――――――――――――――――――――――――
 日本肥満学会によると、BMIが22の場合が標準体重なので
す。BMIが25以上の場合を肥満、18.5 未満である場合を
低体重と判定するのです。
 まず、総コレステロール値が257mg/dlは、男女別の5
歳ごとの基準値で見ると、30〜34歳男性は127〜250m
g/dlですからあわてて薬物治療をする必要はないのですが、
日本では薬物治療になります。また、中性脂肪の651mg/d
lは、体重が8kg下がったときに検査すれば、中性脂肪も大幅
に下がっていたものと思われます。福田氏は生活習慣改善に意欲
的な人なので、薬物治療は不要なのです。

●コレステロール低下薬の併用で死にそうになった事例


 しかし、福田氏は12月の再検査でベザトール――フィブラー
ト系が処方されたのです。しかし、その後、2回にわたって不整
脈が出たので、メバロチン――スタチン系が出されたのです。
 中性脂肪を下げるには、フィブラート系の薬が使われます。こ
の薬は肝臓で中性脂肪が合成されることを阻害するのです。スタ
チンという薬が開発される前からの薬です。コレステロールと中
性脂肪の両方が高い人では、フィブラートとスタチンの両方が処
方されるのですが、それぞれに強い副作用――横紋筋融解がある
のです。
 福田氏はフィブラートとスタチンの両方が処方されたのです。
3ヵ月後に異変が起こります。臀部の筋肉が痛くなり歩けなくな
ったのです。明らかに横紋筋融解の副作用が起こったのです。
――――――――――――――――――――――――――――
 その後、腰が「くの字」に曲がった状態での激痛、喉の筋肉
 の異常、尿排泄困難、体中の筋肉の萎縮、歯髄炎、水虫、結
 膜炎、ヘルペス、咽頭炎、全身の毛の脱色、勃起不全、皮膚
 と粘膜の異常、胃痛などの症状が出ても毎日5kgのウォー
 キングを続けていました。1年後に総コレステロール値21
 2mg/dl、中性脂肪273mg/dlでしたが、1年半
 の間、2剤の併用を続けていました。(中略)その後、横紋
 筋融解がさらに進んだようで、一人で歩けなくなり、声が出
 にくくなったりして、入院生活となってしまい、会社もやめ
 ることになってしまったのです。この時点でコレステロール
 低下薬メパロチンの必要はなくなっていました。
  大櫛陽一著『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』
                  祥伝社新書/131
――――――――――――――――――――――――――――
 本来であれば、福田氏のケースでは、ほとんど薬物治療は不要
なのです。なぜなら、福田氏は生活習慣を改善する努力をしてお
り、それによる改善に期待できるからです。中性脂肪を下げるの
に薬は不要なのです。
 それにしても、中性脂肪を下げる薬の恐ろしさです。こケース
の福田実氏のケースでは、2003年7月から裁判が始まり、約
5年後に2008年5月22日に、国、製薬会社、病院に勝訴し
たのです。
 しかし、国が控訴したのです。そのため、最終結審までにはあ
と何年もかかります。何かというと、薬を処方しようとする医師
が多いですが、盲従するのは考えものです。患者は自分でも研究
する必要があるのです。
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2008年12月18日

●糖尿病の本質は「筋肉病」である

 メタボ健診に関連して、糖尿病という病気について知っておく
必要があります。糖尿病という病気について誤解している人が多
いからです。糖尿病には、次の2つの種類があります。
――――――――――――――――――――――――――――
     1.1型糖尿病 ・・・・・  5%
     2.2型糖尿病 ・・・・・ 95%
――――――――――――――――――――――――――――
 「1型糖尿病」は、膵臓の障害によって、インスリンが分泌さ
れないために糖尿病になるケースです。
 「2型糖尿病」は、膵臓はインスリンを分泌するのですが、何
らかの障害で血糖値が下がらない状態――インスリン抵抗性が
起こって膵臓はインスリンを出し続ける状態が続き、この状態が
長年続くと、膵臓は疲れ果ててインスリンが出せなくなるケース
です。これが普通にいう糖尿病であり、日本人の95%は、この
「2型糖尿病」なのです。
 力士には糖尿病が多いといいます。しかし、それは昔の話であ
り、現在の力士に糖尿病は案外少ないのです。どうしてかという
と、力士の稽古のやり方が変わったからです。
 昔の力士は、部屋に入門すると、チャンコをたらふく食べさせ
られます。しかし、稽古はさせてもらえなかったのです。それど
ころか、動くこきとも制限させられたのです。ですから、ほとん
ど全員が糖尿病になったのです。早く体重を増やすためにそうい
う方法をとったわけです。
 しかし、現代の力士は一般人よりも糖尿病になる人は少ないの
です。それは空腹時に十分稽古して、お腹を空かしてからチャン
コを食べるようになったからです。このやり方なら、体重が増え
ても糖尿病にはならないのです。
 大櫛陽一先生は糖尿病について次のように述べておられます。
この言葉は知っておくと、役に立つと思います。
――――――――――――――――――――――――――――
      糖尿病の本質は「筋肉病」である
――――――――――――――――――――――――――――
 糖尿病にならないように、食事制限してダイエットをする人が
少なくありません。しかし、これはけっしてやってはいけないこ
となのです。食事を減らすと、筋肉が少なくなるのです。筋肉が
少なくなると、基礎代謝力が落ちて、食事によって上昇した血糖
値が下がらなくなるのです。そのため、糖尿病になりやすい身体
になってしまうのです。
 筋肉が少なくなったり、使わないと糖尿病になる――このよう
にいわれると少し意外ですが、それはインスリンの抵抗性を防ぐ
ために必要なことであると大櫛陽一先生はいうのです。

●製薬会社のターゲットにされている糖尿病患者

 インスリンの抵抗性がなぜ起こるのかについては、諸説がある
ようですが、「筋肉内のT管への脂肪蓄積」が有力な学説です。
 「T管」とは何でしょうか。
 「T管」というのは、血糖とインスリンの結合体を筋肉に運ぶ
管のことなのです。食事が減って基礎代謝力が落ちると、血糖が
余ります。その余った血糖は、肝臓で脂肪に合成されて、血液中
の中性脂肪が増えるので、これによってT管が詰まってしまうこ
とがあります。この状態になってしまうと、インスリンはあって
も血糖が筋肉に入れないので、血糖値の高い状態が続くのです。
これがインスリンの抵抗性です。
 糖尿病かどうかの診断には、「経口的糖負荷試験/OGTT」
というのがあります。空腹状態で75グラムのブドウ糖を含む水
を飲んで、直前、30分後、60分後、90分後、120分後に
血糖値とインスリン濃度を測定する検査方法です。そして、次の
計算によって糖尿病かどうかを診断するのです。インスリン抵抗
性の指標は「HOMA−R」といっています。
――――――――――――――――――――――――――――
   HOMA−R=ブドウ糖を飲む前のインスリン値×
   血糖値÷405
      1.6 以下 ・・・・・ 正常
      2.5 以上 ・・・・・ インスリン抵抗性
――――――――――――――――――――――――――――
 ある糖尿病患者は、次のような薬を処方されています。コレス
テロール低下薬、血圧降下剤、食後血糖値改善薬などの7種類で
す。これだけの薬が果たして必要かというと、けっしてそうでは
ないのです。そういう意味で、糖尿病患者は完全に製薬会社のタ
ーゲットにされているといえます。
 薬は症状の改善に役立ちますが、その一方において身体の機能
を低下させる副作用を持っています。したがって、こんなに多く
の薬を飲まされると、その副作用で体調を悪くしてしまう恐れが
あるのです。
 日本では、総コレステロール、LDL−C、中性脂肪――これ
らの1つでも高いだけで、いきなり、薬が処方されてしまうこと
が多いのです。しかし、米国では、性別、年齢、高血圧、HDL
−Cから、フラミンガム得点が計算されそれによって、薬物治療
するかどうかが決められるのです。      
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2008年12月25日

●タバコを吸うと、全身にがんのできる可能性がある

 タバコが身体に良くないことは誰でも知っています。それに最
近はタバコを吸う場所がだんだんなくなりつつあります。会社内
はもちろん終日禁煙ですし、外でタバコを吸うことも条例ででき
なくなりつつあります。それについこの間は、すんでのことでタ
バコが増税になるところでした。
 これほどタバコを吸う人が差別されるようになっているのに、
タバコをやめられない人が多いのです。しかし、この話を聞いて
もタバコをそのまま吸い続けるでしょうか。
 1976年から20年間、英国の医師会の会員が自ら、喫煙者
と非喫煙者で肺がんの発症率をは、どのくらい違うかについて調
査したのです。そうしたところ、喫煙者が肺がんを発病する相対
的危険度は、非喫煙者と比較すると、実に14倍になることが判
明したのです。
 しかし、発病するがんは肺がんだけではなく、口腔、咽喉と喉
頭、鼻腔と副鼻腔、食道、胃、膵臓、尿路、膀胱、子宮、骨髄と
全身のがんに及ぶことがわかったのです。まさにタバコはがんの
素なのです。
 どうしてタバコを吸うとがんになりやすいのでしょうか。
 タバコには一酸化炭素(CO)が含まれていますが、その赤血
球との結合力は酸素より強いのです。タバコを吸う人の場合、赤
血球に一酸化炭素が結合してしまい、酸素飽和度が低くなるので
す。
 最近の研究によると、組織が低酸素化状態になるとがんが発症
しやすいことが報告されており、タバコが全身のがんに関係する
メカニズムが解明されつつあるのです。
 また、喫煙と冠動脈疾患や心血管系疾患の間には深い関係があ
るといわれます。喫煙量が増えると、心血管系疾患の発症率が高
くなることが知られているのです。しかし、禁煙によってその影
響は数カ月で、減少します。したがって長く喫煙している人でも
タバコをやめると、すぐに禁煙の効果があらわれるので、身体に
危険だと感じたら、直ちに喫煙をやめることです。
 米国では、がんについてはタバコと食物ががんによる死亡原因
の3分の2を占めており、何はともあれタバコをやめて、あとは
危険性のある食物を食べないようにすれば、その死亡率は大きく
下落するのです。しかし、食物の危険はごく身近なところに存在
するのです。

●トランス脂肪(マーガリン)は心筋梗塞と関連がある

 トランス脂肪というのをご存知でしょうか。
 トランス脂肪とは、植物油に水素を加えて粘りを出したもので
あり、マーガリンがそれに該当します。「植物油」などという言
葉を聞くと、身体に良いと考えてしまいますが、マーガリンは健
康に問題のある食品なのです。
 昔の話ですが、一時期「マーガリンは身体に良い」といわれた
のです。米国の心筋梗塞ガイドラインでは、マーガリンを奨励し
ていたことがあります。欧米を旅行すると、かつてはホテルやレ
ストランでは、必ずバターとマーガリンが一緒に出て選択できる
ようになっていたのです。
 マーガリンは揚げ物やフライで「カラッ」と揚げるために、ラ
ードの代用品として幅広く使われていたのです。しかし、最近で
は欧米のホテルやレストランでは、マーガリンが姿を消し、バタ
ーしか出てこないようになっています。これについて、大櫛陽一
先生は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 実は、トランス脂肪は血管の炎症を起こし、LDL−Cが高く
 なり、心筋梗塞の原因になることが知られるようになったので
 す。1999年に国際脂肪酸・脂質学会は、トランス脂肪の摂
 取量は1日2グラムに制限すべきと勧告を出していたのです。
――大櫛陽一著『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』
                    祥伝社新書/131
―――――――――――――――――――――――――――――
 米国では米国食品薬品局によって、トランス脂肪の削減の指示
が出されており、2006年1月1日から全食品に含有量表示が
義務付けられるようになったのです。
 ニューヨーク市では、2007年7月からレストランやホテル
で提供する食事について、1食当たり0.5 グラム未満にする条
例を制定したのです。違反者には、200ドル以上の罰金が科せ
られます。
 2008年7月からカルフォルニア州でも、2010年までに
レストランでの食事からマーガリンを追放する法律が制定され
ています。このように続々と、トランス脂肪は米国では食卓から
追放されつつあるのです。
 しかし、日本ではこの問題に関して無関心です。とくに、マー
ガリン協会という政治的な圧力団体もあり、ほとんど何の対策も
立てていないのです。日本では、例の中国ギョーザのように、実
際に被害が出ないと何もしない国になってしまっています。厚労
省などは「日本人は摂取量が少ないので、健康に影響しない」と
いって知らん顔です。
 しかし、国民はマーガリンの危険性など知らないので、クッキ
ーなどのお菓子に、サクサク感を出すためにバターよりも安いマ
ーガリンを多用しています。日本も欧米並みに制限すべきである
と考えます。
posted by キーヘルス at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 特定検診 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月08日

●医学界には「利益相反」が蔓延する

 自分の健康のことを考えるとき、留意しておくべきことがあり
ます。それは日本では小泉政権の時代から「医療費抑政策」がと
られているということをです。75歳以上の高齢者を分離する後
期高齢者医療制度もそういう観点から制度化されているのです。
 この「医療費抑政策」を主導しているのは財務省であり、担当
部局は厚労省です。厚労省の予算は財務省で決められますが厚労
省自体は医療費を本気で減らそうなどとは考えていないのです。
大枠の予算は「医療費抑政策」で削られますが、獲得した予算か
ら本気で医療費を削減しようとはしないのです。
 タミフルという薬をご存知でしょうか。
 タミフルはインフルエンザの治療薬として有名です。しかし、
インフルエンザに罹患した子供にタミフルを飲ますと、一部の子
供が異常行動を起こすということが問題になったことを覚えてい
る人もいると思います。突然走りだしたり、高いところから飛び
降りたりする異常行動が実際に起こっています。
 このとき厚労省の委員会では、タミフルは関係していないと結
論を出して、絶対に異常行動とは無関係であるとして否定したの
です。専門家の意見であり国民は無理やり納得させられたかたち
になったのです。
 しかし、2007年3月に、その厚労省の委員会の委員長であ
る横田俊平氏――横浜市立大学医学部には、タミフルの発売元で
ある中外製薬から6年間で、1000万円の寄付金が提供されて
いたことがわかったのです。後になって他の委員2人に対しても
発覚し、それら3人の委員は解任されたのです。しかも、もとも
と厚労省のOBが中外製薬に天下っていて、その影響力が大きか
ったことがわかったのです。官民が完全に癒着していたのです。
人の命に関わることであるだけに、こういうことがあってはなら
ないのですが、タミフルは一部の制限措置は出されたものの、依
然として使われています。
 こういう現象を「利益相反」といいます。実は日本だけでなく
海外でもこの利益相反はよくあることなのです。大櫛陽一先生の
本から、海外の例をひとつ紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
2004年8月1日のワシントンポストで、7月13日に米
国のコレステロール治療ガイドラインの基準を下げる発表を
した委員会の9人の委員のうち6人が、コレステロール低下
薬であるスタチン製薬企業の5社から研究費、謝礼、コンサ
ルティング費を受け取っており、まったくお金のつながりの
なかった委員は1人だけだと報じられました。この新しい基
準により、米国で100万人が高いスタチンを飲まされるこ
とになったのです。
大櫛陽一著『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』
                  祥伝社新書/131
―――――――――――――――――――――――――――――

●患者も自分の処方内容の知識を持つべし

 なぜ、米国のコレステロール治療ガイドラインの話をしたかと
いうと、実はこの米国の基準がベースとなって、日本でさらに新
しい基準が設定されたからです。日本では総コレステロールの基
準が下げられたことによって、コレステロール低下薬の対象者が
増加したのです。
 具体的にいうと、閉経後の女性の半数が対象者に加えられたの
です。海外では閉経後の女性に関しては、コレステロール低下薬
が処方されることはほとんどなく、処方をしているのは日本だけ
です。
 この閉経後の女性を対象者に加えたことによる年間売上高は、
約3000億円にも達するのです。基準を決めているのは、日本
動脈硬化学会なのですが、その理事長を務めた松澤佑次氏が20
03年度まで教授をしていた大阪大学医学部第二内科に対する奨
学寄附金について、情報開示による調査によると、2000年度
から2005年度6年間の合計額は、8億3808万円という驚
くべき数字になるのです。そのほとんどは、製薬会社からの寄付
金なのです。
 既に述べたように、総コレステロール値が220mg/dlを
超えると「高脂血症」と診断されるのです。これは閉経後の女性
の半分を、高脂血症という名の病人に仕立て上げるための陰謀だ
ったのです。「総コレステロールが高いと心筋梗塞を起こす危険
があります」という脅しをかけたのです。
 しかし、欧米では心筋梗塞が日本の3倍以上起きているのです
が、欧米での基準は、LDLコレステロール値で190mg/d
lであり、これを総コレステロール値に直すと、約280mg/
dlであって、220mg/dlは正常値なのです。それなのに、
60mg/dlも下げて多くの病人を作り、薬の売上げに貢献さ
せたのです。これはとんでもない話です。
 このことからわかるように何でも医師のいうことを盲信せず、
患者も勉強して納得のいかないことには質問をして、説明を求め
るべきです。そして、説明に納得したら医師の処方を受け入れる
という姿勢が必要です。
 平均的な医師は、患者が薬などに詳しいことがわかると、無理
に処方を押し付けることをせず、それでもその処方が必要なとき
は患者に対して詳しい説明をしてくれるものです。自分の健康の
ことでもあり、自分に処方されている薬などについては、患者と
してよく研究する姿勢が必要であると思います。それが一番の健
康法であると思います。                 
posted by キーヘルス at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 特定検診 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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