とは何でしょうか。ストレスには次の3つの種類があります。
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1.物理的ストレス
2.精神的ストレス
3.化学的ストレス
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物理的ストレスというのは、人間が生きているだけで感じてしまうス
トレスのことです。暑さ、寒さ、冷たさなど肌で感じてしまうものは、
物理的ストレスとして分けられます。騒音などもその一つです。
精神的ストレスは、別名心理的ストレスともいい、現代社会において
はこのストレスが一番多いと考えられています。仕事、家事、人間関係
などの自分が苦手とする分野に対して、長時間その環境にいることで、
体が自然と拒否してしまい、精神的ストレスに陥ってしまいます。物理
的ストレスが誘発してしまう恐れもあり、油断できないといえます。
化学的ストレスとは何でしょうか。聞きなれない名前ですが簡単に説
明すれば、「薬、お酒、栄養不足」から来るストレスを化学的ストレス
といっているのです。お酒はストレスを発散させるものとして、昔から
親しまれていますが、「飲みすぎては体に毒」という言葉があるように
体にストレスとして負担を掛けていきます。また、薬は現代の医療にお
いて、欠かせないものですが必ず副作用というものがあり、これがスト
レスになるのです。
ストレスは個人差というものがあります。ストレスに強い人と弱い人
はいるのです。そこで自分のストレス度というものを知っておくと、参
考になると思います。ストレス度診断は多くのサイトで無料でやってく
れますが、40の質問に答えるだけでチェックできるメディシナル研究
所の「ストレス度チェック!」をぜひ受けてみてください。
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ストレスに強いかどうかは生まれつきの性格や経験によって左右され
ると考えられてきたのですが、最近の脳科学の研究によって、そうでは
ないことがわかってきたのです。ストレスに対する耐性の違いは脳の活
性化と深くかかわっているのです。
●だるまに象徴される「図太い心」
ストレスに対する耐性──東邦大学医学部統合生理学教授の有田秀穂
氏は、これを「図太い心」と名づけ、だるまを例にとって説明していま
す。だるまが「図太い心」を体現しているというのです。
第1は「だるまには手がない」ということです。
手がないということは、いやなものを払いのけたり、ものごとをうま
くコントロールできない状況をあらわしています。だるまに手がないこ
とは、ストレスや悩みに対して、無駄な抵抗をしないことを意味してい
るのです。
第2は「だるまには足がない」ということです。
足がないということは「逃げる」ことができないことを意味します。
手がないので戦うことをせず、足がないので逃げられないのです。ただ
そこにじっとたたずんで耐えるだけです。
第3は「七転び八起き」できるということです。
だるまは手足がないので、叩かれたり、押されたりするとすぐ倒れて
しまいます。しかし、いったんは倒れても、すぐ起き上がります。「七
転び八起き」です。仕事でミスして上司に叱られ落ち込んでいたが、次
の日は何事もなかったように出勤してくる──これは倒れても元に戻る
ことができる人です。
第4は「片目が描かれている」ということです。
大願成就を祈るだるまには、はじめから片目が描かれています。あの
目こそ「図太い心」の象徴なのです。これは人間の生き方の象徴です。
だるまの目について、有田教授は次のように述べています。
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大願が成就すると、ダルマのもう片方の目に目玉が入ります。信念を
もち続け困難や障害にあっても「七転び八起き」でやっていくと、最
後には願いが叶う──そんな象徴として、私たちは願をかけて、神棚
や目立つ場所にダルマを飾るわけです。願いというのは人によって、
お金持ちになりたい、いい成績をとりたい、美しくなりたい、試合に
勝ちたいなどさまざまでしょう。そうした夢や希望を思い描いて、私
たちは努力を積み重ねます。そして、努力が実を結んで夢や希望が叶
い、お金持ちになったり試合に勝ったりといった報酬が私たちにもた
らされると、それに合わせてもう片方の目が開かれるわけです。そう
して見ると、願いごとが叶ったときに入れる片目は、「生きる目標」
の象徴と呼んでいいでしょう。 ──有田秀穂著
『ストレスに強い脳、弱い脳』/青春新書
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──[ストレスと脳の話/01]