2009年01月15日

●「痛風」は生活習慣病である

 「生活習慣病」という言葉を聞いてあなたは何を連想するでし
ょうか。
 糖尿病、高脂血症、高血圧・・・といったところでしょうか。
いまひとつ、はっきりしませんね。まだまだあるような気がしま
す。ちなみにこの中の「高脂血症」は、コレステロール値のガイ
ドライン変更に伴い、「脂質異常症」というように病名が変わっ
ています。
 そういえば、昔「成人病」という言葉が盛んに使われたのです
が、これは加齢によって発病する病気で、がん、脳卒中、心臓病
は「3大成人病」といわれ国民の死亡率の上位を占めていたので
す。若いときはあまり気にする必要はないが、40歳過ぎたら注
意する病気というイメージです。
 しかし、これらの成人病も長年の生活習慣に深く関与している
ことがわかっていて、生活習慣を改善することによってある程度
防げる病気になってきているのです。このように考えると、生活
習慣病の範囲は大きく広がりますが、生活習慣病に共通している
のは、すぐに死亡に結びつく危険がないということです。これが
成人病との違いです。
 しかし、食生活の変化により、現代は子供でも糖尿病にかかる
危険があり、子供の頃から食生活を含め、正しい生活習慣を身に
付ける必要が出てきているのです。生活習慣病を定義すると、次
のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――
 生活習慣病とは、生活習慣が発症原因に深く関与していると
 考えられている疾患の総称である。このような疾患と肥満を
複合する状態を、医学的にメタボリックシンドロームと称す
る。                ――ウィキペディア
――――――――――――――――――――――――――――
 実はここでいう生活習慣病には、「高尿酸血症」という病気が
入っているのですが、このことを知らない人が案外多いのです。
「高尿酸血症」とは、「痛風」のことです。「痛風」とはどうい
う病気かわかるでしょうか。
 痛風は、古代ギリシャの文献にも登場するほど古い病気であり
王侯貴族などの富裕層がかかったことから、「帝王病」とか「ぜ
いたく病」といわれ、庶民には関係のない病気のイメージがあっ
たのです。もっとも、糖尿病もそういうイメージのあった頃があ
りましたが、食生活の変化から現在では誰でもかかる病気になっ
ています。
 かつて日本人で痛風になる人はほとんどいなかったのです。痛
風の患者が増えたのは、1960年(昭和35年)以降のことで
す。なぜなら、この年を境に日本人の食生活が大幅に変化したか
らです。
 それまでの日本人の食生活は、ごはんなどの穀類を中心に、魚
や野菜、海藻などの煮物、焼き物、みそ汁、お新香といった低脂
肪、低蛋白、低カロリーの食生活であり、糖尿病や痛風の入り込
む余地はなかったのです。皮肉な話ですが、そういうかつての食
生活が最も健康的であることが、食の欧米化が進んだ現在になっ
て、わかってきたというわけです。

●「高尿酸血症」――痛風とは何か

 痛風とはどういう病気でしょうか。
 体内で作られる「尿酸」という物質があります。この尿酸がな
んらかの原因で体内に増えすぎて、尿の中ですべて溶け切れなく
なることがあります。これらの尿酸は関節に尿酸結晶というかた
ちで溜まってくるのです。それが、ある日突然、激痛を伴った節
の炎症を起こすことがあるのですが、それが痛風と呼ばれる病気
です。風が吹いても痛いという意味のようです。
 このように、血液中に尿酸の増えた状態を高尿酸血症というの
ですが、1960年代には、成人男性の約5%でしかなかったの
です。それが70年代から80年代前半には15%に増加したの
です。食の欧米化の影響です。そして、バブルがはじけた90年
代には20%になっています。
 もうひとつ大きな変化があります。かつて痛風といえば中高年
のオヤジの病気であり、その好発年齢――よく起こる年齢は50
歳代であったのですが現在では30歳代にピークがきています。
しかし、男女比は「50対1」であり女性はほとんどかからない
病気なのです。
 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、現在の高尿酸血
症の患者数はおよそ70万人といわれますが、この数字は病院に
行って高尿酸血症という病名で治療を受けている人数であり、そ
れ以外に「痛風予備軍」はたくさんいるのです。その数は、おそ
らく数百万に上るでしょう。
 なぜかというと、糖尿病も同じですが、血液中にブドウ糖や尿
酸が多少増えたとしても、痛くもかゆくもないわけであり、実際
に痛みを感じて、病院に駆け込むというのが一般的な傾向である
からです。
 糖尿病患者の数を把握するためのはじめての「フィールド調
査」――全住民を対象とした調査は1989年に行われたのです
が、その調査で判明したのは患者数は110万人という数だった
のです。
 しかし、この110万人は「糖尿病」という病名で病院におい
て治療を受けている患者数であり、実際には560万人〜570
万人も患者がいたのです。実際にその約20%しか治療を受けて
いなかったのです。
 同じようなことが痛風にもいえると思います。そういうわけで
痛風についてこれからしばらく考えることにします。  
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2009年01月22日

●尿酸値改善のためにビールをやめる必要はない

 私たちの身体は多くの細胞でできています。その細胞の数は実
に60兆個もあるのです。それらの細胞のひとつひとつに遺伝情
報を担い、タンパク質を作るための核酸が存在するのです。
 その核酸を構成する成分のひとつに「プリン体」というものが
あります。尿酸は、プリン体という物質が原料となって作られる
のです。痛風について知るにはプリン体についての知識が必要で
す。私たちの身体の中では、一部の細胞を除いて古くなった細胞
は壊され、新しい細胞が作られるという代謝が繰り返されていま
す。その細胞が壊され、核酸が代謝される過程でプリン体の一部
が再利用されず、分解されて尿酸ができるのです。すなわち、尿
酸というのは、代謝の結果生じた最終代謝産物――老廃物という
ことになります。
 このように、多くの尿酸が体内で作られるのですが、食べ物に
含まれるプリン体からも尿酸は作られるのです。プリン体は、動
物性食品や高エネルギー食品に多く含まれています。これらの食
品が体内に取り込まれ、分解することで尿酸が作られるのです。
 どのような食品にプリン体が多いかいくつか上げておきましょ
う。
――――――――――――――――――――――――――――
 豚肉(レバー) ・・・・・ 284.7mg/100g
 牛肉(レバー) ・・・・・ 219.7mg/100g
 鶏肉(レバー) ・・・・・ 312.2mg/100g
 干し椎茸    ・・・・・ 379.5mg/100g
 カツオ     ・・・・・ 211.4mg/100g
 カツオブシ   ・・・・・ 493.3mg/100g
 ニボシ     ・・・・・ 746.1mg/100g
 イサキ白子   ・・・・・ 305.5mg/100g
――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、プリン体を多く含む食品の代表的存在は「ビール」だ
といわれていますが、本当なのでしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――
 ビールS社   ・・・・・  5.12mg/100g
 ビールE社   ・・・・・  6.86mg/100g
 ビールK社   ・・・・・  4.35mg/100g
 ウイスキー   ・・・・・  0.12mg/100g
 焼酎25度   ・・・・・  0.03mg/100g
 日本酒     ・・・・・  1.21mg/100g
――――――――――――――――――――――――――――
 これを見る限り、ビールそのものに含まれるプリン体はたいし
たことはないことがわかります。おそらく他の酒類に比べると高
いということはいえます。ところがです。食べたものから作られ
る尿酸は、体内で自然に作られる尿酸よりもはるかに少ないので
す。そのうえ、食品に含まれるプリン体は、腸内の細菌によって
分解されてしまうので、よほど一度にたくさんを摂取しない限り
尿酸値の上昇には大きく影響しないことがわかってきたのです。
 したがって、ビールに関しても普通に飲んでいる限り、そんな
に目くじらを立てる必要はないのです。尿酸値が高いからといっ
て、好物のビールをやめても尿酸値の軽減にほとんど寄与しない
からです。

●尿酸を分解するウリカーゼという酵素がある

 プリン体が分解してできる尿酸は、老廃物として対外――尿の
中に排泄されるべき物質なのです。尿中に大量に排泄される酸性
物質ということで「尿酸」と名づけられたのです。尿に出て行く
ということは、水に溶ける物なのだということを覚えておきまし
ょう。
 ところで、プリン体というと、お菓子の「プリン」を連想しま
すが、結論からいうと、まったく関係はないのです。プリン体の
語源は次の通りです。
――――――――――――――――――――――――――――
   pure(基) +urine(尿) =尿の中の基本的物質
――――――――――――――――――――――――――――
 尿酸は、代謝の結果生じた最終代謝産物であると書きましたが
「ウリカーゼ」という酵素があると、アンモニアと尿素に分解で
きるのです。この酵素はヒトが属する霊長類を除く哺乳類はすべ
て持っていて、尿酸をアラントインという物質に分解できるので
す。
 なぜ、人間に尿酸を分解するウリカーゼがないかについては明
確ではないのですが、おそらく進化の過程で失われたものと思わ
れます。ウリカーゼがないのですから、痛風は人間だけではなく
チンパンジーやゴリラなどの霊長類もかかるということになりま
す。しかし、チンパンジーやゴリラが実際に痛風の発作を起こす
ものかについては、確認されてはいないのです。
 もうひとつ尿酸を分解するウリカーゼを持っていない動物がい
るのです。それは鳥類です。鳩やカラスはフンと一緒に尿酸を排
泄しています。フンの大部分は白いもので占められていますが、
その白いものが尿酸なのです。これが自動車などに付くと、酸性
であるだけに塗装にも影響します。      
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2009年01月29日

●体内には「尿酸プール」というものがある

 私たちの体内には、通常一定量の尿酸が体液に溶けて存在して
おり、それを「尿酸プール」と呼んでいます。その量は約120
0mgといわれています。
 ところが、この尿酸プールに加えて、毎日約600〜700m
gの尿酸が作られているのです。そうすると、尿酸プールに加え
て毎日尿酸が作られると、体内は尿酸だらけになってしまうと心
配する向きがありますが、そういう心配はないのです。それはち
ょうど、毎日作られる分の尿酸は尿と一緒に体外に排泄されるか
からです。
 それでは、何の目的で一定量の尿酸が体内に常駐しているので
しょうか。
 実はその本当の理由はわかっていないのです。一説には、細胞
を酸化して老化を促進したり、がんの原因になる活性酸素の毒性
を抑える効果があるのではないかといわれていますが、学問的に
は証明されていないのです。
 このように体内には一定量の尿酸プールがあるのですが、何ら
かのトラブルで体内で作られる尿酸が異常に増えたり、尿酸の排
泄が悪くなると、尿酸プールから尿酸が溢れ、血液中の尿酸値が
上昇します。
 この血液中の尿酸値――血液中の尿酸濃度が一定の水準を超え
ると、「高尿酸血症」と診断されます。そのガイドラインは、次
のようになっています。
――――――――――――――――――――――――――――
 性・年齢を問わず、尿酸値の正常上限は、7.0 mg/dl
 とし、これを超えるものを高尿酸血症と定義する。
     ――「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」より
――――――――――――――――――――――――――――
 最近では、尿酸値が7.0 mg/dlを超えると、すぐ薬物治
療を勧める医師が多いですが、それはあまりにも乱暴な話です。
 8.0 mg/dlぐらいまでなら、生活習慣を改善し、定期的
な検査を行い数値の低下を図ります。それでも、8.0 mg/d
l以上、9.0 mg/dl未満であれば、腎障害や尿路結石の有
無を調べる精密検査を行い、それでも改善しない場合に、はじめ
て薬物治療が行われるのです。
 最近見られる症例では、尿酸値が9.0 mg/dlが続き、高
尿酸血症と診断されても、何らの痛風発作や痛風結節などの症状
がみられないケースが多くなっています。これを「無症候性高尿
酸血症」と呼んでいます。

●高尿酸血症には3つのタイプがある

 高尿酸血症には、次の3つのタイプがあります。
――――――――――――――――――――――――――――
          @排泄低下型
          A産生過剰型
          B混 合 型
――――――――――――――――――――――――――――
 第1は「排泄低下型」です。
 このタイプは、何らかの原因によって尿酸が腎臓で濾過され尿
中に捨てられる尿酸の量が、減少することによって尿酸の溜まる
タイプであり、日本人に多いのです。
 原因として考えられるのは、先天的なもの、腎臓の病気、動脈
硬化や高血圧などによって腎機能が低下するケースです。ただ、
日本人の場合は、先天的なタイプが多いといわれています。
 第2は「産生過剰型」です。
 このタイプは、体内で作られる尿酸の量が過剰になるケースで
スポーツをする人や、脂っこい料理が好きであるタイプや食べ過
ぎる人に多いのです。なぜスポーツマンがこのタイプかというと
それは無酸素運動にあるのです。
 スポーツマンであれば、息を止めたまま行う筋肉トレーニング
を多くやりますが、このとき体内には高エネルギー化合物である
ATP(アデノシン三りん酸)の分解が通常よりも盛んになるの
です。
 そうすると、プリン体のアデニンが多くできてしまい、そこか
ら尿酸が作られます。それと同時に酸素をとらないでエネルギー
を多く作ることになるので、筋肉に疲労物質である乳酸が溜まる
のです。この乳酸がともに酸であるため、共通の出口から体外へ
捨てられる尿酸の排泄を妨げるのです。
 また、病気によって産生過剰型になるケースがあります。白血
病や骨髄腫にかかると、細胞が異常に増殖して破壊されるという
プロセスを繰り返します。さらに、治療のために放射線を照射し
たり、抗がん剤を投与したりすることで細胞内の核酸が壊されて
大量の尿酸ができてしまうのです。
 第3は「混合型」です。
 これは、文字通り排泄低下型と産生過剰型をミックスしたタイ
プです。高尿酸血症の10%〜20%はこのタイプであるといわ
れています。
 これら3つのタイプとは別の意味で、高尿酸血症になりやすい
タイプをまとめておきましょう。
 第1に「男性である」ことです。女性は少ないのです。第2に
年齢としては「30〜50歳代」であることです。そして「お酒
が好き」であって、飲む機会が多く、会社では中間管理職で「ス
トレスが溜まりやすい」人がその最大のターゲットになります。 
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2009年02月05日

●痛風の発作のもたらすもの

 痛風の発作とはどういうものなのでしょうか。
 痛風発作が起きる主な部位は、足の親指の付け根、足の甲、く
るぶし、アキレス腱、膝の関節などです。最初の痛風発作の約9
0%は、くるぶしより下の末梢の指関節にあらわれます。とくに
多いのが、足の親指の付け根であり、それは全体の70%以上を
占めているのです。
 痛風発作は、多くは夜中から朝にかけて起こります。どうして
かというと、就寝中は血圧が下がり、血液循環が悪くなって、体
温が下がるからです。激しい関節の痛みが襲ってきますが、痛み
は数日続き、幹部は腫れあがります。足に出ると腫れあがるので
靴などは履けませんし、歩くことは困難になります。腫れが引く
までには1〜2週間かかるのが普通です。
 痛みを軽くするために消炎鎮痛薬が使用されますが、必ずしも
痛みが軽くならないことがあります。発作は1〜2週間近く続く
ことがあり、その間仕事もままならなくなることも多いのです。
いずれにせよ、痛風発作が出たときは、少しでも早く医師にかか
ることが肝要なのです。
 痛風の痛みは、「風に当たっても痛い」というほどの痛みであ
り、耐えられる痛みの程度を超えているので、鎮痛剤などでは痛
みが治まらないケースが多いのです。したがって、ほとんどのケ
ースは、医師にかかることになるはずです。しかし、まれにほと
んど痛みを感じないケースもあります。
 最初の痛風発作は、たとえ根本的な治療をしないでも1〜2週
間で痛みや腫れが引いて、ウソのように治まります。正常の状態
に戻りますが、これは治ったわけではないのです。そのあとしば
らく発作はおきませんが、その間に治療を怠ると、やがて2度目
の痛風発作が襲ってきます。
 不幸にして痛風発作が出てしまったら、医師の指示を受け、尿
酸値を下げる治療、生活習慣や食生活の見直しと改善を行う必要
があります。そういう治療を怠ると、6カ月〜1年経つと再び痛
風発作が襲ってきます。
 こういう発作を繰り返していると、発作を起こす間隔が短くな
り、痛みが治まるまでの日数が長くなっていきます。それだけで
はないのです。発作を起こしている関節周辺や軟骨、皮下組織に
尿酸結晶がだんだん溜まって、皮膚が盛り上がり、瘤状の痛風結
節ができてしまいます。
 こうなると、内臓にも障害がおよび、合併症が起きてしまうの
です。この場合は、単なる痛風による痛みや腫れのケアでは済ま
なくなり、全身状態が悪化して深刻な事態に陥ってしまうことが
多いのです。
 痛風発作と間違いやすい病気に「関節リウマチ」があります。
痛風も関節リウマチも関節が激しく痛みますが、痛風の場合はひ
とつの関節だけが痛むのに対して、関節リウマチは複数の関節が
同時に痛む点が違います。しかも、痛風になるのはほとんど男性
であり関節リウマチの場合はほとんどが女性がかかる病気です。
もちろん、例外はありますが・・・。

●「痛風腎」にならないようにする

 ところでひとつ疑問があります。なぜ、痛風の発作は、くるぶ
しより下の末梢の指関節に関節炎が起きるのでしょうか。
 それは、足が心臓から一番離れているので血流が悪いうえに、
体温が低いこと、それに体のどの部分よりも運動量が多く、その
ために組織液が酸性になりやすいことが、原因ではないかと考え
られています。
 血液が酸性になると溶けていた尿酸が溶けにくくなるのです。
したがって痛風発作を防ぐには、血液をアルカリ性に保つことが
必要です。血液がアルカリ性になると、アルカリ性の成分を尿中
に追い出し、体内環境を保ちます。そのため尿がアルカリ性にな
ります。
 痛風の合併症として一番多いのは、腎臓に障害が起きることで
す。血液中の尿酸が過剰になると、腎臓の髄質が尿で濃縮されて
酸性に傾くのです。そのためただでさえ水に溶けにくい尿酸が一
層溶けにくくなり、尿酸結晶が析出して髄質に沈着しやすくなる
のです。
 髄質に尿酸が沈着しても炎症は起きますが、あまり痛みは感じ
ないことが多いのです。多少の痛みはあっても、足の親指の付け
根の痛みなどとは違って軽いものなので、気がつかないことが多
いのです。この状態が進行すると、腎機能が低下して、血液を濾
過する能力が落ちてくるのです。
 腎臓の濾過装置は、薄いコラーゲンなどの膜の上に細胞が並ぶ
構造をしているのですが、そこに固い尖った針のような尿酸の結
晶が刺さって、尿細管が破壊されてしまうことが多いのです。こ
の状態が続くと、尿の流れがスムーズにいかなくなってきます。
 自覚症状がないままに、病状が進行すると、腎障害が腎臓全体
に広がり、やがては腎臓が機能しなくなる腎不全に陥ってしまい
ます。腎臓での濾過ができなくなると、機械で濾過する人工透析
が必要になります。そうしないと、最悪の場合は、尿毒症を引き
起こすこともあるのです。
 このように痛風が原因で起きる腎障害を「痛風腎」というので
す。痛風腎は自覚症状がないだけでなく一般的な腎臓の検査や、
レントゲン検査では発見されにくいので、腎機能が相当低下した
段階ではじめて気がつくというケースが多いのです。高尿酸血症
自体はそんなに深刻な病気ではありませんが、それを放置して重
くせず、早い段階で適切な治療をすることが肝要です。  

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2009年02月12日

●痛風はどのように診断されるか

 痛風はどのように診断されるのでしょうか。
 痛風であるかどうかの診断は、次の3つの検査によって行われ
るのです。
     @痛風であることを診断するための検査
     A尿酸値と高尿酸血症のタイプ判定検査
     B痛風による合併症の有無を調べる検査
――――――――――――――――――――――――――――
 痛風の診断基準として現在使われているものは、1977年に
米国リウマチ学会が提案したものを使っているのです。この診断
基準には、次の3項目の基準があるのです。専門的ですが掲載し
ておきます。
――――――――――――――――――――――――――――
    @尿酸塩結晶が関節中に存在すること
    A痛風結節の照明
    B以下の項目に6項目以上該当する
     a.2回以上の急性関節炎の既往症がある
     b.24時間以内に炎症のピークに達する
     c.単関節炎である
     d.関節に発赤がある
     e.第一中足指節関節の疼痛または腫瘍がある
     f.片側の第一中足指節関節の病変である
     g.片側の足関節の病変である
     h.痛風結節(確認または疑診)がある
     i.血清尿酸値の上昇がある
     j.X線上の非対象性腫瘍がある
     k.発作の完全な寛解がある
    ――田代真一著/『ビールを飲んで痛風を治す!』
                 角川oneテーマ21
――――――――――――――――――――――――――――
 @ 「尿酸塩結晶」というのは、尿酸が析出してできた針状の
尿酸結晶のことです。これを調べるには、患部に針を刺して関節
液を抜き、それを顕微鏡で調べるのですが、痛風の激痛で苦しむ
患者にはできない検査なのです。
 Aの「痛風結節」については、実際に痛風の発作を起こしても
痛風結節ができるとは限らないのです。そこで、結局はBによっ
て診断することになります。
 Bは、痛風によく似た他の疾病と間違えないようにするための
チェックリストであるともいえるのです。

●高尿酸血症には3つのタイプがある

 上記の検査によって、痛風発作が生じた高尿酸血症であると診
断されると次に高尿酸血症のタイプを決める必要があります。高
尿酸血症のタイプは、次の2つのファクターの判定が必要になり
ます。
――――――――――――――――――――――――――――
         @尿中尿酸排泄量の測定
         A尿酸クリアランス測定
――――――――――――――――――――――――――――
 @ 「尿中尿酸排泄量の測定」は、体内で作られる尿酸の量を
測定するための検査です。この検査では、一日の尿の量を知る必
要があります。成人の平均値は2L程度ですが、高尿酸血症の患
者の場合、水分を多く取っているので3L程度の排泄量になりま
す。患者から提出された尿の尿酸値を測定し、その値に1日に排
泄された尿の全量をかけて尿酸の排泄量を求めるのです。
 Aの「尿酸クリアランス測定」は、腎臓の濾過能力を測定する
ものです。検査方法は、水分を飲み、その30分後に排尿して、
膀胱を空にしたうえで正確に一時間後に採尿します。
 尿量と尿中尿酸値を測定して、血清尿酸値から尿酸クリアラン
スを求めるのです。クリアランスというのは、一掃とか消失とい
った意味で、体内から尿酸をどの程度追い出しえているかを測る
ことをいいます。よく在庫処分などで「クリアランス・セール」
といいますが、そのクリアランスです。
 尿中尿酸排泄量は体の大小によってその作られる量や、または
溜まっている尿酸値の量が違うので、1時間に体重1キログラム
あたりどれだけの尿酸が出たかを示すのです。尿酸クリアランス
は1分間に血清何ml分の尿酸が排泄されたかを示す指標です。
これら2つの指標によって、高尿酸血症のタイプが次の基準によ
って決まります。
――――――――――――――――――――――――――――
 @ 酸産生過剰症/尿中尿酸排泄量が0.51 mg/kg
  /時間より多く尿酸クリアランスが6.2 ml/分以上
 A尿酸排泄低下症/尿中尿酸排泄量が0.48 mg/kg
  /時間未満、あるいは尿酸クリアランスが6.2 ml/
  分未満
 B混合型/尿中尿酸排泄量が0.51 mg/kg/時間よ
  り多く尿酸クリアランスが6.2 ml/分未満
――――――――――――――――――――――――――――

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2009年02月19日

●「高尿酸血症」になっても「痛風」になってはいけない

 「高尿酸血症」と「痛風」という2つの言葉が出てくるので、
整理しておくことにします。ここで「高尿酸血症」というのは、
痛風の症状が出ていない状態を指し、痛風の症状が出たケースを
「痛風」と称するのです。
 つまり、高尿酸血症になったら、努力して尿酸値を下げ、痛風
にならないようにする必要があります。一度痛風になってしまう
と、きちんと治療をしないと、何回でも痛風の症状が繰り返し出
る恐れがあり、高尿酸血症になったら、できる限りその段階で痛
風に移行しないようにする必要があるのです。
 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」によると、高尿酸血
症や痛風の治療目的には、次の3つがあります。
――――――――――――――――――――――――――――
   1.何はともあれ痛風発作による激痛を取り除く
   2.尿酸値を下げて、痛風発作の発症を予防する
   3.腎障害や生活習慣病の合併を防ぎ、改善する
――――――――――――――――――――――――――――
 高尿酸血症になったら、痛風にならないようにする必要があり
ます。そのためには、尿酸値を下げなければなりませんが、もっ
とも痛風になりにくい尿酸値は次の通りです。
――――――――――――――――――――――――――――
        4.6〜6.6mg/dl
――――――――――――――――――――――――――――
 もし、尿酸値を6.0 mg/dl以下に下げることに成功する
と、腎臓への尿酸沈着尿路結石の発症や発展を防ぎ、糖尿病や高
血圧、脂質異常症などの合併症を併発するのを防ぐのです。これ
が目標値です。

●痛風発作の時期によって治療法が異なる

 痛風の発作には、次の4つに分けることができます。
――――――――――――――――――――――――――――
    1.前兆期 ・・・ 発作の前兆が現われる
    2.極 期 ・・・ 発作がピークに達する
    3.軽快期 ・・・ 痛みがとれて軽くなる
    4.寛解期 ・・・ 痛みが完全におさまる
――――――――――――――――――――――――――――
 前兆期には「コルヒチン」が使われます。コルヒチンは、尿酸
結晶に反応する白血球の働きを抑制して、痛みや炎症の広がりを
止める効果があります。しかし、炎症が拡大した後ではあまり効
果は期待できないのです。つまり、前兆期に服用することによっ
て痛風になるのを未然に防ぐのです。一度発作を起こした人が再
度の発作を起こすことを防ぐために使われるのです。もし、この
薬を極期に大量に服用すると、腹痛、下痢、嘔吐、筋肉のけいれ
んが起こる恐れがあります。
 痛風発作の極期、軽快期を通じて使われるのが非ステロイド系
抗炎症薬です。極期には短期間に比較的大量に服用するのです。
これによって、激痛は軽快することが多いのです。
 しかし、非ステロイド系抗炎症薬は、一般に胃潰瘍などの胃腸
障害を誘発し悪化させたり、腎機能を悪化させる副作用があるの
です。したがって既に腎機能やむくみのある人は、医師にそのこ
とを伝えて、副作用の少ない非ステロイド系抗炎症薬を処方して
もらう必要があります。
 また、非ステロイド系抗炎症薬は水に溶けにくいのです。した
がって、血の中では大半がタンパク質にくっついて運ばれている
のです。こういう性質の薬なので、心筋梗塞を起こしたことがあ
るとか、心房細動があるという理由で血液を固まりにくくするワ
ルファリンを飲んでいる人は、非ステロイド系抗炎症薬は使えな
いのです。そのときはステロイドが処方されることになります。
 痛みが完全に収まる寛解期になると、尿酸値を下げる治療が行
われます。尿酸値を下げるには薬物が使われますが、それは尿酸
値の数値と痛風発作や合併症の有無などによってその治療は、次
のように異なります。
――――――――――――――――――――――――――――
・痛風発作あって尿酸値が7.0 mg/dl以上 → 尿酸
降下薬
・痛風発作なくて尿酸値が8.0 mg/dl未満 → 食習
慣改善
・合併症があって尿酸値が8.0 mg/dl以上 → 尿酸
降下薬
・合併症がなくて尿酸値が9.0 mg/dl未満 → 経過
を観察
・合併症がなくて尿酸値が9.0 mg/dl以上 → 尿酸
降下薬
――――――――――――――――――――――――――――
 尿酸降下薬は、尿酸がストックされる原因によって次の2種類
数あります。
――――――――――――――――――――――――――――
        1.尿酸生成抑制薬
        2.尿酸排泄促進薬
――――――――――――――――――――――――――――
 尿酸を多く作ってしまう尿酸産生過剰型の患者には「尿酸生成
抑制薬」を、尿酸が排泄されないで溜まってしまう患者には「尿
酸排泄促進薬」が使われることになります。
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2009年02月26日

●ビールが犯人とされる4つの理由

 ここまでの痛風についての記述は、昭和薬科大学教授田代真一
氏の次の本を参考にしてきています。
――――――――――――――――――――――――――――
    田代真一著/『ビールを飲んで痛風を治す!』
               角川oneテーマ21
――――――――――――――――――――――――――――
 田代氏は自分自身が実際にひどい痛風にかかっており、その経
験をもとにこの本を書いておられるのです。しかも、痛風の敵と
されるビールを大量に飲んで、痛風を直すという武勇伝の持ち主
です。
 それでは、どうしてビールが痛風の犯人とされているのでしょ
うか。
 痛風のテーマの最後に、田代氏の意見を参考になぜビールが痛
風の犯人にされてしまうのかについて考えます。
 ビールが犯人とされるには4つの理由があります。ひとつずつ
考えていくことにします。
 第1の理由は、「他のアルコールに比べるとビールはプリン体
が多い」ということです。
 第26号に示したように、ビールは他のアルコールのウイスキ
ーや焼酎や日本酒に比べるとプリン体が多いのです。どうしてプ
リン体が多いのかというとビールは麦芽を使うからです。麦にし
ても米にしても発芽部分にプリン体が多く含まれているのです。
発芽部分は成長を担っているので、活発に分裂と核酸代謝を繰り
返すのです。
 第2の理由は、「アルコールは細胞を破壊し、核酸代謝を盛ん
にする」ということです。
 アルコールを飲むと臓器の細胞を破壊します。そうするとその
再生のために細胞分裂をしたり、修復したりするので、体の中で
核酸代謝がさかんに行われるのです。その結果、尿酸が大量に作
られるのです。
 アルコール度の強いお酒ほど、細胞を破壊する力は強くなりま
す。その点ビールはアルコール度は低いので、お酒の中では一番
罪が軽いといえます。
 第3の理由は、「アルコールは尿酸排泄機能を低下させる可能
性が大」ということです。
 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」によると、「アルコ
ール飲料は、その代謝に関係し、血清尿酸値を上昇させる」とあ
ります。この理由について田代氏は次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――
 ビールであれ、ウイスキーであれ、焼酎であれ、アルコールが
肝臓で代謝される過程は、主に、アルコール脱水素酵素によって
アセトアルデヒドという毒性の強い物質に酸化され、さらに、ア
ルデヒド脱水素酵素によって酢酸に代謝されます。この酢酸が血
液中を流れて腎臓で濾過され、体外に排泄されます。
――田代真一著/『ビールを飲んで痛風を治す!』/角川one
テーマ21
――――――――――――――――――――――――――――
 第4の理由は、「ビールのパートナーの「つまみ」こそ真犯人
である」ということです。
 ビールを飲むと、脂っこいつまみが食べたくなります。実はこ
のつまみこそ痛風の真犯人なのです。そういうつまみに含まれる
プリン体の含有量はビールの比ではないのです。したがって、ビ
ールを飲んでも、つまみをできるだけ食べないようにするのが痛
風にならないコツなのです。

●尿をアルカリ化する食品を積極的にとる

 プリン体を多く含む食品の一部は第26号に出ていますので、
意識して避ける努力をする必要がありますが、気がつかないうち
に食べてしまっているプリン体があるのです。
 間違いやすいのは、健康に良い食品です。その代表格は納豆な
どの発酵食品です。もうひとつ注意しなければならないのは調味
料です。調味料の原料は、グルタミン酸とイノシン酸というアミ
ノ酸や核酸の成分です。
 昆布味はグルタミン酸であり、かつお味の方はイノシン酸なの
です。これらの調味料は多くのプリン体を含んでいるのです。し
かし、これらは食べるときに目に見えないのです。煮物や汁物の
中に入っているからです。
 このようにプリン体の多い食品は、知らず知らずのうちに体内
に入ってきてしまうので、尿をアリカリ化する食品を意識してと
る必要があります。なぜならアルカリ化した尿は尿酸をよく溶か
すからです。
 尿を酸性化する食品の代表は肉や魚介類であり、アルカリ化す
る食品の代表は野菜やいも、きのこ、大豆、海藻類です。これら
のアルカリ化する食品を目安として、一日に300〜350グラ
ムとるのがよいのです。そのうち100グラム以上は緑黄色野菜
にするのが理想的なのです。
 なや、カリウムを多く含む食品は尿をアルカリ化するので、積
極的に多くとる必要があります。果物の中にはカリウムを多く含
むものが多く、積極的にとるべきです。しかし糖分が多いので血
糖値が上がりやすくなったり、使われなかったブドウ糖が中性脂
肪として体脂肪にたまって太るので、あわせて注意が必要です。
痛風の話は以上で終わりです。            
posted by キーヘルス at 04:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 通風 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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