2009年08月27日

●「血管」とは何か

 一般的に「沈黙の臓器」といえば肝臓のことです。これに対して「口
の固い臓器」といわれるものがあります。それが血管です。沈黙を破る
ときは、次の2つの事故が起きます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
           1.血管が詰まる
           2.血管が破れる
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血管に事故が起きると、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血という、たちまち
命にかかわる事態に陥るのです。人間は「血管から老いる」といわれて
います。血管が老いることは「血管の老化」といわれますが、これにつ
いて知っておくべきことは、自分の身を守ることにつながるのです。
 「血管」とは何でしょうか。
 ごく簡単にいうと、血管とは血液の通り道です。ウィキペディアには
血管について、次のような解説があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血管は、血液を身体の各所に送るための通路となる管。全身へ酸素や
 栄養分、老廃物、体温(恒温動物の場合)、水分を運ぶ。血管中の血
 液を規則的に送るための筋肉に富む構造がある場合、これを心臓とい
 う。血管中の血液の流れる方向は普通一定しており、血管には心臓か
 ら出る血液を送る動脈と心臓へ戻る血液を送る静脈がある。
                      ――ウィキペディア
――――――――――――――――――――――――――――――――

●「心臓」はどこにあるか

 ところで、あなたは心臓がどこにあるか正確にわかりますか。
 ほとんどの人は「心臓は左の胸にある」と思っています。これはけっ
して間違いではないのですが、正確とはいえないのです。それでは、本
当はどこにあるのでしょうか。
 心臓は胸の真ん中のやや左寄りのところになるのです。それはほとん
ど胸の真ん中といってよいと思います。救命処置として心臓マッサージ
をするときも胸の真ん中の胸骨の真上から強く下方に押すのが正しい方
法です。
 心臓の位置を正確に知る方法があります。誰でもできるので、ぜひや
ってみてください。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      @親指を中に入れ右手でこぶしをつくる
      Aその握りこぶしを真っ直ぐ前に伸ばす
      B肘を曲げて握りこぶしを胸に近付ける
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これによって、いろいろなことがわかります。親指を中に入れた握り
こぶしがちょうど心臓の大きさになります。真っ直ぐ前に伸ばした握り
こぶしを肘を水平に折り曲げて胸に近付けると、こぶしはちょうど胸の
中央にきます。その位置に心臓があるのです。

●心臓の働きについて知る

 心臓はどのような仕事を行っていますか。
 この質問に対してはほとんどの人が次のように答えます。「心臓の仕
事は血液を送り出して、全身に酸素と栄養素を届けること」である、と
しかし、心臓の仕事はそれだけではないのです。心臓には次の2つの仕
事があるのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.心臓の仕事は血液を送り出して、体全身に酸素と栄養素を届ける
 2.心臓に戻ってきた血液を肺に送り出して肺で酸素の供給を受ける
――――――――――――――――――――――――――――――――
 心臓は血液を全身に送り出して酸素と栄養素を届けるのですが、もう
ひとつ心臓に戻ってきた血液を肺に送り出して酸素をもらう仕事がある
のです。
 さて、心臓には4つの部屋があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.左心房     3.右心房
       2.左心室     4.右心室
――――――――――――――――――――――――――――――――
 心臓の2つの仕事のうち、全身に血液を送り出す仕事をしているのは
「左心室」であり、肺に血液を送り出しているのは「右心室」です。左
心室から送り出された血液は、大動脈に入り、だんだん枝分かれして細
い血管を通り、毛細血管にいたり、全身を巡ります。細胞は届いた酸素
と栄養素により、細胞活動を行い、出たゴミ(一酸化炭素と老廃物)は
静脈を経て回収されるのです。
 静脈は心臓に戻る途中、腎臓で老廃物の一部である尿素窒素やクレア
チニンを濾してきれいな状態になり、肝臓でさらに解毒され、右心房に
戻ってくるのです。そして右心室から肺に送り出されます。そして、肺
で酸素をもらうと、左心房に戻ってくるのです。そして、戻ってきた血
液は、左心室から全身に送り出されるのです。――[血管の話/01]
               
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2009年09月03日

●2つの循環――「体循環」と「肺循環」

 心臓の働きを整理しておきましょう。
 心臓が一回ギュッと縮むと左心室から全身に血液が送り出され、それ
と同時に全身をめぐって右心房に戻ってきている血液が右心室から肺に
送り出されるのです。心臓が縮むごとにこの2つのことが同時に行われ
るのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  左心室 → 全身を循環する → 右心房 ・・・ 体循環
  右心室 → 肺で酸素を補給 → 左心房 ・・・ 肺循環
――――――――――――――――――――――――――――――――
 左心室から全身に送り出された血液は全身をめぐって右心房に戻って
くるのですが、この循環を「体循環」と呼んでいます。そして、右心室
から肺に送り出される血液は肺で酸素を補給されると左心房に戻ってき
ますが、これを「肺循環」と呼ぶのです。
 つまり、心臓が一回ギュッと縮むごとに血液は2つの複雑な循環――
体循環と肺循環――を行うのですが、これがスムーズに行われるのは、
心臓に「弁」がついているからです。心臓には左側と右側に2つずつ、
合計4つの弁がついていますが、この4つの弁が血液の流れをコントロ
ールしているのです。

●「冠動脈」とは何か

 心臓は血液を送り出すポンプの役割をしています。身体のすみずみま
で、血液に乗せて酸素や栄養を運ぶポンプの役割ですが、肝心の心臓自
体の酸素や栄養はどのようにして供給されているのでしょうか。
 心臓への酸素や栄養の補給は、心臓の外側――つまり、心臓の表面を
走る3本の血管によって行われているのです。この血管は、冠をかぶせ
たようなかたちをしているので、「冠状動脈」という名前がついていま
す。
 この冠状動脈がどういうかたちをしているのかを理解するために、東
京医科大学の高沢謙二先生は、講演のさい、両手の握りこぶしを使って
次のように説明しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 右手で親指を中に入れて握りこぶしをつくります。これが心臓の大き
さとほぼ同じです。今度は左手で、親指、人差し指、中指を3本の血
管に見立てます。薬指と小指は折り曲げておくとわかりやすいでしょ
う。その左手の3本の指を右手の握りこぶしでつくった心臓にかぶせ
るようにおきます。親指はこぶしのくぼみに、人差し指はこぶしの指
の付け根の線に並ぶように、中指はこぶしの指の2番目の関節が並ぶ
線にあたるようにすると、より実際の血管の形に似るでしょう。
     ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――

●心筋梗塞は血管が原因で起こる

 心筋梗塞という病気は心臓の病気であることは誰でも知っています。
これはけっして間違いではありませんが、心臓そのものが悪いので、心
筋梗塞が起こるわけではないのです。心筋梗塞が起こる原因は血管に問
題があるからです。
 高沢謙二先生が患者さんに心筋梗塞について説明するときは次のよう
にいうそうです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 心筋梗塞は心臓が悪いから起こるのではありません。心臓に酸素と栄
養を送る血管が原因で起こるのです。そして、脳卒中は脳に酸素と栄
養を送る血管が原因で起こるのです。けっして頭が悪いから起こるの
ではありません。
     ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 心臓には4つの弁がありそれぞれが重要な働きをしているのですが、
心臓のほかに弁が大切な働きをしているところがあります。それはどこ
だかわかるでしょうか。
 それは「静脈」なのです。心臓の働きによって身体のすみずみまで届
けられた血液をもとに細胞は活動を行いますが、そうした細胞の活動で
出たゴミを回収して心臓に戻す帰り道が静脈なのです。
 心臓より下に位置する足からも血液(静脈血)が心臓に戻ってくるこ
とができるのは、実は弁の働きのおかげなのです。足の静脈にはカタカ
ナの「ハ」の形をしたたくさんの弁がついていて、血液を逆流させない
ようにしているのです。「ハ」の形をした弁は、心臓の方へ通過した静
脈血が下に戻りにくい構造になっているのです。
 足を使うこと――つまり、歩くことは心臓に良いといわれますが、足
を使うと足の筋肉がよく収縮するからです。足の筋肉が収縮すると、足
の静脈にある弁も一緒に収縮するので、弁の下から上へと血液がよく通
り、心臓に戻る働きが活発になるのです。このような足から血液が心臓
に戻りやすくする運動のことを「ミルキングアクション」といいます。
―― [血管の話/02]
 
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2009年09月10日

●血栓が詰まりやすい脳と肺

 人間は歩けなくなると、急速に体力が衰えるといわれます。それはミ
ルキングアクション――足から血液が心臓にスムーズに戻るための運動
が大幅に減少してしまうからです。
 飛行機のフライトや列車の旅などで長時間体を動かさないでいると、
足の筋肉が硬くなります。そうすると、足から心臓へ静脈血が戻りにく
くなり、血液が滞る「うっ滞」が生じます。「うっ滞」が起きると血液
が固まりやすくなり「血栓」ができる恐れがあるのです。
 血栓は血の固まりですが、それは血液に乗って流れて行き、体のいろ
いろな場所で血管を詰まらせる恐れがあるのです。最も血栓が詰まりや
すいのは、脳や肺の細い血管なのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    脳で血栓が詰まる ・・・・・ 脳動脈血栓塞栓症
    肺で血栓が詰まる ・・・・・ 肺動脈血栓塞栓症
――――――――――――――――――――――――――――――――
 このうち、「肺動脈血栓塞栓症」は「エコノミークラス症候群」と呼
ばれて有名になりましたが、これは飛行機内でもときどき歩くとか、足
を震わせる運動を繰り返すだけでも防ぐことができるのです。

●毛細血管と細胞との関係

 血管の最先端には毛細血管があります。この毛細血管と細胞との関係
は、どうなっているのでしょうか。毛細血管が細胞の一つひとつにつな
がっているのでしょうか。
 この毛細血管と細胞との関係について、高沢謙二先生は次のように説
明しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 細胞と毛細血管との関係を説明するのにわかりやすいイメージは、細
胞は海に浮かぶ小島、というものです。一つひとつの細胞が小島の一
つひとつにあたります。小島(細胞)のまわりを囲む海には動脈の毛
細血管を経由して運ばれてきた酸素や栄養が浮いています。小島に酸
素や栄養を陸揚げするのにあたるのが細胞への酸素と栄養の取り込み
です。その方法は、細胞を包む膜(細胞膜)の内と外との濃度の差を
利用して細胞の中へと取り込むのです。
――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 細胞を意味する小島からは一酸化炭素や老廃物が細胞膜を通して海に
捨てられ、それらの一酸化炭素や老廃物は、静脈の毛細血管が吸い上げ
るのです。ここでいう海の主成分はコラーゲンであり、細胞をくっつけ
るのに最適の成分なのです。

●血管の構造と加齢による血管の変化

 血管はどのような構造になっているのでしょうか。
 血管を輪切りにした場合、血液が通る内側から外側に向かって3つの
膜があるのです。これは動脈も静脈も同じです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 内膜
 中膜 ・・・・・ エラスチンで織られた筋肉の線維と筋肉で構成
 外膜
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血液の流れと直接接するのは、内膜の表面を覆っている「内皮細胞」
です。血管の中膜はエラスチン――これはコラーゲンが主な成分の平滑
筋で構成されているのです。つまり、血管はコラーゲンでつくられるチ
ューブと考えてよいと思います。
 しかし、加齢によって血管を構成しているコラーゲンは、若い弾力性
のあるものから弾力性が失われた年寄りタイプのものに変化します。こ
れによって、血管は弾力性を失い、硬くなるのです。これを血管の老化
といいます。そして加齢の進行によって血管の老化も進行するのです。
 それでは加齢によって血管と直接接する内臓にはどういう変化が現れ
るのでしょうか。
 加齢に加えて、食べ過ぎや運動不足を続けていると、余分なコレステ
ロールや中性脂肪が血管にたまります。そうすると、やがて血管の内膜
にお粥のようなかたまりができてくるのです。これを「プラーク」と呼
んでいます。
 さて、内皮細胞は整然と並んでいるタイルのようなものです。そこに
コレステロール――とくに悪玉コレステロールを含む血液が流れると、
整然と並んでいるタイルに傷がつき、はずれてしまうタイルも出てきま
す。
 タイルがはがれた場所からは悪玉コレステロールが入り込み、血管の
内膜にまで侵入を果たすようになるのです。さらに悪玉コレステロール
は血管にいる活性酸素とくっついて、酸化悪玉コレステロールという破
壊力のあるものに変化するのです。 ―― [血管の話/03]
                 
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2009年09月17日

●日本人は血管の病気で多く死亡している

 「日本人はどのような病気で亡くなる人が多いでしょうか」と聞かれ
たら、どのように答えるでしょうか。
 もちろん「がん」と誰でも答えます。確かに現在の日本人の死亡原因
の第1位は「がん」なのです。しかし、第2位は「心筋梗塞」、第3位
は「脳卒中」となっています。
 心筋梗塞は、心臓の筋肉に酸素と栄養を送り届ける血管が詰まって、
その血管が担当している心筋が機能しなくなって起こる病気です。つま
り、血管が詰まることが原因で起こる病気です。
 死亡原因の第3位は「脳卒中」ですが、「卒中」とはどういう意味だ
かわかりますか。
 「卒」とは「突然にわかに」という意味です。「中」は「あたる」、
すなわち、「倒れる」という意味です。つまり、脳卒中とは突然に生じ
た脳の障害によって倒れる病気なのです。
 脳卒中には、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の3つが含まれます。少
し前までは脳卒中というと、そのほとんどが脳出血だったのですが、現
在は脳梗塞が多くなっています。脳梗塞は比較的太い血管が血栓によっ
て詰まることによって、起こる病気なのです。
 死亡原因の第2位と第3位が血管が詰まったり、破れたりして起こる
病気なので、実質的な死亡原因の第1位は血管の病気であるといってよ
いでしょう。血管が破れたり、詰まったりする原因は血管の老化にある
ので、血管の老化を防ぐことができれば、日本人の死亡率は大幅に改善
するはずです。

●血圧が上がるには3つの原因がある

 血管の老化はなぜ起こるのでしょうか。
 一番大きな原因は高血圧です。血圧とは、血液が流れるときに血管の
壁にかかる圧力のことです。血圧が高いと血管の壁にかかる圧力は大き
くなりますから、血管の負担が増して血管の老化が進行するのです派。
 血圧の測定のさい、医師がチェックするのは次の4つです。3と4を
知らない人は多いかもしれませんが、4つとも測定には必要なのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.最大血圧/収縮期血圧
         2.最小血圧/拡張期血圧
         3.平均血圧
         4.脈  圧
―――――――――――――――――――――――――――――――― 
 まず、「血圧」について考えます。知識を整理しておきましょう。
 「最大血圧」とは何でしようか。
 血圧は「上は150、下は78」というように、上の血圧と下の血圧
があります。上は下よりも数字は高く出るのが普通です。上の血圧、最
大血圧は、心臓が血液を送り出すために一番収縮したときの血圧のこと
です。そのため、収縮期血圧というのです。そのとき送り出される血液
の量は70〜80CCであり、これは老若男女、年代を問わずほとんど
変わらないのです。これだけの量の血液が送り出されるのですから、血
圧の数字は当然高くなります。
 それでは「最小血圧」とは何でしょうか。
 下の血圧、最小血圧は、心臓が次の収縮のために拡張して血管にかか
る圧力がいちばん弱くなったときの血圧です。そのため、拡張期血圧と
いうのです。したがって、上の血圧よりも数字が小さいのは当たり前で
す。
 問題は、血圧がなぜ上昇するかです。医師の高沢謙二先生は、重要な
原因として次の3つを上げています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        1.血管の老化進行する
        2.交感神経が興奮する
        3.ナトリウムが増える
     ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1の原因は「血管の老化進行する」ことです。
 血管が老化して、血管が硬く、厚くなると、血管の内腔が狭くなりま
す。そうすると血液の通りが悪くなって、血管の壁にかかる圧力が強く
なるのです。その結果、血圧が上がります。
 第2の原因は「交感神経が興奮する」ことです。
 交感神経は「昼の神経」といわれ、何か身体に危機が及ぶと考えたと
き、交感神経が興奮して、身体が戦闘モードになります。そうすると血
圧を上げるホルモンであるレニン、アンジオテンシンの分泌が増えて、
血圧が上昇するのです。しかし、興奮が収まると、血圧は下がります。
 第3の原因は「ナトリウムが増える」ことです。
 ナトリウムが体内に入るのは、食塩の摂取によってです。塩をとり過
ぎると血管がなめし皮のように硬くなり、血液の量が増えるのです。そ
のため、血圧は上昇します。       ―― [血管の話/04]
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2009年09月24日

●3大変化を見落とすことなかれ

 血圧が高いままで放置しておくと、どのようなことが起こるのでしょ
うか。
 それには、次の3つのチェックを行うことが必要です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.目の網膜に異常はないか
         2.心臓肥大がないかどうか
         3.タンパク尿あるかないか
――――――――――――――――――――――――――――――――
 高血圧の状態をそのままにしておくと、上記の3つの変化があらわれ
てくるのです。
 高血圧による血管の老化が起こると、腎臓や目の網膜などの細い血管
が老化し、眼底出血などが起こります。眼底出血は目の網膜の細い血管
がおかされて細い血管から出血します。この目の網膜の血管の変化は、
体のほかの場所の細い血管にも同じ変化が起きていることを示していま
す。
 高い血圧で血液を送り出していると、心臓が疲れてくるのです。そう
すると心臓を構成する細胞のひとつひとつが大きくなって、心臓の筋肉
が厚くなり、心臓が肥大してきます。とくに血液を全身に送り出す仕事
をしている左心室に関係のある心筋が肥大してくるのです。
 腎臓の細い血管に異常があると、腎臓の働きが衰えてきます。腎臓の
働きが衰えると、尿にタンパク質がもれて出てくるようになります。健
康な状態の腎臓はタンパク質をもらさないようにしているのですが、こ
れがもれるということは腎臓の働きが衰えていることを示しているので
す。
 諸悪の根源は高血圧にあるのです。高血圧を予防し、改善するには次
の5つのことを心がけることが必要です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.塩分を取り過ぎないこと
         2.睡眠と休養を十分にとる
         3.運動の習慣をつける努力
         4.ストレス解消を心がける
         5.狙いは肥満の解消である
――――――――――――――――――――――――――――――――

●「平均血圧」とは何か

 血圧の測定には4つがあることを前回示しましたが、念のため再現し
ておくことにします。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.最大血圧/収縮期血圧
          2.最小血圧/拡張期血圧
          3.平均血圧
          4.脈  圧
――――――――――――――――――――――――――――――――
 このうち、「最大血圧」と「最小血圧」についての説明は終わってい
ますので「平均血圧」と「脈圧」について説明しましょう。今回は「平
均血圧」について説明します。
 私たちの身体の血管は、太い動脈からだんだん枝分かれして細くなっ
ていきます。そして、最小動脈から先の細い血管を「末梢血管」、太い
血管から末梢血管までのつなぎの血管を「伝導血管」というのです。結
論からいうと、次のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    「末梢血管」の老化が進行 ・・・ 平均血圧の上昇
    「伝導血管」の老化が進行 ・・・ 脈圧の数値上昇
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血管の老化はどこからはじまるのでしょうか。
 血管の老化は末梢血管からはじまるのです。そしてそれは伝導血管に
及んでくるのです。
 末梢血管が老化してくると、血液の流れが悪くなります。末梢血管の
大きさはミクロンという単位ですが、私たちの身体は約60兆〜100
兆個の細胞でできているのです。その末梢血管のひとつひとつのわずか
な血液の通りにくさは、身体全体に大きな影響を及ぼすのです。
 「平均血圧」というのは、そういう末梢血管の状態をあらわしていま
す。それではどのようにして平均血圧を計算するのでしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    下の血圧 + 「(上の血圧マイナス下の血圧)÷3」
    ≪例≫ 上の血圧140 下の血圧 80
    80 + 「60÷3」 = 100
――――――――――――――――――――――――――――――――
 平均血圧の数字について、一喜一憂することはありません。大事なこ
とは推移を見ることです。そして、平均血圧が少しずつ上がってくる場
合は、末梢血管の老化を心配する必要があります。そういう場合は、医
師と相談されることをお勧めします。    ―― [血管の話/05]
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2009年10月01日

●脈圧の推移は重要な指標になる

 「脈圧」とは何でしょうか。
 脈圧とは心臓が血液を送り出すときに生まれます。送り出す血液の量
が増えると大きくなりますが、脈圧が大きくなる原因は、太い血管の老
化なのです。
 脈圧はどのようにして求めるのでしょうか。脈圧の計算は次のように
きわめて簡単です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      「上の血圧」 − 「下の血圧」 = 脈圧
      150 − 85 = 65 ← 脈圧
――――――――――――――――――――――――――――――――
 一般論として次のことを知っておくべきです。年をとると共に「平均
血圧」は上昇し、「脈圧」はどんどん大きくなっていきます。具体的な
例を示すと、「上の血圧」、「下の血圧」、「脈圧」の関係は、次のよ
うになるケースが多いのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         上の血圧  下の血圧  脈 圧
          150   100   50
          160    90   70
          180    80  100
――――――――――――――――――――――――――――――――
 このケースで注目すべきことは、上の血圧は上がっているのに、下の
血圧は下がっていることです。今までの常識では上の血圧は上がっても
下の血圧が下がれば高血圧が改善されていると考えたのです。
 高沢謙二先生は、これは間違った解釈であるとして、次のように述べ
ているのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「下の血圧」が下がっていくように見えるのは、「平均血圧」も「脈
 圧」も上昇した状態で、大きくなった「脈圧」で「下の血圧」が下の
 位置におかれた状態なのです。つまり「血管が詰まる・破れる」危険
 性が一段と増した状態と読み取るのが正しい理解のしかたなのです。
 先ほどの解釈とは百八十度逆のこと、危険が差し迫っていることを示
 しているというわけです。
     ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 下の血圧は上の血圧の状況を見て判断すべきなのです。例えば、下の
血圧が70のとき、上の血圧が140の場合と180の場合では判断が
大きく異なるのです。それは脈圧を見て判断すべきです。上の血圧が1
40は正常範囲よりも少し高めではありますが、脈圧は70と低いのに
対し、上の血圧が180のときは脈圧は110であり、非常に高いから
です。何はともあれ、上の血圧を下げることが大事なのです。

●「善玉血圧」と「悪玉血圧」から測定するAI値

 少し難しい説明になるかも知れませんが、血圧には2つの種類があり
ます。そのひとつは、心臓が血液を左心室から大動脈の入口に送り出す
ときの血圧と全身の血管からの反発を反映した血圧です。
 前者は、全身に血液を送り届けるための血圧ですから、必要不可欠な
ものといえますが、後者の血圧は全身の血管の老化が原因で起こるので
す。高沢先生は、前者を「善玉血圧」、後者を「悪玉血圧」と名付けて
います。
 この善玉血圧と悪玉血圧から「AI/エー・アイ」という指標が計算
できるのです。「AI」の「A」は、過剰なとか余分なということを表
す言葉の頭文字であり、「I」は指標という意味です。「AI」につい
て、少し専門的な説明を次に示します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  現在、「血管の状態」は、脈波を測ることで把握することができま
 す。「脈波」を測る主な指標には心臓の収縮とともに発生する「駆出
 波」と、駆出波が末梢血管や動脈の分岐部で反射することにより発生
 する「反射波」の比率で求めた「AI」値と、腕から足首までなど、
 2つの部位間での脈波の伝播速度である
「PWV(Pulse Wave Velocity)」があります。しかし、脈波の重要性
  にもかかわらず、既存の脈波計測機器ではその計測方法が難しく、
 なかなか普及しませんでした。
       http://www.omron.co.jp/press/2005/09/h0901.html
――――――――――――――――――――――――――――――――
 具体的なAIの計測装置としては、オムロン血圧脈波検査装置AI
『HEM-9000AI』というマシンがあるのです。測定方法は、左手首を手首
台に置き、橈骨動脈上に脈波センサユニットを手首に装着し、本体のス
タートボタンを押すだけです。計測時間は約1分で、同時に右手で血圧
測定も可能です。AI値の計測と同時に心拍数75に換算したAI値脈
波波形、脈拍、血圧値、血圧測定時の脈拍数、反射波の最高血圧値、駆出波の最高血圧値を計測でき、その結果は本体表示画面に表示され印刷することができるそうです。血管の状態把握はこのように重要になってきているのです。        ―― [血管の話/06]
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2009年10月08日

●「AI」値を改善する7つの実施事項

 「AI」値が高くなるということは、血管の老化が進んで、悪玉血圧
の値が高くなっていることを示しています。この「AI」値が改善する
と、「若返り血管」がつくられていることを示しています。
 「AI」値を改善すること――すなわち、若返り血管をつくるには、
次の7つのことを心がける必要があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.肥満を避けスリムになろう
         2.塩分を取り過ぎないように
         3.食事のリズムは規則正しく
         4.十分睡眠をとるようにする
         5.毎日運動する習慣をつける
         6.ストレスは発散させること
         7.禁煙――タバコはやめよう
――――――――――――――――――――――――――――――――

●高血糖をそのままにしておくとどうなるか

 糖尿病とはどういう病気でしょうか。
 ごく簡単にいうと、糖尿病とは食べ物から得た糖分が利用されずに余
ってしまい、血液中にあふれ出す病気です。いったい何が原因でそうい
う状態になるのでしょうか。
 食べ物から摂取した糖分を分解してエネルギーに変換するのは膵臓に
分泌されるインスリンというホルモンです。このインスリンの量が少な
かったり、量は足りてもインスリンの効きがよくないときは糖分が余っ
てしまい、その糖分が血液中にあふれ出してくるのです。
 この余った糖分――ブドウ糖がどのくらい血液の中にあふれているか
を示す値が「血糖値」です。血糖値の正常範囲は、空腹時の採血検査で
110mg/dl未満とされています。
 血液の中のブドウ糖が多くなった状態を「高血糖」というのですが、
高血糖のまま放っておくとどうなるのでしょうか。
 高血糖の状態が続くと、血管が傷められて、血管の老化が進行するの
です。とくに細い血管ほど傷められる度合いが高いのです。その結果、
血管が詰まったり、破れたりする危険性があります。
 高沢謙二先生は、高血糖の状態を次のようにわかりやすく説明してい
るのでご紹介しておきます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 高血糖の状態をイメージしてみますと、血管の中を砂糖が溶け込んだ
 状態のベトベトの血液が流れていることにたとえられるでしょう。赤
 血球も硬く変化して細い血管を通り抜けることができなくなってきま
 す。赤血球には変形能という特技があり、毛細血管の中を通り抜ける
 ことができるのは変形能のおかげなのですが、その能力が衰えるので
 酸素が体のすみずみの細胞まで届きにくくなります。
      ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                   講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――

●血液の中の4つの脂質

 血液の中には、次の4種類の脂質があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.コレステロール
         2.中性脂肪/トリグリセライド
         3.リン脂質
         4.遊離脂肪酸
――――――――――――――――――――――――――――――――
 この4つの脂質の中で、コレステロールと中性脂肪は「水と油」とい
う言葉があるように、水分が90%の血液の中にはそのままのかたちで
は存在することができないのです。
 そこで、コレステロールや中性脂肪をタンパク質と水と相性の良いリ
ン脂質や遊離脂肪酸が取り囲み、饅頭のようなものを作り出します。ち
ょうど、饅頭のアンコの部分がコレステロールや中性脂肪ということに
なります。
 アンコの部分が大きくなると饅頭は大きくなって比重は低くなり、ア
ンコの部分が小さくなると、饅頭は小さくなり、比重は高くなります。
この饅頭に付けられた名前が「リポたんぱく」なのです。
 「リポたんぱく」には、次の2つの種類があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.低比重リポたんぱく ・・・ LDL
      2.高比重リポたんぱく ・・・ HDL
――――――――――――――――――――――――――――――――
LDLとHDLについては次回にお話しします。―[血管の話/07]
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2009年10月15日

●「血清脂質」は血液のドロドロ度をあらわす

 前回説明した2種類の「リポたんぱく」を再現して説明を続けます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.低比重リポたんぱく ・・・ LDL
      2.高比重リポたんぱく ・・・ HDL
――――――――――――――――――――――――――――――――
 LDLは、動脈の壁にコレステロールや中性脂肪を運び込む性質があ
り、この状態が進行すると、血管の老化を促進します。そのため、LD
Lのことを「悪玉コレステロール」と呼んでいます。
 これに対してHDLは、動脈の壁からコレステロールや中性脂肪を運
び出す性質を持っています。これは血管にとって良いことであるので、
HDLのことを「善玉コレステロール」と呼ぶのです。
 血液中の脂肪を調べる検査があります。その検査では「血清脂質」と
いうものを調べるのです。「血清脂質」とは次の4つです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.総コレステロール
          2.LDL
          3.HDL
          4.中性脂肪
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これら4つのいずれが高くても血液のドロドロ度は高くなります。上
記の「血清脂質」に異常がある人は血管の老化が進行しているので、改
善をすることが必要になります。また、血液中の血漿成分と血球成分の
割合を示すものを「ヘマトクリット値」といいますが、この数値が高く
なると、ドロドロ血に傾いているといえるのです。
 しかし、ドロドロ状態というと血液が水あめのような状態になること
を想像してしまいそうですが、けっしてそういうことではないのです。
数値的に見ればごくわずかの変化なのです。
 血液の密度は水とほとんど変わらない1.05 ですが、密度が濃くな
るといっても、1.052 とか1.053 といった程度の微細な変化に
過ぎないのです。実際に見た目がドロドロしているわけではないのです。

●一週間禁煙しても血管は若返る

 喫煙と血管の老化には深い関係があります。タバコを1本吸うと、血
管の収縮した状態が30分続くそうです。タバコを吸ったときの「加速
度脈波」の波形は「尻下がり型」になることがわかっています。これは、
血管の老化が進行したときの波形と同じなのです。
 1回の喫煙で「尻下がり型」の波形が30分も続くので、喫煙本数の
多い人は、自分で血管の老化を促進しているようなものです。血管を老
化させたくないならば、喫煙はやめるべきです。
 タバコには多くの有害物質を含んでいます。体の中ではこの有害物質
を排除しようとして、活性酸素が多くつくられるのです。その一環とし
てLDL――悪玉コレステロールは酸化悪玉コレステロールに変身し、
血管の老化のスピードを上げる働きをするのです。
 あなたはそれでも喫煙を続けますか。最近医療機関には「禁煙外来」
というもができてきています。禁煙に役立つ「ニコチンパッチ」という
貼り薬が健康保険の適用になっています。ニコチンパッチは、血液中の
ニコチン濃度を一定程度保つことで、タバコを吸いたくなるニコチン依
存を断ち切ることができるとされています。
 「ニッケイBP」の健康記事に「喫煙と血管/わずか一週間の禁煙で
も血管はよくなる」という記事があるので、ご紹介しましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 習慣的な喫煙は、血管にさまざまな問題を引き起こすことが知られて
 いる。その中心となるのが、たばこに含まれる「ニコチン」と「一酸
 化炭素」である。ニコチンには血管を収縮させたり、血中のコレステ
 ロールを増やしたり血小板の粘着性を高めるといった作用がある。一
 酸化炭素は、全身に酸素を運ぶのに重要な役割を果たす血液中の「ヘ
 モグロビン」と結合してその働きを抑えたり、血管の壁を傷つける作
 用がある。このため喫煙を続けると、血管の壁が厚く硬くなり、血液
 も固まりやすくなって血管が詰まりやすい「動脈硬化」と呼ばれる状
 態になる。しかし、たばこを吸うのをやめればこうした危険性を軽減
 できることは以前から知られている。最近では、2004年に報告さ
 れた英国の男性医師の約3万5000人を対象にした大規模な追跡研
 究の最終結果により、75歳で禁煙しても禁煙しない場合に比べて、
 85歳まで生きられる確率が高くなることが明らかにされた。とはい
 え「今から禁煙したって、病気になる危険性がすぐに減るわけでもあ
 るまい」と投げやりな気持ちの人も少なくないのではないだろうか。
 だが、安心してほしい。わずか1週間の禁煙でも、血管の機能は驚く
 ほど回復するという研究データが最近発表されたばかりだからだ。
 http://www.nikkeibp.co.jp/archives/398/398232.html
―――――――――――――――――――――――[血管の話/08]

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2009年10月22日

●「加速度脈波」というものがある

 復習です。心臓から送り出された血液は、大動脈から「太い血管」を
経て、体のすみずみまで届けられます。このとき、ドックンドックンと
心臓は拍動しますが、このリズムは「脈波」と呼ばれます。
 脈波は、手首、首の頸動脈、上腕部の動脈などで指先でとらえること
ができます。このように指先でとらえた脈波のことを「指尖(しせん)
脈波」というのですが、この指尖脈波を記録できる計器があるのです。
それが「加速度脈波計」という計器です。
 どのような仕組みで指尖脈波をとらえるのでしょうか。高沢謙二先生
の説明を読んでください。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血液の中にはいろいろな成分が流れていますが、そのひとつに酸素を
運ぶ赤血球があります。赤血球は酸素をヘモグロビンの形で運んでい
ます。私たちの血液が赤いのは、ヘモグロビンが赤い色をしているか
らです。さて、血液に光を当てると、ヘモグロビンの量が多いほど、
吸収される光の量が多くなります。拍動と血管の状態で刻々変化する
ヘモグロビンの量を、吸収される光の量の変化として波形で措くこと
を可能にしたのが「光電脈波計」という機器でした。「光電脈波計」
の登場で「脈波」を記録することが可能になったのです。
――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 このようにしてとらえた脈波を数学的に処理して見やすく改良を施し
たものが「加速度脈波」というのです。加速度脈波には次の5つの波が
あるのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      a波 ・・・ 脈波の立ち上がりでできる波
      b波 ・・・ 深いほど血管に柔軟性がある
      c波 ・・・ 深くなると血管の老化が進む
      d波 ・・・ 全身の血管の反発力あらわす
      e波 ・・・ 加齢により波が下がってくる
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これら5波の波形を観察することにより、加齢の進行による変化が見
られるのです。そこで、高沢先生は、加速度脈波の波形を数値化し、世
界に先駆けて「加速度脈波加齢指数」というものを考案したのです。横
軸に年齢をとり、縦軸に加速度脈波加齢指数をとってグラフを書くと、
加齢の進行によって数値が右肩上がりになるのです。(添付ファイル参
照――詳細は高沢謙二著『「若返り血管」をつくる生き方』を参照)
 自分の加速度脈波の数値がグラフ上のどの位置にあるかを読み取るこ
とにより、自分の血管年齢を知ることができるのです。
 高沢謙二先生が考案の基礎データになったのは、東京医大の健診セン
ターを受診された20〜70代の男性・女性それぞれ50人、合計60
0人の人たちの指先で測った加速度脈波を記録して、加齢によって波形
がどのように変化するかを観察したデータです。

●自分の血管年齢をどのようにして知るか

 血管は年をとるにつれて基本的には老化します。しかし、年齢が若い
からといって、必ずしも血管年齢が実年齢に近いとは限らないのです。
実際の年齢よりも老けている人はたくさんいるのです。血管年齢が実年
齢よりも30歳以上老けている人は少なくないのです。
 血管年齢が数値でわかると、いろいろな診断ができます。血管の年齢
を実際の年齢にプラスすることによって、次のようにおおまかな診断を
下すことができます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
   血管年齢 ・・・・・ 実年齢プラス   10歳以内
      ――→ 年齢相応の血管の状態
   血管年齢 ・・・・・ 実年齢プラス11〜19歳以内
      ――→ 生活習慣病が疑われる
   血管年齢 ・・・・・ 実年齢プラス   20歳以上
      ――→ 生活習慣病化している
――――――――――――――――――――――――――――――――
 血管の老化とは、血管が硬く、厚く、そして血液を通す内腔が狭く変
化することをいうのです。したがって、血管が老化すると、血液の通り
が悪くなるのです。その通りが悪くなった血管に多くの血液を通すには
高い血圧で押し出すことになるので、血管自体や心臓、脳などの臓器に
大きな負担がかかることになるのです。
 それでは自分の血管年齢をどうして知るのでしょうか。
 血管年齢の測定は医療機関で受けることは可能です。現在では、血管
年齢を測定する機器が普及してきているからです。
 しかし、実際に血管年齢を測定してもらえるかどうかを事前に医療機
関に電話で問い合わせることをお勧めします。
―――――――――――――――――――――― [血管の話/09]

加齢とともに上昇する加速度脈波指数.jpg
加齢とともに上昇する加速度脈波指数
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2009年10月29日

●血管年齢判定チェックリスト

 血管年齢の正確な測定は医療機関でないとできませんが、大体の年齢
を知るには、次の12のチェックリストで十分です。これは高沢謙二先
生の作成されたものです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  □階段を上がると胸が圧迫されたような感じがする
  □インスタント食品や脂っこい食べ物が好きでよく食べる
  □電話が鳴ったら、すぐとらないと気がすまない
  □責任感が強く、仕事で手を抜くことができない
  □いつも時間に追われている感じがする
  □ー日の喫煙本数×喫煙年数が400以上である
  □血圧が高い
  □運動らしい運動をしていない
  □最近、物忘れが激しい
  □手足が冷たく、しびれた感じがする
  □コレステロール値、あるいは血糖値が高い
  □親・兄弟に心筋梗塞や脳卒中で倒れた人がいる
      ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                   講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 判定はチェックの入った数を基準として、次のように判定します。チ
ェックの数が8以上のときは医療機関での血管年齢測定をお勧めします。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    0〜 4 ・・・・・ 実際の年齢と同じ
    5〜 8 ・・・・・ 実際の年齢 + 10
    9〜12 ・・・・・ 実際の年齢 + 20以上
――――――――――――――――――――――――――――――――

●4ポイント/3倍の法則

 「血管が詰まる・破れる」危険性を判断するための重要ポイントは次
の4つがあります。それぞれに該当すると、健康な人の3倍の危険度が
あります。それらを複合して持っていると、危険度は急増します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.高血圧  ・・・・・ 健康な人の3倍
      2.高脂血症 ・・・・・ 健康な人の3倍
      3.糖尿病  ・・・・・ 健康な人の3倍
      4.喫煙   ・・・・・ 健康な人の3倍
――――――――――――――――――――――――――――――――
 例えば、高血圧と高脂血症の両方を持っていると、「3×3」で9倍
になります。これに加えて、喫煙をしていると「3×3×3」で危険度
は27倍ということになります。
 倍率が高いということは改善される率も高いということになります。
例えば、高血圧と高脂血症を持っていてタバコも吸っている人がいたと
します。このケースの危険度は27倍ですが、タバコをやめるだけで、
その危険度は9倍に減少することになります。
 このケースの人の場合、きちんと医療機関に通い、血圧降下剤を処方
してもらい、血圧が正常範囲にコントロールできた場合は、危険度は一
挙に3倍まで減少します。そのままに放置しておくのが一番いけないの
です。

●血管の若返りに貢献するちょっとした運動の提案

 「血管が詰まる・破れる」危険性を防ぐ誰でもできることが簡単な運
動をすることです。高沢謙二先生によると、運動を含めて次の5つのこ
とを実行すれば、血管の若返りに貢献するということです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.早足歩きを週2回実施する
         2.食事は「腹八分目」を守る
         3.睡眠は意識して十分にとる
         4.何が何でも喫煙を実行する
         5.ストレスを貯めないように
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「早足歩き」は一回につき20分、週に2回は実施することが必要で
す。会社への行き帰りには一駅歩きを実行するのもよいでしよう。一駅
歩くと、ちょうど20分程度はかかるものです。
 よく歩くことはふくらはぎの運動を行うことになります。ふくらはぎ
は「第2の心臓」といわれるように血管の老化の鍵を握る重要な場所な
のです。ふくらはぎが硬くなる「ふくらはぎ硬化」は、動脈硬化のサイ
ンであり、早急な予防と改善が何よりも必要なのです。そのためには意
識してひたすら歩くことが必要です。人間は歩けなくなったら終わりな
のです。                ―― [血管の話/10]
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2009年11月05日

●血管年齢を若返らせる5つの運動

 仕事をしていると、自然に身体を動かすので、意識しないでも運動を
積み重ねることになります。しかし、仕事の職種によっては運動不足に
なる仕事も少なくないのです。そこで、仕事のかたわら意識してやれる
運動があるのです。ちょっとした運動でも計画的に継続すれば、血管年
齢を若返らせることができるのです。高沢謙二先生は次の5つの運動を
提案しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.早足歩き
          2.鼻歌ウォーキング
          3.足首まわし
          4.つま先歩き
          5.つま先階段上り
――――――――――――――――――――――――――――――――

●早足歩きには4つの効用がある

 「早足歩き」は誰でもできます。しかし、適当にやるのではなく、計
画的に実施すると効果があるのです。要領は次の通りです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        @少し息が弾むくらいの速さで歩く
        A一回の時間は20分間で週に2日
――――――――――――――――――――――――――――――――
 早足歩きが血管年齢を下げることは、高沢謙二先生の患者さんに対す
る指導の結果、実証されていることです。早足歩きには、次の4つの効
果が得られることが確認されています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        @血管の掃除が効果的にできる
        A血管が大きく開く効果がある
        B血管のネットワークが増える
        Cミルキングアクションの促進
――――――――――――――――――――――――――――――――
 早足で歩くと、身体は酸素と栄養を必要とするので、心臓は心拍数を
増やし血液循環を良くします。そうすると血液の流れが良くなるので、
血管に溜まったゴミを洗い流します。これが@の血管の掃除です。
 このように早足歩きをすると、血液循環は良くなりますが、血流が良
くなると、血管のいちばん内側で血液の流れと接する内皮細胞からブラ
ジキニンという酵素が分泌されます。
 ブラジキニンは、血管にある一酸化窒素を刺激して、その働きを活性
化するのです。この一酸化窒素には血管を広げる働きがあり、その働き
が活発になると、血管はよく開くようになります。血管がよく開くと、
「細い血管」の抵抗も少なくなり、血圧も下がってくるのです。これが
Aの血管を開く効果です。
 早足歩きを行うと、血流が良くなり、新しい血管が作られます。血管
はお互いに手を差し伸べる相互スピリットに富んでいるのです。どうい
うことかというと、血管が詰まって血液が流れなくなると、血流が良い
ときは、詰まった血管に救いの手を差し伸べるバイパス血管(側副血行
路)ができ、その数が増えていくのです。これがBの血管のネットワー
クです。
 早足歩きをすると、大腿四頭筋やふくらはぎの筋肉がよく使われるの
です。これによって足の静脈のポンプ作用が行われ、静脈血が心臓に良
く戻るようになるのです。この静脈血の心臓への戻りのことを「ミルキ
ングアクション」というのです。これがポイントCです。

●「深呼吸タイム」を取り入れよう

 「1回20分、週に2回」をこれをキチンと行うことにより、血管年
齢は確実に若返ります。それに加えて、早足歩きが終わったところで、
必ず深呼吸を行うようにしましょう。高沢謙二先生は、深呼吸について
次のように述べており、推奨しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 私は生活の中に「深呼吸タイム」を取り入れることもおすすめしたい
 と思います。深呼吸は腹式呼吸と同じ要領です。息を吐く・吸うこと
 を意識して行います。座禅や瞑想に呼吸が大きなかかわりを持ってい
 ますが、大きな呼吸をすると副交感神経(休息の神経、夜の神経とも
 いわれる)の働きが活発になります。副交感神経が活発になると、血
 管の緊張がゆるみ、その結果、血管はよく開くようになり、血液の流
 れもよくなるのです。また、深呼吸を行うと、肺(肺胞)からプロス
 タグランデインI2という物質がつくられますが、この物質は血管が
 詰まる原因となる血栓ができるのを抑える働きがあります。プロスタ
 グランディンI2は肺でつくられると、血液の流れに乗って全身の血
 管をめぐります。  高沢謙二著『「若返り血管」をつくる生き方』
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
                     ―― [血管の話/11]
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2009年11月12日

●ふくらはぎをきたえるエクササイズ


 「足は第二の心臓」といわれます。しかし、これは正確にいうと、「ふくらはぎは第二の心臓」ということになります。どうしてかというと、ふくらはぎをチェックすると、血液循環の状態がわかるからです。
 どのようにしてチェックするのでしょうか。
 やり方をご紹介します。誰でも簡単にできるのでやってみましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.両足を揃えてまっすぐ立つ
      2.そのまま上体を前に倒す
      3.ひざを曲げずに両手のひらを床につける
――――――――――――――――――――――――――――――――
 床に指先が届かなかったり、ふくらはぎや太ももに痛みを感じたとき
は、ふくらはぎの筋肉が硬くなっています。ふくらはぎの血液循環が良
くて静脈の戻りが良い状態では、ふくらはぎは柔らかいのです。
 したがって、ふくらはぎが硬いときは、ふくらはぎの血液の流れが良
くないのです。藤林クリニック院長の藤林敏宏先生によると、高血圧と
ふくらはぎの筋肉の状態は関係があるといわれます。高血圧の人のふく
らはぎを調べると硬化を起こしているケースが多いのことがわかってき
たのです。
 ふくらはぎが硬くなったときはどうすればよいでしょうか。
 藤林敏宏先生が推奨するのは「足首まわし」です。なぜ、足首まわし
をするとふくらはぎにとってよいのでしょうか。3つにまとめます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.足首まわしをすると、アキレス腱が収縮され柔らかくほぐれる
 2.そのことによってふくらはぎの筋肉がよく伸縮するようになる
 3.その結果、ミルキングアクションが促され血液循環がよくなる
――――――――――――――――――――――――――――――――
 足首まわしは具体的にどうすればよいのでしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.床に座って、両足をまっすぐ伸ばす
      2.右の足首を左足のひざの上にのせる
      3.左手で右の足首を足の裏からつかむ
      4.右の足首を外側へ、内側へとまわす
――――――――――――――――――――――――――――――――

●「つま先歩き」は2つの効果がある

 「早足歩き」の効果のひとつに、ふくらはぎのミルキングアクション
を活発にするというメリットがあります。このふくらはぎとアキレス腱
を強くするエクササイズの研究をしている医師がいます。吉松俊一先生
(千曲中央病院名誉院長)と吉松俊紀先生(同病院整形外科部長)の2
人です。
 2人の吉松先生は次のようにいっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 プロ野球の選手をたくさん調べてきましたが、大選手といわれる人は
 ふくらはぎが大きいのです。将来よい選手になるかどうかは身長やお
 尻の大きさをみればわかるといわれますが、そのカギはふくらはぎが
 握っていたのです。ふくらはぎが大きいということは、ふくらはぎに
 血管が多くて血管のネットワークもしっかりできているからなのです
          高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』
                   講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 そこで、吉松先生が推奨するのは「つま先歩き」です。つま先歩きをすると下半身に体重の4倍の負担がかかります。この負担がふくらはぎの血管を増やし、血管のネットワークをしっかりしたものにするのです。
 つま先歩きの効果としては、次の2つがあります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        1.全身の血液循環が良くなること
        2.アキレス腱がきたえられること
――――――――――――――――――――――――――――――――
しかし、つき先歩きをするさい無理をしてはならないのです。これにつ
いて吉松先生は、次のようにアドバイスしています。アキレス腱をきた
えようとして、アキレス腱を切ったら、元も子もないからです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 吉松先生は「『つま先歩き』で10〜20歩歩いたら、また普通の歩
 き方に戻すようにして、最初は1日10歩の『つま先歩き』からスタ
 ートさせるのがよいでしょう。慣れてきたら、1日20歩、さらに午
 前中に10歩、午後に20歩と増やしていけばよいのです。ただし、
 やり過ぎるとアキレス腱を傷めますので、多くても1日30歩くらい
 でよいでしょう。大切なことは、『つま先歩き』を毎日、どこでも、
 そして続けることです」とアドバイスされます。 ――高沢謙二著の
 前掲書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
                    ―― [血管の話/12]
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2009年11月19日

●2つのことを習慣化して肥満を脱却する

 「腹八分に医者いらず」という有名な言葉があります。高沢謙二先生
が主張する「若返り血管」法の基本もこの昔からある言葉と同じなので
す。具体的には次の2つです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.食べ過ぎないこと
          2.飲みすぎないこと
――――――――――――――――――――――――――――――――
 肥満はなぜ身体によくないのでしょうか。
 肥満は、血管の老化の原因となる高血圧、糖尿病、高脂血症などの引
き金になるのです。また肥満の人は脂肪組織が多く、その脂肪組織から
は血液を固まりやすくしたり、血圧を上げる物質が分泌されるのです。
 「腹八分」とは要するに「食べ過ぎないこと」を意味します。まず、
食事はいつものようにして、間食をやめることです。食事の量を減らす
と、どうしても間食をしてしまうので、最初は食事はきちんととって間
食をやめるのです。そして、これを習慣化するのです。
 間食をやめる習慣がついたら、少しずつ食事を減らしていきます。2
杯ごはんを食べる場合は、その一杯を少なめにします。それもそんなに
減らすことをせず、ほんの少しでいいのです。あまり減らすと、間食が
復活してしまい、元の黙阿弥になります。そのうえで、次の2つのこと
を実施するのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.朝食前に体重を量る
          2.体重の増減を調べる
――――――――――――――――――――――――――――――――
 体重を量るときは、量る条件をなるべく一定にします。起きて排尿後
でもよいですし、食事の直前でもいいです。条件を一定にすることが必
要なのです。
 2についてですが記録はつけなくてもいいのです。体重が増えたか、
変わらないか、減っているかだけをチェックします。
 このとき、前日の食事を思い浮かべる必要があります。これは、前日
の食事と体重の増減の関係を自ら認識する効果があるのです。減ってい
るときはどうして減ったのか、増えたときはどうして増えたのか――前
日の食事との関係を考える習慣をつけるのです。
 肥満の人は自ら体重を量らない人が多いのです。量るたびに増えてい
ると量るのが嫌になるからです。したがって、体重を量る習慣を確立す
るだけでも、体重増加の抑制効果が働くのです。

●体脂肪と筋肉の割合を重視する

 肥満における脂肪と筋肉の関係を知る必要があります。そこで、一人
の肥満モデルを登場させます。条件を次のように設定します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
           体 重 100キロ
           体脂肪  30キロ
           筋 肉  70キロ
――――――――――――――――――――――――――――――――
 この肥満者は体重を減らす努力をしてそれに成功します。体重は85
キロになったのです。その結果、体脂肪は30キロから20キロへ、筋
肉は70キロから65キロに減ります。
 しかし、体重のゆり戻しが起こって、この肥満者の体重は100キロ
に戻ってしまいます。内訳は体脂肪は20キロから35キロへ、筋肉は
変わらず65キロのままです。
 しかし、再び肥満者は努力して再び体重を85キロに戻します。内訳
は体脂肪25キロ、筋肉は60キロです。体重を落とすと筋肉は減るの
です。しかしこの肥満者には三度体重のゆり戻しが起こり、体重は10
0キロに戻ってしまうのです。
 この場合、体重が増えるとき筋肉は減らないので、筋肉は60キロの
ままで体脂肪が25キロから40キロに増加したのです。このように見
ていくと、体脂肪と筋肉の比率は、最初は体脂肪30キロに対して筋肉
は70キロでしたがゆり戻しを繰り返していくと、体脂肪が40キロに
対して筋肉は60キロと変化します。同じ体重なのに筋肉の量が減って
しまうのです。
 筋肉の量が減ると、歩いたりする運動がどうしても減少するので、一
層太りやすい体質になります。つまり、体重を落とすとき、筋肉を減ら
さないようにする必要があるのです。
 それでは、体重を落としても筋肉を減らさないようにするにはどうし
たら、よいでしょうか。
 それが運動なのです。ここまで述べてきたように「早足歩き」や「つ
ま先歩き」を行って、足やふともものエクササイズを行うことは、体の
筋肉を減らさないことに役立つのです。
 「腹八分に医者いらず」は本当のことなのです。「腹八分」が無理な
ら「腹九分」でもいいので、実行されることをお勧めします。
                     ―― [血管の話/13]
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2009年11月26日

●塩分をとり過ぎると何が問題なのか

 医師は「塩分を減らせ」とよくいいます。塩分をとり過ぎると何が問
題なのでしょうか。しかし、「塩分を減らす」には、具体的に何をどう
すればよいでしょうか。
 塩分とは具体的には「食塩」であり、塩化ナトリウムを意味します。
塩化ナトリウムをとり過ぎると、血管の壁にナトリウムが入り込んで、
血管がなめし革のように硬く変化することがわかっています。こうなる
と、血管の老化のスピードが促進されるのです。
 また、塩をとり過ぎると、体のホルモンのバランスが崩れるのです。
そして血圧を上げるレニン、アンジオテンシン、アルドステロンなどの
ホルモンがたくさん分泌されることになります。
 塩をとり過ぎると、体はそれを薄めるために水分補給を求めます。私
たちの身体は、ナトリウムとカリウムの濃度のバランスが保たれること
でスムーズな活動ができるのです。体内のナトリウムの量が増えると、
体はバランスを取り戻そうとして、ナトリウムを薄めるために水分を求
めるのです。
 しかし、水分を多くとると、血液の量も増えるので、血液を送り出す
血圧も高くなります。このように、塩をとり過ぎると、結果として、血
管の老化を促進することになるのです。

●塩分を一日10グラム以下に減らす

 それでは、「塩分を減らす」ために具体的には何をすればよいでしょ
うか。
 日本人は一人当たり一日に約12グラムの塩分をとっているといわれ
ています。それをせめて10グラム以下にする――これがひとつの目標
になります。もっとも血圧の高い人は一日6グラム以下にする必要があ
ります。
 しかし、食品にはナトリウムそのものが入っており、それを減らすに
はどうすればよいでしょうか。
 食品にはナトリウムの量か食塩の量のどちらかが示されていますが、
ナトリウムから食塩の量をどうやって知るのでしょうか。それができな
いと一日10グラム以下といっても、守りようがないといえます。レス
トランなどで出された料理の食塩量はどうやってチェックするのでしょ
うか。
 ナトリウムの量と食塩の量――そのどちらからでも食塩の量とナトリ
ウムの量を次の式で算出できます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  ナトリウムの量(mg)×2.54÷1000=食塩の量(g)
  食塩の量(g)÷2.54×1000=ナトリウムの量(mg)
――――――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、実際問題として、毎日食べるものの食塩の量をいちいちチェ
ックするのは困難なことです。したがって、現実的な方法としては、「腹八分目」を目指すしかないでしょう。食べるものを通常よりも2割減らすことによって塩分もそれに応じて減ることになります。「腹八分目」を実行することは塩分を減らすことにも役立つのです。

●カリウムを多く含む食品を多くとる

 通常よりも多くの塩分を含む食品をなるべく食べないようにすること
も塩分を減らすことにつながります。漬物、梅干し、塩辛、すじこ、た
らこ――これらの食品は多くの塩分を含んでおり、なるべく食べないよ
うにすることを心がけるだけで、確実に塩分を減らすことができます。
 ところで、カリウムは、ナトリウムとくっついて体の外に出す働きを
するのです。カリウムは血管を開く酵素の働きも活発にしますので、「細い血管」がよく開くようになります。カリウムを多くとることはいいことなのです。
 カリウムを含む食品を上げておきましょう。
 アボカド、切り干し大根、バナナ、りんご、レーズン、オレンジ、か
れい、ほうれんそう、さつまいも、ひじき、大豆、干し柿、ミニトマト
です。この中で身近にすぐ食べられるものは、バナナとリンゴですね。
 バナナ1本当たり350〜500mg、リンゴ1個には220mgの
カリウムが含まれています。しかし、カリウムは、調理によって失われ
やすいので、煮汁ごと食べられる煮物や煮魚が適しています。またさつ
まいもを食べるときには焼いたり、蒸したりして食べるようにすると、
カリウムの含有量を減らさずに食べることができます。
 高沢謙二先生は、和食党だそうですが、和食で「一汁三菜」は健康に
とって合理性があるといっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「一汁三菜」といわれる和食の構成は、主食、汁もの、主菜、副菜、
副々菜となります。主菜(魚、肉、大豆製品)からはたんぱく質、副
菜(野菜、豆類、いも類など)からはビタミン、ミネラル類をよくと
ることができます。
 また、味噌汁などの汁ものは野菜、海藻、豆腐などの具をたくさん入
れて食べることがおすすめです。               
――高沢謙二著『「若返り血管」をつくる生き方』/
講談社+α新書258−2B
 ――――――――――────――───―― [血管の話/14]

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2009年12月03日

●ご存知ですか──「フレンチ・パラドックス」

 フランスのボルドー大学の科学者セルジュ・レヌーが、「フランス、
ベルギー、スイスに住む人たちは、他の西欧諸国の人々よりも、チーズ
やバターなどの乳脂肪、肉類、フォアグラなどの動物性脂肪を大量に摂
取しているにもかかわらず、心臓病の死亡率が低い」という説を打ち出
したのです。
 その原因を調べたところ、彼らが日常的に飲んでいる赤ワインではな
いかという説が出てきたのです。人間を始めとする動物が、赤ワインが
豊富に含まれる「ポリフェノール」を摂取すると、動脈硬化や脳梗塞を
防ぐ抗酸化作用、ホルモン促進作用が向上するという発表が行われたの
です。
 しかし、これに反論する学者も多いのです。フランス人の心筋梗塞が
少ないのは、ワインのポリフェノールのせいではなく、「ワインの飲み
すぎで肝疾患で死ぬ人が多いから、相対的に心疾患で死ぬ人が少ないだ
けだ」と主張する学者もいるのです。
 しかし、その理論は、世界保健機関(WHO)によって「フレンチ・
パラドックス」──フランスの逆説と呼ばれ、1990年代初頭に全世界に急速に広まったのです。それまでの日本はどちらかというと、白ワインの消費量が多かったのですが、このニュースが広がると、日本でも赤ワインによる健康ブームが巻き起こることになったのです。

●ポリフェノールを含む食品とは何か

 ポリフェノールは、植物に含まれている色素や渋み成分のことで、体
の酸化と「血管の老化」を防ぎ、血圧を下げる効果をもたらすのです。
ポリフェノールの仲間を少し上げてみましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
   ケルセチン──たまねぎ、りんご、ブロッコリーなど
   イソフラボン──大豆、豆腐など
   ルチン──そば、アスパラガスなど
   アントシアニン──ブルーベリー、りんご、さつまいもなど
   カテキン──赤ワイン、緑茶など
――――――――――――――――――――――――――――――――
 別に赤ワインを飲まなくても、日本人になじみの深いポリフェノール
を含む食品には、緑茶のカテキン、大豆、豆腐があるので、それらを意
識してとるようにすればよいと思われます。
 日本人は欧米諸国に比べると喫煙者が多いのですが、喫煙している人
の割合からすると心筋梗塞になる人は少ないのです。それは、日本人が
日常食べている食品にポリフェノールが多く含まれているからです。
 とくに緑茶のカテキンは、「血管の老化」を防ぐ力が強いのです。緑
茶には脳梗塞を予防する効果のあるテアニンや血糖値を下げる効果のあ
るポリサッカライドという物質も含まれているのです。

●くだものを食べなくなった日本人

 最近の統計によると、日本人が一年間に消費するくだものの量は世界
各国の平均値を下回っているのです。くだものの代表として、りんごを
取り上げることにします。りんごは、体内の悪いものを掃除する役割が
あるのです。
 既に述べたようにりんごはカリウムを豊富に含んでいますが、カリウ
ムはナトリウムをくっつけて排出する掃除役としての働きがあります。
また、りんごにはペクチン──水に溶ける食物繊維が豊富なのです。ペクチンもコレステロールを吸着して排出する掃除役として働きます。
 くだものを煮ると、それに含まれているペクチンが水に溶け出し、糖
分とともに煮詰めるとくだもの中の酸との作用によってゼリー化するの
です。くだものによりこのペクチンの量が足りない場合には、理想的な
ゼリー化状態にするためにそれを補うことになります。
 古くからジャムをつくるときに、りんごの芯などが伝統的に使用され
てきましたが、今日、ペクチンはその優れたゲル化特性から、ジャムや
フルーツソース、ゼリーの製造など幅広く利用されるようになっている
のです。このようにペクチンは、ジャムの製造にあたって重要な役割を
果たしているのです。
 りんごの皮の色素には、悪玉コレステロールの酸化を防ぐアントシア
ニンが含まれています。したがって、りんごを食べるには皮をむかない
で、皮ごと食べると効果があるのです。
 血管を若返らせるために忘れてはならないことがあります。それは、「水分補給」です。水分を補給しないと、血液はねばり気を増してくるのです。その結果、血液が流れにくくなります。
 血管が詰まることが多いのは、寝起きの時間帯──副交感神経が交感神経に切り換わる時間帯に多いのです。睡眠中に汗をかき、水分が失われて、血液が詰まりやすくなるのです。そういう意味では、風呂上りも要注意です。
 水分補給はこまめに少しずつとるのがベストです。運動をして汗をか
いたりしたときは、必ず水分の補給を行う必要があります。大量に汗を
かくと、水分とともに塩分も失われることがあります。このときには、
水だけではなく、塩分をとることも大切です。  [血管の話/15]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 血管の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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