2010年01月07日

●インフルエンザウイルスはどのように細胞内に入り込むか

 空気中に漂うインフルエンザウイルスはそれを吸い込んだ宿主の気道
の粘膜に付着します。そして宿主の細胞内に侵入してRNAを送り込ん
で代謝機構を乗っ取るのです。そして、大量の「子ウイルス」を排出す
るわけです。
 インフルエンザにかかった人が咳やくしゃみをすると、鼻や口からウ
イルスを含んだ分泌物が大量に放出されます。ちなみに、一回の咳で飛
散する飛沫の数は約5万個、くしゃみにいたっては、約10万個の飛沫
が飛び散ることになります。ウイルスはそれらのひとつ一つの飛沫の中
にたっぷりと含まれているのです。
 しかし、ウイルスが宿主の細胞に吸着するためには、外被膜から飛び
出しているスパイクタンパク質HAが正常に機能する必要があります。
もし、HAが物理的に破壊されたり、化学的に変性したりすると、ウイ
ルスは細胞に吸着することはできないのです。ウイルスがこのような状
態になることを「不活化」といい、これはウイルスの死を意味します。
 ところで、体内に侵入したインフルエンザウイルスは、組織細胞の中
にどのようにして、入り込むのでしょうか。次の順序で侵入するのです
が、かなり専門的な話になりますが重要ポイントに絞って解説します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.細胞膜表面に吸着
       2.細胞内への侵入
       3.脱殻
       4.ウイルスRNAとタンパク質の合成
       5.粒子の形成と放出
――――――――――――――――――――――――――――――――

●ウイルスの立場で増殖までのプロセスを見る

 感染とは何でしょうか。これをインフルエンザウイルスの立場から見
ていくことにします。まず、1の「細胞膜表面に吸着」です。
 感染というのは、インフルエンザウイルス粒子と細胞との物理的な衝
突により、スタートします。この衝突は偶然の産物ですが、吸着できる
かどうかは、衝突した細胞とウイルスの相性によるのです。
 HAが「鍵」の役割、これに対して侵入される方の宿主細胞の膜の表
面にはさまざまな受容物質が並んでいます。これが「鍵穴」に該当する
のです。HAの鍵と受容物質の鍵穴が合致する場合だけ、ウイルスは細
胞表面に吸着できるのです。ちょっと専門的になりますが、インフルエ
ンザウイルスが吸着できるのは、シアル酸を末端に持つ糖タンパク質や
糖脂質なのです。
 続いて、2の「細胞内への侵入」です。
 生物というのは、細胞膜によって閉じられた空間で、さまざまな化学
反応を行いそこで生まれた産物によって生命活動を営んでいるのです。
そのために細胞は、生命活動の材料となる物質を細胞外から定期的に取り込もうとするのです。インフルエンザウイルスは、この生命活動のシ
ステムを利用して細胞内に入り込むのです。
 3の「脱殻」とは何でしょうか。ここからがちょっと専門的になりま
す。
 細胞内に取り込まれたインフルエンザウイルスは、宿主の細胞膜でで
きたエンドソームという小胞の膜に取り囲まれていて、宿主の細胞質成
分とは隔絶されているのです。増殖を果たすためにはエンドソームを破
壊して、RNP(RNAタンパク質複合体)を細胞質内に送り込む必要
があるのです。
 そのかぎを握っているのが「M2タンパク質」なのです。M2タンパ
ク質は、水素イオンをウイルス内部に導入するチャネルの働きをするの
です。宿主細胞のエンドソーム内部は酸性に保たれているので、ウイル
スがエンドソームに取り込まれると、M2タンパク質のイオンチャネル
が活性化するのです。
 ウイルス粒子内に水素イオンが流れ込み、内部が酸性になると、RN
Pとウイルスの殻(外被膜)との結合が進むのです。ここでもうひとつ
のタンパク質であるHAはエンドソーム内の酸性の条件下でその立体構
造が変化して、宿主細胞のエンドソームとウイルスの外被膜を融合させ
ようとします。この膜融合によって、宿主の細胞質とウイルス粒子の内
部がつながり、ウイルスのRNPが細胞質内に放出されるのです。これ
を「脱殻」というのです。
 続いて4の「ウイルスRNAとタンパク質の合成」です。
 ここからウイルスは大活躍を始めるのです。宿主細胞の細胞小器官を
使って自分のRNAやタンパク質を作っていくのです。このとき子孫ウ
イルスを構成する部品だけでなく、その製造に必要な道具――酵素など
も作るのですが、すべて宿主細胞の中にあるものを拝借してそういう作
業をするのです。これらがウイルスRNAとタンパク質の合成のプロセ
スです。
 最後に5の「粒子の形成と放出」です。
 この最後の段階で、インフルエンザウイルスは増殖され、細胞表面に
次々と作られていくのです。しかも、それらのインフルエンザの子供が
細胞表面から遊離するさい、細胞膜を引きちぎって行くので、細胞は傷
つき、最終的には死にいたるのです。インフルエンザにかかると、発熱
や激しい咳やくしゃみをしますが、これはウイルスと宿主細胞との激し
いせめぎ合いの副産物なのです。
               ―― [インフルエンザの話/04]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | インフルエンザの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月24日

●ウイルスとは何か――その謎に迫る

 「ウイルス」とは一体何でしょうか。
 若い人ならきっとコンピュータのウイルスを連想するでしょうが、一
般的には「病原体」と考えられています。ウイルスをきちんと定義する
と、次のようになります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ウイルス――ヴァイラス――virus は、他の生物の細胞を利用し
て、 自己を複製させることのできる微小な構造体である。   
  ――ウィキペディア
――――――――――――――――――――――――――――――――
 ヴァイラス――virus は、ラテン語で「毒素」を意味する言葉であり
これが転じて病気を引き起こす毒素――すなわち、病原体を意味するよ
うになったのです。しかし、その実態が何であるか、当のギリシャ人に
は知る術まったくなかったのです。
 インフルエンザは、その存在自体は古くから知られていたのですが、
「インフルエンザ」という名前を付けたのは16世紀のイタリア人なの
です。インフルエンザは冬に多く発生するので、冬の天体や寒さにより
発生するものであると考えられイタリアで「天の影響」を意味する「イ
ンフルエンザ」と命名されたのです。英語でいう「influence」 のこと
です。
 インフルエンザの病原体がウイルスであることがわかったのは、実は
20世紀に入ってからなのです。1892年に日本の細菌学の父といわ
れる北里柴三郎博士は、インフルエンザに感染した患者の気道から、病
原体と思われる細菌を分離し、インフルエンザ菌と名付けたのです。し
かし、このインフルエンザ菌はインフルエンザとは関係がないことが後
でわかっています。
 ウイルスを発見したのは、ロシアのドミトリー・イワノフスキー博士
です。彼は、タバコモザイク病の病原体を含む液を素焼きの陶板ででき
た細菌濾過器に通す実験を行い、細菌よりも小さい微小病原体「ウイル
ス」の存在を証明することに成功したのです。
 人に感染するインフルエンザウイルスが分離されたのは、それから約
40年の後のことなのです。インフルエンザに感染した患者の喉頭部か
ら採取した液体をさまざまな動物に移植する実験を繰り返したのですが
一度として成功しなかったのです。
 英国人科学者たちは、試行錯誤の結果、実験動物を変更してみたので
す。その結果、イタチ科のフェレットに病原体に感染させることに成功
したのです。そこでその病原体を含む液を細菌濾過器を使って濾過し、
インフルエンザの病原体がウイルスであることを発見したのです。

●ウイルスの3つのタイプ/A型・B型・C型

 1950年代以降になると、電子顕微鏡やRNA解析技術の発達によ
ってインフルエンザウイルスは分子レベルでかなり詳しいことがわかる
ようになってきたのです。
 その結果、インフルエンザウイルスには、次のようにA型、B型、C
型の3つのタイプに分かれることがわかってきたのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
           A型      B型      C型
  症 状     典型的     典型的      軽度
  亜 型  H1〜HI6      なし      なし
       N1〜 N9
  宿 主  ヒト、鳥、豚      ヒト      ヒト
        馬、その他   (アザラシ)    (豚)
―――――――――――――――――――――――――――――――― A型ウイルスとは、ヒト、鳥、豚、馬など幅広い宿主に感染し、強い
病原性を発現するタイプであり、最も危険なタイプです。パンデミック
を起こす可能性のあるウイルスです。
 B型ウイルスは、アザラシから分離されたといわれていますが、感染
する宿主がヒトに限定されるタイプです。しかし、感染後の症状はA型
とよく似ていて、症状からはA型と区別がつかないのです。
 C型ウイルスは豚から分離したといわれていますが、主にヒトを宿主
にしているタイプです。子供に感染するとA型に似た症状が出ますが、
大人は感染しても症状は軽微です。
 ここで「RNA」について説明しておく必要があります。DNAとど
う違うのでしょうか。
 DNAとRNAの働きは違います。DNAは、化学的に安定した分子
で壊れにくく、その性質ゆえに、細胞核の中にあって遺伝情報そのもの
を記録・保存する役割を受け持つのです。いわば生物の設計図ですね。
RNAはDNAより小さくて合成・分解が簡単な分子で、DNAの情報
を核の外に持ち出し、酵素やたんぱく質を作る時に使われる、作業説明
書みたいなものです。
 DNAが生化学的に「読み込まれ」たり「翻訳」されたりするとき、
その翻訳された結果の産物がRNAです。次に、このRNAが読み込ま
れ、相当するたんぱく質が作られます。ある種のウィルスでは、DNA
よりむしろRNAが遺伝物質として使用されています。 
―― [インフルエンザの話/03]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | インフルエンザの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月17日

●インフルエンザとは何か

 インフルエンザとは何でしょうか。
 インフルエンザとは、多い年で、日本人の10人に1人がかかる、感
染症であるといってよいと思います。病源体は「インフルエンザウイル
ス」といってその大きさは直径100ナノメートル──1万分の1ミリ
メートルの大きさのウイルス病源体です。
 感染すると数日の潜伏期間を経て発症し、38度以上の発熱、頭痛、
全身の倦怠感、筋肉・関節痛、咳、鼻水などの症状があらわれます。し
かし、季節性のインフルエンザであれば一週間程度で通常回復します。
 インフルエンザウイルスの大きさは、ウイルスとしては中程度ですが
このウィルスが警戒されるのは、その「伝播力」にあります。おそらく
地球上に存在するあらゆるウイルスの中で、一番伝播力が強いといわれ
人間はこのウイルスから逃げることは困難であるといわれます。
 ところで、インフルエンザと風邪はどう違うのでしょうか。
 インフルエンザの症状は風邪そのものですが、自覚症状からインフル
エンザにかかったか、風邪なのかを分けることは通常困難です。
 風邪の概念は漠然としています。「風邪は呼吸器疾患の総称である」
といわれていますが、これではあまりにも漠然としています。風邪は、
さまざまな感染症を集めた「症候群」なのです。インフルエンザもその
中のひとつです。
 風邪症候群を起こすウイルスとその割合は次のようになっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
   ライノウイルス ・・・・・・・・・・・ 30〜40%
   パラインフルエンザウイルス ・・・・・ 15〜20%
   RSウイルス  ・・・・・・・・・・・  5〜10%
   アデノウイルス  ・・・・・・・・・・  3〜 5%
   コロナウイルス  ・・・・・・・・・・    10%
   インフルエンザウイルス ・・・・・・・  5〜15%
   その他 ・・・・・・・・・・・・・・・    10%以下
      ──河岡義裕/河本研子著/ブルーバックスB1647
    『インフルエンザ パンデミック/新型ウイルスの謎に迫る』
――――――――――――――――――――――――――――――――
 風邪の90%以上はウイルス性感染によるものですが、インフルエン
ザはこのうち、5〜15%を占めているに過ぎないのです。

●なぜ、インフルエンザの新型は怖いか

 それにしても今回のインフルエンザで、なぜこんな大騒ぎをするので
しょうか。それは、今回のインフルエンザが新型であるからです。季節
的なインフルエンザは毎年発生しますが、数十年の一回の周期で、人間
がまったく免疫を持っていない新型のインフルエンザウイルスが発生し
ます。今回のインフルエンザウイルスはまさにそれに該当するのです。
 今回の新型は、2009年3月にメキシコで発生し、現在世界中に感
染が拡大している豚由来の新型インフルエンザウイルス──A型、H1
N1亜型であり、新型なのです。
 20世紀以降にインフルエンザウイルスは、次の3回のパンデミック
を引き起こしてきたのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
     スペイン風邪 ・・・・・・・・ 1918年
     アジア風邪 ・・・・・・・・・ 1957年
     香港風邪 ・・・・・・・・・・ 1968年
――――――――――――――――――――――――――――――――
 スペイン風邪による世界の死亡者は、実に2000万人〜4000万
人、日本人の死亡者は38万人です。当時の世界人口の約半数が感染し短期間に大量の死者を出したのです。これほどの死亡者を出した感染症
は過去になく、中世の黒死病(ペスト)に匹敵するのです。
 アジア風邪については世界の死亡者は200万人、香港風邪の世界の
死亡者は100万人、日本人の死亡者は1万人です。このように人間が
免疫を持っていない新型のインフルエンザがいかに恐ろしいか理解でき
ると思います。
 現在ウイルス学や医療は高度に発達していますが、その高度な医学を
もってしても、この数十年に一度の新型インフルエンザには手を焼いて
いるのです。したがって、世界中が今回の新型インフルエンザウイルス
に危機感を持ったのは当然のことです。
 その新型インフルエンザウイルスに対する警戒感は、1997年に香
港で家禽類を中心に猛威をふるっていたH5N1亜型の高病原性鳥イン
フルエンザウイルスが人間に感染し、18人中6人が死亡するという事
件からです。なぜなら、それまでは鳥インフルエンザウイルスは人間に
は感染しないし、感染しても重篤な症状にはならないと考えられてきた
からです。
 この後も高病原性鳥インフルエンザウイルスの人間への感染は続いて
おり、2009年8月の時点で483例の感染が報告されていますが、
そのうちの262人が死亡しているのです。死亡率は実に62%という
ことになります。       ―― [インフルエンザの話/02]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | インフルエンザの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月10日

●インフルエンザについてどれほど知っているか

 インフルエンザの感染がなかなかとまらないでいます。しかし、それ
でいて今のところインフルエンザによる死亡率が一定の範囲におさまっ
ているところから国民の間には根拠のない安心感が生まれ、それに伴い
若干の油断が生じつつあるようです。「なぁんだ!風邪と一緒じゃない
か」、「だいたい日本政府のやっていることは大袈裟なんだ」というよ
うにです。
 しかし、これは大きな間違いです。今回のインフルエンザの死亡率が
この程度でおさまっているのは、各国政府が高病原性鳥インフルエンザ
ウイルスによるパンデミック(大流行)を想定して対策を進めてきたか
らなのです。
 確かに学校閉鎖や保育園の閉鎖によって親が出勤できず、ただでさえ
厳しい雇用情勢を一層悪化させたことや、各種集会の中止による経済的
な被害が出たことから、政府の対応を過剰として非難する声が多く出た
ことは事実です。しかし、そうしたからこそ、インフルエンザのさらな
る拡大を事前に防げたともいえるのです。
 しかしインフルエンザについてあなたはどれほどご存知でしょうか。
いわゆる「風邪」のようなものと誤解していないでしょうか。インフル
エンザを防ぐにはマスクや手洗い、うがいの励行などに加えてインフル
エンザに対して正しい深い知識を持つことが大切なのです。そこで、し
ばらくインフルエンザについてお話しすることにします。

●WHOはなぜパンデミック宣言を躊躇したのか

 2009年6月11日のことです。世界保健機関(WHO)のマーガ
レット・チャン事務局長は、ジュネーブで緊急記者会見を開き、新型イ
ンフルエンザの警戒水準を「フェーズ6」に引き上げる宣言をしたので
す。この「フェーズ6」というのは、新型インフルエンザの警戒水準の
最高ランクであり、パンデミック──世界的大流行を意味するランクな
のです。
 実はWHOとしては、5月の時点で北米だけでなく、英国、スペイン
などでも新型インフルエンザの感染者が急増していることを把握してい
たのですが、なぜかWHOは、パンデミック宣言に慎重であったのです。
 それには2つ理由があります。
 1つは、今回の新型インフルエンザウイルスがA型のH1N1亜型で
あったことです。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3つ
に分類されるのですが、パンデミックを起こす可能性があるのはA型で
す。
 しかし、タイプがH1N1亜型であり、これは1918年に世界で大
流行しスペイン風邪ウイルスと同じ亜型であったのです。このウイルス
はその末裔が依然として毎年のように流行を繰り返しており、ほとんど
の人が免疫を持っていると考えられることです。それなら、パンデミッ
ク宣言を少し待って様子を見た方がよいのではないかという判断が働い
たのです。
 スペイン風邪というのは、規模、死亡率がいずれも大きく、感染者数
が6億人に及んで、2000万〜4000万人の死者を出し、それが第
1次世界大戦終結の遠因にもなったともいわれているのです。
 2つは、冒頭にも述べたように、日本をはじめ各国政府は、高病原性
鳥インフルエンザウイルスによるパンデミックを想定して対策をとって
いるので、下手にパンデミック宣言をすると世界中が混乱する──WH
Oはこのように考えたものと思われます。

●WHOの2つのシナリオのひとつは崩れる

 WHOとしては、今回の新型インフルエンザについて、2つのシナリ
オを立てていたのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 第1のシナリオ:比較的早期に感染拡大がおさまり、やがてウイルス
は姿を消す
 第2のシナリオ:感染拡大が続き、夏場の一時的な収束期を経て冬に
大流行する
――――――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、12月に入ってもインフルエンザは収束の兆しがない状態で
あって現在では第2のシナリオに沿ったパンデミックになることは確実
です。このシナリオによると、最悪の場合は3000万人、日本人の4
人に1人は感染する可能性があるとしています。
 これに関連して、WHOのフクダ事務局長補代理は次のように警告し
ているのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 新型インフルエンザが世界的な大流行に発展した場合、今後2年以内
に世界人口の20〜40%程度が感染する恐れがある。
──河岡義裕/河本研子著/ブルーバックスB1647
『インフルエンザ パンデミック/新型ウイルスの謎に迫る』
――――――――――――――――――――――――――――――――
 そもそも新型インフルエンザウイルスとは何なのか──次回はこうい
う基本的なことを迫っていきます。
―― [インフルエンザの話/01]

posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | インフルエンザの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月03日

●ご存知ですか──「フレンチ・パラドックス」

 フランスのボルドー大学の科学者セルジュ・レヌーが、「フランス、
ベルギー、スイスに住む人たちは、他の西欧諸国の人々よりも、チーズ
やバターなどの乳脂肪、肉類、フォアグラなどの動物性脂肪を大量に摂
取しているにもかかわらず、心臓病の死亡率が低い」という説を打ち出
したのです。
 その原因を調べたところ、彼らが日常的に飲んでいる赤ワインではな
いかという説が出てきたのです。人間を始めとする動物が、赤ワインが
豊富に含まれる「ポリフェノール」を摂取すると、動脈硬化や脳梗塞を
防ぐ抗酸化作用、ホルモン促進作用が向上するという発表が行われたの
です。
 しかし、これに反論する学者も多いのです。フランス人の心筋梗塞が
少ないのは、ワインのポリフェノールのせいではなく、「ワインの飲み
すぎで肝疾患で死ぬ人が多いから、相対的に心疾患で死ぬ人が少ないだ
けだ」と主張する学者もいるのです。
 しかし、その理論は、世界保健機関(WHO)によって「フレンチ・
パラドックス」──フランスの逆説と呼ばれ、1990年代初頭に全世界に急速に広まったのです。それまでの日本はどちらかというと、白ワインの消費量が多かったのですが、このニュースが広がると、日本でも赤ワインによる健康ブームが巻き起こることになったのです。

●ポリフェノールを含む食品とは何か

 ポリフェノールは、植物に含まれている色素や渋み成分のことで、体
の酸化と「血管の老化」を防ぎ、血圧を下げる効果をもたらすのです。
ポリフェノールの仲間を少し上げてみましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
   ケルセチン──たまねぎ、りんご、ブロッコリーなど
   イソフラボン──大豆、豆腐など
   ルチン──そば、アスパラガスなど
   アントシアニン──ブルーベリー、りんご、さつまいもなど
   カテキン──赤ワイン、緑茶など
――――――――――――――――――――――――――――――――
 別に赤ワインを飲まなくても、日本人になじみの深いポリフェノール
を含む食品には、緑茶のカテキン、大豆、豆腐があるので、それらを意
識してとるようにすればよいと思われます。
 日本人は欧米諸国に比べると喫煙者が多いのですが、喫煙している人
の割合からすると心筋梗塞になる人は少ないのです。それは、日本人が
日常食べている食品にポリフェノールが多く含まれているからです。
 とくに緑茶のカテキンは、「血管の老化」を防ぐ力が強いのです。緑
茶には脳梗塞を予防する効果のあるテアニンや血糖値を下げる効果のあ
るポリサッカライドという物質も含まれているのです。

●くだものを食べなくなった日本人

 最近の統計によると、日本人が一年間に消費するくだものの量は世界
各国の平均値を下回っているのです。くだものの代表として、りんごを
取り上げることにします。りんごは、体内の悪いものを掃除する役割が
あるのです。
 既に述べたようにりんごはカリウムを豊富に含んでいますが、カリウ
ムはナトリウムをくっつけて排出する掃除役としての働きがあります。
また、りんごにはペクチン──水に溶ける食物繊維が豊富なのです。ペクチンもコレステロールを吸着して排出する掃除役として働きます。
 くだものを煮ると、それに含まれているペクチンが水に溶け出し、糖
分とともに煮詰めるとくだもの中の酸との作用によってゼリー化するの
です。くだものによりこのペクチンの量が足りない場合には、理想的な
ゼリー化状態にするためにそれを補うことになります。
 古くからジャムをつくるときに、りんごの芯などが伝統的に使用され
てきましたが、今日、ペクチンはその優れたゲル化特性から、ジャムや
フルーツソース、ゼリーの製造など幅広く利用されるようになっている
のです。このようにペクチンは、ジャムの製造にあたって重要な役割を
果たしているのです。
 りんごの皮の色素には、悪玉コレステロールの酸化を防ぐアントシア
ニンが含まれています。したがって、りんごを食べるには皮をむかない
で、皮ごと食べると効果があるのです。
 血管を若返らせるために忘れてはならないことがあります。それは、「水分補給」です。水分を補給しないと、血液はねばり気を増してくるのです。その結果、血液が流れにくくなります。
 血管が詰まることが多いのは、寝起きの時間帯──副交感神経が交感神経に切り換わる時間帯に多いのです。睡眠中に汗をかき、水分が失われて、血液が詰まりやすくなるのです。そういう意味では、風呂上りも要注意です。
 水分補給はこまめに少しずつとるのがベストです。運動をして汗をか
いたりしたときは、必ず水分の補給を行う必要があります。大量に汗を
かくと、水分とともに塩分も失われることがあります。このときには、
水だけではなく、塩分をとることも大切です。  [血管の話/15]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 血管の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月26日

●塩分をとり過ぎると何が問題なのか

 医師は「塩分を減らせ」とよくいいます。塩分をとり過ぎると何が問
題なのでしょうか。しかし、「塩分を減らす」には、具体的に何をどう
すればよいでしょうか。
 塩分とは具体的には「食塩」であり、塩化ナトリウムを意味します。
塩化ナトリウムをとり過ぎると、血管の壁にナトリウムが入り込んで、
血管がなめし革のように硬く変化することがわかっています。こうなる
と、血管の老化のスピードが促進されるのです。
 また、塩をとり過ぎると、体のホルモンのバランスが崩れるのです。
そして血圧を上げるレニン、アンジオテンシン、アルドステロンなどの
ホルモンがたくさん分泌されることになります。
 塩をとり過ぎると、体はそれを薄めるために水分補給を求めます。私
たちの身体は、ナトリウムとカリウムの濃度のバランスが保たれること
でスムーズな活動ができるのです。体内のナトリウムの量が増えると、
体はバランスを取り戻そうとして、ナトリウムを薄めるために水分を求
めるのです。
 しかし、水分を多くとると、血液の量も増えるので、血液を送り出す
血圧も高くなります。このように、塩をとり過ぎると、結果として、血
管の老化を促進することになるのです。

●塩分を一日10グラム以下に減らす

 それでは、「塩分を減らす」ために具体的には何をすればよいでしょ
うか。
 日本人は一人当たり一日に約12グラムの塩分をとっているといわれ
ています。それをせめて10グラム以下にする――これがひとつの目標
になります。もっとも血圧の高い人は一日6グラム以下にする必要があ
ります。
 しかし、食品にはナトリウムそのものが入っており、それを減らすに
はどうすればよいでしょうか。
 食品にはナトリウムの量か食塩の量のどちらかが示されていますが、
ナトリウムから食塩の量をどうやって知るのでしょうか。それができな
いと一日10グラム以下といっても、守りようがないといえます。レス
トランなどで出された料理の食塩量はどうやってチェックするのでしょ
うか。
 ナトリウムの量と食塩の量――そのどちらからでも食塩の量とナトリ
ウムの量を次の式で算出できます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  ナトリウムの量(mg)×2.54÷1000=食塩の量(g)
  食塩の量(g)÷2.54×1000=ナトリウムの量(mg)
――――――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、実際問題として、毎日食べるものの食塩の量をいちいちチェ
ックするのは困難なことです。したがって、現実的な方法としては、「腹八分目」を目指すしかないでしょう。食べるものを通常よりも2割減らすことによって塩分もそれに応じて減ることになります。「腹八分目」を実行することは塩分を減らすことにも役立つのです。

●カリウムを多く含む食品を多くとる

 通常よりも多くの塩分を含む食品をなるべく食べないようにすること
も塩分を減らすことにつながります。漬物、梅干し、塩辛、すじこ、た
らこ――これらの食品は多くの塩分を含んでおり、なるべく食べないよ
うにすることを心がけるだけで、確実に塩分を減らすことができます。
 ところで、カリウムは、ナトリウムとくっついて体の外に出す働きを
するのです。カリウムは血管を開く酵素の働きも活発にしますので、「細い血管」がよく開くようになります。カリウムを多くとることはいいことなのです。
 カリウムを含む食品を上げておきましょう。
 アボカド、切り干し大根、バナナ、りんご、レーズン、オレンジ、か
れい、ほうれんそう、さつまいも、ひじき、大豆、干し柿、ミニトマト
です。この中で身近にすぐ食べられるものは、バナナとリンゴですね。
 バナナ1本当たり350〜500mg、リンゴ1個には220mgの
カリウムが含まれています。しかし、カリウムは、調理によって失われ
やすいので、煮汁ごと食べられる煮物や煮魚が適しています。またさつ
まいもを食べるときには焼いたり、蒸したりして食べるようにすると、
カリウムの含有量を減らさずに食べることができます。
 高沢謙二先生は、和食党だそうですが、和食で「一汁三菜」は健康に
とって合理性があるといっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「一汁三菜」といわれる和食の構成は、主食、汁もの、主菜、副菜、
副々菜となります。主菜(魚、肉、大豆製品)からはたんぱく質、副
菜(野菜、豆類、いも類など)からはビタミン、ミネラル類をよくと
ることができます。
 また、味噌汁などの汁ものは野菜、海藻、豆腐などの具をたくさん入
れて食べることがおすすめです。               
――高沢謙二著『「若返り血管」をつくる生き方』/
講談社+α新書258−2B
 ――――――――――────――───―― [血管の話/14]

posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 血管の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月19日

●2つのことを習慣化して肥満を脱却する

 「腹八分に医者いらず」という有名な言葉があります。高沢謙二先生
が主張する「若返り血管」法の基本もこの昔からある言葉と同じなので
す。具体的には次の2つです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.食べ過ぎないこと
          2.飲みすぎないこと
――――――――――――――――――――――――――――――――
 肥満はなぜ身体によくないのでしょうか。
 肥満は、血管の老化の原因となる高血圧、糖尿病、高脂血症などの引
き金になるのです。また肥満の人は脂肪組織が多く、その脂肪組織から
は血液を固まりやすくしたり、血圧を上げる物質が分泌されるのです。
 「腹八分」とは要するに「食べ過ぎないこと」を意味します。まず、
食事はいつものようにして、間食をやめることです。食事の量を減らす
と、どうしても間食をしてしまうので、最初は食事はきちんととって間
食をやめるのです。そして、これを習慣化するのです。
 間食をやめる習慣がついたら、少しずつ食事を減らしていきます。2
杯ごはんを食べる場合は、その一杯を少なめにします。それもそんなに
減らすことをせず、ほんの少しでいいのです。あまり減らすと、間食が
復活してしまい、元の黙阿弥になります。そのうえで、次の2つのこと
を実施するのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.朝食前に体重を量る
          2.体重の増減を調べる
――――――――――――――――――――――――――――――――
 体重を量るときは、量る条件をなるべく一定にします。起きて排尿後
でもよいですし、食事の直前でもいいです。条件を一定にすることが必
要なのです。
 2についてですが記録はつけなくてもいいのです。体重が増えたか、
変わらないか、減っているかだけをチェックします。
 このとき、前日の食事を思い浮かべる必要があります。これは、前日
の食事と体重の増減の関係を自ら認識する効果があるのです。減ってい
るときはどうして減ったのか、増えたときはどうして増えたのか――前
日の食事との関係を考える習慣をつけるのです。
 肥満の人は自ら体重を量らない人が多いのです。量るたびに増えてい
ると量るのが嫌になるからです。したがって、体重を量る習慣を確立す
るだけでも、体重増加の抑制効果が働くのです。

●体脂肪と筋肉の割合を重視する

 肥満における脂肪と筋肉の関係を知る必要があります。そこで、一人
の肥満モデルを登場させます。条件を次のように設定します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
           体 重 100キロ
           体脂肪  30キロ
           筋 肉  70キロ
――――――――――――――――――――――――――――――――
 この肥満者は体重を減らす努力をしてそれに成功します。体重は85
キロになったのです。その結果、体脂肪は30キロから20キロへ、筋
肉は70キロから65キロに減ります。
 しかし、体重のゆり戻しが起こって、この肥満者の体重は100キロ
に戻ってしまいます。内訳は体脂肪は20キロから35キロへ、筋肉は
変わらず65キロのままです。
 しかし、再び肥満者は努力して再び体重を85キロに戻します。内訳
は体脂肪25キロ、筋肉は60キロです。体重を落とすと筋肉は減るの
です。しかしこの肥満者には三度体重のゆり戻しが起こり、体重は10
0キロに戻ってしまうのです。
 この場合、体重が増えるとき筋肉は減らないので、筋肉は60キロの
ままで体脂肪が25キロから40キロに増加したのです。このように見
ていくと、体脂肪と筋肉の比率は、最初は体脂肪30キロに対して筋肉
は70キロでしたがゆり戻しを繰り返していくと、体脂肪が40キロに
対して筋肉は60キロと変化します。同じ体重なのに筋肉の量が減って
しまうのです。
 筋肉の量が減ると、歩いたりする運動がどうしても減少するので、一
層太りやすい体質になります。つまり、体重を落とすとき、筋肉を減ら
さないようにする必要があるのです。
 それでは、体重を落としても筋肉を減らさないようにするにはどうし
たら、よいでしょうか。
 それが運動なのです。ここまで述べてきたように「早足歩き」や「つ
ま先歩き」を行って、足やふともものエクササイズを行うことは、体の
筋肉を減らさないことに役立つのです。
 「腹八分に医者いらず」は本当のことなのです。「腹八分」が無理な
ら「腹九分」でもいいので、実行されることをお勧めします。
                     ―― [血管の話/13]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 血管の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月12日

●ふくらはぎをきたえるエクササイズ


 「足は第二の心臓」といわれます。しかし、これは正確にいうと、「ふくらはぎは第二の心臓」ということになります。どうしてかというと、ふくらはぎをチェックすると、血液循環の状態がわかるからです。
 どのようにしてチェックするのでしょうか。
 やり方をご紹介します。誰でも簡単にできるのでやってみましょう。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.両足を揃えてまっすぐ立つ
      2.そのまま上体を前に倒す
      3.ひざを曲げずに両手のひらを床につける
――――――――――――――――――――――――――――――――
 床に指先が届かなかったり、ふくらはぎや太ももに痛みを感じたとき
は、ふくらはぎの筋肉が硬くなっています。ふくらはぎの血液循環が良
くて静脈の戻りが良い状態では、ふくらはぎは柔らかいのです。
 したがって、ふくらはぎが硬いときは、ふくらはぎの血液の流れが良
くないのです。藤林クリニック院長の藤林敏宏先生によると、高血圧と
ふくらはぎの筋肉の状態は関係があるといわれます。高血圧の人のふく
らはぎを調べると硬化を起こしているケースが多いのことがわかってき
たのです。
 ふくらはぎが硬くなったときはどうすればよいでしょうか。
 藤林敏宏先生が推奨するのは「足首まわし」です。なぜ、足首まわし
をするとふくらはぎにとってよいのでしょうか。3つにまとめます。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.足首まわしをすると、アキレス腱が収縮され柔らかくほぐれる
 2.そのことによってふくらはぎの筋肉がよく伸縮するようになる
 3.その結果、ミルキングアクションが促され血液循環がよくなる
――――――――――――――――――――――――――――――――
 足首まわしは具体的にどうすればよいのでしょうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.床に座って、両足をまっすぐ伸ばす
      2.右の足首を左足のひざの上にのせる
      3.左手で右の足首を足の裏からつかむ
      4.右の足首を外側へ、内側へとまわす
――――――――――――――――――――――――――――――――

●「つま先歩き」は2つの効果がある

 「早足歩き」の効果のひとつに、ふくらはぎのミルキングアクション
を活発にするというメリットがあります。このふくらはぎとアキレス腱
を強くするエクササイズの研究をしている医師がいます。吉松俊一先生
(千曲中央病院名誉院長)と吉松俊紀先生(同病院整形外科部長)の2
人です。
 2人の吉松先生は次のようにいっています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 プロ野球の選手をたくさん調べてきましたが、大選手といわれる人は
 ふくらはぎが大きいのです。将来よい選手になるかどうかは身長やお
 尻の大きさをみればわかるといわれますが、そのカギはふくらはぎが
 握っていたのです。ふくらはぎが大きいということは、ふくらはぎに
 血管が多くて血管のネットワークもしっかりできているからなのです
          高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』
                   講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 そこで、吉松先生が推奨するのは「つま先歩き」です。つま先歩きをすると下半身に体重の4倍の負担がかかります。この負担がふくらはぎの血管を増やし、血管のネットワークをしっかりしたものにするのです。
 つま先歩きの効果としては、次の2つがあります。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        1.全身の血液循環が良くなること
        2.アキレス腱がきたえられること
――――――――――――――――――――――――――――――――
しかし、つき先歩きをするさい無理をしてはならないのです。これにつ
いて吉松先生は、次のようにアドバイスしています。アキレス腱をきた
えようとして、アキレス腱を切ったら、元も子もないからです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 吉松先生は「『つま先歩き』で10〜20歩歩いたら、また普通の歩
 き方に戻すようにして、最初は1日10歩の『つま先歩き』からスタ
 ートさせるのがよいでしょう。慣れてきたら、1日20歩、さらに午
 前中に10歩、午後に20歩と増やしていけばよいのです。ただし、
 やり過ぎるとアキレス腱を傷めますので、多くても1日30歩くらい
 でよいでしょう。大切なことは、『つま先歩き』を毎日、どこでも、
 そして続けることです」とアドバイスされます。 ――高沢謙二著の
 前掲書より
――――――――――――――――――――――――――――――――
                    ―― [血管の話/12]
posted by キーヘルス at 04:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 血管の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月05日

●血管年齢を若返らせる5つの運動

 仕事をしていると、自然に身体を動かすので、意識しないでも運動を
積み重ねることになります。しかし、仕事の職種によっては運動不足に
なる仕事も少なくないのです。そこで、仕事のかたわら意識してやれる
運動があるのです。ちょっとした運動でも計画的に継続すれば、血管年
齢を若返らせることができるのです。高沢謙二先生は次の5つの運動を
提案しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
          1.早足歩き
          2.鼻歌ウォーキング
          3.足首まわし
          4.つま先歩き
          5.つま先階段上り
――――――――――――――――――――――――――――――――

●早足歩きには4つの効用がある

 「早足歩き」は誰でもできます。しかし、適当にやるのではなく、計
画的に実施すると効果があるのです。要領は次の通りです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        @少し息が弾むくらいの速さで歩く
        A一回の時間は20分間で週に2日
――――――――――――――――――――――――――――――――
 早足歩きが血管年齢を下げることは、高沢謙二先生の患者さんに対す
る指導の結果、実証されていることです。早足歩きには、次の4つの効
果が得られることが確認されています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
        @血管の掃除が効果的にできる
        A血管が大きく開く効果がある
        B血管のネットワークが増える
        Cミルキングアクションの促進
――――――――――――――――――――――――――――――――
 早足で歩くと、身体は酸素と栄養を必要とするので、心臓は心拍数を
増やし血液循環を良くします。そうすると血液の流れが良くなるので、
血管に溜まったゴミを洗い流します。これが@の血管の掃除です。
 このように早足歩きをすると、血液循環は良くなりますが、血流が良
くなると、血管のいちばん内側で血液の流れと接する内皮細胞からブラ
ジキニンという酵素が分泌されます。
 ブラジキニンは、血管にある一酸化窒素を刺激して、その働きを活性
化するのです。この一酸化窒素には血管を広げる働きがあり、その働き
が活発になると、血管はよく開くようになります。血管がよく開くと、
「細い血管」の抵抗も少なくなり、血圧も下がってくるのです。これが
Aの血管を開く効果です。
 早足歩きを行うと、血流が良くなり、新しい血管が作られます。血管
はお互いに手を差し伸べる相互スピリットに富んでいるのです。どうい
うことかというと、血管が詰まって血液が流れなくなると、血流が良い
ときは、詰まった血管に救いの手を差し伸べるバイパス血管(側副血行
路)ができ、その数が増えていくのです。これがBの血管のネットワー
クです。
 早足歩きをすると、大腿四頭筋やふくらはぎの筋肉がよく使われるの
です。これによって足の静脈のポンプ作用が行われ、静脈血が心臓に良
く戻るようになるのです。この静脈血の心臓への戻りのことを「ミルキ
ングアクション」というのです。これがポイントCです。

●「深呼吸タイム」を取り入れよう

 「1回20分、週に2回」をこれをキチンと行うことにより、血管年
齢は確実に若返ります。それに加えて、早足歩きが終わったところで、
必ず深呼吸を行うようにしましょう。高沢謙二先生は、深呼吸について
次のように述べており、推奨しています。
――――――――――――――――――――――――――――――――
 私は生活の中に「深呼吸タイム」を取り入れることもおすすめしたい
 と思います。深呼吸は腹式呼吸と同じ要領です。息を吐く・吸うこと
 を意識して行います。座禅や瞑想に呼吸が大きなかかわりを持ってい
 ますが、大きな呼吸をすると副交感神経(休息の神経、夜の神経とも
 いわれる)の働きが活発になります。副交感神経が活発になると、血
 管の緊張がゆるみ、その結果、血管はよく開くようになり、血液の流
 れもよくなるのです。また、深呼吸を行うと、肺(肺胞)からプロス
 タグランデインI2という物質がつくられますが、この物質は血管が
 詰まる原因となる血栓ができるのを抑える働きがあります。プロスタ
 グランディンI2は肺でつくられると、血液の流れに乗って全身の血
 管をめぐります。  高沢謙二著『「若返り血管」をつくる生き方』
                  講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
                     ―― [血管の話/11]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 血管の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月29日

●血管年齢判定チェックリスト

 血管年齢の正確な測定は医療機関でないとできませんが、大体の年齢
を知るには、次の12のチェックリストで十分です。これは高沢謙二先
生の作成されたものです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
  □階段を上がると胸が圧迫されたような感じがする
  □インスタント食品や脂っこい食べ物が好きでよく食べる
  □電話が鳴ったら、すぐとらないと気がすまない
  □責任感が強く、仕事で手を抜くことができない
  □いつも時間に追われている感じがする
  □ー日の喫煙本数×喫煙年数が400以上である
  □血圧が高い
  □運動らしい運動をしていない
  □最近、物忘れが激しい
  □手足が冷たく、しびれた感じがする
  □コレステロール値、あるいは血糖値が高い
  □親・兄弟に心筋梗塞や脳卒中で倒れた人がいる
      ――高沢謙二著、『「若返り血管」をつくる生き方』より
                   講談社+α新書258−2B
――――――――――――――――――――――――――――――――
 判定はチェックの入った数を基準として、次のように判定します。チ
ェックの数が8以上のときは医療機関での血管年齢測定をお勧めします。
――――――――――――――――――――――――――――――――
    0〜 4 ・・・・・ 実際の年齢と同じ
    5〜 8 ・・・・・ 実際の年齢 + 10
    9〜12 ・・・・・ 実際の年齢 + 20以上
――――――――――――――――――――――――――――――――

●4ポイント/3倍の法則

 「血管が詰まる・破れる」危険性を判断するための重要ポイントは次
の4つがあります。それぞれに該当すると、健康な人の3倍の危険度が
あります。それらを複合して持っていると、危険度は急増します。
――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.高血圧  ・・・・・ 健康な人の3倍
      2.高脂血症 ・・・・・ 健康な人の3倍
      3.糖尿病  ・・・・・ 健康な人の3倍
      4.喫煙   ・・・・・ 健康な人の3倍
――――――――――――――――――――――――――――――――
 例えば、高血圧と高脂血症の両方を持っていると、「3×3」で9倍
になります。これに加えて、喫煙をしていると「3×3×3」で危険度
は27倍ということになります。
 倍率が高いということは改善される率も高いということになります。
例えば、高血圧と高脂血症を持っていてタバコも吸っている人がいたと
します。このケースの危険度は27倍ですが、タバコをやめるだけで、
その危険度は9倍に減少することになります。
 このケースの人の場合、きちんと医療機関に通い、血圧降下剤を処方
してもらい、血圧が正常範囲にコントロールできた場合は、危険度は一
挙に3倍まで減少します。そのままに放置しておくのが一番いけないの
です。

●血管の若返りに貢献するちょっとした運動の提案

 「血管が詰まる・破れる」危険性を防ぐ誰でもできることが簡単な運
動をすることです。高沢謙二先生によると、運動を含めて次の5つのこ
とを実行すれば、血管の若返りに貢献するということです。
――――――――――――――――――――――――――――――――
         1.早足歩きを週2回実施する
         2.食事は「腹八分目」を守る
         3.睡眠は意識して十分にとる
         4.何が何でも喫煙を実行する
         5.ストレスを貯めないように
――――――――――――――――――――――――――――――――
 「早足歩き」は一回につき20分、週に2回は実施することが必要で
す。会社への行き帰りには一駅歩きを実行するのもよいでしよう。一駅
歩くと、ちょうど20分程度はかかるものです。
 よく歩くことはふくらはぎの運動を行うことになります。ふくらはぎ
は「第2の心臓」といわれるように血管の老化の鍵を握る重要な場所な
のです。ふくらはぎが硬くなる「ふくらはぎ硬化」は、動脈硬化のサイ
ンであり、早急な予防と改善が何よりも必要なのです。そのためには意
識してひたすら歩くことが必要です。人間は歩けなくなったら終わりな
のです。                ―― [血管の話/10]
posted by キーヘルス at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 血管の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。