2010年08月05日

●鬱病になる原因はわかっていない

 厚労省の「うつ対策推進方策マニュアル」というものがあります。そ
の中の「うつ病の可能性を疑う状態」のチェックというのがあるので、
ご紹介することにします。やってみてください。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.毎日の生活に充実感がない
 2.これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
 3.以前はラクにできていたことが、今ではおっくうに感じられる
 4.自分が役に立つ人間だと思えない
 5.わけもなく疲れたような感じがする
――――――――――――――――――――――――――――――――
 イススかノーで答えて、そのうちの2項目以上が2週間以上、ほとん
ど毎日続いていて、そのためにつらい気持ちになったり、毎日の生活に
支障が出ているようであれば、直ちに医師の診断を勧めています。
 ところで、鬱病は何が原因で起きるのでしょうか。実は、現在でも原
因が究明されていないのです。次の2つの仮説があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
           1.セロトニン仮説
           2.神経可塑性説
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1の「セロトニン仮説」とは何でしょうか。
 脳内で不足している神経伝達物質のセロトニンを抗鬱剤が増強し、鬱
病を改善するというものです。動物実験では1時間程度でセロトニンが
増えることはわかっています。
 しかし、人の場合、抗鬱剤を服用した患者に症状改善が見られるまで
2週間程度かかるのです。もし、セロトニン欠乏が原因であれば、この
タイムラグは説明できなくなります。抗鬱剤が脳内に何らかの変化をも
たらしたのではないかと考えることもできるのです。
 第2の「神経可塑性説」とは何でしょうか。
 この説によると、ストレスを受けたとき、コルチゾールというストレ
スホルモンが過剰に分泌され、BDNF(脳由来神経栄養因子)の機能
が低下するのです。その結果、脳の神経細胞から伸びる突起が萎縮した
り、神経細胞の新生が阻害され、脳の神経細胞に異常をきたし、鬱状態
になるという考え方です。
 一般的には、人はストレスを受けてもそれに慣れるのですが、鬱病の
人はストレスに弱く、身体がストレスを受け続けるので、神経細胞が影
響を受けるというのが、神経可塑性説です。
 抗鬱剤は、セロトニンを増加させ、BDNFを増強し、神経細胞に作
用すると考えられています。抗鬱剤が効くのはこれが原因であるという
考え方です。

●鬱病には10種類のタイプがある

 鬱病は一つの原因で起きる病気ではなくて、さまざまな原因で起きる
症候群と理解されています。したがって、医師は患者から症状を聞き、
あるレベル以上になれば、抗鬱剤を使うメリットがあるという判断して
いるので、なぜ、鬱病になったかはあまり問題にされないのです。
 現在、鬱病は多様化しており、そのタイプは次の10種類に及ぶので
す。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  1.メランコリー型 ────── オールドタイプ鬱病

  2.双極型 ───────I
               I── ニュータイプの鬱病
  3.非定型 ───────I   (DSM−非収録)

  4.葛藤反応型 ─────I
  5.逃避型        I
  6.未熟型        I
  7.ディスチミア型    I── ニュータイプの鬱病
  8.恐怖型        I  (DSM−W非収録)
  9.職業結合型      I
 10.双極スペクトラム ──I
                 「週刊東洋経済」7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「DSM−W」というのは、米国精神医学学会作成の基準のことです。
現在日本では、はっきり鬱病と診断されるのは、「メランコリー型」だ
けであるといわれています。これは富士山に例えると冠雪部分のみです
が、米国精神医学学会の基準「DSM−W」では、5合目から上なので
す。
 この基準に従うとしても、冠雪部分は治療ができるものの、土地の部
分はどのように治療すべきかきちんとしたことは決まっていないようで
す。DSM−Wでは、患者から症状を聞き出す90分に及ぶ面接マニュ
アルがあるのです。少なくとも精神科に関しては現状において、日本の
医療には、問題が多いようです。       ──[鬱の話/11]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月29日

●鬱病の人は睡眠障害になりやすい

 鬱病のほとんどは不眠などの睡眠障害を伴うとされています。したが
って睡眠障害がひどい場合は、鬱病を疑ってみることが必要です。
 2006年に日本大学医学部が、20歳以上の男女2万4688人を
対象に行ったアンケート調査の解析結果がそれを示しています。鬱病の
人における不眠症の各症状へのなりやすさについて健康な人と比較した
調査ですが、健康な人を「1」としたとき、睡眠障害の次の4つの症状
が鬱病の人にどのぐらいの倍率で出るか調べたものです。これを「オッ
ズ比」といいます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       「入眠障害」 ・・・・・ 1.60倍
       「中途覚醒」 ・・・・・ 1.44倍
       「早朝覚醒」 ・・・・・ 1.21倍
       「日中眠気」 ・・・・・ 1.55倍
                『週刊東洋経済』7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「オッズ比」とは、生命科学の分野において,ある疾患などへの罹り
やすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度です。オッズ比が
「1」とは,ある疾患への罹りやすさが両群で同じということであり,
「1」より大きいとは,疾患への罹りやすさがある群でより高いことを
意味します。
 逆に、オッズ比が「1」より小さいとは,ある群において疾患に罹り
にくいことを意味します。例えば,ある多型が疾患群100名中の40
名で,健常群が100名中の20名で認められたとします。このときの
オッズ比は次のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      (40/60)/(20/80)=2.67
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これは,ある多型において疾患群で出現するリスクが、健常群に対し
て2.67倍高いことを意味しています。
 一般的には、鬱病に苦しむ人は、夜中の2時とか3時に目が覚めてし
まい、そのあと眠れなくなる「早朝覚醒」が典型的症状とされていたの
ですが、日本大学の調査結果では、早朝覚醒よりも他の不眠の症状の方
がオッズ比が高くなっている点は注目すべきです。とくにオッズ比の高
いのが「入眠障害」であり、寝つきの悪さが鬱病と関連を持っていると
いえます。

●抗鬱剤にはレム睡眠を抑制する

 鬱病の患者を眠らせないようにして、症状改善を目指す療法がありま
す。なぜ眠らせないようにすると効果があるのかですが、鬱病の症状に
は生体リズムの異常を示すものが多いため一時的に睡眠を断つことで、
生体リズムを改善しようというものです。
 この断眠療法は、1970年代から欧州で研究が始まり、日本では秋
田大学医学部付属病院などが取り入れています。一晩の断眠直後から効
果が出るといわますが、その有効率は60%と高く、抗鬱剤の有効率と
差はないのです。抗鬱剤を飲むのに抵抗のある患者には試みる価値のあ
る療法です。
 しかし、患者を眠らせないようにするには、そのためのスタッフを確
保しなければならないなど、方法論としての難しさを指摘する医師もい
ます。また、東京女子医大の石郷岡純教授は、断眠をした場合、ポジテ
ィブあるいはニュートラルな情報が記憶から減り、ネガティブな情報は
あまり減らないという指摘をしており、賛否が分かれています。
 しかし、一般的には鬱病には不眠が伴うので、抗鬱剤によって睡眠を
誘導させる方法がとられることがあります。抗鬱剤の主なものには次の
3つがあります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.三環系抗鬱剤
 2.SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
 3.SNRI(セロトニン・ノンアドレナリン再取り込み阻害剤)
――――――――――――――――――――――――――――――――
 これらの抗鬱剤──とくに三環系抗鬱剤には、鬱病患者に多い「レム
睡眠」を抑制する働きのあるものが多いのです。SSRIやSNRIに
もその働きはあるのですが、逆に覚醒的に働くという報告もされている
のです。
 健康な人の睡眠は、入眠後、ノンレムと呼ばれる深い睡眠に入り、そ
の後は周期的に浅いレム──レム睡眠とノンレム睡眠を何回か繰り返し
て目覚めるというパターンを持つのです。これに対して鬱病の人の睡眠
は、入眠後すぐにレム睡眠が訪れ、第一周期からレム睡眠の時間が長く
なる傾向があります。つまり、鬱病の人の眠りはとても浅いのです。三
環系抗鬱剤は、このレム睡眠を抑制する働きがあるのです。このように、
不眠は鬱病に発展することが多いのです。日大医学部の内山教授は、次
のようにいっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 不眠などの体の症状がまず自覚され、その後、表情のなさなどが現れ
 る。本人が鬱病を自覚するのはずいぶん先になる。 ──内山教授
――――――――――――――――――――――――――――――――
                      ──[鬱の話/10]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月22日

●鬱病と不眠には深い関係がある

 鬱病と不眠──この2つの症状は切っても切れない関係にあります。
鬱病には不眠がつきものであり、不眠の人は鬱病になりやすいといわれ
ます。日本大学医学部の内山真精神医学系主任教授は次のように述べて
います。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 鬱病患者の約9割が睡眠の問題を伴っている。うち8割は不眠で、残
 りは日中に眠くなる過眠などだ。 ── 内山真教授
                  『週刊東洋経済』7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 政府は、今年の3月1日より、『お父さん眠れてる?』との問いかけ
とともに、睡眠不足の自覚を促すキャンペーンを始めたのです。これは
例年自殺する人が最も多い3月を自殺対策強化月間として開始されたも
のです。
 次のURLはそのキャンペーンのために内閣府の作成した動画です。
一度ぜひ見ていただきたいと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 http://wwwc.cao.go.jp/lib_06/jisatsutaisaku/20100226suimin.html
――――――――――――――――――――――――――――――――
 不眠は鬱病のサインなのです。鬱病は、不眠などの体の症状がまず自
覚されその後、表情のなさなどが現れます。しかし、本人が鬱病を自覚
するのは、それからずいぶん先のことになります。不眠が続くと鬱病に
なりやすいのです。したがって、不眠が2週間も続くようなら、鬱病を
疑って医師の診断を受ける必要があるのです。
 米国ハーバード大学の卒業生の追跡調査によると、卒業後10年以内
に不眠症になった人が、その後30年で鬱病を発症するリスクは、不眠
でない人の約3倍といわれています。

●「不眠症」とは何か

 不眠が病気であることを認識していない人は多いのです。それは間違
いであり、睡眠障害の代表的なものが「不眠症」という病気なのです。
その定義は次のようになっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ≪不眠症の定義≫
   1.寝つくのに不眠が普段より2時間以上もかかる「入眠障害」
   2.夜中に何回も(2回以上)繰り返し目が醒める「中途覚醒」
   3.朝起きたときぐっすり眠った感じの得られない「熟眠障害」
   4.普段より、2時間以上も早く目が醒めてしまう「早朝覚醒」
 以上のいずれかが週2回以上起こり、それが一か月継続し、自らそ
 れが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられる場合、
 「不眠症」と診断される。          ──日本睡眠学会
――――――――――――――――――――――――――――――――
 睡眠を促しているものは何か──今までは諸説があったのですが、現
在で生命活動を維持するため、脳が自身に対して積極的に働きかけると
いうのが定説になっています。
 睡眠を起こすメカニズムには2つあります。1つは、目覚めている時
間が長くなると、睡眠促進物質が体内に溜まって眠くなるというもので
す。2つは、夜になると、自然に眠くなる「体内時計」の働きによるも
のです。人間の脳には「視交叉上核」という1万6千個の神経細胞があ
るのですが、それは約24時間で1サイクルになる体内時計をつかさど
っているのです。

●やってみる価値のある7つの不眠解消法

 鬱病になることを防ぐいちばん効果的な方法は不眠症にならないこと
です。そのためには、自己努力で不眠の解消に向き合ってみることが必
要です。不眠症と診断されると、多くの場合薬物療法が行われますが、
できるだけ薬に頼らない解消法をとるべきです。
 そこで、やってみる価値のあるのが次の「やってみる価値のある7つ
の不眠解消法」です。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ≪やってみる価値のある不眠解消法≫
 1.一晩眠れなくても気にしない。前日の不眠は最高の睡眠薬と考え
   る。
 2.睡眠時間には個人差がある。体調で変化することを自覚する。
 3.本当に眠くなったときに床につく。
 4.寝床をテレビや読書など睡眠以外に使用しない。
 5.寝床で20分眠れなければ寝室を出て、別のことをする。
 6.寝る前の過激なアルコールの摂取、熱すぎる湯の入浴は避ける。
 7.休日は睡眠時間は長くなるが、平日との差は2時間程度に抑制。
                 『週刊東洋経済』7/24より
――――――――――――――――――――――――――――――――
                      ──[鬱の話/09]

posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月15日

●鬱病の自殺は「病死」である

 よく「自殺する」と自分でいう人は自殺しないといいますが、それは
本当でしょうか。
 これに関して精神科医の香山リカ氏は、「好きにすれば」と絶対に突
き放してはならないと断って、次のようにいっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「自殺する」って周囲に言う人たちの多くは、助けてほしいとか、自
 分に注目を集めたいという目的で言ってるんだと思います。ただ、そ
 の人たちは、往々にして死ぬ真似事をするので、そのときに誤って死
 んでしまうケースがすごく多い。本気では死にたくなかったか、どっ
 ちでもいいや、って思っていて、結果として死んでしまう。本当に信
 念を持って死ぬ人はかえって「死ぬ」とは言わないケースが多いです
 ね。 ──五木寛之/香山リカ共著/『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――――――――――――――
 鬱病になると、「自己否定」が強く働きます。「自分なんて消えてし
まえばいい」、「自分がいるから周りに迷惑や心配をかけてしまう」、
「こんなダメな人間の自分は死んでしまったほうがいい」というように
です。つまり、自分を責めるわけです。
 このように心が動いていくと、仕事や日常の何でもないことができな
くなってしまい、やむなく退社させられたり家族や周囲に白い目で見ら
れたりしてしまうのです。そしてそのことでまた更に鬱になるのです。
こうなると、周囲に理解できる人がいないと、最悪の状況は回避できる
かもしれませんが、そういう人がいない場合、最悪の状況は「自殺」な
のです。
 つまり、鬱病の自殺は「自殺」と考えるべきではなく、「病死」と考
えるべきなのです。病気ですから、良くなったり、悪くなったり、急変
したりするのです。その急変して最悪の状況になった状態が「自殺」な
のです。
 鬱病の人の10人に1人が真剣に自殺を考えたことがあり、また40
〜50人に1人が自殺を計画したり、試みたことがあるとされているこ
とからも、鬱病は自殺に結びつきやすい病気ということができます。
 もうひとつ大事なことがあります。自殺を試みる人は、鬱病の症状が
最もひどい極期ではなく、初期の不安やイライラが強いときと、病気が
快方に向かう回復期に起きやすいことが知られていることです。極期で
は自殺する意欲がわかない状態ですが、回復過程に入り意欲が出てくる
と自殺への衝動性が高まるのです。

●鬱病は「心の風邪」である

 古賀洋吉氏という人の『愛の日記』というブログに「鬱病による自殺
が減りますように」の一文があります。鬱病による対処法が詳しく、て
いねいに書いてあります。以下はそのまとめです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.自分の尺度で余計なアドバイスをしない
   「がんばれ!」は禁句です。なぜなら、鬱病はがんばりすぎたひ
   との病気なので、これをいわれると「お前はがんばっていない」
   と言われている気になるからです。自分の尺度でなく、相手に合
   わせるべきです。
 2.言葉通りに解釈して反論してはならない
   相手が相当理解に苦しむことをいってもすべて許してあげる度量
   を持つべきです。鬱病の「症状」と本来の「人格」を混同しない
   ことが必要です。何をいっても「鬱病にいわされている」と考え
   るべきです。
 2.正論をいわず、特別扱いするよう努める
   いわゆる正論を話して相手を追い詰めないことです。傷ついた人
   には、回復する十分な時間が必要であり、それまではやさしく、
   そして全力で守ってあげるのが周りにいる人の役目であると考え
   るべきです。
 3.話をじっくり聞き、問題の理解に努める
   自己は捨て話を聞くことに集中すべきです。心の壁の向こうで出
   られなくなっている本当の姿が見えるまで、暗闇の中で路頭に迷
   った瞬間を感じるまで、相手の心をつかむ感触がある瞬間まで話
   を聞くことです。
 4.失った自信を取り戻させる努力をしよう
   自分がどんなに素晴らしい人間なのかを思い出させる必要があり
   ます。例えば、本人の素敵なところを大量に指摘し、「自分には
   価値がない」という勘違いがいかに馬鹿げているかを伝える必要
   があります。
 5.必ず、逃げ道を用意しておくようにする
   鬱病の大きな原因は、逃げ道がないと本人が絶望していることで
   す。欝の影響で思考回路が閉鎖的になり、本人では逃げ道を作れ
   ない事が多いのです。回復するまで、逃げられる方法を提供する
   必要があります。  http://yokichi.com/2009/01/post-180.html
――――――――――――――――――――――――――――――――
 鬱病は「心の風邪」といわれます。本人の気持の持ち方しだいで、た
だの風邪に終るか、重病になるかが左右される病気です。とくに、周り
にいる人のサポートが治癒のカギを握る病気なのです。
                      ──[鬱の話/08]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月08日

●性格と鬱病とは関係があるか

 「プチ鬱」──鬱な気分を性格のせいにする人がいます。職場で上司
にミスを指摘され、休日になってもそのことが頭から離れず、寝つきが
悪くなったりしたとき、「つまらないことを気にする性格だからダメな
んですよね」といったりします。
 これは自分自身がそういう性格を持っていることで、自分を責めるこ
とになるので、マイナスなのです。それに性格というものはそう簡単に
変わるものではないので、そういってしまうと、なかなか「プチ鬱」か
ら抜け出せなくなってしまうのです。
 ところで、性格とは何でしょうか。
 性格というものは個人の反応や行動の特徴なのです。性格に似た言葉
に「気質」があります。気質は性格よりも生まれたときからその人が持
っている特質であって、性格よりも変えにくいものであるといえます。
 門倉真人先生は、性格は不変なものではないとし、それと鬱病の関係
について次のように述べているのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 性格は不変のものでしょうか。性格を「個人の反応や行動の特徴」と
 すればそれは決して不変のものではなく、私たちの感情、意欲、経験
 などに大きく左右されるものであることがわかります。気分が良いと
 きは、明るい性格になったり、落ち込んでいると暗い性格になったり
 するのは、誰しも経験したことがあるでしょう。とくに、鬱や躁など
 の感情の起伏は、個人の反応・行動パターンに直接的に大きな影響を
 与えます。(省略)鬱病や躁病は性格の問題ではありません。鬱病や
 躁病は感情の障害であり、いわゆる性格の問題ではないのです。鬱病
 では、意欲低下や抑鬱気分という症状によって「個人の反応や行動の
 特徴」が変化します。躁病では多升多動や自己肥大感といった症状が
 出現し、症状によってあたかも性格が変わったようになるのです。
 ──門倉真人著『鬱のパワー/落ち込んだあとに3歩前進する方法』
                      講談社+α新書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、一般論として、母が、神経質、生真面目、厳格で、口うるさ
い性格の場合、どうしても子供は親の顔色を見て育つようになります。
そしてその子はさまざまな環境において、いつも他人の目を人一倍気に
してしまうようになり、これは鬱病の引き金になります。

●心の安定のために『歎異抄』を読ませる

 五木寛之氏の話によると、政府から鬱病対策として何をしたらよいか
教えて欲しいという打診があったということです。ちゃんと精神科医と
いうものがいるのに作家に対策を聞くというのもおかしなことですが、
実際は精神科医でも何をすべきかわからない場合が多いことは確かなの
です。
 政府は2006年に「自殺対策基本法」を立ち上げており、予算措置
も行われています。担当部署が自殺者を調べてみると、鬱病の患者が多
く、鬱病を減らせば自殺者は減るのではないかと考えたので、何か良い
知恵はないかと五木氏に話があったのです。
 五木氏が外科医の学会に講演を頼まれたとき、外科医から大きな手術
の患者さんに『歎異抄』が読めるようやさしく書いて欲しいという依頼
があったそうです。五木氏は小説『親鸞』(講談社刊)を上梓している
ので、そういう依頼があったのでしょう。
 『歎異抄』とは文字通り「異義なることを歎く書物」です。「抄」と
いうのは、一般的には、抜き書きし・書き写したものということです。
この書には著者の名前が出ていませんが、親鸞聖人の門弟である唯円と
いう人が書いたものであると推定されています。
 親鸞聖人の亡くなった後、主として関東の門弟が親鸞聖人の信仰と異
なった勝手な主張をしていることに対して、嘆いたうえ間違っている点
を指摘し、正しい伝承に戻し、真実に帰ってもらいたいという願いに燃
えて、前半10章に直接親鸞聖人から聞いた言葉を示し、後半8章に異
義に対する唯円の批判を示して書かれた書物です。       
出典:http://kyoto.cool.ne.jp/otera/tanni/
 多くの病院では、手術を受ける患者に対し、「手術が心配だと思って
いる人はご相談ください」というチラシを配っています。申し出た人は
そういうメンタル・ケアのひとつとして心の安定をもたらす『歎異抄』
を読ませるという方法がとられているようなのです。五木氏はこういっ
ています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 僕は銀行の頭取に「なんで僕らみたいな、迂遠な話をする人間に話を
 聞くんですか」と訊ねたら、社員の心が壊れているとしか思えない現
 象が毎日起きていると。メンタル・ヘルス・トレーニングをいろいろ
 やるけども、まったく効き目がない。それでようやく、これは心の問
 題ではないか、ということになった。五木さんのような非実用的なお
 話をしていただければ役に立つのではないかと、溺れる者は藁をも掴
 むという気持ちでお願いしました、なんて言うわけです。じゃあ僕は
 藁か、と(笑)。
   ──五木寛之/香山リカ共著/『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――    [鬱の話/07]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月01日

●現代は誰でも「鬱な気分」になる可能性がある

 作家五木寛之氏と精神科医の香山リカ氏による全編対談の『鬱の力』
という本があります。この中で、五木寛之氏が「鬱」について面白いこ
とをいっているので、ご紹介しましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 僕は「鬱」の問題を、個人の人格的な危機や、短期的な社会現象とし
 て捉えるべきではないと考えています。むしろ20世紀後半から21
 世紀はじめにかけて、社会全体の流れが「躁」から「鬱」へと転じて
 きたという。長いスパンで捉えたいんですよ。        
   ──五木寛之/香山リカ共著 『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――――――――――――――
 敗戦後、日本にはモノはなく、生きて行くのが大変な時代だったので
すが、前途に希望があったのです。これから平和国家、民主主義の時代
になるという希望というか、夢があったので心は爽やかだったのです。
 昭和20年代には古橋広之進が水泳の世界記録をいくつも作り、日本
中が沸き返ったのです。そして昭和39年(1964年)には東京オリ
ンピック、昭和45年(1970年)には大阪で万国博覧会があり、時
代そのものが「躁」だったのです。これが戦後から約半世紀続いたので
す。
 そういう「躁の時代」から10年の空白期をはさんで現在は「鬱の時
代」になっているのです。躁の時代が半世紀かかっているので、鬱の時
代も半世紀かかるはずです。ということは、この時代を生きるわれわれ
は、多かれ少なかれ「鬱な気分」になるものです。
 しかし、この「鬱な気分」は「鬱病」ではないのです。ここまで「プ
チ鬱」という言葉を使ってきましたが、「鬱な気分」は「プチ欝」その
ものです。多くの人が「プチ鬱」になりうる時代なのです。問題は、そ
の「プチ鬱」が本物の「鬱病」に発展する恐れがあることですが、そう
ならないために、鬱の時代を生きる哲学を持つべきである──このよう
に、五木寛之氏はいうのです。
 昔は、鬱病の罹患率は人口比で大体1%〜3%だったのですが、生涯
有病率といって一生の内に1回鬱病になる率が15%になっています。
鬱病は若い人にも拡大しているのです。
 この場合、「鬱病」と「鬱な気分」は分けて考えるべきです。香山リ
カ氏は「心の健康には坑鬱剤に頼るよりも、自分の内面に向き合う方が
有効である」といっています。
 2007年のことですが、精神科医が小学5年生から中学1年生の対
面調査をしたら、調査をした何百人かのグループの7・4%が精神科医
から見ると、鬱病という診断にあてはまりました。とりわけ中学一年生
は、10・7%があてはまるという結果が出ています。若い人に拡大し
ています。

●統合失調症が減って鬱病が激増している

 五木博之氏は、戦争の形態もかつての「躁の戦争」から「鬱の戦争」
に変わってきているといっています。「熱い戦争」から「冷たい戦争」
という時代もありましたが、この場合は戦争を起こす国家ははっきりし
ていたのです。
 しかし、これがテロになると、国という単位ではなく、明確でない団
体やグループが起こしており、守る方としては困惑をきわめます。誰を
相手にどのように守ってよいかわからないし、相手がわからなければ反
撃のしようもないからです。そういう意味で、テロはまさしく「鬱の戦
争」そのものであるということができます。
 香山リカ氏は、精神医療の世界でも、ちょうどそれと同じことが起こ
っているとして次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 精神医療で起きていることも同じです。いま精神医療の世界では、統
 合失調症の重症例が激減しています。かつては統合失調症といえば、
 「異常」の象徴みたいなイメージがあった。でも、いまやそれは数的
 にも減っているし、統合失調症の代表的な症状である妄想自体も、日
 常のなかに埋没してしまうような、ちょっとした不信感とか猫疑心み
 たいなものになっている。そうしたなかで、精神科医はいったいなに
 を敵として闘っていいかが、わからなくなっているんです。 
   ──五木寛之/香山リカ共著 『鬱の力』/幻冬舎新書088
――――――――――――――――――――――――――――――――
 統合失調症が激減したのは、リタニンという向精神薬のせいでもあり
ます。この薬はちょっと気分が沈んでいるという程度の人が飲んでも劇
的に効くのです。したがって、精神科医が扱うと、統合失調症は軽減で
きるのです。
 昔は若い人に統合失調症が多くて、初老の人に欝病が多かったのです
が、今は上記のように10代や20代の人に鬱病は多くなっているので
す。
 しかし、リタニンは、カフェインと覚醒剤の中間ぐらいの薬であり、
かなり強い依存性があるのです。購入するには医師の処方が必要ですが
ネットでも購入できるので、簡単に手に入るのです。リタニンの消費量
は年間38万錠といわれており、もの凄い量が消費されているのです。
しかし、この薬を鬱病に使うのは慎重にする必要があるといわれます。
                     ―― [鬱の話/06]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月24日

●高橋尚子さんの述懐

 日本人はじめての、オリンピック陸上競技での金メダリストである高橋尚子さんは引退したいま、次のように述懐しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 今まで頑張ることは簡単だと思っていた。頑張れば結果がついてくる
 んだって信じてた。でも、頑張ろうと思っても頑張れないときもある
 んだ。頑張っても報われないこともあるんだと知りました。頑張れば
 いいんだよ、といっていた自分が恥ずかしい。
門倉真人著、『鬱のパワー/落ち込んだあとに3歩前進する方法』
                      講談社+α新書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ポジティブ・シンキングという思考法があります。しかし、ポジティブに考えるには相当のエネルギーがいるのです。しかし、人間は生身であり、いつも前向きに気を張っていることはできないのです。
 高橋尚子さんは本当に人にいえないほどの努力をして、オリンピックで金メタルを取ったのです。ですから、次も同じように、いやもっと頑張れば再び金メダルも夢ではないと、ポジティブに考えて、激しい訓練を積み重ねてきたのですが、彼女は二度と世界の檜舞台に立つことはできなかったのです。
 高橋選手ほどの名選手でも、頑張っても結果が出ないことはあるのです。そういうときは、結果が出ないのは頑張りが足りないからだとは考えず、それを受け入れればよいのです。「頑張りが足りないからだ」と考えるのは、本人がそう思っていなくても、自信過剰になっているのです。
 頑張っても結果の出ないことはいくらでもある──そういうときは、それを認め、受け入れることが大切なのです。そしてそんなときでも、なんとかやりくりして、その状況を切り抜けていく必要があるのです。
 鬱病の人を激励してはいけないというのは、そのことをいっているのです。人間というものは、強く意識しないまでも、自分はこうあるべきだという目標を持っています。しかし、その目標が守れないことがよくあります。そういうとき、アバウトな人は「仕方がない」と簡単にあきらめてしまいますが、真面目な人は深刻に考え込んでしまうのです。それもギリギリまで努力して何とかしようとするものです。そうして鬱病になってしまうのです。
 大切なことは、もっと頑張ることではなく、頑張りどころや頑張り方を見直すことが大切なのです。頑張れると思うときに、いや、ここぞと思うときに頑張るというエネルギー配分が必要なのです。

●最大限頑張るのではなく、最小限何をするか見極める

 自分がやりたくないと思うことをやらされると人間は「辛い」と思いますが好きなことは長時間やっても疲れないものです。この場合、「辛い」と思うことをやらなければならないときは、そこに楽しさを見出す努力をしてみる必要があります。
 これに関して、門倉真人先生は次のように述べています。エネルギーには限りがあり、それを上手に配分することが大切だというのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 一般的には頑張れば成功すると考えられています。しかし、成功した
 人のプロセスを見ると、好きなことを一生懸命やっているうちに成功
 してしまっているケースが多いことに気づくでしょう。何かを一生懸
 命にやっても、それを努力とか苦労とか思わずに、ただ面白いから、
 好きだからと、楽しんで夢中になってやっているうちに成功してしま
 う。周囲からは頑張っているように見えていても、じつは楽しんでや
 っていただけというときにこそ成功するものなのです。辛いことや嫌
 なことを我慢してやったから成功したわけではありません。苦しんで
 頑張った人というのは、意外に報われないものです。
 なぜなら、苦しむこと自体に多くのエネルギーを無駄遣いしてしまう
 からです。            ──門倉真人著の前掲書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「プチ鬱」の状態は、本人がそうと気がつかないうちになっていることがあります。問題はどんなときにそうなるかです。一般的に「仕事」には相手がいて、締め切りというものが必ずあります。つまり、時間も労力も限られているのです。もし、締め切りもなく、いくらでも時間や労力が使えるとしたら、それは仕事ではなく、個人的趣味ということになります。
 仕事をやり遂げるためには、自分として最小限何をすればよいかを考えることが必要です。時間と労力を無駄遣いせず、何をやるかを考えるべきです。しかし、その締め切りに耐えられない人はたくさんいます。できない目標を何とかしようとすると、最大限できることをやるべきだと考えてしまうのです。それは一種の強迫観念になって自分を襲い、それが原因でかえって締め切りに間に合わない結果に終わることが多いです。
 この段階で既に「プチ鬱」なのですが、できなかった自分を責め続けて、本当の鬱病になってしまうケースが多いのです。そういうときは、頑張らなければという強迫観念から自分を開放して、最小限何をすればよいかを見極めることが大切なのです。そしてそれを達成した時点で自分を認めてあげる、そうすればもっと大きなこともできるようになります。                   ―― [鬱の話/05]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月17日

●心療内科と精神科──どちらを選ぶか

 最近メンタルクリニックを開業する医師が増えているそうです。患者が増えているからです。「心療内科」と看板に書いてある医院も多いのです。鬱ではないかなと思ったとき、いきなり病院の精神科に行く勇気のある人は少ないと思います。そういう人が心療内科に行くのです。あくまで自分は精神病じゃないと思っているからです。ところで、心療内科とは何でしょうか。精神科とどう違うのでしょうか。
 心療内科と精神科の区別がつかない人は多いと思います。ドクターさえ、その区別がつかないのですから、患者がわからないのは当然のことです。全国で80の医学部・医科大学があるのですが、講座があるのが西の方から、九州大学、鹿児島大学、関西医科大学、東京大学、東邦大学の5大学だけなのです。
 もっとも、近畿大学堺病院、日本大学、東北大学に診療科として心療内科はありますが、系統的に講義や臨床実習を行うことができるのは講座がないとできないのです。そのため、上記5大学を除くと、多くの医学生が心療内科の講義を一度も受けないまま心療内科の医師になる現状があるのです。
 1996年に厚生省(現厚生労働省)が「心療内科」を標榜として認可して以来、全国のクリニックや病院に2000をはるかに超える心療内科が標榜されたのです。しかし、その多くは精神科の先生です。そのため、さらに誤解が生じるのです。また、内科医でも心療内科を標榜できるので、心療内科医には専門的な知識や経験を持っていない人も多いのです。
 そういう意味もあって、門倉真人医師は、鬱病だと思ったら、躊躇わずに病院の精神科に行くべきであるといっています。専門医の診断を受ける必要があるからです。それに、精神科は軽症から重症まで幅広くメンタル疾患に対応できるので、どのような患者の受け入れも可能です。
 「鬱病」と「心身症」とはどこが違うのでしょうか。
 その区別は非常に難しいのです。なぜなら、その初期段階は、どちらの疾患も漠然とした意欲低下や不安感があるので、慎重に鑑別しないと両者を取り違える恐れがあります。
 鬱病には「抑鬱気分」があることが診断のさいの必要な症状のひとつになっています。しかし健康な人でも気分が落ち込むことはよくあり、病的なものか否かの判断は次の2つの症状の有無で判断するのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.強い自覚的苦痛があるかどうか
       2.社会生活に支障をきたしている
――――――――――――――――――――――――――――――――

●抑鬱気分が朝に起きるとプチ鬱である

 もっとも鬱病になりやすいのは朝なのです。「抑鬱気分」がいつ起きるかによってひとつの診断ができるのです。抑鬱気分は朝に起きやすいのです。つまり抑鬱気分は朝がもっとも悪く、夜になるにつれて良くなることが知られているのです。しかし、鬱病が治ってくると気分が良くなる時間が夜ではなくしだいに朝に近付いてくるのです。気分が良くなる時間が朝になると、それは鬱病が治ったことを意味しているのです。
 鬱病と睡眠の関係ですが、中途覚醒や早朝覚醒で、十分な睡眠がとれないまま、最悪の気分で早朝に目覚めてしまうのです。こういうときは「死んでしまいたい」と考えることも多いといわれます。
 これまでの人生においてあなたは、成功したことと、失敗したこととはどちらが多いと思いますか。
 この場合、成功したことが多いと答える人は加点主義、失敗が多いと考える人は減点主義です。例外はありますが、一般的に成功よりも失敗の方が多いと考えます。減点主義に立つとどうなるかについて、門倉真人医師は次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 減点主義の人は、朝起きたときに「ああ、今日も失敗しないように、
 面倒なことにはなるべく関わらないようにしよう」と考えます。そし
 て、朝は「プチ鬱」になりやすい時間帯。鬱病が治っても、起床直後
 からしばらくの間は何となく暗い気持ちになるという患者さんはたく
 さんいるのです。一日のスタートを切る大切な朝に、「プチ鬱」と減
 点主義の相乗効果によって、「今日も辛い一日がまた始まった」と暗
 い気持ちに拍車がかかるのです。
 ──門倉真人著『鬱のパワー/落ち込んだあとに3歩前進する方法』
                       講談社+α新書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 減点主義で自己評価している人は、必ず自己嫌悪に陥ります。減点主義で評価されると、自分を否定されていると感ずるのです。完全な人間なんていないので、減点の対象を探せばいくらでもあるのです。それをいちいち自己評価していると、誰でも自己嫌悪に陥ってしまうのです。
 自己嫌悪に陥っても減点主義評価を変えないと、プチ鬱の状態になっていくのです。それでは、加点主義に変えればよいのかというと、そう簡単な話でもないのです。失敗を反省して成功に結び付ける気持ちを持つことが一番大切なのです。        ―― [鬱の話/04]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月10日

●プチ鬱は映画を観ることで治癒できる/推薦映画4点

 音楽や映画を鬱病の治療に使うことは、古くから精神科で行われてい
たのです。とくに映画は、現在ではDVDが安くなって昔の映画をふん
だんに見ることができるので、プチ鬱の人は大いに利用すべきです。
 しかし、注意しなければならないことは、映画の内容の選択を間違え
ないことです。アクション映画や残酷なシーンの多い映画は避けるべき
です。興奮する映画は、脳が快感物質のドーパミン優位の状態になりま
すが、一時的な快感のあとは、必ずリバウンドがあり、かえって落ち込
んだり、疲弊したりする恐れがあるのです。それよりも最後まで穏やか
な気持ちでいられるようなセロトニン優位になるような映画を選ぶべき
です。
 ドーパミンとセロトニン──鬱病については、これら2つの物質につ
いてよく知っておく必要があります。これら2つの物質をわかりやすく
伝える次の言葉があります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 宝くじが当たったとき:ドーパミンが増え、喜び、興奮します。満員
 電車に揺られているとき:ノルアドレナリンが増え、不快になります
 ・・・・・そんな、心の高ぶりを鎮め、「ほっと」落ち着かせ、安ら
 ぐ気持ちを作り出すのが「セロトニン」です。例えば、筋肉がほぐれ
 たり、いい匂いをかいだり、心地よい環境、食後のひととき・・・・
 セロトニンは分泌を増すことでノルアドレナリンの不快感を抑えてく
 れます。出すぎているノルアドレナリンの量を減らす働きがあるため
 ストレスがたまっているときに温泉に入ったりすると「あ〜」と強く
 癒されるのは、セロトニンが増え、高まっていたノルアドレナリンが
 一気に減らされるためです。また、セロトニンは出すぎたドーパミン
 を減らす働きも持っています。そのため、強まった快感が弱まり、落
 ち着くことで、「もう満足」と行動にブレーキがかかります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 門倉真人氏はプチ鬱を直すのに推薦できる映画を4つあげていますの
で、以下にご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.『アイ・アム・サム』/2001年
   監督:ジェシー・ネルソン/出演:ショーン・ベン、ダコダ・フ
   ァニングなど
 2.『ALWAYS/三丁目の夕日』/2005年
   監督:山崎貴/出演:吉岡秀隆、堤真一、薬師丸ひろ子、小雪な
   ど
 3.『ユナイテッド93』/2006年
   監督:ポール・グリーングラス/出演:ハリド・アブダラ、ポリ
   ー・アダムスなど
 4.『ポネット』/1996年
   監督:ジャック・ドワイヨン/出演:ヴィクトワール・ティヴィ
   ソル、マリー・トランティニャンなど
−―――――――――――――――――――――――――――――――

●鬱病になるとなぜ自殺者が増えるのか

 鬱病になると生きているのが嫌になり、自殺する人が多くなります。
どうしてそうなるのでしょうか。
 世界の大富豪ジョン・ロックフェラー氏は「災難に遭ってもめげずに
努力せよ」といっています。人生は失敗の連続ですが、失敗するたびに
学習してだんだん失敗しないようになります。それが努力です。
 学校の試験で良い点がとれないと、一層勉強しなければならないのに
勉強嫌いになる子供がいます。これは試験で失敗したことを受け入れら
れないためにそうなるのです。人生での失敗を受け入れられず、嫌にな
ってしまうと、人生そのものが嫌になります。それは生きるのが嫌にな
るという意味です。
 人生での失敗にはきちんとそれに向き合って受け入れ、さらに失敗し
ないよう学習し前向きに生きることです。それによって落ち込んだり、
傷ついたりすることは禁物です。門倉真人氏は、そういうときの対処法
について、次のように述べています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 失敗でいちいち落ち込んだり傷ついたりしていると、だんだんと生き
 るのが嫌になってしまいます。いったん起こってしまったことは受け
 入れて、そこから次の努力をスタートさせるしかありません。私たち
 にできることはそれだけでありそれだけがその後の結果を左右する。
 落ち込んだり傷ついたりしている暇はないのです。失敗を責め立てれ
 ば勉強も人生も嫌になります。失敗をごまかしたり、失敗から逃げろ
 といっているのではありません。失敗をきちんと反省し、問題を解決
 して、成長していくというプロセスをたどればいいのです。それは、
 勉強も人生も同じ。落ち込んだり傷ついたりするのは時間の無駄なの
 です。
 ──門倉真人著『鬱のパワー/落ち込んだあとに3歩前進する方法』
                       講談社+α新書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
                     ―― [鬱の話/03]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月03日

●自殺者のかなりの部分は「鬱病」である

 日本は「自殺大国」であるといわれます。直近5年間の自殺者数は次
のようになっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          2005  32552人
          2006  32155人
          2007  33093人
          2008  32249人
          2009  32845人   
──警察庁統計資料
――――――――――――――――――――――――――――――――
 この統計を見せられると、どうしてこんなに大勢の人が自殺するのか
考え込んでしまいます。その背景に、借金、リストラ、倒産、病気、貧
困などがあるいう説明が付いていますが、鬱病に代表されるメンタルな
疾患に原因があるという視点が欠けています。
 つまり、この毎年3万2千人を超える自殺者のかなり大きな割合が、
鬱病という病気である可能性が高いのです。なぜなら、鬱病になると、
ごく軽い悩みでも深刻に考え込み、それが自殺に発展する可能性が高い
からです。
 命綱をつけずに高所で作業させ、もし転落死すれば、企業側の責任は
問われますが、鬱状態で激しい仕事をさせることは命綱なしに高所で作
業させるのと変わらないのです。
 鬱病になりやすい性格として、仕事熱心、几帳面、義務感・責任感が
強い生真面目、周囲の目を気にする、自責的などを前回上げましたが、
これらを総称して「執着性格」というのです。
 執着性格の人は社会や周囲に尽くす、大変望ましい性格ですが、この
性格を持つ人が鬱病にかかると、どうしても無理をしてしまうのです。
鬱病になるとエネルギーにブレーキがかかるのですが、そうして少なく
なったエネルギーで無理しても頑張ることになります。しかし、そうな
ると、思うような成果は出ないので、結局自分を責めてどうしようもな
いところに自分を追い込んでしまうのです。
 日本医師会認定開業医である門倉真人氏は鬱病になる一歩手前の状態
を「プチ欝」と呼んでいますが、その段階で自分が「プチ欝」であるこ
とを発見し、治療することによって、鬱病になるのを防ぐことができる
のです。

●「プチ鬱」をどのようにして発見するか

 疲れやすい、頭が痛い、食欲がない・・・こういう身体症状を訴えて
多くの場合、内科医の診察を受ける人は多いのです。こういう人たちの
10%は鬱病なのです。ちなみに内科で入院している人の15%は鬱病
ともいわれてしまうのです。
 しかし、検査をしても何も異常はないといわれてしまい、鬱病の患者
は精神科以外の診察科を受信するために、30〜50%が見逃されてし
まうのです。しかし、症状が治まらないので、最後は精神科にやってく
るのですが、そのときは、かなり重症化しているのです。
 そこで、門倉真人氏作成の「プチ鬱チェックリスト」をご紹介しまし
ょう。次の15項目をチェックしてみてください。
――――――――――――――――――――――――――――――――
   1.メールの返事がすぐに書けない
   2.電話をかけるのが億劫だ
   3.小さな仕事でも頼まれると気が重い
   4.知り合いを見かけても挨拶できない
   5.雑談に入ろうとしなくなる
   6.原因不明の頭痛、肩こり、胃痛、便秘などが続く
   7.人の中にいても孤立感を感じる
   8.楽しいはずのテレビや本を楽しく感じない
   9.人のアラ探しをしてしまう
  10.つい深酒をしてしまう
  11.昔の嫌な思い出を繰り返し考えてしまう
  12.決断力がなくなって何でも先延ばしする
  13.朝早く目覚めてしまう
  14.食事がおいしくない、楽しくない、楽しみではない
  15.眠っても疲れが取れない
 ─門倉真人著、『鬱のパワー/落ち込んだあとに3歩前進する方法』
                       講談社+α新書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
 この判定は次の要領で行います。いくつぐらい該当しますか。
――――――――――――――――――――――――――――――――
     3〜 5 ・・・・・ 「プチ鬱」の可能性大
     6〜10 ・・・・・ 「プチ鬱」の状態
    11〜15 ・・・・・ 鬱病の可能性が大
――――――――――――――――――――――――――――――――
                     ―― [鬱の話/02]
posted by キーヘルス at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 鬱の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。